魔法少女リリカルなのは 紺碧の姫   作:mom

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再来

「思ったより怪我はひどくなさそうですぅ」

 

 治療が終わり、リィンはなのはに報告。アセルスの応急処置もあり、こうして軽傷で済んだ。

 

 

「アセルスさんも訓練の成果ばっちり出てるです。さてと、アセルスさんも含めて説教はしましたし、帰りますですよ」

 

 説教は当然の事だと言いたげに言い終えると、一つ敬礼をして、なのはの前に立った。

 

「なのはさん、以上で報告おわりですぅ」

 

「リインもお疲れさま。ちゃんと試験監できてたよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 嬉しそうに回るリインを見て、なんか疲れも吹き飛んだように感じる。なのはも試験会場の準備や不慮の事態への対応に気を張り詰めたままで、疲労が溜まっていたようだ。

 

「にゃははは……とりあえず、みんな今日はお疲れ様。試験の結果はまた後日に私から通達します」

 

 二人とも、これからがほんと楽しみだな……。そんな感想を内に試験会場から帰って行く二人を見送り、アセルスと話すことにした。

 

「アセルス、お疲れ様。どうだった、あの二人?」

 

「二人ともまだまだ荒いけど、コンビとしては凄く能力高いと思う。それに伸びるよ、かなり」

 

 やっぱりアセルスも同意見みたい。これから教導楽しみだな。

 

「データも整理できたし、帰ろっか。あっ!まだアセルスのことは秘密だったね」

 

「なのはさん。気を付けてくださいよ。偽るの大変なんです」

 

「プライベートでは、なのはでいいよ。アセルス」

 

 そういって額に軽くKissを落とす。あっ、慌ててる。なんか新鮮だな……慌ててるアセルス。いつも白薔薇姫といちゃいちゃしてるのに。

 

「なのは……私には白薔薇が……」

 

 む…なんか妬けちゃうな。私にはフェイトちゃんがいるけど、アセルスにもなんか魅力的なものあるし……

 

「なのはさん!!アセルスさん!!惚気てる場合じゃありません!!!もぅ……先に帰りますですよ?」

 

 

 心の中では必死に謝るなのはとアセルスにどこか頬を赤らめるリィンの姿に二人がまた可愛いと表情が緩むのは必至だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なのはさん、覚えてくれてたんだ。それに、なのはさんに憧れてここまで来たってことも言えた!」

 

 テンションMAX。ティアが絶賛溜め息、呆れてる。ひどいよ、ティア~。

 

「うっさい、スバル。とにかく、最後の暴走の減点痛すぎよ!!もぅ……落ちたらどうすんのよ!!」

 

 ティアが足を捻挫しなかったら、こんなことには……なんて言えない。絶対。

 

「きっと大丈夫……だよ」

 

 気にしてても仕方ないよね。うん、帰ろう。結構大変だったし、早く帰ろう。止めていた足を繰り出したそのときだった。

 

 

 

 

 ここに居たか。覚悟!!

 

 

 どこからか、声が聞こえた。そして後ろを振り返ると同時に、三人の居た場所に、結界が展開されていた。

 

 

 

 

 

 

 試験の内容について、フェイトちゃんと会話してる最中やった。訓練スペースにできたあの結界がまた現れたんや。

 

「フェイトちゃん!あれって、訓練スペースのときの結界とちゃうか?」

 

「たぶん、そうだと思う。でも、なんでここに?」

 

 なんで、こんなところに結界が……こんなところ狙っても仕方ないやろし。いや、アセルス?多分そうだ。アセルスを狙ってる。

 

 

「こちら、ロングアーチ00。ロングアーチ、聞こえる?」

 

「はやてか。どうやらそちらに、従騎士が来たようだな」

 

 従騎士?もしかしてあの結界の正体!?

 

「我らの元いた世界から、アセルスを倒し、白薔薇姫様を連れ戻そうとする騎士たちだ。このまえは炎の従騎士だったはずだ」

 

 詳しい話を聞いてなかったから分からんかったけど、こういうことやったんか。なるほど。

 

「その結界に関与できるのは、妖魔だけだ。中には誰が?」

 

「多分、アセルスとなのはちゃんとリインが中に」

 

 モニター越しにイルドゥンと白薔薇姫が笑ってる。笑いごっちゃないで。

 

「心配しないでください、はやて様。アセルス様には十分教育しておりますので。それにフェイト様も安心しています」

 

 横を見ると確かに心配してなさそうな、フェイトちゃんが。

 

「はやて、大丈夫だよ。あの三人なら、そうそう負けやしないよ。オールラウンダーに最強のセンター、そして、はやての大事な家族だって一緒だからね!」

 

 たしかに。心配しすぎやったな。連絡はとれへんけど、きっと、大丈夫や。

 

「三人とも、無事に帰ってきてや」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この感じは、前にも経験した。あのときだ。白薔薇を連れていこうとした。あいつの時と一緒だ。また白薔薇を狙ってるの…?嫌だ。絶対に白薔薇は渡さない。感情がいやでも高ぶる。駄目!抑えないと。少し深呼吸して、気持ちを落ち着かせる。よし、大丈夫だ。

 

「アセルス、これって…映像で見たのと同じ?」

 

「多分そうです。奴らは白薔薇を狙って……」

 

 

 いいや、今回はお前の命を頂く

 

 

「!!!???なんですか~今の声は~」

 

 リインが慌てるのと同時に、声の主が現れた。

 

 

 

 我は、水の従騎士。お前の命、貰い受ける!

 

 

「簡単にそうですかってやられるわけにはいかないよ!!なのは、リイン、力を貸して!!」

 

「もちろん!!こんなところで死ぬわけにはいかないよ!」

 

「私もですよ!!」

 

 

 視線で合図し、三人はバリアジャケットを装着する。ソルとルナは今は手元にない。今はフォートレスでやるしかない。

 

≪なのは、リイン。殺るしかないよ≫

 

 二人とも、戸惑ってる。多分二人の正義なんだろうな。

 

≪ごめん、二人とも。私が止めを刺すから、二人は動きを止めて!!≫

 

≪ごめん、アセルス。こっちは任せて≫

 

≪アセルスさん、お願いしますです≫

 

 そうして、フォートレスの設定を殺傷に変更する。貴様は塵一つこの世には残さないからね。

 

 

「さぁ、いくですよ」

 

 古代ベルカ式の法陣を展開するリインは自らも一部ともいえるストレージデバイス「蒼天の書」を開き、相対する。

 

「フリジットダガー」

 

 リインの眼前に30本以上の水色の短剣が現れる。そしてそれらは、従騎士へと飛翔した。

 

「小癪な!!!」

 

 従騎士は盾と剣を使い、飛来する短剣を次々に撃ち落としていく。だが、盾に刺さった短剣の周りは名の如く凍結が始まっている。

 

 

 その攻防から少し距離を置いて、なのはは機会をうかがっていた。

 

「アクセルシューター、ワンショットで精密射撃。いくよ!!」

 

[Accel Shooter]

 

 普段より大きいアクセルシューターが打ち出される。放たれた弾丸は寸分の狂いもなく、盾に刺さった短剣を捉えた。そして、その衝撃に耐えることのできない盾は無残にも砕け散った。

 

「おのれぇええ!!!」

 

 まさか人間如きにここまでされるとは思わなかったのだろう。怒声と共に、なのはに突っ込んでいく。だが……

 

「油断しすぎだよ」

 

 なのはに向かって走る、従騎士の前に宙返りで割りこみ、そのまま角にかかと落とし。あびせ蹴りでそのまま角を折ってやった。あまりに単調な攻撃の為に相手の強さをうかがってしまう。だが従騎士の名は伊達ではない。怒りを通り越し逆に冷静になった水の従騎士たる敵は水を使うことを始めた。

 

「水が、やつの周りに…一体なにを」

 

 何もなかった地面から突如、水が湧き出し、従騎士の周りに円状の水溜まりが形成された。

 

 

 

 ここまでコケにされたのは、はじめてだぞ、人間ども!!!!楽には殺さんからな!!!」

 

 

 剣を振り上げると、水溜りから、水球が形成される。そして無数の水球が一つ一つ意思を持つかのように縦横無尽に襲う水撃だ。

 

 

 

 狙いはもちろん、リインだった。だが、考えが単調すぎたようだ。アセルス、そしてなのはにも読まれていた。

 

「リイン、私の後ろに。なのは!!リイン!!任せるよ!!!」

 

 気を練り、魔力と混ぜ、障壁を展開するプロテクション。魔力が足りない分、気功で補うことにより、強度や、凡庸性が増した。だがフォートレスを使っている場合しか、この強度は無理だが。

 

 なんとか水撃を防ぐことはできている。だが、水の従騎士は伊達ではなく、プロテクションにもヒビが見える。

 

「二人とも、早く……」

 

 

 

 結界面ギリギリの上空から機械音と共に薬莢が二発分排出される。それは、アセルスが待ちわびていた反撃の始まり。

 

「チャージ完了!レイジングハート、ディバインバスターいくよ!」

 

[Divine Buster]

 

 魔力が高密度に凝縮される。そう……高町なのはが得意とするこの砲撃。

 

 

「ディバイーンバスターーーー」

 

 

 プロテクションが破られると同時に、桃色の巨大な魔力が従騎士を飲み込んでいく。流石に不意を突かれ、直撃の為、非殺傷とはいえ、意識を刈り取る寸前まで追い込んだ。

 

「逃がしません!!捕らえよ、凍てつく足枷!フリーレンフェッセルン」

 

 水の従騎士は最大のミスを犯した。リインの凍結魔法は周囲に水があれば、発生速度は上昇し、強度も増す。水さえなければ、まだなんとかなっていただろうが、一瞬にして、氷檻に固定された。

 

 ぬぅう、何たる失態

 

「へえ、まだ喋れるんだ。でも、言ったよね。塵も残さないって。」

 

 

 身体の中に確かなイメージが湧き上がる。アセルスには魔力の変換資質があるらしい。だからこのイメージが成り立つのだ。

 

 これでとどめだよ。

 

 右の小手が紅く燃え上がる。

 

「知ってる?冷めたものを急激に温めると、壊れやすくなるんだよね。だから、試してみようか。もちろん、貴様でな」

 

 

 脱兎のごとく駆け、正面に対峙、そして、その加速を利用した、正拳突きを放った。炎を纏った一撃、金剛神掌は、氷の中の騎士を捉えた瞬間、爆炎を放ち粉々に吹き飛ばした。

 

 

 

 

 

 

「まだ、生きてるなんて、さすが妖魔」

 

 残った騎士の頭を足で踏みつけて嫌味のひとつでも垂れる。

 

 貴様如きに。だが忘れるな。次の騎士が貴様等を……

 

ばらばらになった身体の他の部分が消滅していく。そして、残るは頭だ。

 

 

「では、言っておこう」

 

 

 私は、二人を見て頷く。そして…

 

 

「「「私達は負けない!!!」」」

 

 

 そうして、頭を踏みつぶした。

 

 

 

 

 

 従騎士が完全に消滅したことにより結界が解かれた。

 

「アセルスって、この時は、凄く恐いんだね……」

 

「なのはさん……リインも怖かったです…」

 

 

 青く染まった純白のドレスに身を包むアセルスは笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結界が発生してから、フェイトとはやては、結界近くで待機していた。すると、後ろから、スバルとティアナが来たようだ。

 

「スバル=ナカジマ二等陸士とティアナ=ランスター二等陸士だね。フェイト=T=ハラオウン執務管です。今は危険なので、二人とも、下がってて」

 

「せや、危ないし、怪我しとるやろ。ここは任せといてや!!」

 

 二人ともびっくりしてる。どうしたのかな?

 

「フェイト執務管!!、それに、八神はやて二等陸佐!!何故お二方がここに?」

 

 ティアナが慌てて尋ねる。そんなに緊張しなくてもいいのに。

 

「試験を見せてもらってたの。そしたら、急にこんなことになっちゃって」

 

 経緯を説明していると、急に結界が解除され、そこには青に染まり、笑うアセルスと少し困っている、なのはとリインがいた。

 

「なのは、リイン、アセルス、無事だった?」

 

 なのはの元へと駆けよる。どうやら無事みたいだ。思わず抱きついてしまった。

 

「無事でよかった……」

 

「フェイトちゃん……ごめんね。心配かけて」

 

 リインもはやてのところに飛んでいった。やっぱり怖かったのだろうか?再びアセルスに視線をやると、バリアジャケットが解除されると同時に倒れる姿が目に。

 

「アセルス!!!」

 

 なのはが駆け寄り、支える。

 

「今の戦闘で魔力を使いきったみたい。とりあえず、検査だけでもしないと」

 

 結界中で一体何があったのだろうか。今は、治療と休憩が必要そうだ。

 

「スバルにティアナ。試験結果は三日後に伝えるから。アセルスのために時間頂戴ね」

 

 なのはがそう言うと、二人は敬礼して答える。

 

「了解しました」

 

「じゃあ二人とも、私達は、アセルスを病院に連れていくから、気を付けて帰ってね」

 

 そういってアセルスをヘリに乗せ、飛び立った。もちろん病院ではなく、機動六課にだが。

 

 

「私達って乗せてくれないんだね、ティア」

 

「我慢しなさい、スバル」

 

 

 

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