ガールズ&パンツァー ドイツ極秘戦闘隊と親善試合です!   作:ロングキャスター

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ずいぶんと長い間更新無しでしたがこれからちょこちょこと再開します!
手始めにこれまでの内容を一部改変していくつもりです。ぶっちゃけ何処の誰が出てくるのかもう忘れまして…
この話も一部手直しを入れましたので良かったらご覧下さい。



親善試合始まります!

 

 

 

 

 

 

だだっ広い草原に時折吹くそよ風が心地いい。

 

しかし、そのそよ風は鉄と油の匂いをまとっている。

 

その風が吹く方には無数の戦車が並び、出撃の時を今か今かと待っている。その中の1輌に目をやる。

 

レッドブラウンに塗られた『Ⅳ号戦車D型改(H仕様)』がある。苦楽を共にし、皆を引き合わせてくれた存在...

 

この場には、およそ半年前の夏の大学選抜チームに戦の時のような各校の戦車や隊長が集まっている。あの日の感動は忘れることは出来ない、今でも覚えている。

 

しかし、今回集まったのは夏の試合とは違う、親善試合のためだ。

 

「おっ来たな」

 

大洗女子、元生徒会会長 角谷 杏がこちらに向かってくる一台のトラックのようなものを見つけ言った。

 

「M3ハーフトラックです!」

 

秋山 優花里が興奮ぎみに言う。そのハーフトラックはこちらの近くまで来ると、停車し中から黒い軍服をビシッと決めた長身の男と、その他男女がぞろぞろ出てきた。

 

「西住みほさんは?」

 

「あ、わたしです」

 

「これはどうも。戦車道の名門、西住流に会えて光栄です」

 

「いえ、私はそんな...」

 

その男は丁寧な口調でみほと挨拶を交わす

 

「申し遅れました、私はブラッド・ハウンド隊隊長、ウィットナー・シュトラーデンです。階級は大尉...まあこの世界に階級なんて必要ないでしょうけど」

 

「えっと、私は西住みほ、こちらが元生徒会長の 角谷 杏先輩。そして秋山優花里さんに、各校の隊長が...」

 

みほは側にいた二人と、今回の親善試合に参加する各校の隊長達を紹介した。

 

「なるほど、では私も。こいつがアメリカ軍、ケイラー・ワイナーズ、イギリス軍 エマ・パターソン、ソビエト軍 アイーダ・シャラシャーシカ、そして大日本帝国軍 松平 風間だ。」

 

ウィットナーも自らのチームのメンバーを軽く紹介する。

 

「よろしくお願いします」

 

「こちらこそ。では、敵情視察と思われないよう、ここらでお暇させて貰いますよ。今日は最高の試合にしましょう」

 

「はい!」

 

みほが一段と元気な声で答える

ウィットナー達はそのままハーフトラックに乗り込むと自陣へと帰って行った

 

その姿を見つめる各校の隊長達。

 

「それにしてもダージリン、渡航を延期しても大丈夫だったのですか?」

 

「ええ、こんな面白そうなことを無視して留学なんて出来ませんからね」

 

アッサムの問いにダージリンが答える。

 

「面白そうなことってあなたねぇ...

そっちも大丈夫なの?進学なんでしょ?」

 

エリカが、ケイに問う

 

「うちは大学付属だから全然平気よ」

 

 

皆楽しみと言った様子で興奮を押さえられないようだ。

 

 

 

 

 

 

ブラッド・ハウンド隊のもとに戻ったウィットナーは同じく下車した仲間に告げた

 

「各自、各隊に出撃の最終準備を整えさせてくれ。...エンドラー、状況は?」

 

「全車、トラブルも無く大丈夫のようです。」

 

ウィットナーの問いにブラッド・ハウンド隊の副官、エンドラー・マークスは答える。

 

「よし、分かった。さぁ行こう」

 

ウィットナーは自車の元へと急いだ。

 

ウィットナーのティーガーはまるで工場出荷時のような美しさをしていた。だが、よくよく見れば傷が目立つ。引っ掻き傷や被弾痕があるそのボロボロになり満身創痍のような見た目の上から新たに塗装し直しただけの修繕だ。

 

ウィットナーは愛でるようにそっと手を触れた。このティーガーは2輌目に当たり、1943年のクルスクの戦いのあった年の冬に受領した後、1945年の終戦まで共に戦った。その間に様々なことがあり、幾度も死にかけることもあったが、その都度こいつが守ってくれた。

このティーガーには感謝しかない

 

(今日も1日よろしくな)

 

ウィットナーは心中で囁いた。

するとティーガーはそれに答えるように勢いよくエンジンを唸らせた。とはいっても、タイミングよく操縦手がエンジン始動させただけなのだが。

 

ウィットナーはそっと手を戻すと深く息を吸い込み、

 

「ケイラー、開始の挨拶だ!」

 

と副隊長に任命したケイラーを呼び出した。

 

 

 

 

一般観客席の眼前には超巨大なモニターが3台設置してある。そのモニターには挨拶をするために集まった両チームの隊長、副隊長が横一列に整列していた。

 

『これより、大洗連合対ブラッド・ハウンド連合との試合を始めます。礼!』

 

『よろしくお願いします!』

 

モニター越しに陸自の蝶野 亜美の挨拶が響き、それに合わせて両チームの代表が頭を下げる。

 

 

しばらくして開始の号砲がなる。

 

 

《みほ》

「それではみなさん、パンツァー、フォー!」

 

《ウィットナー》

「ブラッド・ハウンド連合全車、PANZER・VOR!」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「どうします?みほさん」

 

ダージリンが作戦について問う。

 

「今回は夏の大学選抜戦と同様の流れで行こうと思います。左手の森林地帯、中央の丘、そして右手の運河、森林地域の3方向を攻めます。今回は夏の試合よりも戦力が多いので、1方向に2中隊で編成します。それぞれ、ひまわりをエリカさん、あじさいをメグミさん指揮のもと、中央の丘に進行、あさがおを系さん、コスモスをアズミさんが指揮して森林地帯、たんぽぽを私、すいせんをルミさんで、運河、森林地帯を攻めます。」

 

今回はかなり戦力が多い。まさかの60輌の殲滅戦だ。かなり大規模の戦車戦になるだろう。

 

ちなみに今回参加する学校は

 

大洗女子

聖グロリアーナ

サンダース大付属

アンツィオ高校

プラウダ高校

継続高校

知波単学園

黒森峰

BC自由学園

マジノ女学院

ベルウォール学園

 

そして、大学選抜チームのメグミ、アズミ、ルミの3名が加わる。三人に関しては、勉強と言うことで島田師範に加入させられたようだ。

「丘上は取る形でいいの?」

 

ベルウォールの中須賀 エミが聞く。

 

「もしそうなると、相手と激しくぶつかることになるな」

 

アンチョビが言う。

 

「はい。なので、丘上を取るように見せつつ、相手の出方を伺いながら、奪取可能ねら奪取しましょう。」

 

「「わかりました」」

 

一同が返答する

 

「しかし、相手がドイツ戦車なのが厄介

ね」

 

エリカが言う。もちろん自らもドイツ戦車に乗るものとして、友軍としてでは心強いが、敵となれば話は別。自らがドイツ戦車に乗るが故に、その手強さを一番理解出来ている。

 

「それに関しては、エリカさんの黒森峰チームと、ベルウォールのエミちゃんのチームで対処をお願いします。引き付けてる間に、機動力の高い戦力で側面を強襲しましょう。」

 

「そうしましょう」

 

ダージリンが言う。

大洗連合の最重要警戒目標はブラッド・ハウンド隊となった。

 

 

 

一方ブラッド・ハウンド隊でも作戦会議が進んでいた。

 

「ウィットナー、どう攻める?」

 

「まず、3方向にわける。中央をエンドラーのドライ中隊、シャラシャーシカのベータ中隊が押す。森林地帯をケイラー、ファインツのアルファ、ツヴァイ中隊、運河地域を俺、エマのアインス、チャーリー中隊か押す」

 

「「了解」」

 

「また、中央の丘は相手も取るだろう」

 

「てことは、取られないように強固な防衛線を張る?」

 

「いや、下手にドンパチやって戦力を削りたくないからな。いくら60輌とはいえな。もし、丘を取れるチャンスがあるならそのタイミングで奪取だ。」

 

シャラシャーシカの問いにウィットナーは答える

 

「結構慎重なのね」

 

これはエマだ。

 

「ああ、いくら俺たちが実戦に慣れてるとはいえ戦車道は初めてだし、向かうは戦車道に精通してるからな。その経験の差は大きいはずだ。こっちが慣れない間に明暗が決まるのは避けたい。」

 

「なら、警戒すべきは黒森峰ってところかな」

 

ケイラーが手元の資料を見る。そのその資料は各校の戦車道の情報が記されていた。今までの功績や歴代で使用してきた戦車などだ。

 

「確かに西住流の教えを叩き込まれた黒森峰は強力だ。だが、正面からの撃ち合いでなければ恐れることもない。それに持久戦に持ち込めば必然的に戦力も落ちるはずだ」

 

「持久戦は向こうが有利だろ」

 

松平が言う

 

「ま、普通はな。でもこっちも嫌というほど経験してきただろ?」

 

「なるほど」

 

「ま、ただ単に戦局が膠着してただけなんだよね」

 

「あとは、夜になればこちらが有利になりやすいんだが...よし、それじゃ各員元に戻ってくれ」

 

ウィットナーがそう告げると、ウィットナーのティーガーから散って行った。

ウィットナーは、ティーガーのトランスミッション上、車体前方に広げた地図を畳み戦車に乗り込んだ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ケイラーは事前の打ち合わせ通り、ファインツ率いるツヴァイ中隊と共に森林地帯を目指していた。

 

「曹長、少しいいか?」

 

ファインツがケイラーに呼び掛けた。

 

「ん?」

 

「地図を見てくれ。...小道があるだろ?」

 

ケイラーはそう言われ地図を見返す。確かに道を表す線が記されている。

 

「ここをやつらは通ると思うんだが、そこに俺が威力偵察に行くっていうのはどうだ?」

 

「なんでそこを通ると思うの?」

 

「単純だ。得体の知れない森林地帯の道なき道を行くほどバカじゃないと思うからさ。木々が生い茂ってるようなところを巨体が通れば、つっかえたりするだろ?」

 

「確かにそれもそうだねぇ...でも、1輌で大丈夫?」

 

「なぁに、俺は一匹狼のファインツ様だぜ?」

 

ファインツは独ソ戦後半、ドイツに流れ込もうとするソ連軍の歩兵、戦車大隊を4日間足止めした。しかも、1輌のみだったのでこんな異名が付いた。ただ、当時のドイツ軍戦力が不足していただけなのだが。

 

「OK、じゃあ任せるね」

 

「ああ、任せろ。こちらツヴァイ隊長車、これより単騎で威力偵察を行う。後続の隊は指示で動けるよう、距離を取って追従しろ」

 

ファインツはそう言うと隊列を離れ、の道へと向かった

 

 

 

「以外と広いっすね」

 

ファインツの戦車の操縦手が言う。

 

「ああ、中戦車なら2輌は入るな」

 

ファインツが通っているこの道は以外にも広く、自由度が高そうだ。

ファインツは木漏れ日の差す綺麗な景色の中を走っていた。元の世界でこんな景色があってもそれを気にしていられなかった故に新鮮さを覚えた。

 

「あーあー、ファインツ大尉聞こえます?」

 

まるでマイクのテストをするかのような口調でファインツに呼び掛ける。

 

「感度良好だが?」

 

「え~っと、小さなトラブル発生かな」

 

「どんな?」

 

「地図にない小道発見。私の戦車がギリ通れるくらいだから、下手したらこっちからも来るかも」

 

「了解」

 

ファインツはケイラーから座標を聞き、それを元に小道のあらかた場所を地図に書き込んだ。

 

「曹長、そっちから射線通るか?」

 

「通せないことは無いって感じかな。でも、木が邪魔だから精密射撃は厳しいかな」

 

「通せるだけで十分だ」

 

ファインツはそう言うと再び周囲の警戒に戻った。

 

やがてファインツは小さな村のような所に出た。村と言っていいのか疑問になるレベルのもので、道を挟んで何軒かの日本家屋が立ち並ぶようなものだ。言うなれば、集落のようなものか

 

ファインツはその集落の入り口で停止を指示した。その入り口は右カーブになっており、家屋のせいでその先がわからない。ファインツは自分以外のエンジン音がしないか耳を澄ました。

 

 

 

同じく森林地帯に進行したあさがお中隊はアリサを先頭に地図に記された道を警戒しながら進んでいた。

 

「アリサ、そっちの状況を教えて」

 

「こちらアリサ、特に異常はありません」

 

「了解。引き続き警戒を怠りないで」

 

「イエスマム」

 

ケイの言葉にアリサは答える。

アリサのの後ろにはうさぎチームも続いているのだが

 

「ねぇアリサさん、たかしとはどうなったの?」

 

宇津木 優季が聞く

 

「今はそんな話をする時じゃないでしょ?」

 

「やっぱりフラれたんだ!」

 

「だ、だから告白もしてないのにフラれるわけないでしょ!」

 

桂里奈の言葉にアリサはムキになったように言う。

 

「アリサ、さっき言ったこと覚えてる?」

 

「す、すいません...」

 

アリサはケイに注意されてしまった。しかし、話題をふった当の二人は笑っている。全く腹立たしい。

アリサは気を取り直して周辺の警戒に入った。

 

いつ敵が現れるのかという緊張感がアリサを包む。この感覚は試合の度に感じるが、心なしかこの感覚が好きだった。

アリサ幾度も双眼鏡を覗いては外しを繰り返した。

やがて、小さな集落に出たここに待ち伏せているのではないかと内心ビクついていたが、特には見当たらない。

この集落はちょうどこの森林地帯の中央に位置する。同じタイミングで侵入すれば恐らくはもう接敵しているはずだが...

 

アリサは異常なしとケイに報告しようと無線機を口元に運ぼうとしたまさにそのときだった。出口の左カーブから1輌の戦車が現れる

 

「はぁっっ!タ、タイガー!!」

 

アリサは息をのみ咄嗟に叫んだ。

正面から出た来たのはファインツの『ティーガーⅠ(初期生産型)』だった。

そしてそのティーガーは接敵するや否やこちらに発砲、運よく横にそれるがその砲弾がかすめる独特な音が恐怖感を煽った

 

「う、撃ちなさい!!」

 

アリサは砲撃の指令を出した。

アリサの『M4A1 76mm』の76.2mm砲弾がティーガーの車体正面をとらえる。が、虚しく弾かれてしまう。

 

「やつの火力じゃ、こいつは貫通できない。正面を向けて、微速前進」

 

ファインツは徐々に距離を詰めるように指示する

 

「次!急いで!それと後退!」

 

アリサの叫びのような声が響く。

そして再びティーガーに砲撃。今度は外れた。

 

「どこ狙ってるのよ!装填!」

 

アリサの慌てっぷりはファインツからも分かった

 

「相当動揺してるな」

 

「ならいっちょビビらせますか」

 

砲手がそういい、照準を砲塔側面に合わせる。

放たれた砲弾はシャーマンの砲塔側面をなぞるように跳弾する。シャーマンの車内はとてつもない衝撃に見舞われる。

後続のM3リー、M4(75mm)が砲撃するがやはりティーガーには太刀打ちできない...

 

「ちょっとうさぎ!あんたらなんとかしなさい!」

 

「そんな事言われても、火力が...」

 

「だったら盾になりなさいよ!」

 

「アリサ落ち着いて。押田、支援に行って。それとナオミ、コスモス中隊の方に行って」

 

「了解」

 

ケイはアリサをなだめると、BCの押田とナオミを増援に向かわせた。

 

「アリサ、すぐ増援がいくから待ってて」

 

「イ、イエスマム...」

 

アリサはこちらに微速前進で向かってくるティーガーを見た。普通の試合ならそこまで恐れないのに、あのティーガーからはとてつもないオーラを感じた。まるで直撃を貰うと死んでしまうような...

 

 

「曹長、そっちは?」

 

「こっちはもう少しで射線通せるよ~」

 

「了解した。こちらもまだ耐えれる」

 

ファインツは回り込もうとするケイラーとやり取りした。

 

「ちなみに、正面に長砲身シャーマン、M3、んで短砲身シャーマンだな」

 

「OK、火力は不足気味ね?」

 

「ああ、そうだな...ん?」

 

後方から爆走する戦車をがいる。あれはいったい...

 

「バカな!」

 

「ARL-44!」

 

ファインツは叫んだ。

ここに来て強力な重戦車が現れたからだ。

 

「前言撤回!ARL-44接近、操縦手後退!」

 

ARL-44の主砲は長砲身の90mm砲で、ティーガーの正面なら余裕で貫ける。こんなところでやられるわけにはいかない

ARL-44は停車するとこちらに砲撃するが、数m正面に落下した。

 

「車体を振れ!」

 

ファインツは車体を左右に小刻みに振るように指示する。そこへ2発目が着弾。かろうじて弾いたが衝撃は凄まじい。

 

「フォイア!」

 

アハトアハトがARL-44に射撃するが、弾かれた。

 

「クソ...かえる野郎め...」

 

「おっ待たせ~、射撃準備完了よぉ」

 

「さっさと撃ってくれ!」

 

「はいはーい。全車、open fire!」

 

ケイラーのアルファ中隊が一斉に砲撃を開始、ケイのあさがお中隊に無数の砲弾を降り注がせる。

 

「What?!」

 

ケイは砲撃してきた方向を双眼鏡で確認する。そこには当然だが敵部隊が展開していた。距離にしておよそ3~400mといったところだろうか。

 

「みほ、こちらケイ。敵中隊と接敵、交戦を開始するわ」

 

「わかりました。無理をしないようにしてください。」

 

「OK、ファイア!」

 

ケイのあさがお中隊がアルファ中隊との交戦に入った。双方が砲弾の雨を降らせる。

 

「こちらファインツ。ツヴァイ中隊全車前進!ARLと接敵、合流して守備を固める」

 

「了解」

 

かろうじてARL-44からの砲撃に耐え、家屋の裏に隠れたファインツは後方から追従するツヴァイ中隊に増援を要求した。

 

 

一方、アズミ率いるコスモス中隊はアルファ中隊の正面に展開しようとしていた。

 

「こちらアズミ、敵中隊はおよそ500m。こちらも攻撃を開始するわ」

 

「了解。お願い」

 

アズミはケイに告げた。

 

「それじゃナオミもよろしく」

 

ナオミはアズミからの言葉を軽く流しつつ、前方のアルファ中隊のM4シャーマンに狙いをつける。

ただ黙ってしっかりと照準を合わせ足元の発射ボタンに足をかける

 

ファイアフライの17ポンド砲がけたたましい音と共に徹甲弾を放ち、シャーマンに命中する。そのシャーマンは白旗をあげた

 

「だぁぁクソ!もう退場かよ!」

 

「怪我は!?」

 

「ああ大丈夫だ。だがもうリタイアだぜ」

 

ケイラーは安否を心配したが、大丈夫のようだった。

 

ナオミは次の獲物を狙うべく、砲塔を旋回。ケイラーが乗る『M26 パーシング』に狙いを定める。

そして再び発射、砲弾は車体正面をとらえた。

 

......が、白旗があがらない。確かに正面には穴が開いているがなぜかあがらない。それもそのはず、ケイラーのパーシングは少々改造してある。もちろん違法なものではないが、車体正面に増加装甲を張り付けてあった。

 

別のシャーマンの装甲を剥ぎ取り、ボイラー鋼板と共に二重で貼り付けていた。高火力のドイツ戦車対策としてやっていた事が功を奏した。

 

「いったぁ~...でも残念。こっちには増加装甲あるからね。お返しのfire!」

 

ケイラーは正面に展開するアズミ中隊に向けて発射する。ナオミはそこから一本下がった位置に居たのでまだ見つかった様子はないが...

 

(もう一度撃つだけ)

 

ナオミは気を取り直して再び照準を合わせる。が、直後真横を眩い閃光が走ったと思うと隣の木が弾けとんだ。

ナオミはその方に砲塔を向ける。そこにはまたパーシングだ。しかし、このパーシングも何かおかしい。車体正面にも増加装甲があるようにも見えるが、それ以前にやけに砲身が長い...

彼女を狙っているのは『T26E4 スーパーパーシング』だ。T26パーシングに強力な長砲身90mm砲を搭載させ、ティーガーⅡをも撃ち抜ける。

その不恰好なまでに伸びた砲身はがナオミのファイアフライを狙っていた。

 

ナオミはとりあえず退くことを決断した。

 

「よーし、松平さん。そっちの状況を教えて?」

 

「こちら間もなく中隊長車と合流します」

 

「OK。大尉、持ちこたえてる?」

 

ツヴァイ中隊の臨時隊長を勤める松平とファインツに状況を尋ねる。

ファインツは辛うじて物陰に隠れつつ応戦しているようだが、押田のARLも物陰から撃っている為に有効打が与えられないようだった。

 

「私としてはアルファと大尉を囮にして敵の左方から回り込んで攻撃したいんだけど、その為には松平さんトコの戦車が適任だと思うのよねぇ」

 

ケイラーはファインツに提案した。ファインツは少し考えて

 

「よしそれで行こう。松平中佐、そちらの判断で隊を分けてくれ」

 

「承知しました。田口、安田の両名は大尉の援護。それ以外の者は俺に続いてアルファの右方へ展開する」

 

「了解しました」

 

松平の指示の元、ツヴァイ中隊は二手に分かれる。

ファインツと合流する別動隊が全速力で向かう。彼はARL、シャーマン、M3リーの3両と3対1で応戦していた。急がなければあさがお中隊に有利な場を作ってしまう。それだけはなんとか阻止しなければ。

 

「遅くなり申し訳ない。援護します」

 

「おう、頼んだ」

 

「こちら松平。間もなく予定地点に到着します」

 

増援の到着と松平の報告が順次無線に流れる。

 

「よし、松平さんの合図でこっちも動くよ!」

 

ケイラーが言う。

 

「こちら押田。敵ティーガーに増援あり」

 

「まだ持ちこたえれる?」

 

「はい、なんとか」

 

押田の報告にケイは尋ねた。

 

「このままじゃ膠着する。動くよ」

 

「でもどうやって…」

 

アズミの言葉にアリサが尋ねたその時だった

 

「てぇ!」

 

松平の号令で松平のツヴァイ中隊がアズミのコスモス中隊への射撃を開始した。

 

「こっちにも回ってきたのね...。だとするとあさがおの正面は囮かしら...。安藤、玉田隊とエクレールと一緒にあの中隊を包囲するわよ」

 

「了解」

 

アズミは側面に回ったツヴァイ中隊を包囲することにした。ツヴァイ中隊はコスモス中隊の左方、小高くせり上がった地形の裏で射線を通した。この地形のお陰で彼らはハルダウンで砲撃ができる。

 

「かしこまりました。玉田、安藤さん、エクレールさんに続け!」

 

西からの指示を聞いた玉田は部下と共に勢いよく『九七式中戦車改(新砲塔チハ)』を走らせ安藤、エクレールの『ソミュア S35』と合流した。

 

 

 

(回り込んで包囲ですか...なるほど)

 

エクレールは心中で囁いた。

今回の親善試合の誘いは即答で快諾した。それもそのはず、エクレールは今のマジノ女学院の戦車道を変えたいからだ。マジノはBCとの分校になるが、その戦術は真逆で、マジノは防衛戦を得意とする。が、今までその戦術でいい結果を出せていない。だから、前隊長に刃向かってでも変えたかった。その為に全国大会前にはサンダースや大洗と練習試合をした。

 

「このまま全速力で一直線で向かうぞ。好き勝手させるな!」

 

「コンプリ!」

 

エクレールは答える。

マジノを変える為に彼女はこの試合にかけていた。強豪を相手に強豪と共に戦う。こんなチャンスを逃したらもう二度と変われないだろう。だから、この試合で相手と仲間の戦い方を学んで奪ってやる。そう彼女は意気込んでいた。

 

(知波単が変われたのだから(わたくし)達だって...!)

 

エクレールは心中で叫んだ

 

そうこう考えていると、こちらの動きに対して相手も対処して来た。ツヴァイ中隊の『九七式中戦車改(新砲塔チハ)』と『一式中戦車 チヘ』の47mm砲弾が安藤、エクレールのソミュアに当たる。しかし、貫通することもなくいたって問題はなかった。

 

「相手が日本戦車なら余裕を感じれますわね」

 

正直、エクレールは日本戦車に恐怖を感じなかった。日本は紙装甲、低火力と知っているからこのドイツ戦車を苦しめた歴史ももつソミュアならばと余裕を感じた。結局その後も何発かの砲撃に耐え、彼らの陣取る丘に登れる所まで来たのだが向こうもさせまいと反撃してくる。

 

「よし、このままソミュアで相手を押さえる。玉田隊は脇からやれ!」

 

「コンプリ!」

 

「かしこまりました!」

 

エクレールと安藤は一気に距離を積めて行く

...しかし、エクレールに向けて放たれた砲弾がそれを阻止してしまった。弾は外れたが、エクレールはその砲撃の主を探し、見つける。それはチハの車体に戦闘室を設け、七糎半対戦車砲を搭載した駆逐戦車のようなものだった。

 

「なっ...三式砲戦車ホニ!」

 

それは『三式砲戦車 ホニ(正しくはホニⅢ)』で、上記の通りチハに七糎半対戦車砲を搭載した日本版駆逐戦車だ。この主砲なら1000m先のシャーマンの正面を撃ち抜く火力があるため、ソミュア程度なら余裕で貫ける。しかも厄介なことに、隣には同型の砲を搭載した中戦車までいる

 

「くそ!チヌもいるのか」

 

安藤は言った。

敵にはアリクイさんチームと同じ『三式中戦車 チヌ』までいる。いや、それだけならまだよしとしよう。エクレールの目には日本戦車とは思えない主砲の戦車がいる。しかし、車体の構造は日本戦車のそれなので間違いは無いはずだ。しかし、日本戦車らしからぬ長砲身が不安を煽る。

 

その戦車の正体は『四式中戦車 チト』だ。日本の戦車の中で最もバランスよくまとまった戦車で想定された日本本国防衛戦の切り札として開発していた戦車だ。量産数も6輌と少なく、幻の戦車と言われるほどのものだが、それが今ゆっくりとこちらに砲塔を指向している。

しかも、待たせたなと言わんばかりの勢いで『Ⅲ号戦車N型』まで増援にくる。

 

「アズミ中隊長!こちら、予想外の反撃により危険です。すぐに増援を!」

 

「仕方ありませんね。私が行きます」

 

ガレットの声がする。彼女はかもチームと同じ『ルノー B1 bis』に搭乗する。この場で重戦車が来るのはありがたい。

 

「それまで皆さん耐えますわよ!」

 

エクレールは一層気合いの入った声を上げた

 

...だが、そう言ってられる状況では無くなってくる。

 

「よぉし、そろそろ頃合いかなぁ。ウィットナー?」

 

「ああ、好きなタイミングでいいぞ」

 

ケイラーはウィットナーに問うが、あっさりと許可が出てしまった。

 

「それじゃ、ジャックよろしく」

 

「yes sir」

 

ケイラーはジャックと呼ばれる男に何かを頼んだ

 

 

ついにブラッド・ハウンド連合が本格的に動く!

 

 

 

次回「さっそく激戦です!」




第一話がようやく終了しました。
いやぁもう少し早く投稿できたはずだったんですが、まさかの最後の最後でデータ全消えしまして...
やる気を失いつつもなんとか仕上げましたw


ではここで、ブラッド・ハウンド隊、アルファ、ツヴァイ中隊の戦力をどうぞ

ツヴァイ中隊
九七式中戦車改×3
一式中戦車×1
三式中戦車×1
三式砲戦車×1
四式中戦車×1
五式中戦車×1
Ⅲ号戦車N型×1
ティーガーⅠ×1
計10

アルファ中隊
M26×1
T26E4×1
M4×3
M4A1 76(w)×1
M4A3E2×1
M18×1
M4A3×2
    計10

それでは次回もよろしくお願いします
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