星廻る杖と魔法科高校の劣等生   作:カイナベル

3 / 25
 どーも皆さん、私ですよーん。
 先自分の中で何かが変わったのか、書けるスピードが速くなりました。オリジナル作品の書き溜めをしていて、その間は交互に登校するつもりなんですが、この分だと、結構投稿できそうですね。

 それはともかくとして、第三話どうぞ。


第三話

 摩利に模擬戦で勝利を収めた翌日。進は再び生徒会室に呼び出されていた。理由は何となく察せており、気は乗らなかったが、断るわけにもいかなかった。

 

 生徒会室前にたどり着きインターホンを探していると、中から扉が開き、摩利が顔を出す。いきなり扉が開いたことに驚き、進は体を震わせる。

 

「ああ、すまない!驚かせてしまったようだな。中からカメラで見ていて君がインターホンを探しているのが見えてな。まあ、ともかく入ってくれ。真由美もいるし、達也君と深雪さんも来ている」

 

 摩利に手を引かれ、進は生徒会室に入り、席につかされる。

 

「それでご用件は何でしょうか」

 

 あまり長居をする気のない進は単刀直入に尋ねる。それを予想していた摩利も率直に用件を告げる。

 

「君にぜひ風紀委員会に入ってほしいんだ」

 

「その件は先日お断りさせていただいたはずです。そもそも昨日の前提では達也さんがいなければ成り立たないはず。それでは達也さんに仕事を強制することになってしまいます。また、魔法の特性が違えばほかの人とは組めないということになります」

 

 正論を突き付けられ、摩利はうなり声をあげる。まだまだ進の舌攻は続く。

 

「それにヘルプとして急に入ることも少なからずあるでしょう。それに加わることができないのであれば、風紀委員会の方々にご迷惑をかけることになってしまいます」

 

 さらなる口撃に摩利は縮んでいく。助け舟を出すことのできない真由美は歯がゆそうに摩利を見ている。 

 

「帰らせていただいてもよろしいですか?」 

 

 進は返事を聞くことなく席を立ちあがり、扉のほうへ向かっていく。正論のため、摩利も引き留めることが出来ない。

 

「わ、私はあきらめないぞ!絶対に引き入れて見せるからな」

 

「是非お待ちしていますよ」

 

 摩利は立ち上がりながら進に宣戦布告するが、進に軽く受け流されてしまう。そのまま進は生徒会室を後にする。見送った摩利は席にドカッと座る。すると隣から摩利に声がかけられる。

 

「それにしても不思議ね、摩利。どうして進君をそこまで風紀委員に入れようとするのかしら?魔法力の高さは確かに目を見張るものがあるけど……」

 

「魔法力だけじゃない。身体運びが……、その、何かしらの武道をやっていた動きだ。目が見えないが故の動きで隠れているし、本人も言わなかったが」

 

「そうなの?」

 

 真由美は達也の方に視線を送る。忍術使い、九重八雲から指導を受ける達也に確認を取るためだ。すると真由美の問いに達也は首を縦に振ることで答える。

 

「あれほどの領域干渉と体術があれば、一人でも制圧は容易いだろうからな。それに今日からのことを考えたら入れておいた方がいい。そう思ったんだ」

 

 摩利は「振られてしまったがな」と付け加える。今日からは新入生勧誘活動期間である。勧誘活動での獲得競争は、各部の勢力図に直接影響をもたらす重要課題であり、獲得競争は熾烈を極める。進は今年の実技一位である。各クラブからは喉から手が出るほど欲しい存在である。このままかこまれてしまえばどうなるものかわかったものではない。それを未然に防ぐために風紀委員に入れようとしたのだ。

 

「そうね……。達也君、ちょっとでいいから気を回していてもらえるかしら?」 

 

「分かりました。もし巻き込まれていたら対処します」

 

 達也が答えたタイミングで昼休み終了の鐘が鳴り、四人は解散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 部活動の勧誘が始まり、校内は戦場と化した。目当ての生徒がいれば、引くな押すなの奪い合いになり、延長で殴り合いが始まれば、風紀委員が力づくで止める。巻き込まれた生徒は散々な目に遭い、巻き込んだ生徒は懲りずに次の生徒に眼をつける。

 

 進も巻き込まれた生徒側だった。進はクラブ活動に入るつもりはない。そのため、目が見えない進は人通りの少ないところを散歩し続けていたが、運悪く曲がり角で勧誘の生徒に引っかかってしまう。そこからはとんとん拍子に事が進む。引っかかった一人をすりぬけようとするが、強引に肩を掴まれることで体をはねさせ、怯んでしまう。その隙をつくように人がどんどんと増えていく。人が増えすぎたせいで気配で察知することもできず、服ごと引っ張られているせいで身動きを取ることもできない。

 

 人に囲まれているせいで、半パニックになっている進は周りからの声に対応することもできず、逃げ出すこともできない。混乱する頭でどうしようか考えるが、全くまとまらない。引き合いで制服が逝ってしまいそうになるが、そこで助け船が入る。

 

「風紀委員会です!その生徒から離れてください!」

 

 エリカを引き連れた達也が進と生徒の間に割って入る。手が離れた瞬間、進は達也の声を頼りに人垣をすり抜けていく。達也は進が自分のところへやってきたのを確認すると、そのまま走り出し、進を囲んでいた生徒たちを置き去りにした。

 

 完全に振り切ったところで、三人は立ち止まり、息を整える。しかし、三人ともそれなりに体力があるため、整えるのに時間は必要ない。整え終わったところで進が口を開き、礼を告げる。

 

「ありがとうございました、達也さん。おかげであの人垣から逃げ出すことが出来ました」

 

「気にするな。風紀委員会の仕事としてやっただけだ」

 

 深々と頭を下げる進の肩に手を置いて、頭を上げるように促す。進が頭を上げたところで、エリカが口を挟む。

 

「それにしても人気者はつらいね。あんなに囲まれちゃうなんて」

 

 「エリカもたいがいだと思うが」と達也は思ったが、口に出さないが吉だと判断し、黙り込む。進はエリカの言葉に恥ずかしそうに答える。

 

「ええ、私もここまで人に囲まれることになるとは思いもしませんでした」

 

「ねえ、もしよかったら私たちと一緒に回らない?このまま一人で回ってたらさっきみたいになるでしょ?」

 

 進はこのまま散歩を続けたいところであったが、エリカの言うことはもっともである。背に腹は代えられない。

 

「よろしくお願いします。もうあんな思いはこりごりですから」

 

「決まり!じゃあ達也君お願いね!」

 

「結局俺任せなのか……」

 

 エリカの言葉に達也は溜息を吐きながら歩き出す。エリカは進の手を取りゆっくりと引きながら達也に続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 進たちは第二小体育館、「闘技場」にやってきていた。そこでは剣道部の演武が行われていた。レギュラーによる模範演技はなかなかのもので、観衆のほどんとがその流麗な演武に目を奪われていた。が、目を奪われていないものもいる。演武が終わると同時にエリカは不満げに鼻を鳴らす。達也はそれが不満げであると取り、問いかけ、エリカはそれに答える。が達也が指摘するとエリカは不満そうに顔を逸らす。すると視線の先に進がいた。進は演武をじっと見据え、演武の動きをまねるかのように指を動かしている。 

 

「進君?もしかして動きが分かってるの?」

 

 エリカの言葉を聞き取った進はエリカの方を向くと、質問に答える。

 

「一応は。動きの気配と音で大体は察知できます。そこからさらに予測することで精度上げる特訓をしているんです」

 

 進の発言に二人は感嘆の息を零す。

 

「へえ、てことは進君、剣をやったことがあるの?」

 

「ええ、かじった程度ですが」

 

「剣術を分かっていても動きを理解することは容易じゃないだろう。耳が相当いいのか、それとも……」

 

 達也の言葉からこの後が予測できた進は割り込むように告げる。

 

「私に特殊な知覚系魔法はありませんよ。目が見えないので他の感覚が敏感になっているんです」

 

「それでもすごいわよ……」

 

 エリカは進の発言に感嘆の息を漏らす。剣術の達人であるエリカもそこまでのことはできない。進はかじった程度といっているが確実にその程度ではないことがエリカには分かった。

 

 演武が終わったため、その場を後にしようとすると、妙なざわめきによって達也は脚を止めることとなる。その方を見ると、剣道部と剣術部が言い争っている。人垣を掻き分け、騒動の真っ最中に近づいていくと、そこでは一組の男女が言い争っていた。その言い争いを見ていると、エリカが好奇心むき出しでつぶやく。それに気づいた達也がエリカに問いかけると、エリカから答えが返ってくる。 

 

「女子の方は壬生紗耶香。一昨年の中等部剣道大会女子部の全国二位よ。当時は美少女剣士とか剣道小町とか騒がれてたわ」

 

 達也は女子の方を見ていろいろ納得したように頷く。

 

「男の方は桐原武明。こっちは一昨年の関東剣術大会中等部の準優勝よ」

 

「ちなみに一位は誰だったんだ?」

 

「そのことなんだけど……。ねえ、進君?あなたやっていたのは剣術?剣道?」 

 

「剣術ですよ。魔法力も活かせますので」

 

「大会に出てた?」

 

「出ていましたよ」

 

「私、確か一昨年の剣術大会中等部のチャンピオンの名前を風間進だと記憶してるんだけど。これってあなたよね?」

 

「ええ、私ですよ。隠す気はなかったんですが」

 

「だったらかじってるってレベルじゃないじゃないの!」

 

 あっけらかんとした進の返答にエリカは大声で答える。呆れたと言わんばかりの声は体育館中に響き渡る。観衆の視線を一手に引き受け、会場は妙な静けさを纏うそれに気が付いたエリカは口を押えながら縮こまるようにして存在感を消していく。

 

 二人の耳には届いていなかったのか、二人は人通り言い争った後、竹刀を構え向かい合う。そして一泊置いたあと、二人は竹刀を撃ち合い始めた。が、程なくして決着がつく。壬生の勝利である。が、壬生の言葉に反応した桐原が虚ろな笑い声を発し始める。と同時に、達也と壬生の危機感が急上昇する。

 

「真剣なら?俺の身体は切れてないぜ?壬生、お前真剣勝負が望みか?だったら……、お望み通り、真剣で勝負をしてやるよ」

 

 達也はもしものための準備を始め、エリカは面白くなりそうだと確信し、進の方を掴もうとする。が、その腕は虚空を切った。

 

「おやめなさい」

 

 いまにも左手首のCADを操作しようとしていた桐原の胸に杖の丸くなった部分を当て、行動を止める進。驚きの表情を見せる桐原。がそれ以上に驚いていたのはエリカと達也だった。桐原が言葉を発していた時には進は確実に二人の隣にいた。はっきりと横目で捉えていたため、間違いない。そのため、進はそれからのわずかな間に桐原の胸元まで移動したことになる。そのあまりの素早さにエリカは絶句していた。

 

 いきなり進に懐に入られた桐原は動揺しながら、怒ったような声を上げる。

 

「な、なんだお前は!部外者は……、ってお前は確か……」

 

「そこから先は小競り合いで済む領域ではなくなります。ちょうど風紀委員も見ていますからここが引き時だと私は考えます」

 

 進は杖で達也たちの方向を指す。風紀委員である達也の存在に気付いていなかった桐原は達也を見て気が抜けたのか、竹刀を下ろす。突然の出来事にあっけに取られていた壬生も、それを見て剣を収める。二人が剣を収めたのを確認した進は背を向け、達也と交代する。そしてそのまま体育館を後にした。

 

「風紀委員です。小競り合いの件ですが……」

 

 達也はエリカに視線を送り、進を追いかけるようにアイコンタクトをする。それを理解したエリカは駆け出し、進を追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ、進君!」

 

 エリカの声に反応した進は立ち止まり振り返る。

 

「何で止めたの?自分でやらなくてもあのままだったら達也くんが止めてたでしょ?」

 

 エリカの問いに進は微笑みながら答える。

 

「あのまま魔法が発動されていれば、誰かしら怪我をしていたでしょう。であればその前に止めた方がいいでしょう」

 

「ふーん、優しいんだ。……ねえ、お願いがあるんだけど」

 

「はい?」

 

「今度暇な時でいいからさ、私と模擬戦をしてくれない?」 

 

「ええ。エリカさんがよろしければぜひ」

 

 エリカの頼みに進は二つ返事で快く了承する。返事を聞いたエリカは表情を緩ませ、進に笑いかける。

 

「そっ。ありがと。じゃあ達也君が来るまで他の部を見回ってようか」

 

 エリカは進の手を取って歩き始める。するとすぐに見知った顔に出くわす。

 

「あれ雫、ほのか。何やってるの?」

 

 エリカは目の前の建物から出てきたほのかと雫を見て、疑問の声を上げる。が、この状況で考えられる選択肢は限られる。部活に入ったか、見学くらいのものだ。一方進の手を引くエリカを不思議に思った二人が疑問で返す。

 

「二人こそ何やってるの?」

 

「部活動の見学よ。そっちは?」

 

 ほのかが発した言葉には二重の意味があったのだが、珍しく気付かなかったエリカは特に疑問を抱くことなく答える。次は彼女たちが答える番だ。エリカの問いに次は雫が答える。

 

「私たち、クラブに入ったから。バイアスロン部」

 

 エリカは雫のふーんと淡白に答える。ここでエリカは二人の茶化すような視線に気づく。自身の右手は進の手をしっかり掴んでいる。これが原因であることに気付いたエリカはすぐさまつないだ手を放す。いきなり手を離された進は驚いて体をびくりとはねさせる。それを見た雫はエリカに問いかける。

 

「つないでなくていいの?」

 

 雫は自分の左手と右手をつないで見せる。特に意味を込めたわけではないが、エリカにはそれなりに効いたようで頬を紅潮させる。それを見てほのかはにやけ顔になる。一方状況を飲み込めない進は首をかしげる。

 

 その時、二人は先輩に呼ばれたようでその場を後にする。いなくなったことを理解した進はエリカに呼びかける。

 

「エリカさん?どうかされましたか?」

 

 そういうとエリカは正気に戻り、進の問いかけに応える。

 

「ううん、何でもない。いこっか」

 

 エリカは進の手を取り、再び歩き始めた。

 

 





 エリカがヒロインみたいになってもうた……。

 まあそもそもヒロインを誰にするか、そもそもヒロインを作るかも悩んでいるんで、伏線程度になればいいや程度で書いていました。ヒロインを入れることになれば、枠の一人で確定です。

 次は何時になるかな?わっかりませーん。お楽しみに。 
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。