語らぬ傭兵の黙示録   作:久遠ノ語部

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ちょっと期間が開いてしまった……
ちょっとバタバタしていたこともあったけれど……
後、短編と言うか一気に作り上げないと伏線とかの管理が大変なことになるんだな……
とりあえず、書き上げるまでは頑張らないと……


見えない備え

 翌日、突然の呼び出しを受けたキョウは、面倒臭そうに学院長室の扉を開いた。

「どうした、朝っぱらから呼び出すとは珍しいな」

「すまんな、キョウ。昨夜も遅かったのに」

朝っぱらから呼び出されたこともあり、悪態の一つでもついてやろうか、と内心で考えながら部屋に入ったものの、何かしらの懸念を孕んだネイゲートの顔を見たことで取り下げる。

「で、何だその面は……何かを視た?」

ネイゲートの顔が一抹の不安を抱えた顔だったからだ。

「……話が早くて助かる。一つ、頼みがある……ノインを、ノインを守ってほしい」

それが何を意味するのか、付き合いの長いキョウは直ぐに理解する。

「まず、どんな状況だった?」

「うむ、ノインと……恐らく槍じゃったな。それを突き出す所までが視えたよ」

嫌な光景が目に焼き付いてしまったたからか、ネイゲートが眠そうに欠伸をする。

「なるほど、槍を向けたのは分かるか?」

「うむ、そこまでは視ることが出来なかった。じゃがまぁ……珍しい類の穂先ではなかったはずじゃ」

「なるほど、癖の冒険者だったら、ポールアックスとか、鎌槍とか使う傾向があるけど……そうなると、普通のランスを使ってきた、ということか」

「そう……なるんじゃろうか」

武器にはあまり詳しくないネイゲートは、キョウに問う。

「経験的な話だけどな。問題は誰がやってきたか、ということだろう」

「お主の中で怪しいと思う人物はおるか?」

「目星だけは。ところで、門番は何をしていたんだ?」

キョウの問いに、思う所があったのか。顎に手を添えて口元を隠す。

「……確かにの。複数人に襲われた所を狙われたんじゃろうか」

「武器の特徴は明確じゃないんだよな」

「うむ」

「……実は以前、ウノニュクスとあの門番が会話しているのを見ていてさ。それ以降、少し警戒しているんだ。確かあの門番も……並み程度だが、槍を使った記憶があってさ」

「何じゃと?」

「ああ、まぁ確証も無いし、追及するには情報が少なすぎるから泳がせているが……警戒した方がいいかもな。──それにしても、だ。お前のそれ、相変わらず突然だな」

同意なのか、視た本人であるネイゲートすらため息をつく。

「儂も驚いた。視えたとしても、召喚された危険なモンスターを視るものじゃと」

「もしかしたら昨日、ノインがお前のそれを聞いたからかもしれないな。それにしても……俺があの隠し通路で誘拐犯共を迎え撃つ訳だろ。それが終わったら終わったで、モンスターの襲撃に加わる予定だから……そっちには行けないぞ」

ネイゲートも分かっているのか、キョウの言葉に同意を示すように頷く。しかし、想定外のことに頭を悩ませているようだ。

「うむ。しかし……それではノインを見殺しにしろ、と言っているようなものじゃ」

「もう一度聞くが……視た光景はノインと突き出される槍だったな。誰かまでと人数までは分からない……で、いいか?」

「視た光景では刺されていたのか、それとも既に死んでいたのかは分かるか?」

「……すまん。覚えておらん。ただ、視えた武器の数が少ないからそう多くはないと思う」

「覚えていないのは仕方ないな」

キョウは目を瞑って思案する。──それからしばらく目を瞑っていたキョウだったが……考えが纏まったからか、おもむろ目を開いた。

「そうだな。何処まで出来るかは分からないが、打てる手は打っておこう」

キョウの言葉に、ネイゲートは一筋の光を見出す。

「頼まれてくれるか?」

「……多少の宛がある。それで何とかしてみよう。それで話は終わりか」

ネイゲートが頷く。

「分かった。確か、アルビーが戻って来た後、教官を集めてモンスター襲撃の件で会議をする、とか言っていたと思うが……俺は出ないぞ。まぁ、いると面倒なことになりそう、とも言えるが」

「分かっておる。そもそも、隠し通路の件を知らない教官の方が多いのじゃ。お主のことは外せない用事を頼んでいる、と言って通しておく」

「分かった。因みにさっきの話……ノインに伝えたのか?」

ネイゲートは首を横に振る。

「ノインは家族を殺された経緯がある。話した所で、今更退かないじゃろう」

「分かった。ノインには伝えず、それとなく対策をしておこう。それから、後でセイピオラ……酒場のマスターの所へ行くが、伝言はあるか?」

「今回の件が終わったら、呑みにいくと伝えてくれ」

「了解だ」

キョウはそう言って、部屋を後にした。

「……ノインのことを頼んだぞ、キョウ」

 

 急遽講義が中止となった学生達、しかし学院の外へ出ることが禁じられていたため、暇を持て余していた。ある学生は図書室へ行って本を借りに、ある学生は友人と話して時間を過ごす、ある学生は部屋でゆっくり休む……と様々だが、そのどれにも当てはまらない学生達もいた。

その学生達は先ほどまで中庭で訓練をしていたが、最近になって関わりが多くなった教官がその場に現れた中断していた。

「よう。折角の休日なのに、よく励んでいるな」

「お、おはようございます。キョウ教官」

「おはようございます、教官」

キョウに気が付いたラザリーとベルーが挨拶をする。

「お前ら。突然で悪いが、少し時間を貰えるか?」

「はい」

「大丈夫です」

突然の話だが、講義自体がないので時間はある。だからこそ、迷わずに返事をした。

「助かる。それでは、少し場所を変えるぞ」

「……もしかして、ここでは話し辛いことですか」

ベルーの言葉にキョウは頷く。

「ああ、あまり大きな声で言えないのと……出来れば、他の教官に出くわしたくないからな」

思わぬ話に、ラザリーとベルーが二人で顔を見合わせる。

「分かりました。何処へ行きましょうか」

「それじゃあ……林道辺りで歩きながらにしよう」

二人が歩き始めた時、キョウは二人から視線を外し……講堂のある一点へ視線を送る。

「──どうしました?」

「ああ、何でもない。てっきり後をつけている悪趣味な教官がいないか、気になっただけさ」

そう言って、キョウは視線を外し、この学園の外れにある林道へ向かっていった。

 

 学院内には様々な施設がある。講堂内には魔術の研究室や蔵書室があれば、かつて兵士が使っていた武器の保管庫や修練場、祈りを捧げる小さな教会もある。その中でも一風変わった場所が……学院の敷地内にある林道だ。

「そう言えば、木がある所を歩くのは薬草採りの手伝いをした時以来か」

「全く、一人で依頼を請けに行くとかズルいぞ。俺も行きたかったのに」

ふと懐かしい話が二人から出たので、キョウもその話に加わった。

「そういえば……あそこでお前と会ったんだったな。まぁ、偽名を使っていたのは驚いたが。そう言えばあの後、依頼は上手くいったのか?」

「はい、ちょっとしたモンスターこそ出ましたが、図鑑で確認していたので問題なく倒せました。おまけに、そのモンスターから毒が取れたので報酬もちょっと上乗せされたのでラッキーです」

後半の話を初めて聞いたベルーが、笑みを見せたラザリーに目を向ける。

「……おい、何だその話。俺、聞いてないぞ。俺に隠れて楽しそうなことしやがって」

「あ、やっべ」

「喧嘩は後にしな。とは言え、だ。その知識の有無で評価が分かれることもある。だから、案外難しいぞ。冒険者を長く安定して続けるのは」

キョウの言葉が腑に落ちたラザリーは間延びした声で答える。

「あー……確かに」

「ところで、この場所に学生が来ることってあるのか?」

他に人が居ないかを確認しながら尋ねたキョウの問いかけには、ベルーが答えた。

「詳しくは知らないのですが、妙な噂があるみたいで……滅多に来ないと思います」

「ああ……あの話だっけ?」

しかし、その妙な噂を知らないキョウ。

「何だ、その妙な話ってのは」

ラザリーとベルーが二人で面を合わせて……一度、頷いた。

「出る、らしいんですよ。ここ」

ベルーの意味深な言い方から、キョウは何となく話を理解する。

「ゴーストの類か。だが、この学院には祓える戦力くらいあるだろ」

「そうなんですけど……見た人がいないんですよ、誰も」

「じゃあ、何で噂になるんだ」

キョウの疑問に答えたのは、ラザリーだった。

「一時、この林道を無くそうっていう話があったらしいんですけど……それを担当することになった木こりと賛同した教官が、夜な夜な魘されたとか。その中で、若い女性の亡霊が出てきたらしいです」

「何だそれ。俺も初めて聞いたけど、誰がそんな話を?」

「その時丁度、林道付近を歩いていたノインさん」

意外な人物の登場したことで、キョウもその話に興味を持つ。

「学生と事務員ってあまり関わりがないものだと思っていたが、そうでもないんだな」

「そうでも無いですよ。まぁ、あの人が話しやすいと言うか。あの日も、うざったい教官の講義をサボっていた時に見つかったんですが……それを咎めることもなく、色々話してくれたんです」

「あー、ウノニュクス辺りの講義?」

ベルーが確認するように尋ねると、ラザリーは頷いた。

「あからさまに見下すからな、あいつら」

見下される理由に検討がついたキョウが呆れたように口にする。ついでに、他に学生がいないかを確認するように後ろを向く。

「……よくある身分の差別って奴か」

「慣れましたけどね。元々、貴族の庶子ということもあって、貴族の教官からは印象が悪いみたいで。まぁ、ベルーやカメリアにそんな視線が行っていないからいいですけど」

ラザリーの身の上話を聞き、キョウはようやく合点がいった。

「ラザリーとベルーとカメリアは幼馴染とお前達が話していたが……そういう事情だったのか。それにしても、貴族の庶子は貴族の子供と関わりが薄いと思っていたが、そうでも無いんだな。

……む。そういえば、お前達の幼馴染だと言うカメリアは貴族の娘なのか」

「まぁ、そんな感じです。俺としてはカメリアも付き合いの長い友人ですし、身分についてあまり気にしないから気が楽なんですが……あの一件以降、塞ぎ込むようになりまして」

ベルーとラザリーの二人が目元を落とす。

「なるほど、例の誘拐未遂に巻き込まれたことで塞ぎ込んだのか、そりゃ何とかしたいと思う訳だ」

「──まぁ、そんな所です。ところで、話って何ですか?」

気恥しい話題だったのか、ラザリーが話を逸らして本題に踏み込んだ。キョウが前後を再度確認し、ある一点を凝視する。

「どうしました。キョウ教官」

「何か、見えるんですか?」

諦めたように視線を逸らすのには何か理由がある、と考えたベルーが踏み込んで聞いてみたものの……

「……いや、気のせいみたいだ」

「え?」

「もう居なくなったからな、気にしなくていいぞ」

露骨に話を逸らされてしまった。気になるものの、本題ではない。大人しく話の続きを聞くことにした。

「で、本題なんだが……お前達にしか任せられない仕事がある。実はさっき出てきた……ノインがいる正門の護衛を頼みたい」

「な、何故でしょうか」

「お前達、ここ一週の講義が中止になった理由は知っているな」

事前に他の教官を通じて何度も説明があったためか、二人は何度も頷いた。

「それのせいで、魔術が扱える教官や指揮が出来る教官は学院から離れる可能性が高いんだ。そうすると学院の守りが弱くなるんだが……人数合わせをしておきたくてな」

内容は分かったが、何故それを学生に頼もうとするのか。その意図が掴めないベルーとラザリーがキョウに疑問をぶつける。

「そうだとしても、普段からいる門番はモンスターの襲撃に向かわないのでは?」

「だよな。それにモンスターが学院までやってくるなら、それこそ終わりのような……」

二人が抱いた疑問を、キョウは否定しない。

「ああ、そうだ。そもそも、その為の護衛じゃないからな」

「それってどういう……いや、待ってください。それは」

キョウの言葉の意味を考えていたベルーが、ある可能性に気付く。

「……何に気付いたんだ、ベルー?」

「お前の考えている通りだ。先に言っておくが……これから話すことは他の教官には言わない、と約束出来るか?」

キョウはそう言いながら、ある方向へ再度視線を向ける。ただ、それも一瞬のこと。二人に気付かれる前に、それを打ち切った。

「……だから、俺達に話したんですよね」

ただ、状況を上手く掴めていない学生が一人。

「ベルー、キョウ教官。どういうことですか?」

「ベルー、簡単に説明してやれ」

ラザリーへ簡潔にその状況を説明すると、次第に顔が引き締まっていく。

「恐らく襲撃者は複数いるかもしれないが、一人じゃないかと踏んでいる。もし、複数やってきた時は即応援を呼べ。今のお前達なら、三人程度なら身を守るくらいは出来ると思っている」

「でも、応援って誰を呼べば……」

「学院に残っている教官だ。一応、そんなことが起きないように追加の戦力を依頼するつもりだけどな」

「誰に……でしょうか。街の兵士は討伐へ向かうんですよね」

そう言って、街の方を向く。

「学院にはいない知り合いだ。出来るかどうかは分からないが、大きな借りがあるから協力してくれるはずだ」

「……キョウ教官って、知り合いが多いですよね。酒場の時もそうでしたけど」

ラザリーの言葉にはベル―も同意だったらしい。息を合わせて頷いている。そんな様子を見ながら、キョウは苦笑いを見せて。

「妙な生き方していると、妙な伝手が出来ていくんだよ」

疲れたようにため息をついた。

 

 

 一通り話を終えた時には、三人は既に林道を歩き終えていた。

「いきなり時間を取らせて悪かったな」

「いえ、話して頂いてありがとうございます」

礼を言うベルーに対して、ラザリーは何か思う所があるらしい。

「これ、キョウさんからの依頼なら、何か報酬って要求していいんですか?」

「ちょ……ラザリー、お前!」

しかし、そんなラザリーの要求に対して、キョウが面白いと言わんばかりに口角を上げる。

「言ってくれるじゃないか……そうだな。上手くいった時は……まず、街で飯でも奢ってやるよ」

「それだけですか?」

「まぁ、割と重要だからな。もう少し報酬を用意してやりたいが……そっから先は後でもいいか?」

ニヤリ、とラザリーが口角を上げる。

「言質取りましたよ、キョウ教官」

「ああ、いいぞ。ベルー、お前もだ」

「え、あ、はい」

「じゃ、頼んだぞ。俺はもう少しこの辺りを歩いているから、先に戻っていいぞ」

二人と別れて、キョウは再び林道の中へ入る。そうして、二人が見えなくなったことを確認したキョウは……

「……と言う訳だ、話を聞いていたな。もう出てきていいぞ」

「……何で分かったんですか」

キョウの正面から、少女の不満げな声だけが返る。

「視線がこっちを向き過ぎだ。それから、魔力の漏れが強過ぎる。魔術が使えるなら誰でも気付くぞ」

「う」

「あの二人は魔術を使った異変に鈍いから効くけどよ。魔術では誤魔化しが効かない場合もある、と知っておいた方がいい」

「……例えば、どんな場合ですか」

少女は僅かな対抗心から、姿を見せないまま質問する。

「建物を歩く時や葉っぱを踏んだ時のような音の影響は、その魔術で隠すことが出来ない。さっき使った魔術は自分の姿を周りの風景と誤認させるものだな」

図星だったのか、唸るような声が返る。

「何、誰かを追跡するのによく使われる魔術だが……それは夜や見晴らしの良い場所で使わないと効果がない」

「な、何故ですか?」

どうやら少女は、自身が扱った魔術の欠点に気付いていないらしい。そのことが少し微笑ましく感じたのか、キョウはそれを解説する。

「気付いていなかったようだな。お前が立っていたところ辺りの所だけ、木の枝だけあって幹が見えなかったんだ」

「……どういう事ですか?」

「じゃあ聞くぞ。幹が見えない木なんて、気が付いてしまえば違和感しか無いだろう」

あるべき場所にある筈の物がない。そんな現象は誰かが魔術を使っている証だ、と暗に示す。

「あ……だから、キョウ教官はこの林道に」

「まぁ、そういうことだ。中庭にいた時からお前の視線には気付いていたよ。まぁ、流石に誰かまでは分からなかったが……声でようやく分かったよ。魔術科の学生は全然覚えていないし、尾行されるほど用事なんて無いだろうと思っていたが、お前ならあるわな……チェリカだったか」

とうとう観念したのか、ため息をつきながら少女……チェリカが魔術を解いて姿を見せる。

「ハァ……その時からバレていたんですね」

「その魔術は簡易な尾行でよく使われたから嫌でも対策を覚えるさ……それで、お前はどうしたい」

「……聞きたいことがあります。二人を巻き込んだのはキョウ教官ですか?」

その視線は鋭い。魔術を放つ準備すらしているようだ。

「いや、あいつらは勝手に関わってきた。まぁ、同じ目的で動いているなら、協力した方がいいだろう」

「どうして、教官なら危険な行為はさせないべきでは?」

「逆に質問しよう。あいつらは何であんな真似をしていると思う」

「……そ、それは」

チェリカは既にそれを聞いてしまった。だからこそ、返す言葉に詰まっている。

「あいつらはそれなりに覚悟を持って関わってきた。だからこそ、俺は協力させている。後はまぁ……そうだな。例えどんな結果であったとしても、関われなかった時の後悔ほど尾を引くことは……ああ、良く知っているからな」

「じゃあ、あの二人は……」

「間違いなく、最後まで関わるだろう。ま、一番危険な部分は俺がやるがな……それにしても困った。襲撃の可能性があるのに、門番の防衛が不十分だという話を聞いてしまってなぁ。俺で対処出来ればいいんだが、別の所で襲撃者を撃退しなきゃならん。全く、人手が足りないというのは困ったものだ」

キョウが何を言いたいのかが分からないチェリカではない。

「それで、私に協力しろ、と。別に良いですけど」

「それは有難い。それじゃあ、さっき使った魔術をあの二人に使ってやってくれ」

思わぬ言葉に、目を丸くする。

「それでいいんですか。さっき、使えないと言ったのはキョウ教官ですよ」

「何事も使い方次第だ。例えば、目で見える魔術と見えない魔術……お前ならどっちが怖い?」

「それは勿論見えない方がいい……って、そういうことですか」

「あいつらが一太刀で決められるならそれで十分だ。ダメだったとしても、他の魔術で支援すればいい。それに、だ。急ごしらえで使えるようにした魔術より、使い慣れた魔術の方が暴発の危険が少ないだろう?」

「分かりました。出来る範囲で、二人のサポートをやらせていただきます」

「頼んだぞ。ああ、それからさっきの飯を奢る話だが……お前も来ていいからな」

「え?」

「何、金はネイゲートに持たせるさ。それじゃあ、俺は行く所があるんでな。後は任せたぞ」

キョウは手を振って、林道を後にする。その背中を見送ったチェリカは気合を入れるように大きく深呼吸をした。

「私に……出来ること、か」

意を決したチェリカも、キョウと同様に林道を後にした。

 

 


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