と、言いたいのだが、月優位のこの物語であったが、ある1つの電話により急展開を迎える。そう、あの屋上責任者が裏美にかけた電話である。「ラグーン」の屋上責任者が裏美に電話をかけた、そのとき、裏美はというと・・・、
グ~ グ~
と、いびきをかきながら寝ていた。いや、それが当たり前である。だって、まだ早朝だったから・・・。が、それによって裏美の電話の呼び鈴がけたましくなってしまう。むろん、恨みの家の中ではその呼び鈴が激しく響き渡っていた・・・のだが、どうやら、裏美、相当疲れているのか、その呼び鈴が鳴っても起きる気配すらなかった。
で、その呼び鈴、であるが、ようやく裏美以外の人物が気づいた。で、けたましく鳴る電話、その受話器を誰かが「ガチャン」という音とともに取ると、そのまま、若い女性の声で、
「はい、裏美ですけど・・・」
と、電話の相手、つまり、屋上責任者に話すと、その電話の受話器から、屋上責任者の声、それも、慌てた口調でこう聞こえてきた。
「あっ、裏美様ですか。「ラグーン」の屋上責任者です!!それよりも、大変です!!大変なことが起きました!!実は・・・」
が、そんな慌てた口調の屋上責任者をいさめるかのようにその情勢は優しくこう話した。
「慌てないでくださいね。今、夫(裏美)を呼んできますからね」
で、この女性の声を聞いた屋上責任者、
「はい、大至急、お願いいたします!!」
と、落ち着きを取り戻すことなく裏美を呼ぶようにお願いする。
で、その女性はすぐに裏美の寝ている寝室に行くと、ぐっすり寝ている恨みを揺さぶりながらこう言った。
「あなた(裏美)、電話ですよ!!緊急の用事があるみたいですよ!!」
でも、ぐっすり寝ている裏美、これで起きるわけがなく・・・。
「うぅ、なんだ、お前か・・・。いったいどうしてんだね?」
と、なんと、その女性こと裏美の奥さんに起こされた裏美、その奥さんになにがあったのか尋ねてみる。すると、
「あなた、「ラグーン」の屋上責任者の方からお電話がかかっておりますわよ!!」
と、突然かかってきて電話のことを話す。で、これには、裏美、
(「ラグーン」の屋上責任者、たしか、(私が沼津での経済界の動向を調べるための)私のシンパ、だったはず。ただいつもなら定期的な報告のみで終わっているのを早朝から私に電話をしてくるなんて、なんか緊急なことが起きたに違いない!!)
と、裏美にとって緊急なことが起きていることを悟る。そんなわけで、裏美、
「わかった」
と、自分の奥さんにそう言い残して屋上責任者の電話にでることにした。
「はい、裏美ですが・・・」
と、裏美が電話にでると、開口一番、屋上責任者、
「裏美様、大変です!!Aqoursが、Aqoursが、急遽ライブをすることになりました!!」
と、悲痛な叫び声をあげた。これを聞いた裏美、
(えっ、なんだって!!あのAqoursがライブを行うだって!!)
と、驚いてしまう。だって、裏美にとってみればローマ・スペイン広場でのライブが今のAqoursの最後のライブだと思っていたからだ。そのためか、裏美、屋上責任者に対し、
「あのAqoursがね・・・」
と、冷静を装うも、すぐに、
「でも、なんでAqoursはライブを行うのですかね?」
と、その屋上責任者にAqoursがライブを行う理由を尋ねる。すると、その屋上責任者曰く、
「どうやら、道に迷っている少女を導くため、と、言っておりました。また、このライブは「私的なもの」みたいです」
と。これには、裏美、
(ふぅ、「私的なもの」だったら我らが優位になっている静真本校と浦の星分校の統合問題に直接影響はでないな)
と、少し安心した。
と、ここで、あまりに長い物語のためか忘れているかもしれないので、その統合問題について少し振り返ることにしよう。
①2月上旬、静真高校と浦の星女学院の統合が決まっていたにも関わらず静真の大スポンサーである木松悪斗が、静真への投資を断った、自分が用意した静真の理事の椅子を蹴ってしまった、などの理由で小原家と浦の星女学院を恨んだため、突然、その統合に反対。一方、月たち静真高校生徒会は統合実現のための行動にでる。
②木松悪斗は静真の生徒の保護者たちに「部活動に対する士気が低い裏の保持の生徒が部活動に対する士気が高い静真の部活動に入ると士気低下や対立により静真の部活動に悪影響がでる」と言いふらし、浦の星の生徒たちに対する不信感を広げていた。対して、月たちは静真の生徒たちを中心に統合賛成の署名活動を展開。
③2月末の臨時理事会で静真高校と浦の星女学院の統合問題について協議するも静真の陰の神である沼田によって統合が正式決定。しかし、浦の星の生徒たちに対する不信感、という保護者たちの声が多いことを理由にその声がなくなるまで浦の星分校に浦の星の生徒たちを通わせることになってしまう。
④月はそれを決めた沼田に、どうすれば静真本校と浦の星分校が統合できるのか、を尋ねてみると、沼田、その保護者の声がなくなる必要がある、と言った上で、「部活動とはなにか?」「部活動をする上で大事なものとは?」、この問いに答えらえたら統合への道が開けることを伝える。
⑤月、その沼田の問いを無視し、部活動報告会に千歌たち新生Aqours(1・2年)を強行出場させるも、木松悪斗たちの妨害や鞠莉たち3年生3人がいないという喪失感によりそのときのライブは失敗、静真本校と浦の星分校の統合は風前の灯に。
⑥そのときのライブの失敗により不安・心配という深き海・沼に陥った千歌たち・・・だったが鞠莉‘sママ(と陰で動いていた裏美)の策略とそのとき一緒にいたSaint Snowの聖良のアドバイスにより鞠莉たち3年生が卒業旅行中に行方不明となった地、イタリアに飛ぶことに。そのとき、(聖良の助言もあったためか、それとも、鞠莉‘sママ、裏美の策略が働いたのか)月も付き添いで一緒に行くことに。
⑦その月と千歌たち一行、イタリアにてついに鞠莉たち3年生3人と再会。その後、紆余曲折を経て鞠莉‘sママの前でライブを行うことに。その過程のなかで、ルビィ、月のアドバイスにより1人前の少女へと成長、そのおかげで千歌たち新生Aqoursは復活を遂げる。そして、無事に鞠莉‘sママでのライブ、ローマ・スペイン広場でのライブは成功に終わる。ただ、そのなかで、月、ルビィの更生?方法が反則すれすれ、というわけで、鞠莉たち3年生3人からプロデューサー業をみっちり叩き込まれる。
⑧一方、そのころ、沼津では月が抜けたものの静真本校と浦の星分校の統合実現を諦めていなかったナギたち静真高校生徒会、よいつむトリオら浦の星のみんな、あげはたち静真Aqours応援団、はともに、(「士気が低いとみられている浦の星の生徒、実は士気が高い」、それを証明し統合実現を進めるために開催する)新生Aqoursお披露目ライブ、の準備を進めていた。で、イタリアから帰ってきた千歌たち新生Aqours(1・2年)と月もそれに合流する。
⑨しかし、そこに理亜の問題が発生。道に迷った理亜に大切なことを伝えたい、理亜を救いたい、ということで、急遽、理亜の夢を叶えるため、ラブライブ!決勝延長戦、を行うことを決める。で、月、そのライブのためのステージを探していたところ、「ラグーン」の屋上を見つける。そして、月、その屋上の使用申請書を出した。
と、いうことになる。で、統合問題についてはいまだに木松悪斗たち(裏美を含む)の統合反対、というか、保護者の声がまだまだ強い、そんな状況だった。で、今回のラブライブ!決勝延長戦、「私的な」ライブ、ということで、ローマ・スペイン広場でのライブみたいに一般やネットでそのライブを公開するわけではないため、そこまで統合問題にい影響はないだろう、と、このときの裏美はそう考えていた。なので、そんなライブを披露したとしても別に問題はない、と、裏美は高をくくっていた。
しかし、裏美はそのことよりもあることを心配していた。それは・・・、
(とはいえ、スペイン広場でのライブの成功によって今のAqoursは復活した、だけでなく、勢いすら感じさせるものになった。このままいくと、沼津駅駅前の(新生Aqoursお披露目)ライブが成功に終わってしまう。で、こうなってしまうと、せっかく我らが優位になっている(静真本校と浦の星分校の)統合問題にも悪影響がでてしまう。そう考えると、このライブの成功によってAqoursの勢いが加速してしまいかねん・・・)
そう、裏美の心配、それはAqoursの勢いが今以上に加速してしまうのではないか、というものだった。生き返ることすらできないくらい地に堕ちたAqours、しかし、ローマ・スペイン広場でのライブによって息を吹き返しただけでなく勢いすら感じられるようになってしまった、そして、たとえ「私的な」ものとはいえライブを行う、Aqours、もし、それが成功に終わればその勢いはさらに加速、新生Aqoursお披露目ライブすら成功してしまう、結果、静真本校と浦の星分校の統合実現に一歩近づいてしまう、そのことを裏美は危惧していたのだ。
で、肝心のお披露目ライブ、であるが、これについても、裏美、
(う~、あの沼田のせいで我らの妨害工作も不作に終わっている・・・。う~、イタリアに行かずにここに残ればよかった・・・)
と、悔やんでしまう。月とAqoursがイタリアに行っている間、沼津に残ったナギたち静真高校生徒会は披露目ライブの下準備をしていた。これに対し裏美はナギたち静真高校生徒会、よいつむトリオら浦の星のみんなの手助けをするな、と、沼津のお店・企業・団体に圧力をかけていたのだ。ただ、その裏美、イタリアにいる月とAqoursの行動を妨害するため、ローマ・スペイン広場のAqoursのライブの時期にイタリアへと飛んでいたのだ。が、そのあいだに裏美の圧力のことを知った沼田の一声によってその圧力も一掃され、ナギたちはお披露目ライブの下準備を着々と進めていた、というわけである。こうして、ナギたちとよいつむトリオらはライブ会場やライブのための資材確保などにも成功、ステージ作成などに遅れが生じなければ、計画通り、4月上旬に沼津駅南口付近でお披露目ライブを開催できる手筈となっていた。。
さらに、裏美、こんなことまで悔やんでいた。
(う~、今となってはあの(お披露目)ライブをやめさせることはできない。もし、やめさせてしまったら、こちらがダ額の賠償金を支払わないといけない・・・)
そう、なんと、その新生Aqoursお披露目ライブ、それを、裏美、いや、木松悪斗の力で勝手にやめさせることができない、そんな状況までことは進んでいたのだ。なぜなら、すでにお披露目ライブに向けて後戻りができないくらいライブの準備が進んでいたのだ。このときすでに市のホームページや広報誌を通じてお披露目ライブの開催が宣伝されていた。また、警察などの関係各所もお披露目ライブを開催すること前提で話し合いを進めていた。さらに、お披露目ライブに出店するお店・企業・団体もその準備を進めていた。で、もし、ここで裏美や木松悪斗たちがこのライブを中止に追い込んでしまったら、このライブに関わっている人・お店・企業・団体などから大ブーイングが起きるだけでなく、その準備をふいにさせた責任として多額の賠償金を請求されることは目にみえていた。なので、このお披露目ライブについては裏美や木松悪斗たちがどうすることもできなかった。
そんなわけで、裏美が今とれる手段、それは延長戦自体を中止に追い込み、Aqoursの勢いを止めることだけだった。なので、裏美、
(こうなったら、そのライブ(延長戦)、絶対に阻止してやる!!)
と、延長戦自体を阻止することを決め、「ラグーン」の屋上責任者に対し力強く命令した。
「おい、屋上責任者、このライブ(延長戦)を絶対に阻止せよ!!絶対にな!!」
で、これには、屋上責任者、あることを裏美に伝える。
「裏美様、今のところ、まだライブ会場となる「ラグーン」の屋上の使用申請を月生徒会長が出しているところです。申請を出してから1日のあいだにちゃんとした理由で反対意見、クレームを入れたらその申請を受理しないこともあります」
この屋上責任者の言葉を聞いた裏美、
(そ、それはいいことを聞いた。なら、すぐにでもその申請に対し、反対意見、クレームを入れることにしよう)
と、月の使用申請に反対意見、クレームを入れることを決めるとすぐにその屋上責任者に対し、
「よし、そうだったらすぐにでもこの裏美名義で月生徒会長の使用申請に反対意見、クレームをいれよう!!」
と、力強く宣言する。
が、その屋上責任者の答えは意外なものだった。
「あの~、裏美様、ただ、反対意見、クレームをいれただけでは申請却下にはなりません。ちゃんとした理由がないといけません。「ただやらせたくないから」といった単なる理由だけでは無理です」
そう、ただたんに「ただやらせたくないから」といった理由で月の屋上の使用申請を却下させることは無理だった。なぜなら、それはその人の活動の場を奪うことにつながるからである。「ラグーン」の屋上を管理している運営会社の会長さんはかなりの人格者であった。なので、少しでも若者の活動の場所を提供したい、ということで、「ラグーン」内に劇場を作ったり、屋上をみんなのために解放してはいろんな人たちのために活動の場として「ラグーン」全体を提供していたりしていた。なので、「ラグーン」の運営会社としては屋上の使用申請については「来るもの拒まず」の姿勢で柔軟に対応していた。で、月の申請も別に悪いことをするために屋上を使わせてもらうわけでもなく、むしろ、理亜という迷える少女を救い出す、そんな大義名分があるため、おいそれと月の使用申請を拒むことはできなかった。なので、月の使用申請を却下するにはそれ相応の理由が必要だった。
しかし、たとえそうだったとしても自分の思い通りにいかないことに、裏美、ついに業を煮やしたのか、屋上責任者に対し、
「いいか、これは私裏美からの命令である。絶対に月生徒会長の使用申請を却下せよ!!この裏美の名を使ってもいい!!絶対に、いや、強引にでも申請を却下せよ!!」
と、きつい口調で命令するも、屋上責任者、
「裏美様、たとえ裏美様の名前を使っても無理に月生徒会長の申請を却下することはできません!!あまり言いたくないのですが・・・、裏美様のネームバリューではあの(「ラグーン」の運営会社の)会長を納得させるだけのものにはなりません!!せめて、木松悪斗様、ぐらいのネームバリューがないと・・・」
と、裏美に現実を突きつける。そう、裏美の権力をもってしてもあの運営会社の会長をひれ伏せることはできないのである。むしろ、返り討ちにあってしまうのがオチである。せめて(沼津の経済界で3番目の権力を持つ)木松悪斗ぐらいの権力ぐらいないとあの運営会社の会長はひざまつかないのだ。
そんなわけで力づくで月の使用申請を却下しようとしていた裏美であったが屋上責任者からそんなことを言われても諦めきれず、
「それなら、朝から反対意見、クレームをいれてやる!!力づくでもやめさせてやる!!」
と、半分やけになりながら屋上責任者に言ったあと、
ガチャン
と、電話を一方的に切ってしまった。
と、いうわけで、裏美にAqoursのライブ(延長戦)という重要な情報を伝えたもの、その裏美から無理やりにも、それも一方的にやめさせるように攻められた屋上責任者、
(このままだと、裏美様、いや、木松悪斗様、にとって大変なことになる!!)
と思ったのか、すぐにあるところに電話した。
「あの・・・、私、「ラグーン」の屋上の責任者ですが、取り急ぎ伝えないといけないことがあります・・・、木松悪斗様に・・・。え~、はいはい、実は・・・裏美様が・・・」