これから一週間ごと、来訪者編のアニメが終わる日曜の深夜一時、このタイミングでこの作品を投稿し始めていきます。開始を早めたのは十二、三話くらいで収まりそうにないからです。
さて少し話は逸れますが、魔法科高校の高校生編と優等生が9月10で完結したみたいですね。優等生のほうは全部集めているんですが、小説のほうは20巻までしか集めていないので終了記念にまた集めようかしら。最近書くために読み直して思ったんですけど、やっぱりこの作品面白いですね。今まで集めていなかったのは、資料として20巻まであれば普通に十分だからです。二次創作書くうえで二年生辺まで行くことは少ないですからね。私もそうですが。
まあ、そんなことはさておき、一年ほっぽり出して一時創作をしていたので文章力は上がっていると思います。そんな私の作品をどうぞお楽しみください。
第十六話
世界中に大きな爪痕を残した灼熱のハロウィンを含めた横浜事変。その大きすぎる衝撃で魔法科高校の生徒たちは心に大きな傷を負ったが、その傷からも次第に回復しつつあった。
それからおよそ二か月が経過し、西暦二千九十五年も一週間となった。喫茶店アイネ・ブリーゼにはいつもの面々九人がそろってクリスマスパーティー兼留学でアメリカに向かう雫の送別会を行おうとしていた。
「メリー・クリスマス!」
達也の乾杯の音頭に合わせて他の面々がはっちゃけたような声で応えると、手に持ったグラスを高く掲げた。
この一年で起こったことや、雫の留学に関しての話は大いに盛り上がりを見せる。その雰囲気は非常に和やかである。友人である雫が留学すると言ってもその期間は三か月。春になれば再開できるということもあり、彼らの中に悲壮感はなく、むしろ非日常的な留学という事象に対して興味津々だった。
とはいえ心配事がないわけではない。彼女の留学するアメリカでは現在、魔法師を排斥しようとする「人間主義者」の活動が活発になってきており、危険が全くないというわけではない。そのことを心配するような会話が喫茶店内で行われる。
しかし、その話も長くは続かない。そんな彼らが次に話題にあげたのは雫の代わりに一校にやってくる留学生のことだった。だが、雫ですら同い年の女子ということしか知らず、他の面々がそれ以上の情報を知っているはずもなく。留学生の話は強制的に打ち切られることになった。
とはいえ、全体的に和やかに進んだ送別会は時間経過でお開きとなり解散となった。
いろいろとあった冬休みも終わり、今日から三学期。話を聞く限り、新年の初詣でひと悶着あったらしいが、親の都合でいくことのできなかった進にとっては想像しかできない事だった。
さて新学期ということは彼の所属するA組に雫の代わりの留学生がやってくる日である。海外からの留学生ということもあり教室内、果てには学校全体がそわそわと浮ついており、進たちの友人であるほのかにとってもそれは例外ではないらしく、そわそわとした雰囲気を放っていた。
しかし、例外というのは要るもので。深雪はやることはいつもと変わらないと端末を操作し新年の通知を確認しており、進は静かに席に座っていた。少しも動かず座るその姿はまさに泰然自若。二人の周りだけ森の中のように雰囲気が落ち着いていた。
そうこうしている間に始業の時間となり、歩き回っていたクラスメイト達も席に着く。それに続くようにして担任教諭が教室に入ってくると、新年のあいさつもそこそこに留学生の紹介を始める。閉じられていた教室の扉が開き続いて少女が入ってくる。光を反射する金髪を揺らしながら教壇の前に立つその少女は、深雪と並ぶほどといって差し支えないほどの美少女であった。その可憐さに男子生徒だけでなく女子生徒までが感嘆の息を漏らしていた。
「アンジェリーナ=クドウ=シールズです。短い期間ですが、よろしくお願いします」
教壇の前に立った少女は流ちょうな日本語で自己紹介をすると、数瞬遅れて教室内に拍手が巻き起こる。外国人とは思えないほどの流ちょうな日本語に驚いた彼らによって遅れたものの包み込むような拍手にリーナは緊張が解け少し頬をほころばせる。
「それではシールズさん。進君の後ろに座ってください」
「分かりました」
担任に促されて机の間を歩き始めたリーナは進の隣を過ぎる際に一瞬ギョッとした表情を浮かべ周囲を見回した。何せ自分から目を布で隠しており、それを当然のようにしてA組は受け入れている。わざわざ視覚を潰している人間が魔法科高校にいるのが異質なことだったのだろう。進の存在が当たり前の日常となっているA組の面々もそのことに気づき小声でリーナに事情を説明する。それで納得したリーナは納得したように小さく頷くと改めて席に着くと、進の肩を叩き小さな声で挨拶をする。もちろん進がそれに応えないわけもなく彼女のあいさつに対して短く挨拶を返した。全員が席についていることを確認した担任は授業を始める。三学期が始まった。
〇〇深進〇
〇〇〇雫〇
※ちなみに筆者が想像するA組の席 〇光〇〇〇 こんな感じ。
〇森〇〇〇
〇〇〇〇〇
午前のカリキュラムを終え今は昼時。進は食事をとらずに散歩でもしようかと教室を後にしたが、野次馬に来たエリカに捕まってしまい、食堂へ連行される。
その直後、深雪たちが食堂にやってくる。一校の美少女の女王の地位を築いていた深雪と双璧を成す可憐さを持つリーナが並んで歩いてきたことで食堂が少しざわつく。二人の周りはどこか煌めており、その中に一人取り残されているほのかがどこか居心地悪そうにしている。
とはいえ女王の片割れは兄大好き少女。目的の存在を見つけると年相応の笑顔を浮かべながらそちらに向かって歩き始める。その途中進の隣に立つエリカは二人を見ながら感嘆の声を上げる。
「いやー。あの二人が並ぶと雰囲気あるわねー」
「そうなんですか」
「一校の奇麗どころ二人だからな。当然じゃないか?」
進が疑問の声を上げるが、エリカたち面々はあえてそれには触れずに話を進める。そこに触れながら話を続けては前に進まない。それが分かっているゆえに進もそこに触れることはない。
達也たちの下へやってきた三人。深雪とほのかは当然としても、リーナは彼らとは初対面であるため、一応声をかける。彼女の問いに達也たちが了承すると、三人が食べるものを取りに席を離れていく。取り残された進たちは少女のことを話しているとふと進のほうを向いたエリカが口を開く。
「あれ、進君お昼は?」
「私、外ではあまり食べないんですよ。色々と手間がかかるので」
「なん……、ああなるほどね。ごめんね今更こんなこと聞いちゃって」
「お気になさらず。いつも通りですから」
進の返答でどういうことかを理解したエリカは謝罪すると同時にきゅっと口を結ぶ。二人のやり取りが終わったところで三人が戻ってきて昼食の時間が始まる。しかし、食事もとらずにただ座っているというのは居心地が悪く席を立ちたくなってしまう。とはいえ慣れているいつもの面々と、早くも進に慣れ始めているリーナは彼を邪険にすることなく食事を続ける。お互いの自己紹介を終えた面々が和やかな雰囲気で食事を続けていると、話が進のほうに向く。
「そういえばシンは目を布で隠してるけど目が見えないの?」
「ええ、以前事故で視力を失ってしまいまして。あまり見せられるものではないので布を巻いて」
「大変そうね……。何かあったら遠慮なく言ってちょうだいね!」
「お心遣い、感謝いたします」
二人の間で会話がなされる。二人の厳かながら気楽な会話で他の面々は思わずため息を漏らす。進の魔法力は非常に高く、魔法力が高ければ高いほど容姿は整っていると言われている。例にもれず、進の容姿も非常に整ったバランスで整っており、本来であれば深雪たちにも見劣りしないほどだ(目に巻いている布のせいで気づかれにくいのだが)。深雪にも見劣りしないリーナと会話をすればそうなるのも必然といえば必然である。
しかし、当の本人はそのことにはまったく気づいておらず、二人の間で話を続ける。
「ねえ進? この後、魔法の実習じゃない? 一緒にやってもらってもいいかしら?」
「構いませんよ。USNAのトップクラスの魔法師の実力を見せてもらいましょうか」
進の挑発的な発言を受けてリーナはどこかたじろいだような動きを見せる。今まで物腰の柔らかかった進がいきなり豹変したように好戦的な発言を見せてきたのだ。たじろいでも不思議ではない。彼に変わりぶりに驚いたリーナは隣に座っていた深雪に問いかける。
「ねえ深雪。シンっていつもこんな感じなの?」
「そうね。彼、見かけや言動によらず意外と好戦的よ」
「そーそー。私も何回竹刀でぶたれたかわからないわー」
エリカは不満げな口調で自らの受けた所業を悪く聞こえるような言い方で語って見せる。それをそのまま受け取ってしまったリーナは進のことを軽蔑するような目で見始める。
「え……」
「その言い方ですと私が理由もなしに暴力を振るったように聞こえるので勘弁していただきたい」
「ジョーダンよ、ジョーダン」
もちろんエリカも本気で言っているわけではない。からかっているだけであり、相手をしてもらっていることはむしろ感謝しているくらいであった。一人状況を理解できていないリーナを除いて全員が笑い声をあげる。一瞬理解できずに面々を見回すリーナであったが、次第に状況を理解していく。
からかわれたと理解したリーナは不満げに頬を膨らませる。とはいえこの出来事でより一層打ち解けた面々は和やかな雰囲気のまま、昼食を終えた。
アンジェリーナ=シールズはセンセーショナルなデビューを果たし、留学初日にもかかわらず全校生徒の知るところとなった。現在、A組は魔法実習を行っており、進たちも実習に努めていた。しかし、その他の生徒は全く実習に集中することができておらず、視線は深雪とリーナの二人に釘付けになっていた。それは中に階に設置されている回廊状見学室にいる三年生も同様のようで、そこでは既に自由登校になっている真由美や摩利も見学していた。
「司波に匹敵する魔法力、本当だと思うか?」
「ある意味、アメリカを代表して日本に来ているのだから、ありえないことじゃないと思うけど。でも、にわかには信じがたいわね。同じ年代で深雪さんと拮抗する魔法技能なんて」
実習の内容は同時にCADを操作し、中間に置かれた金属球を先に支配するといったもの。シンプルが故に素の実力が明らかになる。深雪は先月から始まったこの実習で一人を除いて同級生を全く寄せ付けず、その噂を聞きつけた新旧生徒会役員プラス風紀委員を相手取り無敗という伝説も残している。そんな深雪を相手に留学生が互角に張り合っているのだから見学に来るのもおかしいことではない。
「だがまあ、今の一年には奴がいるからな。あれがいるおかげというかなんというか、ショックは少ないし、少なくともなんとなくは信じられる」
「そうねぇ。深雪さんも進君には微妙に押され気味らしいし」
そう二人が話し合う中、二人は今まさに勝負を始めようとしていた。お互いにタイミングを取ると、リーナがカウントを刻み始める。
「スリー、ツー、ワン」
ワンのカウントと同時に二人が据え置き型パネル・インターフェイスに手をかざす。
「GO!」
深雪の指がパネルに触れ、リーナの掌がパネルにたたきつけられる。その直後、まばゆいサイオンの光輝が二人を包み込み、金属球の座標に重なり合って爆ぜた。光輝は一瞬で消え、その後目に映ったのはリーナの方にコロコロと転がる金属球だった。
「あーっ、また負けた!」
「フフッ、これで二つ勝ち越しよ、リーナ」
盛大に悔しがるリーナと、ほっとした感じの笑みを浮かべる深雪。その二人を見て二階席の真由美と摩利は感想を述べる。
「……全くの互角だったわね」
「術式の発動はむしろ、留学生の方がわずかに上回っていたんじゃないか」
さすがに優秀な魔法師である二人は先ほどの攻防をしっかりととらえていた。確かに術式の発動はリーナの方が速かった。しかし深雪が魔法が完成する前に制御を奪い取ったのだ。二人は一瞬の間に剣豪の死合いのような高度な攻防を繰り広げていたのだ。
「もー、悔しがってられないわ! シン! 次はあなたよ! 絶対に一勝は上げるんだから!」
「お待ちしてましたよ。さあ始めましょう」
余裕綽々といった様子で立ち上がった進をキッと鋭い視線で見つめながらリーナはCADの前で準備する。向かい合った二人は程よい緊張感を放っている。
リーナは対面に立つ進のことを鋭い視線で見つめていた。しかし、その視線には負の感情はこもっておらず、むしろ好奇の感情が読み取れる。今回のリーナの任務である
「もー負けないわ! カウント行くわよ!」
大きく声を上げ気合を入れたリーナはカウントをスタートする。先ほどのようにワンまで行ったところで二人ともコンソールに手を添える。
「GO!」
リーナの高らかな宣言と同時に二人は端末にサイオンを流し込み、魔法を発動させた。深雪との対決のように光輝が煌めき、一瞬のうちに消えていく。光の中から現れたのはリーナ側に転がる鋼球だった。
「アー! また負けたわ!」
ステイツらしくオーバーと思えるほどのリアクションを見せるリーナの対面で小さく笑みを浮かべている進。彼の笑みはどこか満足気だった。
頭を抱えながら唸っているリーナを他所に深雪はスススと進に歩み寄る。
「進さん。次は私とお願いいたします」
「喜んで」
「待ちなさい! もう一回よ! 今日は勝つまでやるんだから!」
「深雪さんが構わなければ」
進はちらりと深雪に視線を送った。もはや意地になりかけているリーナを見て深雪は小さく息を吐く。
「ではお先にどうぞ。でも一度はお願いしますね」
柔らかなほほえみを浮かべた深雪は進のそばから離れていく。
その日の実習の三人の最下位はリーナであった。
次から書く小説の種類
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