時空管理局陸上警備隊第108部隊所属、アセルス二等陸士。これが私の仮の所属と階級らしい。なんか、組織っていろいろ面倒だね。
新暦75年の春。ミッドチルダ臨界第8空港近隣。廃棄され佇むだけの都市のビルから新たな物語は始まった。
魔法少女リリカルなのはStrikerS~紺碧の姫~。やっと始まります。
乾いた風が頬を撫でる。アセルスは陸戦魔導師Bランクへの昇格試験を受けるため、スタート地点にいる。私の後ろでは、ボーイッシュな蒼い髪の少女、そしてオレンジの髪が似合う少女が身体をほぐすようにストレッチをしている。
蒼い髪の彼女は、スバル=ナカジマ。昨日あったゲンヤ隊長の娘さんらしい。そしてオレンジの髪の彼女は、ティアナ=ランスター二等陸士。スバルとは古い付き合いらしい。
そんなこんなで軽い挨拶を交わした。
「私は、アセルス二等陸士。陸士108部隊所属です。よろしく」
なんかぎこちないな…ほんと苦手だよ。試験が終わるまで我慢我慢。そんなことを思っていたら、見事に二人は食いついた。
「えっ!!お父さん(ゲンヤさん)の部隊なんですか!?知りませんでした」
まぁその反応は正しいです。私は偽りなので。
「目立つのは苦手なんです。それよりも、今回の試験スリーマンセル(三人一組)での試験と伺ったのですが、見たところスバルはフロントアタッカー、ティアナはセンターガードに見えますが、相違はありませんね?」
私の言いたいことにティアナは気付いたようだ。鋭いな、この子。
「お互い、初対面ということだし、スキルを確認したいわけね?分かったわ」
そして3分ほどお互いの能力や、タイプの確認を取った。今回は、はやてにも言われたとおり、スバルがフロント、ティアナがセンター、私がフルバックとなる。ただ、強化系はほとんど使えないのに…はやて…覚悟しといてね。
ティアナが時間を確認する。そしてブザーがなり、空中にパネルが現れた。挨拶をしているのは…ってリイン空曹長ですか。試験監督やるんだ……少し笑いを堪えながら、説明を聞くことにした。
「おはようございます。さて!!魔導師試験を受ける受験者3人。揃ってますか~?」
リイン…なんか可愛いよ。二人は返事をしそうなので、合わせて返事をする。
「はい!!」
「確認しますね!時空管理局陸士386部隊所属のスバル=ナカジマ二等陸士」
「はい!!」
「ティアナ=ランスター二等陸士」
「はい!!」
「それに時空管理局陸士108部隊所属のアセルス二等陸士で間違いありませんか?」
「はい!!」
リイン、ちょっと笑ってる…他人の振りって難しいよね。
「保有している魔導師ランクは陸戦Cランク、本日受験するのは、陸戦魔導師Bランクへの昇格試験で間違いないですね~?」
「はい!!」
「間違いありません」
二人とも、真面目だね。私は苦手だから、ちょっとうらやましいな。
なんで羨ましいの?…なんか忘れてる…そんな気がする。
何か引っかかるが、今はリインの説明を聞かないと。
「本日の試験を担当するのは、わたくし、リインホースⅡ(ツヴァイ)空曹長です。よろしくですよ~」
そう言いながら敬礼するリイン。こちらも敬礼で返す。
「よろしくお願いします」
さてと、とにかく無事に終わりますように。
上空にヘリが一機。そこには、はやてとフェイトが居た。
「この二人が、はやてが見つけてきた二人?…はやて!ナカジマ隊長の娘さんだよね?スバルって」
「そうや、それにティアナって子と付き合いも長くて、相性もいいやろ。それに色々あるしな!この試験の結果で引き抜くつもりやから」
なのはちゃん、判断頼むで。
さてこちらは、試験の内容の説明中。ここからスタートして、各所に設置されたポイントターゲットを破壊。ダミーターゲットもあるらしいので注意が必要らしい。妨害攻撃はもちろんあるらしいので、気を付けつつ、全ターゲット破壊。制限時間内にゴールを目指すとのことだ。
「以上で説明は終わりますが、何か質問はありますですか?」
スバルは何か言いたそうにティアナを見るが、ティアナはスバルを見て「ありません」と答え、スバルも続けた。私もなかったが、はやてに条件を付けた。それは…
「ばれなきゃ大丈夫!!」
この約束があれば何とかなりそうだ……っと、そうこうするうちにライトが染まりそして消える。
「さぁ、みんな行くよ!!」
こうして思い思いの試験がスタートした。
最初のターゲットがどうやら前方のビルの中にあるらしい。そうこうするうちに、二人はビルへと登って行く。おきざりですか?
「アセルス!スバルと先行して叩くから!下のターゲットよろしく」
そういってスバルはガラスを破り中に入って行く。ティアナの姿も分からなくなったし。
「二人なら大丈夫だと思うし…準備運動をかねてやりますか」
「フォートレス、セットアップ」
待機状態(指輪)のフォートレスを機動させる。まだ慣れないな、このバリアジャケット…
「さて、サーチャーもないし。ばれなきゃ大丈夫だし…」
そういって、ポイントターゲットを守るスフィアとの距離を一気に詰める。こちらに気付いたスフィアが砲撃してきたが、すぐにスライディングで回避、そのまま破壊した。すぐさま起き上がると、回し蹴りと、裏拳のコンビネーションによりたちまちスフィアとポイントターゲットはスクラップとなった。
「派手にやりすぎたかな?」
自分に疑問を投げかけながらも、合流ポイントへと向かった。
「二人とも、大丈夫?」
二人とも大丈夫そうだが、びっくりしている。ああ、バリアジャケットか…
「なにそのジャケット…凄く綺麗…」
「関心してる時じゃないよ、二人とも!」
周りを見てみると、スフィアの残骸がたくさんある。二人とも相性はもちろん伸びそうだな。
「ところで次は真上なはずだけど、どうする?」
ティアナに相談を持ちかける。一人で突破は簡単だけど、二人の前ではフルバックだし、色々秘密にしないと。
「集中砲火をなんとか回避したい。だからここはオプティックハイドを使ってのクロスシフトで瞬殺。いい?」
「了解!!」
そういって二人の姿が消える。オプティックハイドか……結構便利そう。
「二人のバックアップも大変だよ、ほんとに」
アセルスの姿も消え、違う道で上がっていった。
天井にティアナのアンカーガンからのアンカーが刺さり、下からあがってくる。それにスフィアは気付き、集中砲火を仕掛けてきた。しかしそこにはアンカーガンしかない。そして掛け声とともに、音が近づく。
5
4
スフィアが落ちていく。ローラー音と共に。
3
そして音の正体が姿を表す。スバルだ。スフィアはスバルに気付く。だがスバルは止まらない。そして、カートリッジをロードする。
2
スフィアから砲撃が来る。が、彼女は被弾することなく避け、弾く。
1
そして、おもいっきり踏切、高く跳んだ。同時に魔力スフィアを3発形成したティアナの姿が。
0。時は満ちたようだ。
「クロスファイアー」
「リボルバー」
「「シューーーート!!!」」
彼女たちのクロスシフトで、スフィアは殲滅。
できたかに見えた。しかし、忘れてはいけない。今回はスリーマンセル。スフィアの数も多いのだ。少しの安堵が油断となり、二人は気付かない。そして物陰から今まさに砲撃を開始しようとするスフィアが三体が躍り出た。
「ティア!危ない!!」
とっさに気付いたスバルはティアナに声をかける。だが二人ともクロスシフトの影響か少し疲れていた。とっさには回避できない。
しまった。やられる…
「秘められし力を解放せん。祖は力の象徴なり。出でよ」
剣のカードに魔力を込め、スフィアに投げた。詠唱が完了すると剣3本がそれぞれスフィアを貫いていた。
「二人とも、油断大敵。だね」
私はオプティックハイドを解除し、二人の前に。試験用だし、出し惜しみは駄目だね。
「助かった~ありがとうアセルス~」
「ありがとう。助かったわ」
「二人のバックアップだからね、気にしないで」
礼を言う二人だが、どうやら剣について聞きたそうだ。
「あの剣は、アセルスの?」
やっぱりか。あんまり答えることできないしなぁ……そうだ困ったらこう言えばいいって言われたこと思い出した。
「とりあえず、今は時間がないよ。まぁはぐらかすのもだから、簡単に言うと、他の人とちょっと違うんだ。だからね」
納得できないかもしれないけど許してね。二人とも。
「なかなか伸びそうだね。アセルスはともかくこの二人、いい動きしてるよ。」
「そうやろ!!フルバックでアセルスも上手いことやってくれとるし、二人とも狙いどおりや」
二人は率直な感想を述べる。そしてこれをモニターで観察していたなのはも、どこか嬉しそうだ。
「さて、残すは最終関門だね。大型スフィア。今の二人には難しい相手かもしれないけど。それにはやて、やっぱりやり過ぎじゃあ……」
とても心配そうなフェイト。一体何が。それは、この御方のせいである。
「大丈夫やて!スリーマンセルなら一体なら余裕やろ。だから今回は……」
悪だくみが好きな部隊長八神はやて。大丈夫か機動六課。
囮に使ったアンカーガンを回収していたティアナの後ろでスバルが「ティアは本番強いな~」って言いながら滑っている。
「うっさいわよ。さっさと片付けて次に行く…はっ!?」
スバルの背後に大型のスフィアを確認した。まずい、スバルが……私は駆けだした。
「スバル!!防御!!」
間一髪砲撃を回避。そのまま両サイドに走り出した。
「くっ!!」
走りながら、一発スフィアに打ち込む。そのとき、床の隙間に足がかかり、捻挫してしまった。
「くっうう…」
スバルが叫んでるけど、今はそれどころじゃない。身体を回転させ砲撃を回避する。そして壁の隙間からスフィアへの射撃。しかし後で知ったのだが、監視用サーチャーに流れ弾が当たってしまっていた。
このときサーチャーが壊れたため、なのはが動くこととなった。念の為…バリアジャケットを展開して。
「ティア!」
「騒がないで、なんでもないから」
嘘を付いていることはスバルには分かったようだ。まぁ私が見ても嘘だって分かるくらい足首が腫れているんだけど…痛っ。
「捻挫してんでしょう?」
「だから何にもないって。くぅ…」
やっぱり立ち上がれない。結構重症かな……
「ごめん。油断してた。私が油断してなかったら、こんなことには…」
ったくこのスバルはどうしてこうなんだか……
「ほんとに謝ってばかりね。いつもの事でしょ。これくらい平気よ!」
強がってみたけど、これじゃあゴールは無理ね。なんとかスバルとアセルスだけでも。
「ティアナ。あなたも一緒じゃないと、意味がないですよ。それに、フルバックの役目を果たさないと」
そういってアセルスは私の足首に手をかざす。見たことのない、法陣が展開される。
「癒しの光よ。スターライトヒール」
暖かい。まるで太陽の光に包まれるような柔らかな光。そして光が引くと、腫れは無くなっていた。
「アセルス…ほんと凄いわね。」
「未熟だから、効果は完全じゃないけど、なんとかやれそう?」
2,3回足首を動かし、確かめる。少し痛みがあるが、我慢できそうだ。
「心配かけて、ごめん。三人で絶対ゴールするわよ!」
「「「了解!!!!」」」
≪作戦は説明した通り。スバル、こっちはあんまり長く持たないから、一発で仕留めなさいよ≫
≪任せといて。ティア≫
時間がない…行くわよ。瓦礫の影に隠れて、ある魔法を使う。
フェイクシルエット
魔力をかなり使うけど陽動とかには最適なのよね。
≪スバル頼むわよ≫
案の定、スフィアはフェイクにに反応し、気を取られている。
そして、反対のビルの屋上には、スバルがいた。
私は器用じゃない。みんなみたいには上手くできない。でも、決めたんだ。あの人みたいになるんだって。負けない。強くなるんだ。何かを守れる自分になるんだって。
決意を言葉とし、拳を振り下ろす。
「ウイングローーーード!!!」
拳を床に叩きつけると、魔力光と同じ水色の道がスフィアがあるであろうビルへと到達する。しかしスフィアは気付き、スバルが来るであろう壁に注意を向ける。だが、ティアナのフェイクにより注意は逸らされた。
≪今よ、行って!!≫
スバルがカートリッジをロードした音が鳴り響き、突撃を開始する。
「いいいいいくぞーーーーー」
ローラーをフル回転させ、ウイングロードを全力で駆ける。そして壁を壊し内部へと侵入した。
「うおおおおお」
スフィアに渾身の右ストレートを繰り出す。しかし、スフィアは防御する。
「おおおおおおお!!!!」
私は構う事なく、拳を付きつける。
気迫とともに、カートリッジが二発ロードされる。そして、指が防御の中に。そして中から防御を破壊した。しかし、スフィアの反撃にをくらい、後ろに回避する。そして二発分がロードされ、法陣が展開される。
「これで、決める!!一撃必倒!!!」
「ディバイン・バスター!!!!」
振りぬかれた拳から、圧縮された砲撃が繰り出される。それは易々とスフィアを破壊したのだった。
二人とも凄いな。実力的には、苦しいのに。やっぱり相性抜群だね。ただ、このまま終わらせてくれそうにないんだよね。はやてのことだから。
≪二人とも、時間ないから急いで≫
そして、駆けだしていった。
ゴールで待つリインはいつ来るのかと、心配している。時間を再度確認し、再度前方を見ると、三人の姿が見えた。
「来たですね。時間もありますし、大丈夫でしょうです」
しかし、リインは知らなかった。知っていたのは、隊長達だけでリインは知らない。まだ大型スフィアがあることを。
「ティア大丈夫?」
スバルはティアを背負って走っている。やはり足は完全ではなかったみたいで、痛みが再発したみたいだ。とにかく、早くゴールして治療しないと。だがここに最後の罠があった。大型スフィアが背後に現れたのだ。
「やっぱりね。こんなことと思ったよ」
「あわわわ、あれなんですか~?」
はやてのやりそうなことは分かってたけど、これは卑怯だよ、はやて。このさい合格のためには、仕方ないか……それに、リインもパニック起こしてるし。
「二人とも、先に早く。あいつは私が仕留めるから」
「そんな無茶よ、私達でなんとかなったのに」
「今の二人は、満身創痍。はやくゴールすることが先決だよ。大丈夫、絶対に間に合わせるから」
二人をなんとか納得させ先に行かせる。だが、この大型スフィアの様子はおかしかった。この魔力量は…さっきの奴とは全然違う。しかも、私を狙っていない。そう、この狂ってしまったスフィアは、二人を狙っている。
≪二人とも、避けて≫
二人はどうやら寸前に回避できた。だが、スピードを落とさせるわけにはいかない。もう一枚を使うしかないみたいだね。ごめんシャーリー。
「秘められし力を解放せん。祖は守りの象徴なり。出でよ」
もう一枚の盾が描かれたカードに魔力を込め、二人に投げる。二人の背後に、盾が出現し、二度目の砲撃を防いだ。
「さて、悪い子にはお仕置きしなきゃ」
壁を蹴り瓦礫を間を縫って三角飛びの容量で、魔力攻撃箇所を破壊する。そして、背後に回り込み、掌をスフィアに密着させる。純白の小手が淡い光を帯びた。
「終わりだよ!」
内部に気を送り内部からの破壊……「短剄」。最近の模擬戦で閃いたものだ。
狂ったスフィアは爆散。やれやれと思い時間を確認すると、もう10秒しかない。ゴールをみれば、二人が何故かネットに絡まっている。止まる事考えてなかったのか。
「仕方ないね。私もあの二人と一緒の罰を受けますか」
[Sonic Move]
10秒かっちりに私はゴールし、そのままネットへと突っ込んだのだった。その後、三人そろって、リイン空曹長に怒られたのは言うまでもない。それにスバルとティアにも色々聞かれることとなり、まだ誤魔化す必要があったため、大変だった。
でも、スバルとなのは隊長との出会いも聞けたし良かったかな。
≪はやて、覚悟しててね≫
≪ちょっ、アセルス、あれは違うって。あんな強いの置くわけないやん≫
ちょっと本当っぽいけど、まぁあとでお仕置きだね。でも、そうなら原因は一体なんなのか。手がかりになりそうな、スフィアを爆散させてしまった、少し抜けた一面をも見せるアセルスだった。