と、あまりにも前置きが長くなったが、ナギ考案・・・といいたいのだが、これだと浦の星の生徒主体でやっている、というイメージがなくなってしまうので、表向きには「よいつむトリオ提案」となっている、新生Aqoursのお披露目ライブ、通称「オペレーション・オブ・New Aqours」はついに千歌たち新生Aqours6人の前で発表することになったのだが、このとき、いつき、
「実はステージのイメージもできちゃっているんだ!!」
と、言うと、黒板にかけてあったカーテンをよいつむトリオが一気に外した。そこに描かれていたのは・・・。
「わ~!!」
と、千歌たち6人、その黒板を見て驚きの声をあげていた。そう、そこに描かれていたのは新生Aqoursお披露目ライブのステージのイメージ図。Aqoursのシンボル、9色の虹、その虹に掲げられていた、Aqoursのシンボルカラーである水色のバルーンで表現されていた「Aqours」の文字。まさに新生Aqoursが羽ばたくために作れたステージ(のイメージ図)だった。このステージのイメージ図は浦の星の生徒全員がこのお披露目ライブ参加を決めたあと、その全員からどんなステージがいいかよいつむトリオが聞いて回った結果、そのほとんどが「Aqoursのシンボルである「9色の虹」をステージに取り付けてほしい」と答えたのである。「9色の虹」・・・、それはAqoursにとって切り離すことができないもの・・・。学校説明会のとき、廃校を阻止するため、Aqoursは到底無理と思われていた(学校説明会と同日に行われた)ラブライブ!冬季大会静岡県予選の地から学校説明会がある浦の星への移動を奇抜な方法で成功させ、浦の星に作られたステージで「君の心は輝いているかい」を歌い上げた。そのとき、そらには虹がかかっていたのだ。そして、Aqoursは虹の向こう側に行くために成長し続けた結果、Aqoursはラブライブ!優勝を果たすのだが、閉校式のとき、これまでお世話になった学校に感謝の意味を込めて校舎の壁一面に落書き・・・、もとい、お別れのメッセージを描いたのだが、その際、1階の目立つところに「9色の虹」が描かれていたのだ。その虹はAqoursが浦の星のために頑張ってきた、その証、ともいえた。そんな意味でも、「9色の虹」はAqoursにとってシンボルともいえる存在だった。と、同時に、そのシンボルをバックに新生Aqoursが羽ばたく様子を見てみたい、それが浦の星の生徒全員の願いだった。
が、そのイメージ図を見て、花丸、
「すご~い!!」
と、感嘆の声をあげると、梨子と曜、現実的なことを言いだす。
「でも、立派なステージ」(梨子)
「とてもじゃないけど間に合わないんじゃ・・・」(曜)
そうである。このイメージ図にも弱点があった。あまりに壮大過ぎてライブ当日までに間に合うかどうか、である。たしかに、バルーンなどいろいろ準備するものが多すぎて本当に間に合うかどうか梨子と曜が心配するのも無理ではなかった。
が、よいつむトリオはそんなこと関係なしにこう言いだした。
「私も言ったんだけどさぁ」(むつ)
「なんかみんなに話したら、Aqoursにふさわしい、すごいステージを作って、浦の星だってちゃんとできるとこ、証明してやる、って!!」(いつき)
2人ともちょっと自信がある発言であった。そう、このときにはすでにステージ作成は開始されていたのである。このステージのイメージ図、完成したのが浦の星の生徒全員がお披露目ライブの参加を決めた日、つまり、Aqoursがスペイン広場で運命のライブを行った日の2日後だった。よいつむトリオは浦の星の生徒全員に連絡していたのだが、連絡している最中、まだ連絡していなかった生徒たちから、
「ねっ、9色の虹、ステージにかかげたらどうかな」
「バルーンをたくさん置いたらすごくな~い!!」
と、ステージについての意見をメールでどんどん送られていたのだ。そのため、よいつむトリオは浦の星の生徒全員にステージについて意見を聞くための必要な日数を3日とみていたのだが、たった1日で浦の星の生徒全員から意見を集めることができたのだ。
こうして、よいつむトリオは浦の星の生徒全員の意見をもとにステージのイメージ図を作成・・・したのだが、いろんな意見がでてしまったため、みんなの意見を反映しすぎてしまい、あまりに壮大なイメージ図が完成したのだった。でも、よいつむトリオとしては新生Aqoursのはれのステージ、ということもあり、あまりに壮大なイメージ図をもとに新生Aqoursお披露目ライブのステージを作ることに決定した。
このイメージ図が完成した翌日、よいつむトリオら浦の星の生徒たちはステージ作成に取り掛かった。では、なぜ、イメージ図完成の翌日からステージ作成にとりかかることができたのか、そう疑問に思われる方もいると思うが、それはナギとよいつむトリオの頑張りがあったからだった。
まず、ステージ作成、といってもまずは土台となる部分から作ることになっていたため、イメージ図が完成してなくてもステージ作成を始めることができた。また、ステージ作成に使う木材などの資材であるが、その基礎的な部分に使う資材はすでにナギが発注していたため、イメージ図完成の翌日にはステージ作成の作業場となる浦の星分校にその資材は用意されていた。なお、基礎的な部分以外の追加資材(ステージに使うバルーンなど)についてはすでにナギが発注済みである。
なお、ステージ作成にかかる費用についてだが、それについては大丈夫だった。沼田の根回しがあったためか、ナギが資材を発注する際、その発注先から、
「この資材でいいんだよな!!わかったよ!!」
と、元気よく資材の発注を受諾する。すると、その発注先、続けて、
「ところで、この資材、なにに使うんだい?」
と、聞かれてしまい、ナギ、ついうっかり、
「え~と、新生Aqoursのお披露目ライブ、ですけど・・・」
と、口を滑らせてしまう。が、その発注先から、
「えっ、新生Aqoursのお披露目ライブに使いのかい!!それはめでたい!!」
と、言われては、続けて、
「なら、お代はいらないよ!!これは俺たちからの寄付だ!!」
と、なんとタダで資材を提供することを決めてしまった。これには、ナギ、
「で、でも・・・、本当にタダでいいのでしょうか・・・」
と、恐る恐る聞くと、発注先、
「あのAqoursだろ!!ナギの嬢ちゃんは「内浦のAqours」だと思っているかもしれないけれど、俺たちからすれば「沼津を代表するスクールアイドル、Aqours」なんだよ!!そのAqoursの新しい旅立ち、そのステージであればタダでもお釣りがくるってもんだよ!!」
と、元気よく答えてくれた。そうである。Aqoursという存在は、今や、浦の星の、内浦の、ものではなくなっていたのだ。沼津のみんなからすれば、「Aqoursは沼津のもの!!」、といっても過言ではなかった。沼津を代表するスクールアイドルAqours、そのAqoursが活躍するために使うのであればタダでも構わない、そんな心意気がこの発注先の人の中に渦巻いていた。
と、こんな具合に「Aqoursのために使うのであれば」といった理由で、タダ、もしくは原価で提供してくれるところが多く、そんなにコストをかけずにライブに使うための資材を集めることができた。
ただ、それでも、新生Aqoursお披露目ライブ、その資材集め以外にもコストがかかってしまっていた。そのコストをナギたち静真高校生徒会、よいつむトリオら浦の星の生徒たちだけで賄うのは困難だった。資金不足・・・、ライブなどを興行する際、よくある問題・・・なのだが、ここでも救いの神があらわれた。まだ、イメージ図を完成させてまもないころ、突然、静真高校生徒会に電話がかかってきたのだ。それに、ナギ、
「はい、静真高校生徒会ですが・・・」
と電話を受けると、その電話口からいきなり若い女の声でこう聞こえてきたのだ。
「あっ、あなたがナギ生徒会長代理、ですね~!!そのナギさんにお伝えしま~す!!あなたたち、静真高校生徒会のBANK(銀行口座)に、何百万円、振り込みま~した!!」
このあまりにもデカすぎる話を聞いてか、ナギ、
「えっ、なんでそんな大金を私たちの口座に振り込んだんですか!?もしかして、間違えて振り込んだんじゃ・・・」
と、びっくりしつつも、その若い女の人になんで大金を振り込んだのか尋ねてみる。すると、
「ミステイクして振り込んだんじゃあ~りませ~ん!!あなたたちは沼津駅南口で新生Aqoursのお披露目ライブ、通称、「オペレーション・オブ・New Aqours」を開催する予定、で~すね~!!その運営資金にUSEしてくださ~い!!」
と、ちゃんとした物言いで答えた。これには、ナギ、
「えっ、こんな大金をあっさりとAqoursのために・・・」
と、唖然としてしまう。それでも、電話口の若い女の人、
「これは私からのお気持ちで~す!!この資金を使って新生Aqoursが大きく羽ばたく、そんな立派なステージを作り上げてくださ~い!!」
と、強い口調でナギに言った。
と、いうわけで、ナギ、この相手の気持ちを受け取ったのか、
「はい、わかりました!!このお金は新生Aqoursが大きく羽ばたく、そんなステージを作り上げるために使います!!」
と、元気よく答えた。
そして、ナギは最後にあることを相手に尋ねた。
「で、ところで、あなたのお名前、お聞かせいただけませんか?」
これに、電話口の若い女の人はこう答えた。
「私の名前は・・・、鞠莉‘sママ、で~す!!」
そう、お披露目ライブの運営資金として大金をナギたち静真高校生徒会に振り込んだのは、鞠莉‘sママ、だった。
実は、鞠莉‘sママ、スペイン広場でのAqoursのライブを見て、スクールアイドルの凄さを身をもって知ったのだが、それと同時に、
(私も、世界を変える力を持つくらいとてもすご~い、そんな、スクールアイドル、サポート(応援)したくなりま~した!!)
という、スクールアイドルを心の底から応援したい、そんな想いが生まれてしまったのだ。
そんな想いが生まれた、そのときだった。鞠莉‘sママにあるメールが届く。そのメールの相手を見た、鞠莉‘sママ、
(あれぇ、ミスター沼田からじゃあ~りませんか!!なんでしょうか?)
と思うとすぐに沼田からのメールの内容を読んだ。そのメールを読んだ後、鞠莉‘sママ、あることに驚く。
(なんですて~!!4月初旬に、沼津駅南口で、新生Aqoursのお披露ライブが行われるので~すか~!!これはサプライズ(驚き)で~す!!)
そう、その沼田からのメールには4月初旬に千歌たち新生Aqoursのお披露目ライブがことが書かれていたのだ。
で、このメールを読んだ鞠莉‘sママ、こんなことを考えてしまう。
(新生Aqoursのお披露目ライブ!!私もなにかの形でサポート(支援)したいで~す!!)
と、いうわけで、鞠莉‘sママ、なにかこのお披露目ライブにかかわる方法がないか考えてみる。すると、鞠莉‘sママ、
(あっ、このライブを行うためにもその運営資金がが必要で~す!!それなら、この私がその運営資金をPAY(差し上げて)しまいましょう!!)
と、新生Aqoursお披露目ライブ、その運営資金のためにナギたちに資金援助をすることを決めたのである。
こうして、鞠莉‘sママはすぐに沼田に連絡、ナギたち静真高校生徒会の銀行口座を沼田から聞き出してはそのままお金を振り込んでしまったのだ。
と、いうわけで、千歌たち新生Aqours1・2年6人がこの浦の星分校に到着したときには、資金面についてはすでにクリア、資材の発注などもすべて終わっている、そして、今、お披露目ライブに使うステージ作成も浦の星分校の体育館で絶賛作成中、そんな状態だった。
これですべてがすべて順調・・・ではなかった。ステージのイメージ図を発表した後、いつきはこのとき発生していた問題点を千歌たち6人に話す。
「でも、ライブの音響のスタッフとか、人手不足、ではあるのだけどね・・・」
そう、今起きている問題、それは、スタッフ不足、だった。大規模なフェスぐらいのライブを行うため、プログラム進行、会場内警備、など、多くのスタッフが必要になっており、浦の星の生徒全員を総動員しても足りないくらいだった。特に、音響などのステージ進行のためのスタッフが圧倒的に不足していた。音響などはその機材を扱えるのがよいつむトリオか元放送部員数人だけだった。そのためにステージ進行のためのスタッフが圧倒的に足りなかったのだ。
また、このとき、このお披露目ライブでとても大切な役職の人がいなかった。その役職とは・・・、そう、「ディレクター」、つまり、このお披露目ライブの総括責任者、だった。ライブの進行はもちろん、フェスの運営など、このライブ全体を統括してくれる人がいなかったのである。
では、そのディレクター、ナギかよいつむトリオの誰かがすればいいのでは、と、思えるのだが、この4人には、ディレクター、を任せるのは難しかった。ナギ、よいつむトリオ、ともに静真と浦の星、それぞれをまとめるので精いっぱいだった。また、ナギはライブ進行などの仕事を行ったことがない、よいつむトリオも音響などのステージ設備などは簡単に扱えるものの、ライブ進行などはあまりやったことがない・・・、というのもあった。
が、これについてはもうすでに解決済みだった。なぜなら・・・、ここに適任者がいるから・・・。それに本人はすぐに気づいていた。そう、静真高校生徒会生徒会長、渡辺月、である。月、よいつむトリオからスタッフが不足していることを聞いたうえで、
(あっ、そういえば、もう一つ、足りないもの、あったね!!それは、このライブの統括責任者、ディレクター、だね!!)
と、統括責任者であるディレクターがいないことに気づく。が、
(でも、ナギたちやあの3人(よいつむトリオ)、たしか、ディレクター、みたいな仕事、やっていなかったな・・・)
と、ナギとよいつむトリオ、この4人が、ディレクター的な仕事、したことがなかったこともわかっていた。あれっ、ナギのことは別にして、なんで、月、浦の星の生徒であるよいつむトリオのことも詳しく知っていたの?それは、このときすでに、月、よいつむトリオのこともよく知っていたのだ。なぜなら、静真高校と浦の星女学院の統合が決定したとき、月は浦の星の生徒全員のプロフィールを覚えていたからだった。より円滑に浦の星の生徒たちの静真での暮らしをフォローできるようにとの月の考えによるものだった。だkら、月はよいつむトリオがこれまでディレクター的な仕事をしていなかったことを知っていたのだ。
それでも、月は落ち着いていた。なぜなら、
(まっ、そのディレクター的な仕事、この僕がすればいいか。だって、僕しかできない仕事だから・・・)
と、自分がこのお披露目ライブのディレクター職に就くのが一番、ということに気づいてしまったから。月は生徒会長としてこれまで静真高校の学校行事すべてを取り仕切ってきた。なので、ライブ以外の運営についてはよく知っていた。さらに、ライブについてもイタリアで鞠莉たちAqours3年生3人にディレクターのイロハを徹底的に叩き込まれていた、音響機器などのステージの機材の扱い方、ライブの進行などを。月もライブの進行はやったことがない。だが、その方法は鞠莉たち3人から骨の髄まで叩き込まれていたのだ。その2つの意味でも、お披露目ライブの統括責任者、ディレクター、の仕事は月が適任、ともいえた。
が、肝心のスタッフ不足はいまだ解消されていない。それでも、月は落ち着いていた。
(たしかにスタッフ不足はいまだに解消されてはいない。だけど、それについては僕たちがなんとかできるかもしれない)
そう月が思っていた瞬間、教室の前の扉のところからある声が聞こえてきた。
「「「こんにちは~、初めまして~」」」
その声に反応したのか、声がした教室の前の扉の方向に目をやる千歌たち6人と月。そこにいたのは静真の制服を着た少女3人組だった。この3人組をみた、月、笑いながらこう思った。
(ようやく来たね、頼もしい助っ人さん!!)