「ティア、起きてよ~、朝だよ~、時間だよ~」
私ことスバル・ナカジマは、二段ベッドの下で眠る相棒、ティアナ・ランスターを起こすために絶賛格闘中。ここ最近で色々な事があったけど、それ以降は今までのティアに戻ったみたい。それに、エリオやキャロとも深い話もできるようになった。
うん!またいつものように戻れてよかった。それはそれで、このなかなかけしからんボディーをお持ちの寝ぼすけをどうやって起こそうか……
「・・・」
閃いた。すぐにティアの上に跨るとそのまま自己主張の激しい双丘にセクハラを開始。そして、唇を重ねていく。
「いいよね?」そんな自己解決を済ませるやいなや、セクハラの速度は上がって行く。が、ここまでされて目が覚めないわけもなく、
「何・・・・してんのよあんたは!!!」
はい、見事にベッドから投げ出されました。だって、あんなに無防備で寝てたらさ、そりゃ襲いたくもなるよ。視界をティアに向けると顔を赤らめ、シーツに包まっているティアが凄い勢いで睨んでいる。
「ほんとにあんたは、いつになったらセクハラを止めるのよ!!大体、私が寝不足なのは、あんたのせいでしょうが!!!」
「ええーーーだって、ティアが可愛く鳴くからつい止まらなくなっちゃってさ・・・・・・」
その言葉を聞くと、夜の事を思い出したのかさらに顔を赤らめる。普段はイニシアチブを持っているのはティアだが、どうやら、夜は違うらしい。
「と、とにかく。準備があるんだし、早く着替えていくわよ」
「ティア!実はね、今日の訓練の開始時刻は2時間遅いんだよ」
そんなこと聞いておらず、どういうこと?といった感じでスバルに問いかける。
「私は聞いてないわよ、そんなこと!?」
スバルがマッハキャリバーに届いたメールを展開すると、はやてからFW宛てのメールが届いていた。そこには、
「色々あったから、みんなも疲れてるし、色々と補充したいやろ?明日の朝はいつもよりゆっくりしていいから、夜はみんな頑張ってな!!」と、こんな感じのメールが届いていたのだ。
それを見たティアはベッドに突っ伏すしていた。「もうやだー」ってうめき声が聞こえていた気がするのは気のせいだ。時計を見ると5:00を過ぎたところか。再び、スバルを見ると、もう何といいますか・・・手をわきわきさせている。
「まだ時間あるしね、ティア……」
これは、まずい。普段の訓練のおかげか、危機的なことに関しての察知が鋭くなっている。そのためか、この後起きるであろうことも予測はついたのだが、
「……っ、バインド!?」
なんて魔法の無駄遣い。それにスバル……バインドなんて使えたの?
「ティアを逃がさないためだよ」
努力の方向性を間違っている相棒に溜め息をつきながらも、すでに諦めた。こうなったスバルは止められないからだ。はぁー、今日の訓練、身体持つかな……
こうして朝から嬌声が木霊する。それはもちろんこの部屋だけではないのだが。流石にバインドはまずかったのか、後ではやてに怒られることになったが。
「はーい、お疲れさま。今朝の訓練と模擬戦も無事終了。お疲れ様でした」
なんとか、身体はもったけど……この後どうしよう。朝から体力を削られ、こうして訓練に臨んだけど、午後のこととか全然考えてなかった。今の状況はかなりやばい。油断すると眠ってしまいそうだ。
「でね、実は何気に今日の模擬戦が第二段階クリアの見極めテストだったんだけど。この前、みんなのデバイスのリミッターを解除したでしょ?ほんとに大丈夫か今日で確かめてみたんだけど」
え?そうだったの?でも、またこんなときにしなくても。溜め息をつく私をおいて、なのはさんはフェイトさんとヴィータ副隊長に意見を求めている。
「合格♪」
「はやっ!!」
スバルとのハモリは素晴らしいのだがそれはさておき、
「こんだけみっちりやってて、不合格なら逆に大変だってこった」
エリオとキャロも、苦笑を浮かべている。確かにこれだけやっているのだから、できて当然か。あの日以来、私も少しずつ変わろうと決意した。徐々にだけど、変わらなきゃいけないって感じたから。
「私もいい線いってると思うから、これにて二段階終了!」
「やったーーーーー」
うん、すこしずつだけど、私も強くなってるんだ。なのはさんのことを信じて、一歩ずつ進もう。
「デバイスリミッターを正式に一段解除するから、後でシャーリーのところへ行ってきてね」
「明日からは、セカンドモードを基本形にして訓練すっからな」
「明日から!?」
「ああ、訓練再開は明日からだ」
つまり、つまりですよね……つまり今日の午後は、
「今日は私達も隊舎で待機する予定だし」
「みんな入隊日からずっと訓練漬けだったしね」
4人が顔を見合わせる。つまりこれは、あのフラグが立ったわけですね。
「そんなわけで」
なのはさんがもう一度全体に通告するようにこれからの事を伝える。
「みんな今日は一日お休みです。みんな街に出かけて遊んでくるといいよ」
「はーーーーい!!!!」
こうしてFW達の休暇が始まった。
休暇が告げられた4人とは別にアセルスは食堂で、FW4人を除くメンバーと共に食事を取っている。ちなみにアセルスとエリスは仕事。「この前の休暇をここで返すのが普通やろ?」とはやてに押し切られたからだ。
「まったく」
ぶつくさ言いながらも、今日の機嫌は良かったりする。何故って?「昨日は白薔薇と……」おっと、危うく妄想にどっぷり浸かるところだった。
それはさておき、TVからはレジアス中将の表明について報道されている。
「なんか堅苦しいな、この人」
「お姉さま、レジアス中将は古くからの武闘派ですから」
隊長陣は、食事を止めて放送を聞いている。はやてもこの部隊を指揮する立場として、彼とはなにかとあるようだ。そして画面右には伝説の3提督の姿もあった。
ミゼット・クローベル ラルゴ・キール レオーネ・フィルス
管理局の今の形を作り上げてきた功労者。だがヴィータに言わせれば、ただの老人会らしいが。
「さてと。エリス、先に仕事してるから」
「私も行きます」
「それでは先に失礼します」
アセルスとエリスとそういって食堂を後にした。これから書類を片付けるとなると骨が折れそうだ。まっ、やるしかないんだけどね。
私達が、仕事を始めたころ、スバルはティアナと。エリオはキャロと一緒に街へ出かけていった。私には遊ぶことが楽しいという感覚はいまだにあやふやだけど、この前エリスと一緒に出かけた時は楽しかったと思う。そう考えると、隊長達って、魔法の犠牲者でもあるのかも。
「変なこと考えるのは止め止め!さぁやろっか」
「はい、お姉さま」
ここから二人は仕事に没頭し、ものすごい勢いで書類を片付けていくのであった。
そのころ・・・
スターズとライトニングの見送りを終えたなのはとフェイト。ちょうど、ヴィータとシグナムとすれ違う形になった。
「ヴィータちゃん」
「それにシグナム。外周りですか?」
「ああ、108部隊と聖王教会にな」
「ナカジマ三佐が合同捜査本部を作ってくれるんだってさ。そのへんの打ち合わせ」
「ヴィータちゃんも?」
「私は向こうの魔導師の戦技指導。まったく、教官資格なんてとるもんじゃねえな」
「にゃははは」
ヴィータちゃん、相変わらず可愛いな。……フェイトちゃん、睨まないで。
「捜査周りなら私も行った方が」
「準備はこちらの仕事だ。お前は指揮官で、私はお前の副官なんだぞ」
あ、フェイトちゃんこういうのまだ慣れてないんだ。困ってる困ってる。
「ありがとうございます。で、いいんでしょうか」
「ふっ、好きにしろ」
一方で、シャーリーとリィンはデバイスの調整で忙しそうだ。リミッターの正式な解除に、レイジングハートのエクシードモード、バルディッシュのザンバーの調整。さらにはリインの調整とこちらも多忙である。だがこれも、みんなを守る為の大事な仕事。二人は楽しみながらも調整とチェックを行っていた。
仕事もひと段落したところで、遅めの昼食を取っているところだ。エリスと白薔薇、それにはやてだ。
「はやて、この扱いひどくない?」
「何いっとるんや、公園の修理代どうしてくれるん?」
こっちは命がけだったていうのに、この人は。が、思考を読んだか読まないか、エリスがものすごい形相でこちらを睨んでいる。はぁ、ほんとにはやて大好きなんだから。
「まぁまぁ、二人とも仲良くしてや。二人も大事な家族なんやから」
機動六課、それははやてにとっては家族と同じ。少しははやての気持ちも理解しなくちゃ。
「今日一日、何もないといいんやけどな」
だが、そんな淡い期待はすぐに破られる。エリスのデバイス、レグナ宛てに通信が届く。
「エリス、聞こえる?」
「その声は、ギンガ陸曹」
通信の正体は、ギンガ・ナカジマ陸曹。何を隠そうスバル・ナカジマの姉である。そして、エリスが預けられていた部隊の上官でもある。
「お久しぶりです、ギンガ陸曹。今日はどういった御用件で」
「久しぶりの再会を喜んでる場合じゃなくなったのよ。八神部隊長につないでくれる?」
「隣にちょうどいるところだ。部隊長」
はやてにデバイスを向けると、ギンガも久しぶりなのか少し緊張している。
「お久しぶりです、八神部隊長。実は事故の現場検証に来ているのですが、奇妙なものを見つけまして」
映像が少し動く。飲料水や缶詰ばかりで、特になにもおかしな物はないが、すぐにそれは目にとまった。
「ガジェット!!」
「やはり、御存じでしたか。それにあちらを」
映し出された映像には何やら液体が入ってあったであろう、ポッドのようなものが映し出された。
「ギンガ陸曹、あなたも同意見でしょう。これは……生体ポッド」
「私も……同意見です」
そして期を同じくして、キャロから全体通信が。
「こちらライトニング04、緊急事態につき、現場状況を報告します。サードアベニューF-23の路地裏にてレリックと思しきケースを発見。ケースをもっていたらしい女の子が一人」
「女の子は意識不明です」
「指示をお願いします」
六課全体に現在の状況が映像付きで報告される。これを見ていたなのはからも指示が降りる。
「スバル、ティアナ、ごめんお休みはいったん中断」
それにつづけてフェイトからも指示が。スターズ、ライトニング共に指示を受けると返事を返し、行動を開始する。
そして、食堂にいた私達は・・・
「全員、待機体勢。席をはずしてる子達は席に戻ってな。安全確実に保護するよ!レリックもその女の子も」
「了解」
「ギンガ陸曹、ナカジマ三佐から許可は取ってあるからすぐに現場に急行してや。現場で、この二人、アセルス准陸尉とエリス二等陸士と合流後、FWの援護を」
「了解しました。では急行します」
ギンガからの通信を終えると。直ぐに命令を下す。
「ナイト00から01へ、ナイトの指揮権を委任します。ナイト01及び02は現場へ急行。ギンガ陸曹と合流後、スターズ、ライトニングと合流すること。以上」
「了解しました」
敬礼を返すとすぐに現場へと急行する。隊長達、それにシャマルにリインも一緒だ。ヴァイス陸曹もすでに準備を整えており、直ぐに離陸することができた。
席に戻ったはやては静かに呟く。
「何かの始まりかも……」
「レリック反応を追跡していたドローンⅠ型6機。全て破壊されています」
「ほぉ、破壊したのは局の魔導師か、それとも当たりを引いたか」
「確定はできませんが、後者のようです」
素晴らしい。すぐに追跡をかけようではないか。
通信越しに話をしているのは、スカリエッティとウーノと呼ばれる人物。そこに赤毛の少女がやってきた。名前はノーヴェというらしい。自分の目で確かめてみたいとのことだが、ジェイルにウーノにそれぞれ止められてしまった。しぶしぶ今回は引き下がったが、納得はできていないようだ。
「ドローンの出撃は様子を見てからにしましょう。妹達の中から適任者を選んで出します」
あとは・・・・
「やぁ、優しいルーテシア。レリック絡みだ。ちょっと手伝ってくれるかい?」
ビル屋上に佇むルーテシアは、ただ頷くだけだった。
「ありがとう、今回は別のおもちゃも用意してあるから、巻き込まれないようにしておくれよ。優しいルーテシア」
24:00にもう一話投稿。