星廻る杖と魔法科高校の劣等生   作:カイナベル

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 ユーロビートはいいぞ

 今回から論文コンペ突入です。またオルガノンも繊細な使い方ではありますが、出番がありますよ。

 それではお楽しみください。

p.s 私はback on the rocks とかが好きです。


第十三話

 時間は飛んで、論文コンペ当日。会場警備の仕事を割り与えられている進は朝早くから会場入りしていた。他校の中から不安の声が上がるかとも思われたが、その実力は九校戦でことごとく知れ渡っている。不安の声など上げられなかった。

 

 担当であるホール内の警備を行っていると、耳につけたインカムから通信が届く。

 

「一校の十文字だ。共同警備隊員に通達する。午後からは全員防弾チョッキを着用すること。繰り返す。必ず防弾チョッキを着用して警備にあたること」 

 

 克人の毅然とした声に進は思う。これは何かあると。そう思った進は防弾チョッキを着用するために、その場を離れようとした。その時、知った人物から声がかかる。

 

「はあい、進君。頑張ってる?」

 

 エリカとレオが手を振りながら進に歩み寄る。

 

「ええ、午前中は何も起こりませんでしたよ。午後も何も起こらなければいいのですが……」

 

 進は悲痛な面持ちでうつむく。

 

「何か起こると?」

 

「ええ。十文字会頭から防弾チョッキの着用を促されましたしね。ではこれで」

 

 進は防弾チョッキの着用のために、会話もそこそこにその場を離れようとする。歩み始めたその時、エリカが進を再び呼び止める。

 

「も一個いい?ほんとにそう思ってる?」

 

 進は振り向いて小さく微笑み、その場を離れた。後ろで話を聞くだけだったレオは、エリカの発言に無神経さを感じていた。

 

「おい、さっきの質問はちょっと無神経じゃねえか?何もないのは誰にだっていいことだろ」

 

「いーや、なんとなくわかるけど、彼、半分くらいしか『何も起こらなければいいのに』なんて思ってないわよ」

 

 第六感もそうであるが、エリカは見逃していなかったのだ。うつむいたとき、進の口元が小さく吊り上がっていたのを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 防弾チョッキを着用した進は持ち場に戻り、警備を続けていた。しばらくすると一校の発表が始まった。そういった方面にはあまり詳しくない進であったが、一校の説明が高度で非常に有用なものであるということは理解できた。これをしっかりと理解できている達也がうらやましいとも思った。

 

 しばらくして一校の発表が終了し、会場から割れんばかりの拍手が巻き上がる。進もそれに従って拍手をしていた。拍手もまばらになり始めた時、進の第六感が警鐘を鳴らした。それが指し示す方向に走りだそうとしたその瞬間、会場が大きく揺れた。

 

 その振動と鼓膜を揺らす爆音に会場の人間が戸惑っていると靴音とともに会場内にライフルを持った集団がなだれ込む。脅しをかけるその集団に対抗しようとしたものもいたが、魔法発動前にライフルによる圧でその意思を打ち消されてしまった。

 

 いまだにCADを携行したままの司波兄妹に集団のうちの一人がライフルの銃口を向けたまま、近づいていく。しかし、達也は無表情のまま、相手のことを観察し、霧散霧消は使いたくないなどと、のんきなことを考えていた。

 

 その様子にいら立ち、少しの恐怖を覚えていた男は、トリガーにかかった指に力を入れた。あと少し力を籠めれば、銃弾が発射され、達也の命を奪ったかもしれない。

 

 が、トリガーが完全に引かれてもその弾丸が打ち出されることはなかった。

 

 ハイパワーライフルの銃身が会場内にいる侵入者六人全員、きれいに切り落とされたからだ。もはやこうなってしまっては使い物にならないのは目に見えていた。その場の全員が目の前で起こった光景に困惑している。特に侵入者の混乱は計り知れないだろう。

 

 そんな中、会場内に靴音が響き渡った。その方向を達也が見ると、耳から手を離しながら扉の方向に歩みを進めている進の姿が映った。

 

 侵入者はその姿を見て、使いものにならなくなったライフルを投げ捨て、ナイフで制圧しようとした。だが、相手は剣術の天才である。数秒とかからずに侵入者を逆に制圧する。それを見た他の警備の面々は自分たちにとっての不都合な武器がなくなったことに気付き、侵入者たちを制圧しようと、襲い掛かった。

 

 それを見届ける前に会場から出ようとした進であったが、達也に引き留められる。

 

「進、一人で行くのは危険だ。少し待ってくれ」

 

 その言葉を聞いた進は、外に向けていた歩みをステージのほうに向ける。次第にエリカたちが集まっていき、侵入者の撃退に打って出た。

 

 戦闘が行われている入り口に付近に向かう一同であったが、その道中で達也が妙なことを言い始める。

 

「進、さっきのをやったのはお前だな?」

 

「だとしたら何です?」

 

「あれは魔法ではないな?」

 

「いいえ、あれは魔法ですよ?なぜそう思うのです」

 

「そもそも発動の兆候さえ見えなかったし、もしあったとして、発動までのラグがなさすぎる」

 

「あれはれっきとした魔法ですよ。親父殿に聞きませんでしたか?」

 

「お前は他人に詮索をされたいのか?」

 

「達也さんはそういったことがお好きだと勝手に思っていました」

 

「まあ、エリカには聞いたぞ。お前はハッタリも得意だってことを」

 

 無駄話をしていると、進たちの目の前を銃弾が走る。入り口付近では魔法師とハイパワーライフルによる戦闘が行われており、達也はそのまま飛び出そうとしたレオの襟首を乱暴につかんで止め、進は杖で皆の進行方向を妨げる。

 

「さて、どうするか……」

 

 達也の小さなつぶやきに進はすぐさま反応する。

 

「簡単ですよ。さっさと銃を黙らせればいい」

 

 そういうと、皆が止める暇さえなく、銃弾飛び交う戦場に歩いて突入する。その奇想天外な行動に唖然としていると、進に向かって銃弾が打ち出される。魔法師用の高速弾、障壁の展開は進の魔法発動速度でも間に合わないだろう。

 

 だが、進に銃弾が届くことはなかった。進の三十センチ手前で銃弾は特殊な形状の障壁にはじかれ、逆に侵入者たちのハイパワーライフルがたたき切られていた。そのあまりにも突然のことに達也以外の全員が混乱していると、達也は物陰から飛び出し、進は皆のほうを向き、一言つぶやく。

 

「よろしいのですか?このままでは達也さんにすべて取られてしまいますよ」

 

 その一言に反応し、エリカとレオは飛び出し、幹比古は札を懐から取り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 侵入者を制圧した進たちは次にどうするか、検討していた。

 

「情報が欲しい」

 

 達也の言葉に反応した雫がVIP会議室の使用を提案する。暗唱キーもアクセスコードも知っているという頼もしい雫の発言に達也たちの意思はそこに向かうことで確定する。

 

 その中で一人、話にほとんど入っていなかったものがいた。エリカは会話に集中することなく、ゲリラの隠れていた柱を見ていた。正確には柱につけられた傷をじっくりと観察していた。

 

(この傷、相当威力のある斬撃じゃなきゃここまで深くは付けられない。それに位置関係からゲリラたちの後ろ、あるいは真横から切らないとこうはならない。達也君が言うには進君がやったみたいだけど、あの一瞬でどうやって……)

 

 剣術家であるがゆえにそういったものは気になってしまう。達也の言葉を信じるならば、進がやったということになるが、こうなるような魔法は彼女の記憶の中にはないし、かまいたちのようなものを発生させたとしてもこうはならない。 

 

 どうやったのかを考えこみたいところではあったが、肩に置かれた手によって中断せざるを得なくなる。

 

「エリカ、考えたい気持ちはわかるが、今は会議室に向かおう。ゲリラを殲滅したからといっても安全が確保できたわけじゃないんだ。それに……」

 

 エリカが頷く前に達也は視線をちらりと張本人のほうに向ける。

 

「後で本人に聞けばわかることだ」

 

「……そうね。ごめんなさいね、わざわざ呼びに来させちゃって」

 

 気を取り直したエリカも含めて全員がVIP会議室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 デモ機のデータを破壊し。上級生たちと合流した達也たちは控室でこれからどうするか、を考えていた。上級生の意見は、陸路を使ってシェルターへ向かうというものだった。

 

 話を聞いている最中、進の第六感は危険信号を察知する。達也の肩をたたきその方向を指し示すと、達也も異変に気が付いた。この場で自身の魔法を使うのは気が引けたが、今はそんなことを言っている暇はなかった。

 

 胸元から素早く自前のCADを抜き、その方向に向けた。その行為に驚く面々であったが、達也に気にしている暇はなかった。魔法を発動し、迫りくる装甲板追加のトラックを塵と化した。

 

 その場で一人だけ見ることのできた真由美が驚いていると、外からかけられた声に状況を理解できる真由美と達也は困惑する。いきなり入ってきた響子、それに玄信は少し進にとっても予想外であった。

 

「特尉、情報統制は一時的に解除されています」

 

 藤林の言葉は達也を一つの答えに導き、速やかに敬礼に導いた。その姿を深雪と進以外の、克人を含めた全員が困惑した表情で見つめる。

 

 簡単に自己紹介と状況を説明した風間たちは達也に出動を命じる。そのことについて問いたかった真由美であるが、玄信の視線によってさえぎられてしまう。

 

 達也が真田とともに室内から出ようとしたところで、玄信はさらに口を開く。

 

「進、お前も一緒に来い。お前にも力を貸してほしい」

 

「わかりました」

 

 短く答えた進は真田について、室内から出ようとするがその前に上がった声で引き留められる。

 

「お待ちください。確認しますが、風間進殿も特尉であるということでよろしいでしょうか?」

 

「いいえ、彼は少佐の実子で今回は義勇軍としてご参加してもらいます」

 

「危険すぎると思われます」

 

「ご安心ください。彼の身は我々のほうでしっかりと守らせていただきます。それに彼は今この場で一番殲滅力がありますので是非彼の力をお借りしたいのです」

 

 藤林の言葉にその場の全員が驚いた。この場には十師族の次期当主である克人もいる。そのことを藤林たちが知らないはずがないのにも関わらず、彼らは進のほうが殲滅力が高いと言い放ったのだ。

 

 そういわれてしまえば、克人に止めることはできなかった。

 

「問題ないですよ。あの程度では私を殺すことはできませんですから」

 

 楽観的に言い放った進は誰の返答も聞くことなく、室内から出て行ってしまった。

 

 直後、部屋の中から嵐が起こった。それを見送った進は隣を歩く玄信に問いかける。

 

「親父殿。今回はどれほどやってしまってもいいのですか?」

 

「全力で構わん。すでに敵によって市街地は破壊されている。今更我々が破壊したところでほぼ変わらない。護衛はつけるが、お前は一人で敵を殲滅し続けろ。好きだろう?」

 

「わかりました。久しぶりに腕が鳴りますね」

 

 楽しそうに言う進に少し呆れながら、玄信は呆れたように笑う。

 

「では、私は市街地方面へ向かわせてもらいます」

 

「わかった。あとで護衛を向かわせるからそれまでは控えめにな」

 

 進はそのまま徒歩で市街地方面に歩き始めた。

 

 




 次回、オルガノンの見せ場とその威力が発揮されます。明後日くらいには投稿できるかもしれません。頑張ります。

 それで前回のアンケートの結果ですが、ぶっちぎりでワールドトリガーになりました。終わり次第、書き始まる予定ですが、私が書きたいので最初の投稿は設定集で行かせてもらいます。
 
 あと、内容の方針ですが、本編に入ることはせずに日常回を描いていきたいと思います。ワールドトリガーのすごいところは本編でなくとも、面白い話を組み立てられることろなんですよね。ほんと猫はすごいと思います。本編はそれなりに投稿してから入っていきたいと考えていきます。私なんかが厨二のような名作を書けるとは思いませんが、適当に読んでいただけると幸いです。

 あと一つ。やっぱりあべこべ小説書きたいです。なのでワールドトリガーの比重多めで並行して書かせてもらおうと思います。
こいつら書くのはそもそも息抜きだから、まあ多少はね?
 
 アンケートの内容ですが、東方と艦これ、どっちにするかを決めていただきたいのです。身勝手な作者でほんとに申し訳ありませんが、書きたいと思ったもんはどうしようもないのです。ご協力をお願いします(デレマスが選択肢からなくなったのは作者がどっちもやったことないからです。やらずに書くのはやっぱりあれだと思ったので外させていただきました)。土曜日のどこかで締め切りたいと思います。改めてご協力お願いいたします。

 それでは今回はこのあたりで。チャオ
  

次から書く小説の種類

  • PSO2×ダンまち
  • 東方×仮面ライダーオーズ
  • ワールドトリガー
  • あべこべ小説
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