拙い文章でも目を通してくれている読者の皆様。
ありがとうございます。
文章を勉強して、良いものになんとかしていきたいですね。
フェイトは最近不思議な夢を見ていた。自分と瓜二つな私が話しかけてくるという夢。だがどこかに懐かしさを覚える夢だけに、気にはなっていた。
「やっぱり……あの子なのかな……」
言葉は沈黙に飲まれ、ベッドから立ち上がる。その横には愛しい者の姿が。ふっと頬を緩ませ、シャワーを浴びる為に部屋を後にした。
第一回模擬戦
逃走するターゲット8体の撃墜、または捕獲。これが今回のミッション。スターズの二人や、キャロに迷惑をかけないように頑張らないと。そう意気込むエリオ・モンディアルは愛機のストラーダをギュッと握り込む。どこか緊張しているのか、額には少しの汗が見られた。
「それじゃあ、第一回模擬戦、元気に行こうか!!ミッションスタート」
なのは隊長の合図と同時にターゲットが逃走を開始する。今回のターゲットは、接近すると攻撃をしてくるタイプらしい。
らしいのだが…
向こうから、スバルさんがガジェットを追いかけながら、魔力弾による撃墜を試みていた。しかし、逃走していた4機ともに簡単に避けられていた。
「なにこれ、速過ぎ!!」
確かに、速そうだ。だけど僕だってスピードには自信がある。逃走経路に陣取り、撃墜を試みる。ガジェットからの攻撃を確認と同時に跳躍、ビルを使い三角飛びの要領で回避、そしてストラーダを振りぬき、魔力刃を飛ばす。が、それもひらひらと舞う木の葉のように、簡単に避けられてしまった。
「全然当たらない……」
何度か追いかけて、攻撃を仕掛けるも、すべて避けられてしまった。絶対に当ててやると意気込んでしまい、スバルさんと躍起になって前に前にと追いかけてしまう。それを見かねたティアナさんから念話が来た。しまった……後ろとの距離を考えてなかった。
一度、スバルさんと合流することが先決みたいだ。追撃はあきらめ、一度スバルさんと連絡を取る。
≪スバルさん、この先のビルの下で合流します≫
≪OK、私も向かってるから≫
スバルさんもそのつもりだったようで、バックス組との合流を急ぐべきとの判断を取っていた。ミッションの残り時間も少ないので急いで合流地点へと足を進めた。
合流ポイントへの移動の最中、ビルの屋上から、追いついたティアナさんとキャロがガジェットに攻撃を仕掛けているのが見えた。
「ちびっこ、威力強化お願い」
「はい!ケリュケイオン」
[Boost up]
[Barret Power ]
キャロの補助により、ティアナの魔力弾が一回り大きくなった。眼下を走る4体のガジェットに狙いをつけ、強化された4発の弾丸を解き放った。オレンジの弾丸はターゲット目がけ正確に飛来する。だが着弾の寸前、4発の弾丸は打ち消された。
「バリア!?」
「違います、あれはフィールド系!!」
「魔力が消された!?」
三者三様の感想、意見を述べる。初見ではびっくりするのも無理はない。困惑する4人になのは隊長からの説明が入った。ガジェットには少々厄介な……魔力を打ち消すアンチ・マギリング・フィールド「AMF」。これがあると、魔力を上手く扱えないとのこと。なので、魔力が関係しているものは影響を受け、阻害されるとのことらしいので……どうやら遅かったようだ。合流前にスバルがガジェットを追いかけたらしく、AMFの影響を受け、綺麗な前方三回転を決め、ビルにぶつかる。足場が消えたのが原因らしい。
「スバルさんーーーーー大丈夫ですか?」
「エリオ…なんとか…いたたた…」
どうやら実戦でもこんなやっかいな性質をもった敵を相手にしなくてはいけないとなると先が暗くなりそうだ。だがこれは思考のトレーニングでもある。予期せぬ状況でも決して諦めず打開策を講じる為の。4人それぞれが生き抜く為に必要なスキルなのだ。
ティアナとキャロはお互いに思うところがあるらしく、閃きの確認をしていた。それをエリオとスバルに通達。
≪スバル、あいつらの足どめお願い≫
≪了解!エリオ、先にあいつらの足止めお願いできる?≫
正直、あまり考えがまとまっていなかったエリオは困惑している。だけど、ティアさんがなにか考えてくれてるみたいだし、ここはなんとか足止めをしなきゃ。
≪なんとかやってみます≫
どうやらこの近くに空中で繋がったビルの廊下がある。それを利用すれば足止めもできるはずだ。幸い、そのポイントはすぐに発見でき、ガジェットが到達する前に用意することができた。するとスバルさんも遅れながらやってきた。
「エリオ!前衛二人で足止め頑張ろ!!」
スバルさん……そうですよね!
「はい!!!!」
元気よく返事を返すと同時に、ストラーダにカートリッジをロードさせる。
「ストラーダ!カートリッジロード」
[Explosion]
カートリッジがロードされると、魔力が溢れだす。ストラーダを風車の如く回転させ、勢いのままビルを破壊する。崩れるビルの残骸に、うまくガジェットを巻き込むことができた。
「まだ残ってる!!!スバルさん」
瓦礫から難を逃れたガジェット逃走を続ける。しかし、二度も失敗を続ける者をいない。頭上を越えて逃走しようとするが、そこにスバルが割って入った。力任せに殴りつけ、たたき落とす。だがAMFの影響か、破壊することには至らない。
「なら…」
これまたフランケンシュタイナーよろしくとばかりに、足でガジェットを地面に叩き付ける。そして今度は直接殴りつける。ジワリジワリと装甲を貫通、そして破壊した。
「スバルさん!!すごいです。足止めも成功ですね」
「エリオも良かったよ!」
二人で拳をこつんと合わせる。その瞬間……
5機の新たなガジェットが現れ、そのまま二人を追い越して行った。
「しまった!?」
その方向はバックス組の方角。早く追いかけなければ、二人にこの数は多すぎる。二人して疲労困憊のなか、バックスの二人を援護すべく駆けだしていった。
エリオ達が足止めをしてくれたおかげで、バックス二人はそれぞれ試したいことの準備ができていた。
「ティアナさん、先に仕掛けます」
ティアナに告げると、幼き召喚士は使役竜「フリードリヒ」に命じる。
「フリード!ブラストフレア」
幼き竜は口元に火炎球を形成していき、いまや限界を迎えたと見るや命令を下す。
「ファイア!!」
真下を逃走するガジェットに火球が迫り、地面に直撃する。その後火球は地面を火の海へと変えた。火炎に巻き込まれたガジェットは耐えることができず、そのまま爆散した。だが全てを爆散させることはできず、数体は上空へ逃げようとする。
だが……
「我が求めるは、戒める物、捕える物。言の葉に答えよ。鋼鉄の縛鎖。錬鉄召喚、アルケミックチェーン!!」
ガジェットの真下に法陣が展開されると、まるで生きているかのような鎖が現れ…ガジェットを捕えていった。
それを見ていたなのは関心してしまう。器用だなこの子。無機物を召喚……それに無機物操作も組み合わせるなんて。フェイトちゃんも面白い子連れてきたね。
だがその竜召喚士のとなりではさらに、驚くべきことを今まさに成そうとしていた。
「射撃型が、射撃が通じないからって引き下がるわけにはいかないのよ!!!」
カートリッジをロード、魔力弾を形成する。
「ティアナさん!魔力弾は通用しませんでしたよ!!」
「いいから黙って見てなさい!!」
本命の魔力弾がAMFを抜けるまで…通り抜けるまでの間、本命を保護する魔力の膜を……
イメージ…集中。集中。集中。固まれ…固まれ…固まれ…!!!
裂帛の気迫が多重弾殻を完成させる。そして逃げ続けるガジェットに止めを刺さんがため……
「ヴァリアブルシュート!!!」
放たれた弾丸はガジェットに着弾するもAMFに阻まれる。しかし、本命を包んだ魔力を無効化する間にAMFを突き進み続け、本命の魔力弾はガジェットを貫通、奥に居たもう一体のガジェットも貫いた。
「本当はAAランク魔導師の技術なんだけどな…みんな鍛えがいがあるよ」
模擬戦を眺めていたなのははつくづく感心していた。だが、ここでイレギュラーな事態が発生した。これでミッションコンプリートのはずだったが、まだ5機残っていた。当然この5機についての情報は何もなく、慌ててシャーリーに確認をとる。
「シャーリー!この5機は!?」
どうやらシャーリーも慌てているようだが、きちんと情報は伝えるあたりは流石といったところか。
「なのはさん、これは……新型です。性能はもちろんですが、破壊しようとした職員が数名負傷しています。……!?なのはさん、このままだとバックス二人にエンカウントします!」
新型……機動六課直々に送り込んでくるなんて。それに性能が上がってるとなると……フォワードのみんなが危ない。
「シャーリー!!エンカウントまでの時間は!?」
「もう30秒もありません!!それに二人とも疲労してます……」
まずい……このままじゃあ怪我だけではすまない。ガジェットのAMFに自分たちの精一杯を振り絞って、撃破に至った新人達には荷が重い。職員達が突破されたとなれば尚更接触させる訳にはいかないのだ。だが無情にもエンカウントまでの時間は近づいてくる。急いでバリアジャケットを展開し、今飛び立とうとするが……
「シャーリー、データ送信、お願い!」
「準備で来てます。受け取って下さい」
迫る気配に気付き、直ぐに作戦を練り直し、実行する。私が向かうより、この気配の主に託すほうが可能性は十分にあるから。そう判断すれば、シャーリーも分かっていますとばかりに準備を整え、実行に移した。
市街地を駆ける紅い閃光……訓練に参加する為に駆けてきたアセルスに。
≪アセルス!!今の状況分かってる!?≫
≪なのは隊長、シャーリーから情報は貰ってます。あの5機を止めればいいんでしょ?≫
≪そう、新型だし、データは何とかするから…全力で破壊して!!!≫
≪了解≫
現在のフォワードの実力では到底太刀打ちできない。疲労しているなら尚更である。だから……紅き姫は全速力で、新型へと駆けて行った。
見えた。あそこにティアナとキャロがいる。二人とも疲弊しきっているようで壁にもたれ掛り、肩で息をしている。そんな状況では当然太刀打ちできない。
≪アセルス、AMFに気を付けて!!魔力弾は無効化されるから!≫
≪了解です。なのは隊長≫
AMF……一体どんなものなのか分からないけど、やるしかないね。
≪ティアナ!大丈夫?そっちに新型ガジェットが三体向かってる!!殺傷行動にでる恐れがあるから、そこで動かないで!!≫
≪あなた…アセルスなの?いままで何してたの?それより新型って≫
≪詳しいことは後で。エンカウント≫
軽い念話を終えると、視界に三体を捕捉する。
「見つけた。さぁ……いくよ、ルナ、ソル!」
返事の変わりにコアを輝かせる二丁の相棒を構え、魔力弾を放ちながら距離を詰める。AMFがどのようなものか確認の為に撃ってはみたが、情報どおりAMFにより無効化される。それにはティアナが魔力弾は通用しないって怒っているが……
「やっぱり、魔力弾はきついか……それじゃあ」
ルナ、ソルからロードせずそのまま詰めておいた魔力を打ち出す。小気味良い音と共に2発。トリガーもいつも通りの軽さだ。圧縮された魔力弾は新型へと飛来…そしてAMFを貫通。どうやらこの方法はAMFにも通用するらしい。それを見ていたティアナは驚愕していたが。一体目を撃破した時、向こうからスバルとエリオがやってくるのが見えた。だが今は二人に話しかける暇もなく……
「次、いくよ!」
モードブレイズ。形態を双剣へと変更する。だがそのまま斬って壊すだけでは意味がない。気合いを込め、魔力を練る。アセルスを中心に少しずつだが、空気の渦が巻き始める。イルドゥンに教えてもらったこの技、試す価値はありそうだ。
跳躍……頂点に達したアセルスが振る刃は風を纏った魔力刃と化した。
「二刀烈風剣」
二本の魔力刃は一瞬で目標に到達、4当分に綺麗に切り裂いた。これを見たエリオもまた驚愕していた。
「まだまだ」
キャロやティアナがいるビルに攻撃しようとする新型が一体。私は躊躇なくスライディングと同時に蹴りあげ、跳躍し、スープレックス(スウィングDDT)。足で掴み、地面に叩き付けた。ここまで3体を瞬時に破壊したの見るや否や、残りの2機が逃亡を図る。だがこちらも逃がすわけにはいかない。こちらの術が通用するのかデータを取らなくては。
詠唱を開始。紅き法陣が展開される。
「光の焔よ、眼前の敵を焼き尽くせ!!!」
陽術 フラッシュファイア
光の爆炎がガジェットを飲み込んでいくが、魔力の量や資質的なものか、中心にいた一体は破壊することができたが、最期の一体はかろうじて難を逃れていた。
「まだまだ、威力に難ありか…さて、最期はと……」
その声をかき消す轟音と建物を粉砕し、塵として巻き上げ消滅させる。天を貫くかの桜色の閃光がアセルス視界を遮った。見晴らしの良いビルの屋上に陣取りレイジングハートにマガジンを再装填するなのは。なのはの長距離狙撃により最後の一体は跡形もなく書滅した。
一瞬の出来事に凍りつくアセルスが我を取り戻すと、ティアナとなのは隊長がいた。
「なのは隊長……危ないじゃないですか!?」
「それはこっちのセリフよアセルス!!!今まで何してたのよ……ってそれよりも今のガジェットって……」
確かに、あのガジェットの事は気になる。そこになのは隊長が割って入る。
まぁまぁ二人とも。今は六課に戻ってデータ解析と会議が大切だよ。それに模擬戦だったし、みんな疲れも溜まってると思うんだ。だからこの件については明日ということで!」
その通りだ。みんな疲れているのが見てとれる。それに私も、病み上がりだ。
「アセルスは事務仕事溜まってるからやってね」
……えええっ!?
ショックのあまりに落ち込む私。そう、事務仕事は苦手なのだ。疲れ果てた4人(アセルスの実力を見せられ、落ち込み50%、疲労50%)と事務仕事に憂鬱になっている1人はとぼとぼと帰って行くのであった。
「アセルス!!あとで色々聞かせてもらうからね!!!」
「そうだよ、アセルス!!!」
「アセルスさん、色々教えてください!」
「私もお願いします!」
秘密にしていたことが明るみになると、こうなることは分かっていたが……
また、治療ポット送りになるのが怖くなるアセルスだった。
一方
「アセルスの馬鹿ーー!!ここまで壊すことないでしょう!!!」
原因は、フラッシュファイア。広域に広がる爆炎によりところどころが故障している。
「データは取れたけど、修理する側の身になってよーーーー!!!!」
「それになのはさんもーーーーー!!!」
シャーリーの叫びが木霊するなか、第一回模擬戦は幕を閉じた。だが新型のガジェットの件など、謎が残る一日となった。
「なのはさん、最期、やりすぎでしょう?」
「ちょっと遠かったから力入れ過ぎちゃった」
舌をだしておどけるなのはの姿にどこかドキッとするアセルスは顔を紅く染め、事務仕事をこなすのだった。
「疲れた……」
アセルスが何故こんなにも疲れているのか……それは前回の模擬戦での出来事が原因であるのは言うまでもない。みんなには黙ってたからこうなることは分かってたはいたことだが、模擬戦のあと溜まりに溜まった書類を片付け、睡眠を取ろうとした時、FW4人に捉まり質問攻めにあっていた。
「だから、言ってるでしょ……黙ってたのは悪かったって」
そうこうしながらも1時間以上は捉まっていた。結果だけ言えば、今までのことを話した。妖魔についてはまだ触れていないが。
「最後に!私のことはアセルスでいいから。同じチームなんだし。よろしくね、4人とも」
「!!!!????」
4人がともに顔を赤らめる。そうこの姫は少々天然なのだ。だが本人はこの力に気が付いているわけもなく……
「みんな可笑しいな……よろしくね」
「よろしく……」
そんなこんなで私はやっと睡眠を取る事ができた。
~~~屋外訓練場~~~
「うわぁああ…」
フォワード達が間抜けな声を出しているがそれは目の前の出来事が原因である。
「ほらアセルス!そんなことじゃ魔力が持たないよ!!もっと感じて、動いて!!!」
数えるのが億劫になるほどのシューターがアセルスに降り注ぐ。ロールで避けたり、ビルを三角飛びで駆けあがったりでアセルスは何とか、避けつつ接近を試みるのだが……
「ほら、回避した後のこと考えてない!!!」
背後の建物からシューターが飛び出してきた。
「くっ、ソル!!!」
[Protection]
シューターを間一髪で防御することに成功したのだが……
背後にチャージを終えた、なのはさんがいた。
「いつの間に!?」
「アセルス、高速戦も私だってできるんだよ。だからね……」
ものすごい笑みを浮かべるなのは。しかしそれを見ているアセルス、そして4人は顔から汗を流す。
「まだまだ訓練不足だよ!!!」
[Divine Buster]
万人が落ちるであろう頬笑みとともに放たれた零距離からの砲撃をアセルスが耐えられるわけもなく
「きゃーーーーーぁあ」
ビルを4棟突き抜けたところでようやくアセルスが止まった。
………この訓練何?
フォワード達の早朝訓練の休憩中に行われていた、アセルスとなのはさんの模擬戦。ただ模擬戦と言えるのか分からないくらいのやられっぷりだった。
「さぁ、みんな!早朝訓練のラスト一本。みんな頑張れる?」
「はっ、はい!!!」
内心、みんな冷や汗なはずだ。そのせいか、顔が若干ひきつっている。
「よし!じゃあラスト一本!!シュートインベージョンやるよ。5分間完全回避か、私に一本入れることができれば終了。みんな頑張ろう!!」
今さっきのことを思うととてもじゃないけど、5分間避け続けるなんて無理だよ。それにみんなも同じ意見だったみたい。
「みんな、聞くまでもないけど、なんとかして一発入れるわよ!!目標2分以内。分かっ…ってアセルス、大丈夫なの?」
あっ、アセルス。あんだけブッ飛ばされてたのに、タフネスだね。
「なんとか…でも私も避けきるの無理。だからティアの意見に賛成だ。それに借りは返さないとね……」
ルナとソルを構え、笑みを浮かべるアセルスを見て全員は思ったに違いない。
凄く恐いよ…アセルス。
「ほら、話はここまで、来るわよ!!全員、散回、完全回避!!」
「了解!!!」
なのはのシューターが飛来するのをかわきりに、ラスト一本がスタートした。
まずは、スバルとティアナが仕掛ける。
ウィングロード……蒼き魔力道が無尽に展開される。滑走しなのはさんへと迫る。そしてちょうど反対側のビルからティアとの同時攻撃を行う。しかし、その攻撃はシューターによって防がれた……ように見えた。
シューターが二人を正確にとらえた瞬間、二人は霧散した。
「シルエット…やるね」
単純な攻撃は通用しない。そこでシルエットを用いて陽動をかけることにしたのだ。そして本命のスバルはというと……
「でやあああーーー」
頭上から一気に滑りおりそのまま殴りつける。だが相手はエースオブエース。簡単に防がれてしまった。
「うん、スバルもティアナも悪くないよ。二人ともいいコンビネーションだね」
褒めてもらったのは嬉しい……がなにかに気付き、とっさに後ろに飛び退く。そこにはシルエットを攻撃していたシューターが先ほどいた場所を高速で通過していた。
これといった作戦もなく、いったん後退して、なんとか機会を伺わことに切り替え、すぐさま行動を開始する。しかし前に出過ぎていたスバルはシューターに追われ、辛うじて逃げているといった状態だ。
≪ティア、援護お願い!≫
≪スバル、出すぎよ!!こっちの身にもなってよね!!!≫
シューターに追われるスバルを援護すべく、カートリッジをロードしようとしたその時だった。
「ジャムった!?こんなときに」
急いで薬莢を取りだし、新しいカートリッジと交換し、すぐに撃墜する。ただスバルが「援護まだーーー??」って叫んでいたけど気にしない。
≪ごめん、こっちは失敗しちゃった。エリオ、キャロ、アセルス、後は任せるわよ≫
≪3人ともお願いね!!≫
≪わかったよ≫
「エリオ、キャロ、やるよ!」
「はい、アセルスさん」
「やりましょう」
手はずはこうだ。アセルスがなのはさんを追い込み、キャロがエリオにブースト、そのままエリオが突撃する。うん、なんて簡単なんだろう。
「アセルスさん…あの…」
エリオが凄く心配そうに話しかけてくる。そんなに心配かな?
いえ、貴女からでているオーラが恐いんです。
「二人とも、スバルとティアナが撃墜される前にけりをつけるよ。私がひきつけるから、後はお願い」
「なんとか頑張ります」
「了解です」
やっぱり緊張してるみたい…エリオやキャロなんて戦うような年齢じゃないよ……
いいえ、貴女のオーラにビビってるんです。
なのはさんが接近してくるまで、時間がない。……そうだ。キャロに近づくと、首にかけてある紫紺のペンダントを外し、キャロにかけてあげる。
「これは…?」
キャロが不思議そうに首を傾げている……うん、可愛いよ、キャロ。
「向こうの世界で作ってもらった物なんだけど、キャロにあげるよ。お守り代わりに持っててくれたらうれしいな」
かけてもらった、ネックレスを見て、少し考えた後、服の内側にしまった。
「アセルスさん!大事にしますね!!」
満面の笑みを浮かべて、頭を下げて感謝していると、そこに、シューターが割って入ってきた。
≪へぇー、そんなことしてる余裕あるんだ…≫
エリオとキャロの心の汗は滝のようだろう。死の宣告が突然やってきたかのように感じるこの一言。しかし、俄然やる気な方がここに1名。そう、アセルスである。
「さっきの借りは返させてもらうよ」
回避したシューターをすぐさま撃墜すると、一気に距離を詰めていった。それを見ていた二人はというと……
「あははは・・・」
笑っていた。
二人は予め打ち合わせしたポイントへ移動することとなった。シューターに気を配りながら移動になると思われたが、完全にアセルスさんに引きつけられた形になっていて、無事に移動することができた。
そのころ…
「シューーーート!!」
ざっと見て20はあるであろうシューターがアセルスを撃墜せんがために、飛来する。さっきは回避して失敗したけど、次は全部撃ち落とす!!!
「ルナ、ソル、いくよ!!」
発砲音と共に、射撃が開始される。精密射撃と反応射撃を繰り返し、なのはへの牽制とシューターの撃墜に全力を注ぐ。切れそうになる魔力をカートリッジで補い、次々とマガジン交換を行っていく。そのさまはまるで円舞曲。可憐に捌ききると、周辺はまた荒野を彷彿させる程、破壊されていた。
また、怒られる。こうなったら……
「なのはさんに八つ当たりだーーーーー」
とんでもない発言と共に、ブレイズへと変更し、なのはさんに斬りかかる。
激しい魔力のぶつかりあいにより、魔力が火花のようにが飛び散る。紅と桜が散るさまはどこか風情のあるものの様に感じられる。
「アセルス、また強くなったね!」
「また、私が怒られるじゃないですか!?」
「まぁまぁ、アセルスが悪いんだし」
「なのはさんの馬鹿ー!!!!」
縦に切りつけ、回転と同時になぎ払うように切りつける二刀十字斬。だが、やはり最強と謳われるシールドである。ただ押し込む程度にしかならなかった。
「八つ当たりは駄目だよ、アセルス!!」
なんだかんだで、またチャージを終えている。やばい……そう本能が告げる。
[Divine Buster]
またしても、桜色の巨大な魔力に飲まれていった。
そこには荒廃した土地しか残らなかった。
「ふう、やり過ぎちゃったかな…!?」
[Warning]
レイジングハートの警告とともに、焔を纏った、矢が飛んできた。
「これは、避けないと、抜かれちゃうな…」
ギリギリ、回避すると、飛来した方向を見る。そこには先ほどまで戦っていたアセルスがいた。
「シルエット…二回使うとは思わなかったよ」
ティアナがぎりぎり間に合ったようで、上手く事が進んでいる。あとは、もう少しでエリオ達のところに追い込める!!
モードアサルト
「シグナムさんを参考にやってみたけど、うまくいくとは思わなかったよ」
ルナとソルはグリップで連結し双刃の形態を取っている。それは弓として運用することも可能になっている。魔力の弦によって今すぐにでも、魔力矢を放てるのだ。
「これで、私の役目は最期だよ。はぁあああ」
右手に魔力を集中させる、焔の矢を完成させる。
弦を引き、そして放つ。
ソルとルナがこんなに高性能だなんて…感謝しなきゃ。
回避したばかりの、なのはさん目がけて、さらに、もう一発撃ち込む。予想通り、なのはさんは回避し、予定通りのポイントまで、誘導できた。
後は頼むよ……二人とも。
アセルスが追い込むと決めていたポイントで、事が起こるまでの時間を待つエリオと、キャロについに出番の時が回ってきた。どこか緊張を解そうと身体を動かす二人にはやはりあどけなさが感じられた。だが、二人の瞳には立派な意思が輝いていた。
「来たっ!!!キャロ!お願い」
「我が乞うは、疾風の翼。若き槍騎士に、駆け抜ける力を」
[Boost up Acceleration]
詠唱が完了すると同時にストラーダから推進力を得て突撃を開始する。アセルスさんが引きつけてくれたおかげで、まだこっちに気付いてない。
「でやあぁぁぁーーー!!!」
完全に不意を突いた形となって、なのはさんに激突することとなった。しかし……隊長の肩書、ましては「エースオブエース」は伊達ではない。
ほぼ無意識に近い状態で、防御に成功していた。「そんなっ!?」と言葉を漏らすもなんとかシールドを突破しようと試みそのまま数秒間の均衡が続くも、それは空しく終わり、爆発によって終わった。
よほどの衝撃だったのだろうか、体勢を立て直すが、後ろへ滑ってしまった。タイミングは完璧だったのに、まさか防がれるなんて……。土煙でまだなのはさんの姿は確認できていない。ただ油断せずに前をただじっと見ていた。
≪エリオ!≫
≪外した?≫
アセルスさんやティアナさんからの念話も来る……そして土煙の向こうになのはさんの姿が見えた。
「なっ、無傷!?」
驚くしかなかった。完全に不意打ちで、キャロの補助も使ってたのに……。咄嗟のシールドでさえ抜くことができないなんて。軽い絶望さえも感じる程、眼下のなのはには傷一つないように見えた。
「ミッションコンプリート。エリオ、そんな顔しないの!ちゃんと、シールドを抜けてたよ。ほら、ここ。破れてるでしょ」
なのはさんが指し示す場所をよく見てみると、穴が開いていた。よかった……
「やったーーー」
どうやら、無事に早朝訓練を終えることができてホッとしているようだ。
「はい、みんなお疲れさま。みんな動きも少しずつよくなってきてるよ」
機動六課の制服に着替えたなのはさんと一緒に反省会を開始する。みんな色々と感じることは多かったようだ。話の中ごろ、急にフリードが鳴いた。
「フリード、どうしたの?」
キャロが疑問に思ったようで、フリードに聞いてみた。
「そういえば…」
「なにか焦げたような…」
ティアナがきょろきょろ周りを見渡していると、何かに気付いたようだ。
「スバル、あんたのローラー!」
みんなげ視線を集めると、そこには明らかにショートして煙をあげるローラーがあった。
スバルさん、ちょっと落ち込んでるかな…
「ティアナのアンカーガンも結構厳しい?」
「はい、騙し騙しです…」
どうやら二人とものデバイスにガタが来ていたようだ。だが二人とも丁寧に手入れをしてきたためか、ここまでもったのだろう。
「そろそろ、みんな訓練にも慣れてきたようだし。うん、決めた」
新デバイスに切り替える時だね。
「みんな、そろそろ実戦用の新デバイスに切り替えするね」
「新…デバイス?」
「まぁまぁ…それは、後で実際に見てもらうから。いったん着替えてロビーに集合ね!」
「はい!!!」
後ろを振り返れば焦土と化した人工島があった。そこには泣くシャーリーの姿があったとか。
隊舎に帰ってる最中に、黒いスポーツカーに乗ったフェイトとはやてを見た。話によると、教会方面でカリムと話があるようだ。ちなみにカリムとは一応だが面識はある。
「ふぅ……シャーリーは頼んであったもの作ってくれてるかな?」
アセルスは独り言を終えると、制服に着替えロビーへと移動した。ロビーで集合を終えると、そのままデバイスルームへと。
「これが、私達のデバイス…」
「そうーーでーーーす!!」
シャーリー…元気だね、相変わらず……ってなんで睨むの!?
エリオとキャロは自分たちのデバイスみて変化はないかなっと率直な感想を述べる。しかしその意見は違いますですよと言わんばかりの声が聞こえた。はい、リィン。どうぞ。
「セリフ取らないでくださいよ、アセルスさん!!」
ぷんぷん怒りながらも、何故か可愛さしかみえない、リィン。うん、可愛い。
「もぅ……では説明しますですよ。以前のお二人のデバイスは最低限のフレームと、機能しか持たせていなかったんですぅ。でも今回は色々な内面を強化してるわけですよ。それに形状が変わらない分扱いやすいと思いますです」
「そうだったんだ…」
二人とも凄く驚いてる。私もそれを聞いたらびっくりするよ。
それぞれのデバイスを一度リィンが受け取ると、リィンからの助言を聞くこととなった。
「この子たちはまだみんな生まれたばかりですが、いろんな人の思いや願いが込められてて、いっぱい時間をかけてやっと完成したです。」
デバイスをそれぞれの持ち主へと優しく返していく。
「ただの道具や思わないで、大切に。でも、性能の限界まで思いっきり使ってあげて欲しいです」
わかってるよ。リィン。みんなだって分かってる。周りを見れば、みんなデバイスを優しくも決意を込めて握るのだった。
「そうぞう、この子たちには何段階かのリミッターをかけてあるの。だから初期では今までとはあまり変わらないかな」
「みんなが確実に扱えるようになったら、私や、フェイト隊長やリィン、シャーリーの判断で解除していくから」
「ちょうど一緒にレベルアップしていく感じですね」
「ちなみに、アセルスのデバイスにも掛かってるからね!」
初めて聞いたんですけど…
「アセルスのはちょっと特別でね…解除はかなり難しいと思うけど、アセルスが成長してくれば、なんとか外せると思うよ」
はぁ…そうだったんだ。
そこにティアナが思い出したかのように尋ねた。
「出力リミッターていうと、なのはさん達にもかかってますよね?」
「解除にも色々条件が厳しくてね。色々と大変なんだよ」
絶賛溜め息の中、和やかな雰囲気を斬り裂くようにアラートが鳴り響く。
「一級警戒体制!?」
「グリフィス君」
はやてがモニターに現れたと同時に説明が始まる。
「教会の方から出動命令です」
「こちらはやて。なのは隊長、フェイト隊長、グリフィス君、聞こえてる?」
返事を返しすぐに状況を確認する。どうやらレリックらしい物が見つかったらしい。山岳リニアレールで移動中にガジェットに襲われた模様。車両制御もガジェットにより奪われている。
「新型も出てくるかもしれん。それに数もなかなかや。ハードな初戦になるけど、いけるか?」
「大丈夫!」
「大丈夫だよ」
「みんなもいけるか?」
「はい!!!」
声を揃え判事を返す。
「現場はなのは、フェイト両隊長に、ロングアーチは私が戻るまでは、グリフィス君に指揮権を委ねます」
「それじゃ、機動六課FW部隊出動」
「はい!!!」
みんなが部屋を出ていくなか、アセルスはシャーリーに呼び止められた。
「はい、頼まれていたもの。白薔薇姫とイルドゥンが徹夜で完成させてくれたの」
シャーリーからカードとマガジンを受け取る。
「このマガジンに入ってるのは……」
「分かってる。こっちの世界は使用は駄目なんでしょ。大丈夫」
受け取ったカードとマガジンを収納すると、はやてから通信が入る。
「アセルス、今回は別行動や。白薔薇姫とイルドゥンの三人で、山岳にある廃墟の調査をお願いしたいんや」
一瞬、何故か聞こうとしたが、表情をみるかぎりなにかあるようだ。
「はやて、その裏は・・・」
「さすがやな。実は妖魔がまた現れる可能性があるんよ。最近微量ながらレーダーに反応が見られてる。だから方向も一緒やから調査を頼もうかと思ってお願いしたいんよ」
妖魔……まだ諦めていないのか。高ぶる感情を抑え、返事を返す。
「分かった、すぐに行く」
「頼むで、アセルス!」
通信を終えると後ろには二人が待っていた。
「久しぶりの実戦だな、アセルス」
「アセルス様、さぁ行きましょう」
一緒に戦うことができなかった二人と一緒に戦うことができる。うん、頑張ろう。そして成長ことを認めさせないとね。
「行くよ!二人とも」
そして、静かに山岳の廃墟へと向かうのだった。
「はやて部隊長…二人を行かせて良かったのですか?」
「二人がどうしてもって言うから仕方なかったんや。それに条件で、自由にさせるって約束してしもうたからな……」
「ですが、あの二人はもう、魔法すら使えないんですよ!!!」
「分かってる。でもな二人ともみすみす倒れるわけないよ。二人とも……強いんやからな」
不安は拭い切れない。しかしそれでも二人は信用して送り出すしかなかった。
アセルス様と一緒に現地での任務……あの日以来、裏方として支えて来ましたが、今回は一緒に居ることができます。
「アセルス様、もうすぐ目的の廃墟です」
ファーストアラートの後、私達ははやて様に頼まれていた、山岳の廃墟へと向かっていました。
「アセルス様、イルドゥン、なにか感じませんか?」
「ああ、これはそうですね」
「うん、妖魔だね……」
目前に迫った、廃墟から妖魔の気配が感じられる。水の従騎士と戦って以来、妖魔が現れたことはなかったが、ここ最近になってまた活動を開始したようだ。
≪アセルス様、突入の先陣お願いできますか?≫
≪わかったよ、フォローお願い≫
≪任せておけ≫
ルナとソルを構え、入口に張り付き、中の様子を伺う。しかし、ここにきてから、何も感じられなくなった。
妙だ……。湧き上がる疑問に今は答えを見出すこともできず、ただ廃墟の中に進むことで何かしらの答えが得られると信じて。そう、進むしかない。
≪二人とも、行くよ。3,2,1≫
3カウントと同時に中に突入し、索敵を行うもすでに、もぬけのからのようだ。しばらく中を捜すと、一台のパソコンのようなものがあった。
「二人とも…これは…?」
そこにやってきた白薔薇が操作を開始する。どうやらこっちにきてから慣れたようだ。もちろん文字も読めるようになっている。
「データはほとんど消されてますね…」
白薔薇が手際よくデータを解析している。そこに一つだけ残っていたデータを見つけた。
「っ!?アセルス様、どうやらレリックを狙っているのは、ガジェットだけではないかもしれません」
残っていた、データをこちらの端末に転送してくれた。データを見てみると、どうやら何者かが妖魔と接触している可能性があることが分かった。
「アセルス、白薔薇姫様、どうやら急ぐ必要がありそうだ。急いでリニアレールへ向かう」
「そうだね、みんなに妖魔の相手は……急ごう!!」
三人は頷くとすぐに、廃墟から出る。しかし……
3・2・1・0
轟音とともに廃墟は爆発。廃墟のあったと思われる場所は半球状に抉り取られ、姿を変えていた。
そしてそれを遠くから眺める影が。
「餌に直ぐに食いついてくるとは……愚かな」
その影はそのままリニアレールの方へと姿を消したのだった。
次回、初見で失敗を招く、あの方が登場します。