星廻る杖と魔法科高校の劣等生   作:カイナベル

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 頭文字Dはいいぞ。

 今回から横浜編です。最終章となってしまいますが、テンポよく、かつできる限り面白く進めていきたいと思います。オルガノンの見せ場ですので、しっかりと魅せられるように頑張りたいと思います。


横浜事変編
第十二話


 

 九校戦と夏休みが終わり、魔法科高校の生徒はいつもの日常に戻っていた。その中で体育館ではエリカと進が火花を散らしていた。初めての対決以来、日課になりつつある二人の模擬戦はエリカに強く影響を与えていた。中でも進独特の先読みはエリカに強く影響を与え、それに近いことができるようになっていた。

 

 おかげで実力も伸びており、進にひやりとさせる一撃を放つことができるようになったほどである。初戦で簡単にあしらわれたあの時のエリカはもういなかった。

 

 しかし、影響を受けているのはエリカだけではない。進にとっても毎日の模擬戦は無駄をそぎ落とすためのいい機会となっていた。いまだに一度として勝つことのできていないエリカは毎度のように歯ぎしりするのであった。

 

「ああー!また負けた!」

 

 エリカは大声で自身の負けを吐き散らすとそのまま体育館の床に寝転んでしまう。その様子を端のほうで見ていた桐原と壬生は引きつった笑みを浮かべるしかない。

 

 しかし、この二人が引きつった笑みを浮かべたのはエリカの行動ではない。着々と上がっているエリカの実力とそれをたやすくはねのける進の実力である。一連の戦いを見ていた二人には、二人の戦いが異次元のものにしか見えなかった。自分が二人の間に割って入れるかと考えると頭が痛くなってくる。剣をたしなむものとしての自信が崩れそうだった。

 

 そんなことを考えているとは知らず、エリカは頭の中で自身の動きの反省点を上げていく。最もエリカの動き自体は完成に近いものであるため、すぐに反省点と呼べるものは尽きる。

 

 考えるのに飽きたエリカが首を少し上げると、少しも息を切らさず、杖を突き立っている進の姿が映る。あれから毎日のように繰り返しているが、いまだにエリカは進が息を切らすところを見たことがなかった。

 

 その悠然とたたずむ姿を見てエリカは若干イラっとする。が、それを口に出すことはできない。自分の実力を棚に上げることはできない。

 

「起こして」

 

 エリカの言葉を聞いた進は差し出された手を取り引き上げる。起き上がったエリカは服に着いたほこりを払いながら、進のことを恨めしそうに見る。

 

「進君、心臓が原子力で動いてたりする?今までに息切らしてるところ見たことないんだけど?」

 

「今までに一度もそんな改造はされたことありませんよ。肉体改造もしたことはありませんね。息を切らさずに動けているのはそういう動き方をしているからです」

 

「今度教えてくれる?」

 

「構いませんが、少し面倒ですよ?」

 

「大丈夫よ。それよりそろそろ論文コンペの時期だけど、進君護衛とかしないの?桐原先輩はするみたいだけど」

 

「私は呼ばれていませんよ。護衛となると五感が必要でしょう?すでに一つつぶれてる人間は選べないでしょう」

 

 それでも下手な人間よりも優れている、とはもう言わなかった。

 

「それじゃ続きやるわよ。絶対に一本取る」

 

 エリカのその元気さに進は振り回され、二人はまた剣を交えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 論文コンペティションの準備が学校ぐるみで始まり、自主実習という名目で学校のあちこちでカンカンガタガタという作業音が鳴り響いていた。

 

 そんな中、進はふらふらと散歩にいそしんでいた。いや、いそしまざるを得ないといったほうが正しいだろうか。彼も会場警備隊に抜擢され、そのための訓練をしていたのだが、少し力を籠めすぎたのだ。

 

 進にメッタメタにされたほかの生徒はさらに克人にもぼっこぼこにされた。それを三回ほど繰り返せば、さすがに滅入ってしまうだろう。そのため、克人の指示で進は訓練を外された。

 

 解せぬ、と思いながら校内を歩いていると、端末がささやかに着信音を鳴らす。音を鳴らすこと自体、珍しい端末にかけてくるのはだれかと思いながら、応答する。

 

「もしもし、進君?ちょっと時間ある?」

 

 端末に進の鼓膜を揺らしたのは聞き覚えのあるエリカの声。

 

「大丈夫ですよ。どうかなさいましたか?」

 

「ちょっと相談したいことがあるんだけど、学校終わった後、少し時間ある?」

 

「大丈夫ですよ。何なら今からでも大丈夫ですが」

 

「今って警備隊の訓練の時間じゃなかったけ?」

 

「追い出されましたよ、ええ」

 

 予想だにしない解答にエリカは内心呆れかえる。

 

「……じゃあ、今からお願いできる?来てほしい住所、今から端末に送るから」

 

 そういった直後に端末が位置情報を受信する。

 

「わかりました。今から向かわせていただきます」

 

 進の返答を聞いたエリカは少し話して通話を切った。端末をポケットにしまった進は、そのまま校門に向かって歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここ、ですか」

 

 進はたどり着いた住所に有ったものに内心驚きを隠せない、自身の家の倍以上の立派な日本家屋である。足を踏み入れるのすら、ためらわれるほどの立派な邸宅から進が到着したことを聞いて、エリカが現れる。

 

「いらっしゃい。遠慮しないで上がって」

 

 いわれたとおりに進は家の中に足を踏み入れる。少し、床のきしむ音を聞きながら、進は今回呼ばれた理由を問い掛ける。

 

「今、レオをしごいてるんだけど、ちょっと行き詰ってるらしくてね。何かしらアドバイスをもらいたいのよ。魔法はともかく、剣術に関してはレオより数段上だし」

 

「それならば、端末越しでよかったのでは?」

 

「できれば、見てアドバイスをしてほしいのよ。今レオに教えてるのは千葉家の秘伝だからね」

 

 だったら自分に見せるのはまずいのでは?と思う進ではあったが、一定以上の信頼を勝ち取っている証だろうと考え、ぐっと飲みこむ。

 

 エリカが乱暴に開けた扉の先では道着姿のレオが一生懸命に鉢巻を振っていた。エリカが戻ってきたとレオが振り返ると、余計な不随物がくっついており、驚きを隠せない。

 

「……何で進がいるんだ?」

 

「私が呼んだのよ。文句あるかしら?論文コンペとはほぼ無関係、魔法に関しては私たち以上よ?」

 

 レオはまだまだ反論したいことはあったが、あきらめる。行き詰っていたレオとしてもここで進が来たのはありがたかったからだ。

 

「では、私は端のほうで観察いただきますので」

 

「そりゃいいが、なんだか緊張するな……」

 

 進は道場の端のほうで座り込み、レオ達の動きを集中して観察し始める。一挙手一投足を戦闘時のような視線で観察している。それをしり目に特訓を続ける二人だが、それでもうまくいかないのか、何度やってもうまくいかない。

 

 一時間ほどして、煮詰まり始めた二人は進に助け舟を出す。

 

「どこが変なのかしら……。進君はどこが悪いと思うかしら?」

 

 エリカの問いに今までの集中を解き、答える。

 

「ふむ……、まずレオさんにはイメージがまるで足りてない。鉢巻でものを切れると思い切れていない」

 

「あん?イメージはしてるつもりだが」

 

「きっとまだまだ足りないんでしょう。せいぜい、鉢巻が一枚の板になる程度のところまでしか考えていないんじゃないんですか?」

 

 進の指摘にレオはぎくりとした。進の言う通り、ものが切れる、というところまではイメージできていなかったからだ。

 

「イメージさえできてしまえば、魔法にかかればどんなことでもできます。そういうものですから。そのためのイメージを固めることが大切です」

 

「はあー。目からうろこだわ。さすが感覚派ね」

 

 エリカが進の言葉を聞いて感嘆の息を漏らす。ちなみに感覚派というのは魔法理論がそこまで高いわけではないのに、難しい魔法を平気で使いこなすことからつけられた名称である(蔑称では断じてない)。

 

 さらに進は付け加える。

 

「あと殺気が足りません」

 

「殺気か?そんなもの練習に必要ないんじゃ」

 

「練習でできない人間が実戦でできますか?そういうことです。ずっと気張っていろとは言わないですけども、殺気を出す練習くらいは必要ですよ。例えば……」

 

 言い終わった進は立ち上がり、杖を持つ。

 

「この杖は形状的には絶対に物は切れません。せいぜいひしゃげさせるのが関の山でしょう。ですが、イメージと殺気が合わされば……」

 

 進はエリカに近づいていき、手に持っている竹刀に狙いをつけた。エリカですらとらえられないほどの速さで杖を振り下ろされると、竹刀がきれいに二つに切られていた。断面は無理やり断ち切られておらず、その表面にはささくれ一つ存在しない。

 

「……こんなものでしょう」

 

 二人は進が見せた妙技に驚き、唖然とする。進はいつものように穏やかに笑みを浮かべ、レオのほうに向く。

 

「イメージさえ仕上がれば、魔法なしでもこれくらいのことはできます。レオさんだってこれをやるのは夢ではありませんよ?レオさんは筋がいいみたいですから」

 

「そうか……、イメージか……。サンキュ進。どうすればいいかなんとなくわかった気がするぜ」

 

 レオは付き物が取れたような笑みを浮かべ、進もその笑みに笑みで返す。レオは再び特訓を再開し、進は帰宅するために玄関のほうに向かっていた。

 

 付き添っているエリカは再び進の技に注目しそれについて話し始める。

 

「でも、やっぱりさっきのは正直すごすぎたわ……。本当にイメージして切れそうにもない杖で切るなんて……」

 

「ああ、あれは単なるハッタリですよ」

 

 進の突然の告白にエリカは気の抜けた声を発し、開いた口がふさがらなくなる。

 

「この杖は仕込み杖でして、しっかりと刃物が仕込まれていますよ。まあ、息抜きと煮詰まった考えをほぐすには十分でしたでしょう?」

 

 進は杖のエリカに見やすいように持ち上げると、そのまま杖の持ち手を刃物に変化させた。いろいろと度肝を抜かれたエリカはもはや何を言っていいのかわからない。

 

「それでは失礼します。さっきのことはレオさんには内緒にしておいてくださいね」

 

 エリカは放心状態のまま、進を見送った。エリカは改めて自身が相手してもらっている人物の規格外さを知ることとなった。

 

 

 




 おそらく次で論文コンペ開催まで飛びます。横浜事変編で一番大事なのはオルガノンで大亜連合をぐちゃぐちゃにすることだと考えているので、それ以外の必要ないところはテンポの関係上全カットです。

 アンケートのほうですが、書く小説に息抜き程度なのでそもそも続けたりをしっかり考えるつもりはありませんので、そこらへんご了承を。

 なぜ書きたいかに関しては適当に活動報告にでも書き連ねておくので、興味があるという変人さんはどうぞ読みに来てください。

 では今日のところはこの辺で。チャオ

 追記、アンケートは木曜日のどこかで締め切りたいと思います。









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