私の名前はエカテリーナ
本名は春沢すみれ。エカテリーナというのは私が通うプラウダ高校での通り名。小さな暴君、カチューシャの対極に立つものとして先輩方に名付けられた。私の生家、春沢家は春沢重工という日本の重化学工業をほかの数社と共に牛耳る大企業。なので、現在盛んな戦車道の車両も身内が作っているものが多い。幼少期から戦車に触れることの多かった私は当たり前のようにそれらに興味を持ち深く惹かれていった。
「父さん?ちょっとお願いg」
「どうしたすみれ?何がしてほしい?なんでも言ってごらん?」
「はあ………IS-3を8輌、IS-7を4輌、T-2230を3輌、早急に!」
「そうかそうか、直ぐに用意させるからな。いつでも私を頼ってくれていいんだぞ?」
「はいはい」
父さんは悪気があってあんなにムカつく態度を取っているわけではない。寧ろ経理以外は善意と慈愛の塊のようない人だ。だから面と向かっては怒れない。そう、面と向かっては。
ただ、正直鬱陶しい。しかし、学校側の用意できる予算よりもはるかに多い額をポンと出してくれる貴重な資金源かつ、武器商人であるため関係を断つわけにもいかない。
まあ、父さんの話は置いておいて、問題は全国大会だ。あと半年のうちに戦力を大幅に増強せねばならない。宿敵、黒森峰は昨年から車両の更新を行なっているそうだ。なんとしても、今年こそは………
「第62戦車道全国高校生大会優勝は知波単学園!!」
なんたる不覚……黒森峰とプラウダは共倒れ。優勝したのは知波単学園。33年ぶりの優勝だ。四強の一角を追われてから、かつての勢いは鳴りを潜め其方の切り札、必殺の全車吶喊も形骸化し自殺行為を繰り返す弱将校に成り下がったはずだった知波単学園は準決勝でプラウダを破ったのち、決勝で黒森峰をも撃破した。
大会序盤から新戦力、チリは非常に活躍していた。影では負けて当然とまで言われたサンダース戦で知波単学園が圧勝。その後も続々と新戦力が現れ、決勝では五式砲戦車ホリを先頭に側面には超重戦車オホ、その他各所のカバーにチトとチリが入り、最大火力のホロを守りながら進む見事なパンツァーカイルを形成。これに対し、黒森峰もお家芸のパンツァーカイルを組んで電撃展開。迎撃を試みた。
平地での戦車同士の正面からの殴り合い。黒森峰が最も得意としていたはずの戦闘で黒森峰は知波単に惨敗を喫した。最後には、巧みに攻撃を回避していたフラッグ車のTiger Ⅰがホロの150ミリ砲の直撃を受けて大破、戦闘不能。誰もが期待した10連覇は達成されなかった。