魔法少女リリカルなのは 紺碧の姫   作:mom

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和解

---屋外訓練場---

 

ついに始まってしまったあの模擬戦。私達が怒り、悲しみ、悔い、惑い、そして歩き始めたあの日。

 

今思えば懐かしく、絆を深めることにも繋がったあの日。ただあのころの私達にはその時の意味を知ることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「どうして二人ともこんなことするのかな」

 

下を向きただ言葉を紡ぐ、スターズ分隊長・高町なのは。その手からは赤い血が流れ落ちる。素手でスバルの拳を受け止め、ティアナの魔力刃を魔力を纏わず受け止めた代償。

 

「模擬戦で危ないことをしたら意味ないよ・・・私の教導何か間違ってる?遊びじゃないんだよ」

 

 二人ともから何も返事は返ってこない。スバルに至っては完全にテンパっている。ティアナもそうだ。だが彼女は止まれない。ただ自分の思いを吐露しながら……泣いていた。

 

「私は、もう迷惑を掛けたくないんです。もう……失敗して、誰かの足を引っ張りたくないんです。だから、だから、私はッ」

 

 魔力弾を形成し、なおも攻撃を続けようとするティアナ。だが、今回の模擬戦はーーーいや模擬戦と呼べるのだろうか。終わっていた。

 

 

「なんで、分かってくれないの。私が体験したあんな辛いことを味わってほしくないから……だから」

 

 

 なのはの目にも涙が見えた。二人の思いはまだ交差することはない。想いのベクトルは完全に逆を向いたままで。

 

 

 なのはの砲撃はティアナに行動を許すことも無く、圧倒的な力を持って意識を刈り取った。

 

「ティア!!!???」

 

 バインドで縛られていたスバルがウイングロード上に落下したティアナに駆け寄る。当然なのはに対して怒りを覚え、なのはを睨みつけている。だが、なのはは冷たく言い切った。

 

「ティアナにスバル、両者とも撃墜で模擬戦は終了。今日はスターズはこれまでとします。では解散」

 

 それ以上は何も告げることはなかった。その背中からは悔しさと、悲しみが溢れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 アセルスはフェイトの仕事を手伝っていたため、模擬戦はライトニングに参加することになっていた。そして今起こった事を、フェイトやエリオ、キャロとともに見ていた。

 

「なのはさんの思うことは分かる。私も、自分の事は大事にできているのか怪しいけど、仲間を思うことは決して負けていない。何より、仲間を危険に晒してまでの勝利なんて」

 

 考えを口に出した後、フェイトさんは私の唇に指をあてた。

 

「アセルス……今は私達の出番じゃないよ。待つことだって大事なんだよ。それに、なのはだって分かってると思うんだ。だから三人とも、なのはやスバル、ティアナのことは責めないでね」

 

「分かってます、フェイトさん」

 

「もちろんです」

 

「私もです」

 

 フェイトさんも微笑を浮かべている。機動六課の絆を改めて感じていたのだろう。その後、ライトニングの模擬戦が行われた。フェイトさんと私は一対一。キャロとエリオはコンビでフェイトさんとの勝負だった。最近までの模擬戦ではフェイトさんの速さにもかなり慣れていたのだが、アリシアと戦って以来、フェイトさんは強くなっていた。本人いわく、身体が軽くなったとか。

 

 その為か、今回も速度で完全に圧倒され終始防戦だった。ここぞといった時に魔力量と強さが足りずに、攻防に決め手を欠いている状態だった。魔力が早々に成長するわけでもなく、今は技術を鍛えているだげだ。キャロもエリオもあの日以来、トレーニングに必死だ。自分の弱さが許せなかったのだろう。エリオ、キャロもティアナのように早朝や深夜までトレーニングを続けている。フェイトさんも、止めたいのだが、理由を実際の現場で体験しているからこそ何も言えなかった。

 

 六課の前線部隊はかなり追い込まれている状況といっても間違いはない。それぞれの思いが交錯し、反発している。誰もが誰も完璧ではない。ましてや完璧などないのだから。

 

 

 

 だが、このままでは部隊はFWは機能しなくなる。何か、静まりかえった水面に波紋を起こす、石を投げ込まなければ。ここに決断を下す三人が居た。機動六課部隊長、八神はやて。そしてイルドゥン、白薔薇姫である。今回の模擬戦での一見を受けて決断を迫られていた。

 

「このままやと、スターズにライトニング、どちらも潰れてしまう。そろそろ、みんなに話す必要がありそうやな」

 

「アセルスの件についてもだ。これまでを見てきた限り、心身の成長を感じられる。はやて、白薔薇姫、第二段階に移ろうと考えているのだが」

 

「私も同意見です。今のアセルス様ならばきっと大丈夫です」

 

「せや、アセルスの件も頃合いやろうし、何より、なのはちゃんのこと、そして妖魔のことについて詳しく話す必要がある。バラバラになってる場合じゃなくなってきてるのは事実。だからこそ教導の真意をみんなに知ってもらわんと」

 

 今回のことを重く見ていた首脳陣ーーーイルドゥンと白薔薇はアセルスのだが、手をうつことを決めた。機動六課が新たな一歩を刻むためにこの決断は遅かれ早かれ必要なのだ。

 

「もう入ってもいいか?はやて」

 

 ドアが開くと制服姿のヴィータが部屋に足を進める。なのはの教導の真意を理解している者の中でも一番といっても過言ではない。そのヴィータを呼んだのは、

 

「ヴィータ、お願いがあるんやけど」

 

「分かってる。今から、なのはのとこに行ってくる。しぶっても無理やり許可をとってくるからな。シャーリーにも準備させといてくれよな」

 

 そういうなり、部屋から出て行った。流石というべきか、考えていたことは同じだった。来るべきときに備えみんな考えていたのだ。

 

「はやてよ、優秀な部下を持っているものだな」

 

「イルドゥン、それは違うで。部下とかやない。ここはみんなが家族なんや。だから誰一人として、家族の事を考えてない者はおらんよ!!」

 

 はやては嬉しそうだ。志を同じくもった家族同然の仲間が仲間を思い、力を貸してくれる。はやてもまた絆を感じている。が、

 

「あっ!!!大事なこと忘れとった」

 

 

 急に焦りだす、はやてを不審に思ったイルドゥンが問いただす。

 

「はやてよ、何をそんなに慌てている?」

 

「実は数日後に、六課に新隊員が加わるんやけどな、すっかり忘れとったんよ。あははは」

 

 完全に棒読みで汗を流しているはやて。完全にだれが見ても何かを隠している事はバレバレである。

 

「まぁ……準備は私のほうがしとくから、二人も、みんなとアセルスに話すことをまとめておいてな。それとシャーリーにも連絡しといてな」

 

 勢いそのままに二人を追い出すと机に突っ伏すはやて。彼女を悩ますのは新加入の新人FWなのだが、

 

「私は反対したんやけどな……中央の連中の手が掛かってそうやな。本間にいらんことしてくれるで」

 

 ぶつくさ文句を呟きつつも、書類の製作にかかる。腐っても部隊長とはまさしくこのことである。

 

「腐ってないわ!!!!」

 

 あさっての方向に吠える部隊長を尻目に、一日の終わりが告げられる。そして、数日が経過し、奇しくも全ての出来事が重なることとなった。

 

 

 

 

 

 

 数日後、海上にガジェットドローンⅡ型が出現。機動六課の出動にあたり、なのはから、ティアナへの待機命令が下った。もちろんなのはは、ティアナを思ってのことだが、ティアナはそれに当然食い下がる。それにしびれを切らしたのはシグナムだった。

 

「隊長の命令に駄々をこねるな、馬鹿ものが。何もお前は見えていないのだから、待機命令をするのは当然だろうが」

 

 ティアナを殴り飛ばしたあと、斬って捨てるように言葉を吐く。彼女も我慢の限界を迎えていたようだ。その様子をなのはは、心配そうに見ていた。すぐに帰ってくるから。そうしたらきちんとお話しようって。

 

 そこにスバル、そしてエリオ、キャロが食い下がる。思いは違えど、ティアナが強くなるために努力している姿を知ってたからこそ、シグナムに食い下がったのだ。

 

「強くなるってそんなにいけないことなんですか?誰かを傷つけたくないから、強くなろうと努力してるんじゃないですか!!」

 

「ならお前らはなのはの教導の意味を考えたことはあるのか?」

 

 不意に投げかけられた言葉に4人ともが固まる。シグナムはやれやれといったように4人を見ている。準備をしていたシャーリーとともに現れたヴィータのこの発言により、この場を鎮静化することができた。

 

「なのはの悪い癖だな。ちゃんと話してないから、こんなにも面倒くさいことになってやがる」

 

 呆れながらも、ヴィータもやれやれといったポーズを取っている。シャーリーは少し表情が暗い。

 

「会議室にFWは集合。今から見せたいものがある」

 

 

---会議室---

 

「これは、なのはさん……それにフェイトさん!?」

 

 エリオにキャロが呟く。この映像を見たことはなく当然知らなかったのだから。アセルスを除いては。

 

「まだ9歳のときから、魔法を使うことになって戦ってきた。それにこんな小さいときから、収束砲まで使って」

 

 ちょうどスターライト・ブレイカーが放たれている映像が映し出されている。収束砲は身体に負担が掛かるが躊躇うことなく何度となく使用してきたのだ。成長しきっていない身体に無茶を加え続け、休息が与えられることもなく、幾度となく身体を酷使したのだ。

 

「そして酷使してきた結果がこれだ」

 

 ヴィータは涙を隠しきれなかった。あの日現れたUNKNOWNにより疲れがピークに達していたなのはは撃墜されたのだ。そしてヴィータは守れなかった。

 

 

 ガンッと壁を殴る音が聞こえた。ヴィータが我慢できず壁を殴っていた。この映像を見るたびに、あの日の自分の不甲斐なさを思い知らされる。

 

「なのはは、今までの疲労とこの重傷で、二度と空を飛ぶことができなくなるところだったんだ。だけどあいつは諦めなかった。まだ小さい身体で必死にリハビリをして、また空に帰ってきたんだ!!!この辛さがお前たちに分かるのか!?」

 

 修羅の如く詰めよるヴィータをシグナムが止める。ヴィータも落ち着き取り戻し、また話始める。なのはの境遇を初め聞かされたFW4人の涙が止まる気配がない。

 

「あいつの教導はな、どんなことがあっても、どんなに苦しい状況でも、生きて、無事に帰ってこれる力をお前たちに付けるためなんだ。だから毎日考えて・・・お前たちが一人目のFWになれる教導をしてきたんだよ!!!」

 

 あの日以来、なのはを守ると誓ったヴィータにとってやはり今回の事は許せなかったのだろう。若干怒りが全面に出始めているが、そこに手が差し伸べられる。

 

「ありがとう、ヴィータちゃん」

 

 任務を終えたなのはとフェイトが会議室に来たところだ。さらに、はやて、イルドゥン、白薔薇姫もやってきた。

 

「本当は私からちゃんと伝えればよかったんだけどね」

 

 誰も言葉を発せない。なのはの教導の意味を知ったからこそ、悔いているのだろう。

 

「ティアナ……ちょっと外で話しよっか」

 

 ティアナを連れて、隊舎の前の海へ。腰をおろし海を眺めながら、二人は再度向き合った。

 

 

 二人のベクトルの向きはすでに同じ。何も心配することはない。ティアナは素直に謝り、なのはの胸で泣いた。

 

 

 

 

  「絆」

 

 

 目に見えないが人と人その間にある確かなもの。その力が大きいほど、数が多いほど、人は強くなれるのだろう。

 

 

 

≪なのはちゃん、落ち着いたら会議室に戻ってきてくれる?≫

 

≪了解。今回がタイミング的にはベストだね≫

 

 

 念話を終えると、二人は会議室へと戻った。

 

 

「みんな揃ったようやな。みんなに伝えないかんことが3つあるんや。まず一つ目はのは隊長から」

 

その場にいるFWは姿勢をただして、話を聞いている。

 

「まずは、明日からみんなのデバイスのリミッターを一段階解除します」

 

 それを聞いた4人は喜んでいる。ティアナは先ほど一足先に話を聞いていたが。

 

「明日からセカンドモードで教導だから、覚悟しとけよ」

 

ヴィータの言葉にも4人は元気に返事を返す。憑き物が落ちたように、みんなの表情は明るかった。

 

「次に二つ目。これは妖魔についてや」

 

 エリオ、キャロは当然のごとく反応したが、スバルとティアナはまだピンっと来ていない。まだ妖魔との戦闘経験がないからだ。

 

「それについては資料をまとめてある。各自、読んでおいてくれ」

 

 イルドゥンから資料が配られる。妖魔とはなんなのか。特徴、出現について等など。

 

「これをみんなに話したのには理由があるんや」

 

 そう言って、はやてがデータを展開する。

 

「以前、屋外の訓練スペースに現れた新型。それに昇格試験の時の大型スフィア一台に異常があったんよ。それらを調べてみると機械のはずなんやけど、生体反応の痕跡が微かにあった」

 

「つまり、妖魔との何らかの関係性があるかもしれないと考えているわけですね」

 

 アセルスの答えに頷いて答える。断定までには至らないが、可能性としては考えられる。

 

「そう、考えるとスカリエッティは妖魔と手を組んでいることになる。我らとしては、あの方が手を組むなど考えなかったが」

 

「ねぇ、そのいつも言っている「あの方」て誰のことなの?」

 

 イルドゥンと白薔薇姫は覚悟を決めた。アセルスならば耐えてくれるだろうと。

 

「ファシナトゥールの針の城の主。オルロワージュ様だ」

 

 5人揃ってポカーンとしている。アセルスはそのことを知らなかった。いや、忘れていただけだが

 

「ちなみに、我と白薔薇姫も妖魔だ」

 

 ここであえてアセルスのことは触れなかった。アセルスも自分が妖魔だとは言わない。白薔薇姫から自分が妖魔であることを決して話さないようにと、言われていたからだ。

 

 4人はさらに驚いている。エリオに、キャロは警戒しているようだ。

 

「大丈夫だよ。私達はみんなの仲間なんだから」

 

 アセルスが4人に声をかける。4人も普段のアセルスやイルドゥン、白薔薇姫を知っているからこそ、納得したようだ。

 

 

 

 

「っ痛」

 

 

 また頭痛が、しかも今回は、頭が割れそうなほどの痛みだ。何だろう、何も考えられない。ただ、何か大事なことを忘れてる気がする。

 

 

  けど……思いだしたこともある。

 

 

 私は逃げ出したんだ。あの城から。でもなんで逃げ出したんだろう?それに何があったのかも全然思いだせない。

 

 

 

「   様、ア……ス様」

 

 ぼんやりと白薔薇の顔が視界に入る。どうやら少し気絶していたようだ。膝の上から身体を起こし、直ぐに立ち上がる。

 

「ごめん、心配かけて。もう大丈夫だから」

 

「アセルス様、何か変わったことはございませんか?」

 

 心配そうに尋ねてくる白薔薇を撫で、少しだけ忘れていたこと思いだしたことを伝えた。それを聞いた瞬間、白薔薇の表情が少し明るくなっていたように感じた。

 

「それで急なんやけどな、アセルスのデバイスのルナとソルなんやけど、試作機のためか、かなりのメンテナンスが必要なんよ。ただ機能をストップして置けば自己修理機能があるから、勝手に治るから。だから一回シャーリーに預けてくれるか?」

 

 本人も無茶をしたことには覚えがあるらしく、シャーリーにルナとソルを預けた。

 

「アセルスさん。自己修理にどれくらいの時間がかかるかは分かりませんが、待機状態で持っておく分には問題ありませんので。直ぐに調整します」

 

 受け取るやいなや、調整を開始するシャーリー。流石といったところか物の数分で調整を終えた。

 

「できましたよ。またいつものように、耳に付けてあげてくださいね」

 

シャーリーに感謝しつつ、受け取ったルナとソルを耳に付ける。しばらくの間はお別れだけど、ゆっくり休んでね。

 

「となると、しばらくはフォートレスを使うことになるね」

 

 昇格試験時に作ってもらったデバイスを見る。現在は待機状態の指輪だが。

 

「それはもちろん考えてます。ただし今回のデバイスは特注で、かなり珍しいんです」

 

 そういって、待機状態のデバイスをアセルス渡した。ネックレスで剣のような形をしている。が、どこか剣とは違う作りであるのは確かなようだ。

 

「セットアップ」

 

 受け取ると直ぐに起動し、確かめることにした。

 

「これって、刀?」

 

 黒と銀を基調にした鞘。そして一振りの刀。直刃の波紋は、もはや芸術品である。

 

「そういえば、カートリッジシステムは?」

 

 そう、カートリッジシステムがないのだ。

 

「実は、今回のこのデバイスは、もともとあった刀をデバイスとしているんです。もちろん非殺傷設定はできますよ。繊細な刀をベースにしているので、カートリッジシステムを付けることができませんでした。一応インテリジェント型なんですが、この子全然しゃべらないんです」

 

 そうなんだと、納得して、話しかけてみるが返事も特にない。まぁ、これくらいのほうが逆に頼もしいかも。

 

「このデバイスには名前がないので、付けてあげてくださいね。それとこのデバイスにカートリッジシステムを付けなかった理由はもう一つあります。アセルスさんのレアスキルを前提に作ってますので」

 

 またしても事情を知らない5人は???状態である。ティアナはアセルスに、「レアスキル持ちだったの!?」と詰め寄っているが。

 

「イルドゥンさんが内緒にしてたんですよ。魔法と縁が浅い状態で、このレアスキルは危険だからって」

 

 一応納得して話を聞く5人。当然内容は気になるところで、

 

「アセルスのレアスキルと呼ばれるものは、自己強化(ブースト)と呼ばれるものだ。使用中は体力を消費するが、魔力量に威力、それに身体能力が強化される。また何故かはわからんが容姿に変化が見られるらしい」

 

 こんなのがレアスキルなのかと思われそうだが、あくまでもこれは外見上そう思ってもらうためだが。当然アセルスにも。

 

 

「なのはにも、これを使用した教導メニューを考えてもらっている」

 

 実際に使ってみないと分からないが話を聞く限りでは便利そうだ。カートリッジシステムがないのも頷ける。それに容姿が変わるなら使ってることも直ぐに分かる。とりあえず体力と刀に慣れないとだね。

 

 

 会議室が宴もたけなわ状態だが、まだ話が残っている。

 

「最後に三つめなんやけど……」

 

 はやてがしぶっている間に会議室のドアが開いた。そこには六課の制服を着た、女性が立っていた。身長は170cmはあるだろうか。長身でかつ、締まっており、出るところは出るといったナイスな体型である。グレーの髪は肩まで伸びており、黒い瞳が印象的だ。がそれ以上に左目の眼帯が一際目立っている。

 

「失礼します。本日付で機動六課に出向となりました、エリスティン・カルヴィン二等陸士であります。エリスとお呼びください。若輩の身でありますがよろしくお願いいたします」

 

 敬礼を終えると、姿勢を正したまま、はやてを見ている。みんなはもちろん、そのはやては溜め息である。

 

「エリス二等陸士。あれほど来てはいけないと言っておいたはずです。なのになぜ機動六課へ?」

 

「はっ!はやて部隊長のもとで是非仕事をしてみたいと思いまして志願しました」

 

 この会話を見ている大半の人はこう思っているだろう。どこの軍隊あがりですかと。しばらく、はやてとエリスの会話が続いているがなにやらエリスのほうが何かを我慢しているようである。

 

「だから、しっかりゲンヤさんのところで勉強してくるように伝えてあったはずですが」

 

 この会話を聞く限りでは二人は知り合いの様だ。だがどんな関係までかは分からない。だがそれもつかの間だった。

 

 わなわなと震えるエリスが我慢できなくなったのか、ついにこの均衡を打ち破った。

 

「母上!!私が嫌いなのですか!?」

 

「嫌いなわけちゃう。ただ、巻き込みたくなかっただけなんや。それは分かってほしい」

 

・・・???

 

 

「母上!!!!????」

 

 はやては、しまったと頭を抱えている。エリスは何をそんなに驚いているといった感じだ。しかしこの二人を除いて、機動六課スタッフは腰を抜かしている。

 

「主、こんなことは聞いていないですよ!!!」

 

「はやてちゃん、いつのまにこんな大きな子どもが!?」

 

 完全にパニックになってしまった。隠していたのは悪いとはおもっていたのだが、まさかこんな形でばれるとは思ってもいなかったのだ。

 

「みんな落ち着いて!!!」

 

 が、治まる気配がない。仕方ない場合の最終手段を取るしかないようだ。

 

「今度から食堂でシャマルを働かせるで」

 

「すみませんでした」

 

 一同が謝罪の後、はやてに注目している。どうやらエリスのことを話さなければならないようだ。シャマルが何か言っているが気にしないでおこう。

 

「5年ほど前にな、任務中に記憶喪失の女の子を保護したんよ。それがエリスなんやけど、そのときの一件で、私のことを母親と思ってるんよ。まあ要するに養子になったてことなんやけど、二歳しか違わない娘ってのは、なんとも」

 

「私の母上は母上だけです」

 

「こんな感じなんよ。それに魔導師としての資質もあってな、ゲンヤさんとこに預かってもらってたんよ。最初は少し施設におったんやけど、一緒がいいって押し切られて、一人暮らしをさせて、たまに泊まりにいってたんよ。事情が事情なだけに、ゲンヤさんくらいにしか言えんくてな」

 

「しかし、これからは毎日一緒です。それに八神・エリスティンといつになったら変えていいのですか!?」

 

「まだ駄目や!!この部隊はできたばっかりで色々と風当たりは厳しいのに、部隊長のスキャンダルみたいなものはもっての外や!!だから落ち着くまで我慢してや」

 

 ヴォルケンリッターにさえ隠していたせいか、はやては、もみくちゃにされている。しかし、エリスがそこに割って入り、なんやかかんやでまたモメている。

 

 こんな感じで、起動六課の絆は深まり、新たな仲間と力が加わりました。ただ、はやては「奥様」となのはとフェイトにしばらく遊ばれることになるのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和やかな起動六課。そして、また近づく影が。

 

 

 

 

 

 

 

 

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