星廻る杖と魔法科高校の劣等生   作:カイナベル

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 薬屋のひとりごとはいいぞ。どうも私です。

 今週の私の三つの出来事! 
 一つ、ゲイツマジェスティ、アナザーディエンド案の定チノマナコ!
 二つ、仮面ライダーグリス、パーフェクトキングダムかっこよスギィ!
 三つ、魔法科高校の劣等生、来訪者編アニメ化!(やったぜ)

 えー、皆さんお久しぶりですね。言い訳すると、学校始まって忙しかったり、ラノベ読んでたり、オリジナルの書き溜め書いてたりでちょっと気分が乗らなかったんです。お願い許して何でもするから!

 そんな茶番さておき。今回で最終回です。前回のご感想で建物の崩壊が地味だとのご意見をいただいたので、今回は派手に行きました(当社比)。数は少ないですが、質はバッチリです!

 それではお楽しみください。これが最後の、祭りだぁぁぁ!




第十五話

 

「やれやれ。全く以て切り甲斐がない。もう少し楽しませてはくれませんかね」

 

 そういいながら進は刃を目の前の直立戦車や側面から射撃を行っている者たちへ振り下ろしていく。大抵の人間にとって不可視の斬撃を防ぐすべなど彼らにはなく、容易く切り捨てられ、人間だった肉を地面にたたきつける。

 

「やはり……、あそこに行ったほうがいいですか」

 

 エリカたちと別れた進は、敵を切り捨てながら横浜の街を歩き回っていた。まず出会い頭に死なずにいられるものがおらず、刃を防ぐなどもってのほか。端的に言うと不完全燃焼であった。しかし、進の第六感が魔法協会横浜支部へ向かえと言っていた。そこに行けば少しは歯ごたえのある相手と戦えるからと。であれば、進としても願ってもないことだ。今の進の仕事は敵を切り伏せること。強い敵を相手に戦って自分も楽しめるのであれば、一石二鳥である。

 

 魔法協会に走り出そうとした瞬間、進の携帯端末が鳴り響き、走り出そうとした足を止める。

 

「はいもしもし?」

 

「柳だ。今君の近くを通るから、少しそのあたりを片付けてもらえるか?」

 

「わかりました。それにしてもどうしたんです。わざわざ連絡をしてくるなんて」

 

「もし連絡をしなかったら、我々を敵と間違えて斬りかねんだろう」

 

 一息のため息とともに告げられたのは彼らにとっての最悪の可能性であった。いかに独立魔装大隊といえ、進の一撃を防御も回避もできないのだ。もし、間違えて刃を向けられようものならば、瞬きする暇もなく細切れにされてしまう。

 

「そこまで意地悪ではないつもりですよ?」

 

 電話越しにくっくっと意地の悪い笑みを浮かべていると、風を切る音が上空から響き始める。それに合わせて杖を持ち上げた進であったが、すぐに杞憂であると杖を下ろす。

 

「ほら、電話をしてよかっただろう?」

 

 着地をした柳は通話を切り、面と向かって話し始める。

 

「それにしても派手だなご子息」

 

「これが一番効率のいいやり方ですからね」

 

 薄く笑みを浮かべて柳と話していると、聞き覚えのある声が鼓膜を叩く。

 

「進」

 

「なんでしょうか?達也さん」

 

「一つ納得いかないことがある。お前が強いというのはわかる。魔法力も卓越している。しかし、何の代償もなしにこれほどの威力を出すというのは現代魔法では不可能だ。いったいその杖は何なんだ?」

 

「……この杖を拾ってしまったがゆえに私は悪魔に見初められてしまったのでしょうね。爆発的な破壊力を得る代償に私はいろいろと持っていかれましたから。オーパーツに近いものなのでしょうね。一つ目は視力。この杖を抜いた瞬間、眼球そのものが私の身体から存在しなくなってしまった」

 

 進は目元を覆う布をめくり、左目の瞼だけを上げて見せる。そこには眼球は存在せず、黒い闇が広がっているだけだった。先の見えない闇は飲み込まれそうなほどに黒い。

 

「では。あまり長話をしている暇もないでしょう」

 

 進は達也たちに背を向け、横浜支部へ走り始める。その背を見送った達也は隣に立っている柳に問いかける。

 

「進は、視力以外にも何かを失っているのでしょうか?」

 

「興味があるんであればそれは本人に聞いたほうがいい。おそらくだが、彼が一番よく知っているだろうからね。それより彼の言う通りだ。我々も敵の掃討に戻るぞ」 

 

 そういった柳は飛行魔法で上空に飛び上がり、他の隊員も続々と続く。達也も飛び上がりながら、進が走っていった方向を見つめ、柳達についていった。

 

 進が失ってしまったもの。それは人間性、かもしれない。本人もわかってはいるが、どうにも自分だけではそうだとは言いづらかった。かといって自分では聞きづらいし、周りの人間も言ってこない。

 

 彼には目の前の惨劇が映ることはない。ためらうことなく凶刃にさらすことができる。だが、そうだとしても何のためらいもなく人を切ることができるだろうか?いや、出来ない。しかし、進は何を思うことなく、人を斬ることができる。

 

 それに、彼には斬る上での大義がない。同じようにためらいなく人を殺すことができる達也ではあるが、一応は妹を守るという大義がある。しかし、進にはそれがない。一応定義するとすれば、斬りたいから切る程度の思考。大量殺人鬼と同じであった。

 

 しかし、もう彼に杖を手放すという選択肢はない。杖に魅入られている以上に進が杖を気に入ってしまっている。それに対外的にも進が杖を手放すことを許さないだろう。もはや二人は一心同体。視力などを犠牲に手に入れてしまった悪魔の杖はあまりにも魅力的なものであったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヘリで離脱を試みている真由美たちは、横浜支部の上空を通過しようとしていた。その瞬間、美月は野獣のような気配をとらえる。世界有数の実力者を止めるために摩利たち迎撃部隊は地に降り立った。が、その高い実力に押され、摩利やレオ、エリカは戦闘不能にされ、真由美の切り札も通用しない。このままでは守り切れないと思いながら、エリカたちは立ち上がろうとする。それを見た呂剛虎は一番最初に立ち上がったエリカにとどめを刺そうと、腕を振り上げながら懐に踏み込もうと地面を踏み出した。

 

 が、次の瞬間呂の感が大きく警鐘を鳴らし、飛び込んだ体を無理やり逆方向に跳ね飛ばす。その瞬間、エリカの前に見覚えのある刃が、盾のように出現する。

 

「足ががくがく震えている人間の相手をしても面白くないでしょう?私と遊んではくれませんか?」

 

 広場の端から進が歩きながら戦闘の中に入っていく。進は男の強さを感じており、呂は進以上に感じていた。ピリピリと肌を震えさせるほどの気配は先ほどまで戦っていた学生たちとは明らかに一線を画するものだった。

 

「……ふん。相手をしてやろう」

 

「そんなことより早くその場から離れることをお勧めしますよ」

 

 進に向かって構えをとった呂は、進の言葉が一瞬理解できなかったが、すぐにその言葉の意味を理解する。すぐにバックステップを踏むと先ほどまで呂の居た場所に刃が振り下ろされる。その刃は地面に深くめり込み、どんどんアスファルトを切り裂きながら再び顔を出す。

 

「やはり躱せますか。では命の取り合いに洒落こみましょうか?」

 

 円が杖から溢れ出て、呂の周囲を囲んでいく。そして、一拍空いて円の軌道上を刃が走り始め、周りの建物を切り裂きながら呂に襲い掛かった。刃を紙一重でかわしていく呂と建物を破壊しながらブレイドを操っている進をレオたちは黙ってみているしかなかった。二人の間に割って入るどころか、目で追うだけでも苦しい。目の前の現状に打ちひしがれ、動くことができなかった。

 

「ほう……」 

 

 しかし、刃をかいくぐる大男は一味違った。今までは飛び交う刃を余裕なくアドリブで躱していたが、徐々に配置されている円の軌道や刃のスピードを見抜き始めたのか、余裕をもって紙一重で無駄な動きなくかわし始めている。正直進もここまで躱されるとは思っておらず、久しぶりに会った強者に口角を軽く吊り上げる。

 

 円の軌道を見抜いた呂は進に近づくタイミングをうかがい始める。円の軌道を見抜くことができた今は、円の軌道を変えられる前に行動したほうがいい。防戦一方の今の状況を続けるのも愚策といえる。

 

(刃の速度、軌道、パターンから考えて……、狙うべきタイミングは……、ここだっ!)

 

 呂は身体強化魔法を発動し、横倒しになった自動車を足場にして一気に加速、進に突っ込んだ。円の軌道と刃を突っ切る高速移動は、一度もその凶刃にさらされることなく進に近づいていく。

 

 そして、ついに進のもとにたどり着く。捕った。そう思った呂は腕を振り上げ、進の首に振り下ろそうとする。その一撃はエリカたちでさえ捉えられないほどの速度で打ち込まれる。エリカたちの目には進の首が吹き飛ぶ光景が映った気がした。

 

 まあ、備えていればどうということはないのだが。

 

「ガッ!?」

 

 呂は突然の腹部への衝撃で大きく吹き飛ばされ、教会のビルの壁面にめり込んだ状態で静止した。

 

「よく刃をかいくぐって、私のもとにたどり着きました。がそれだけでは足りません」

 

 進は自分の身体の周りに円を一本、刃を走らせないまま待機させておき呂が襲い掛かった瞬間、刃を走らせ迎撃したのだ。

 

 壁面にめり込んだ呂は何が起こったんかがわからないまま、赤いものを口から吐き出す。衝撃でろっ骨が折れてしまい、まともに動くことができない。

 

「では終わりにしましょうか」

 

 呂の周りに大量の円が配置され、呂の身体で収束する。次の瞬間、呂に対して大量の刃が襲い掛かり、ビルごと叩き切った。その衝撃で呂がいた場所の壁面から土ぼこりが上がる。

 

 刃に載せられて運ばれてくる呂の身体を自分の前まで持ってくる。そして、彼の様子を観察した。

 

「まだ生きていますか……。稀に見るほどの実力者……、ですか」

 

 呂は進の全攻撃を食らってまだ生きていた。とっさに攻撃が来る瞬間、鋼気功で自分を最大限まで硬化させ、刃の攻撃を受け切ったのだ。その結果、非常に大きなダメージを受けたものの、五体満足のまま生存することができた。あの瞬間、身体強化魔法で躱そうとしていれば、四肢のうち二つはもがれていた。野生の勘か、導き出した方法は最適解であった。

 

 進は治癒魔法を発動させ、簡単な治療を施す。決して得意ではないがないよりはましである。それ以上に実力ある者を殺すわけにはいかないというのが本音であった。ここで殺してしまっては自分の遊び相手がいなくなってしまう。遠慮なく戦える人物を奪いたくないというのが真実であった。

 

 治療を終えた進は、もう一度星の杖を発動させる。しばらくすると、教会の中から刃の上に乗った深雪と大男が姿を見せる。いきなり外に連れ出された深雪は困惑した様子を見せている。深雪を刃の上から降ろすと、進のもとに駆け寄ってくる。

 

「進さん、先ほどのはあなたの魔法ですよね?いきなりどうしたのですか?」

 

「このまま魔法協会の中にいれば、危険なことになると思われますので、連れ出したのです。早くここから避難したほうがいいかと」

 

 進がそういった瞬間、ビルから大気を揺らすような音が響き始める。深雪たちがその方向を見ると魔法協会のビルがパラパラとコンクリート片をこぼしながら、崩壊し始めていた。零れ落ちるコンクリート片は最初は米粒サイズのかけらだったのが、次第に残骸ともいえるほどの大きさになっていき、ビル自体が揺れていく。

 

 それを見て深雪は口を押え、さらにビルに近い場所にいるエリカたちは顔を青ざめる。

 

「全員退避だ!急げぇ!」

 

 摩利が大声を張り上げ、その場の全員の退避を促す。怪我で動けない者には手を貸す、進がビルに近い人物から星の杖を使って無理やり避難させるなどして、ビルから遠ざけていく。そして全員がビルから離れた瞬間、魔法協会のビルが轟音を立てながら崩壊した。その衝撃と砂埃が一気に押し寄せるが、ここにいるのは魔法師たち。各々の対処方法で対処していく。

 

 土ぼこりが晴れると、そこには魔法協会のビルはなく、ただのコンクリートの残骸が残っていた。同時に元凶も姿を現す。星の杖の刃で自身を囲んだ彼は砂埃が晴れた瞬間、それを解除し、足元に転がる二人の大男をエリカたちに投げ渡す。 

 

「では、その二人をお願いいたします」

 

 後始末を押し付けると、返答を聞くことなく残りの兵を片付けるために走り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 横浜の街を駆け、進は残った兵を駆逐していく。すでに残っている者たちは進にとっては烏合の衆。相手にもならず、すべてオルガノンで切り捨てた。徐々に切り捨てるべき敵兵がいなくなり進は一度足を止める。それを見計らったように端末が着信音を響かせる。

 

「もしもし」

 

「私だ。大多数の敵兵は掃討された。敵兵の討伐を終了して、お前はもう帰れ」

 

「わかりました」

 

「それにしてもずいぶん派手にやったな」

 

「やめておいたほうがよかったでしょうか?」

 

「いや、派手にやっていいといったのは私だ。責任は私がとる」

 

「わかりました。それでは失礼します」

 

「ご苦労だったな」

 

 ねぎらいの言葉が進の耳に届いた瞬間、通話が切れる。端末をしまい帰宅するために歩き始めると、ヘリのローター音が近づいてくるのを聴き取る。そのローター音は進の頭上で静止し、再び端末が鳴り響く。

 

「進君、ロープ下ろすからそれ掴んでくれる?軽く引っ張ってくれれば引き上げるから」

 

 端末の向こうから真由美の声が響き、目の前にロープが垂れ下がる。このまま徒歩で帰宅するよりヘリに乗ったほうが圧倒的に楽である。進はお言葉に甘えて、ロープを掴んだ。

 

 「灼熱のハロウィン」

 

 軍事史の転換点であり、歴史の転換点ともみなされたこの日。この日から魔法師という種族の、栄光と苦難の歴史が真に始まった。その裏で一人の剣士が軍に負けないほど、敵兵を殲滅していたことはごく少数にのみ知られることとなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 横浜事変、灼熱のハロウィンが、日本軍の勝利で幕を下ろしてから数日ほど経った。進が帰宅すると、自宅にいるはずのない父の姿があった。

 

「……今は最も忙しい時期では?」

 

「お前に話が合って少しだけ時間を取った。まあ座れ」

 

 父親の言に従い、進は対面のソファーに座る。親子が向かい合って十数秒。玄信が口を開く。

 

「まずは今回の一件、協力を感謝する。お前のおかげで非常にスムーズに敵兵を殲滅することができた。それに敵の士官も拘束できた」

 

「私は敵兵を斬ることができたので満足です」

 

 いつも通りの進に玄信は苦笑する。

 

「ではここからが本題だ。今回の一件、十師族、ひいでは数字付きに今回の一件が広まってしまった。お前の力を欲しがるために接触してくるだろう。親としてはそれは避けさせたいと思っている。そこでだ。進、高校を退学して、このまま独立魔装大隊に入らないか。もちろん、即入隊というわけではく十八歳まで特尉という形で任務につき、十八歳になったら本格的に配属となる。独立魔装大隊に入れば、数字付きの接触から遠ざけることができる。私としてはそうしてもらいたいんだが……」

 

「申し訳ありませんが、お断りさせてもらいます」

 

「……理由を聞かせてもらおう」

 

「もちろん軍での生活も魅力的ですが、それ以上に私は今の学校生活が楽しいのです。友人と話をしたり、放課後に剣の模擬戦をしたり。それを捨てたいとは思っていないのです。それに自分のことくらい、自衛できますので、ね」

 

 進の主張を聞いた玄信は目をつぶりじっくりと考え始める。そして本人の意思を主張を尊重することにした。

 

「わかった。ただ何かあったら遠慮なく私を頼ってくれ。私の部下たちも快く協力してくれるだろう」

 

「ええ、それでは。親父殿」

 

 玄信は進に見送られながら家を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「進くーん」

 

 進が通学路を歩いていると、エリカの声が近づいてくる。振り返った瞬間、エリカは進の隣に着く。

 

「おはよっ」

 

「おはようございます。珍しいですね。レオさんたちはどうしたんですか?」

 

 朝の挨拶をした進がレオ達の有無と尋ねると、エリカは不満そうに頬を膨らませる。

 

「みんなさ……、私とレオを同一視しないでもらえる?別にコンビってわけじゃないから」

 

「失礼しました」

 

「それより、進君時間ある?もしあったらこのあと少しでいいから模擬戦に付き合ってほしいんだけど……」

 

「構いませんよ」

 

「やった!それじゃ早く行きましょ!」

 

 笑顔を浮かべたエリカは進の手を引き、進のことなどお構いなしに走り始めた。よろよろと走る進はこんな楽しい日常が長く続くことを思い、頬を綻ばせるのだった。

 





 いかがでしたでしょうか。だいぶ駆け足になってしまいましたが、これにてこの小説はいったん完結です。

 次に書くといったワールドトリガーの小説ですが、いつから書き始めるかは未定です。設定自体はありますが、ちょっとストーリーができていませんのでね……。書いてほしいエピソードとかあったら、教えてください。
 
 それでは次の二次創作で会いましょう。チャーオ

次から書く小説の種類

  • PSO2×ダンまち
  • 東方×仮面ライダーオーズ
  • ワールドトリガー
  • あべこべ小説
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