星廻る杖と魔法科高校の劣等生   作:カイナベル

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 最後の投稿が二週間前。その間にかけた小説がたった一話……?何が起こったんだ。

 すみませんでした。これ以上空くのはまずいと思い、頑張って書き上げました。なのでぶっちゃけ質は低いです。

 これからはもうちょっと質上げていきたいな……。




第九話

 一回戦を勝ち上がった進は、その勢いをとどめることなくどんどんと予選を勝ち上がり、いともたやすく本線へと駒を進めた。

 

 進の使う常識外れの戦法とそれを維持し続ける魔法力に注目が集まり、彼の試合は次第に観客が増え、決勝近くになると会場は満席になり、立ち見客すら出るほどになっていた。

 

「しかし、すごい観客ですね。今までのそれを考えれば観客が多くなることは考えていましたが……」

 

「あんな大胆な戦法で勝ち上がったら、当然注目を浴びるわよ」

 

「彼に限って言えば、来年、再来年まで安心だろうな」

 

 三年女子三人組が席に座りながら、話している。少し離れたところには一年の面々も座っており、進の試合を心待ちにしている。

 

「楽しみですね。進さんの試合」

 

「ええ。けど、今までどの試合も圧倒的だったから正直、今までと同じような試合になるんじゃないかと、ちょっと不安ね」

 

「多分そこは大丈夫だろう。相手の三校選手もそれなりの点差をつけて勝ち上がってきている。今までとは違う面白い試合展開になるだろう。それより心配なのは、進のスタミナだな。進のサイオン量がどれだけ多かろうと、さすがに限界に近いだろう。オプションとしての戦いぶりも見ものだろうな」

 

 達也の説明で皆の期待値が上がっていく。試合開始を心待ちにしていると、進がコートに姿を現す。その瞬間、会場が沸き、歓声が巻き起こる。

 

 服装などは今までと同じである。進がコートの傍らに置かれたベンチに座ったところで三校選手も現れる。ラケットタイプで動きやすさ重視の格好をしている。

 

 三校選手はベンチに座る進に歩み寄り、手を差し出し、挨拶をする。差し出された手に気づいた進はその手を握る。

 

 挨拶を終えたところで試合を始めるために二人がコートに入る。会場の緊張感が高まり、会場全体が静かになっていく。

 

 フィールドに立つポールに赤いライトが点灯し、すぐにライトが黄色に変わる。さらに青に変わり、試合開始のブザーが鳴り響いた。

 

 最初にボールが入ったのは進のコート。CADで起動式を展開しながら、進はボールを軽く打ち込み、前回のようにコートとコートを隔てる障壁を展開する。

 

 それに対して三校選手は動じることなく打ち返す。障壁はびくともせず、そのままコートに跳ね返るが、それも予想していたのか、動揺することなく、再び打ち返す。跳ね返ることが分かっているのか、左右に振ることなく、同じところに何度も打ち込み続ける。

 

(あれにスピードや左右に振ることはほぼ無意味だ。だからスピードを捨てて、重さを取ろう。重い一撃を何度も何度も打ち込んで魔法力をどんどん使わせて後半で一気にセットをとる)

 

 三校選手の脳裏に同級生から言われた作戦がよぎる。第一セットは捨てるつもりでどんどんボールを打ち込み、進の障壁を揺らす。

 

 第一セットが三分の二ほど経過したとき、進の表情が小さくゆがむ。それに気づいた三校選手はにやりと笑い、さらにスパートをかけ、ボールを打ちこんでいく。

 

 0対0のドローの状態で第一セットが終了し、三分間のインターバルに入る。ベンチに座っている調整担当のあずさがタオルを持ちながら、

進に駆け寄る。

 

「大丈夫ですか……。苦しそうな表情になっていましたが……」

 

「さすがにきつくなってきましたね。第二セットは持つでしょうが、第三セットまでは確実に持ちませんね。ここらが潮時でしょう」

 

「では作戦変更ですか?」

 

「ええ」

 

 会話が終わったところで、インターバルが終了し、第二セットが始まる。三校選手のコート内にボールが撃ち込まれ、そのまま進のコートに入り込んだ。

 

 それを見た三校選手は進が限界だと考え、にやりと笑みを浮かべ、勝利を確信した。もともと、障壁破壊に努めていたのは進の目が見えないため、障壁を広げ、ピンポイントで狙うことをなくしているからと考えていた。

 

 障壁が壊れた時点で進がピンポイントでボールを跳ね返すことはできない。そう考えていた(最も小さくピンポイントで障壁を張る二重防壁であるため、全くそんなことはない)。

 

 が、三校選手の思惑は大きく外れた。打ち込んだはずのボールが横をすり抜け、この試合初めての得点が進に入る。

 

 三校選手がボールの軌跡を追うと、進は今まで地面につくだけだった杖を剣のように持ち、素振りをしている。

 

「私の戦法は一つではありませんよ?さあ、試合を続けましょう」

 

 進の挑発に乗り、三校選手は乗り、自身のコートに打ち込まれたボールと新たに入れられたボールを打ち込む。今度は二つのボールを左右に振る。 

 

 が、進は素早い動きで左右のボールを打ち返す。同じように左右に打ち込まれたボールを三校選手も打ち返そうとするが、その重さに驚きを隠せない。魔法を使いながらでも厳しく感じるほどのボールを何とかして打ち返す。が、チャンスボールになってしまい、一つを打ち込むので精一杯で、もう一つは打ち込むことできず、コートに落ちる。

 

「……ねえ達也君。あれって魔法使ってるわよね」

 

「ああ、自己加速術式を使っている。すごく単純な術式だがな」

 

「知覚系の魔法は?」

 

「使っていない」

 

「やっぱり?」

 

 達也の言葉にその場の全員が驚愕するが、特に何も言うつもりはなかった。細い杖でボールを打ち返していることや耳だけでボールの位置を把握していることなどが、今までのことを考えると当然のように思えたからだ。

 

 進は増えていくボールを持ち前の身体能力と、人外じみた聴力で打ち返していく。三校選手も反応し、打ち返していくが、目が見えないはずの目の前の男が正確に重い球を打ち返すことで、内心動揺し、プレーに精彩を欠いていた。 

 

(くそっ、だったら奥の手だ)

 

 しかし、三校選手もこれを想定していないわけではなかった。彼らの中ではものすごい低い確率であったが。それでも油断することはなかった。

 

 三校選手がCADを操作し、新たに魔法を発動する。その直後、コート内のすべての音が消える。

 

「音を消す魔法か……。コート全体に広げることで完全にプレーの音を消しているのか。そのせいで進の動きが鈍ってるな」

 

 放ったのは遮音魔法。コート全体に広げ、完全に音を消し去ることで進の聴覚による知覚を消し去るというものだ。単純なものであるが、進には効果絶大で、戸惑いを隠せず、動きが鈍っている。が、効果範囲の広い魔法であるがゆえに魔法力を大きく消耗する。短期決戦で決めなければならない諸刃の剣である。

 

 しかし、三校選手は限りなく手ごたえを感じていた。進の動きが大きく鈍り、現に二つのボールが進のコートに落ちている。このまま攻め立て、取り返せないほど大きく点差をつける。これでしか彼が勝利する方法はない。

 

 が、そんな彼の思惑は大きく崩れ去ることとなった。一瞬足を止めた進は何事もなかったかように打ち込まれるボールを打ち返し始め、コートに落ちているボールを打ち込んだ。そのあまりにも淀みない動きに三校の選手は驚きを隠せない。驚きから精神的に弱り、ミスを連発していく。

 

 次第にそれが克明となり、一つのミスから連鎖するようにミスを連発する。それを何とか立て直そうとするが、さらにえぐるように的確に進がそのミスをつつき、さらに傷を大きくする。 

 

 魔法を解除することも忘れ、対処に追われた三校選手は第二、三セットを健闘したが、とうとう、肉体的、精神的、魔法力的な限界が訪れ、リタイアすることを決断させられた。

 

 会場中から割れんばかりの歓声と困惑と驚きのざわつきが起こる。いい勝負になると予想されていたこの試合であったが、ふたを開けてみると圧倒的な差で進が勝利したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 進が天幕に戻るとまず優勝をたたえる言葉が多くの生徒からかけられる。が、その中には困惑したものも交じっており。声高に語る者はいないが、ちらほらと出現している。

 

 その奥のほうから真由美と摩利が姿を現す。

 

「まずは進君優勝おめでとう。生徒会長として鼻が高いわ」

 

「ありがとうございます」

 

 真由美の言葉に進は柔らかな笑みで答える。その笑みを見た二人は本当にコート内で苛烈に攻めていた人物なのかと困惑する。二人は顔を見合わせ、摩利が口火を切る。

 

「そんなことより聞きたいことがあるんだが。君、音が消えてからどうやってボールの場所を把握していたんだ?」

 

 その場の全員の疑問を問い掛けた摩利に全員の内心から拍手と賛美の言葉が送られる。摩利の問いかけに進はとくに戸惑うことなく、はっきりを告げる。

 

「空気の動きと勘ですよ。魔法は一切使っていません。恥ずかしながらあまり得意でないもので」

 

 進はバツが悪そうな笑みを浮かべながら答える。が、それを聞いていた全員はドンびいており、表情をひきつらせている。主にその明らかに人間離れした方法と、それをあっけらかんと話した進に対してである。

 

 これを聞かせた相手選手は泣くだろう。何せ、圧倒的な勝利を見せつけた男は複雑な魔法をほとんど使わず、勝利したのだから。その場の全員がこのことを胸に秘めることを決めた。

 

 明らかに変わった空気に居心地の悪くなった進は、その場から離れることを決め、足早に天幕から出て、散歩を始める。幸いにも次の進の出番は二日後である。今いなくても大して問題ないだろう。そんな風にあたりをつけた進はゆっくりと歩き始めた。

 

 進の告白に固まっていた真由美は正気に戻ると思いを口に出した。

 

「いや、おかしいでしょ!」

 

 真由美の叫びに首を縦に振ったものは少なくない。

 

「自分のスキルが本当にすごいものか自信なくなってきたわ……」

 

「落ち着け、自信を無くすな。あれがおかしいだけでお前は十分すごいからな?」

 

 真由美のテンションが落ち込んだのを見て摩利がしっかりとフォローする。

 

「あれを見てるとモノリス・コードも優勝するんじゃないかって思うわ……」

 

「モノリスは一条の息子も出るが……、本当に叩きのめして勝ちそうだな……。後輩が恐ろしくて仕方ないな……」

 

 優秀な後輩に畏敬と恐怖を覚えながら、新人戦男子クラウド・ボールは幕を下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その夜、進はホテルの一室に呼び出されていた。ホテルの高層階ということでなんとなく察しのついている進は扉の前に立ち、入室を仰ぐ。すぐに出た入室許可に進は扉を開け、中に入る。

 

「来たな。まあとりあえず座れ」

 

 耳で捉えたのは聞きなれた父親の声。それに気配から何人かが室内に同席している。まずは席に着く。

 

「まずはクラウド・ボール優勝おめでとう。素晴らしい動きだった」

 

「ありがとうございます」

 

 適当にやり取りを終えたところで横から言葉が飛んでくる。

 

「話を切るようで悪いが、明後日のモノリス・コードではそれは使うつもりかい?」

 

 真田がさしているのが杖であることを理解した進はその問いに答える。

 

「危なくなったら使う、としか言えませんね。最も決勝で戦うであろう相手が一条なのでほぼ確実に使わざるを得なくなるでしょうが」

 

「大丈夫?魔法大全で殺傷性ランクがついていないとはいえ、確実に殺傷性はSランクの魔法でしょ?」

 

 もう一方から響子からの問いが届く。

 

「一応、スピードを抑えて、なおかつ切らないように操作もできますから、おそらく大丈夫でしょう。機密事項ではありますが、これの本質を見分けることができる人はほとんどいないでしょう」

 

「確かにそうかもしれないけど……」

 

「お前の腕を信用していないわけではないが、リスクを考えるとあまり好ましくはないな。よほどのことがなければ使わないように努めるように」

 

「わかっています。そもそもポジションはディフェンスですから、そこまで危険になることもないでしょう」

 

「まあ、わかっているなら問題ない」

 

「では、忠告が終わったところで我々は退散しますか」

 

 真田と響子はそのまま部屋を後にし、室内は進と玄信の二人になる。久しぶりに二人きりになった二人は親子らしく会話を楽しんだ。

 

 

 




 次はいつになるかな……。できる限り早くできるように心がけます。

 では次会う時まで。しぃーゆー。

p.s 何話か後に皆様にアンケートを取りたいと思います。この話にかかわることです。アンケート機能なるものがあるらしいのでそれを調べて使ってみたいと思います。
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