魔法少女リリカルなのは 紺碧の姫   作:mom

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思慮

「はぁはぁはぁ…」

 

書類をまとめている最中にものすごい爆発音と揺れを私のデバイス「レイジングハート」が感知したわけで、こうして訓練スペースへと向かっているところなの。廊下は走っちゃ駄目だけど、緊急時は仕方ないよね。

 

[マスター、何を言ってるんですか?]

 

「あっ…なんでもないよ…。ははは…」

 

なんてやり取りをしているうちに、現場にたどり着いたわけで…

 

「にゃははは…」

 

ただ乾いた笑いしかでない。壁とか床とか…亀裂は入ってるし、所々、クレーターみたいなのできてるし…

 

「一体なにがあったんだろ?」

 

状況を把握する為、部屋に入ることにした。幸いドアは無事のようだ。

 

[マスター、どうやら質量兵器ではありません。汚染物質も確認されませんので、どうやら魔力による物と推測されます]

 

「分析ありがとう、レイジングハート」

 

レイジングハートが輝きそれに答えた。それにしても、視界が良くないね…電気系統は完全にいっちゃてるみたいだし。そんななか、部屋の隅で倒れている二つの影を私の視線は捉えていた。

 

「アセルス!!白薔薇姫!!」

 

倒れている二人に近づき声をかける。しかし二人からは反応がない。

 

「レイジングハート、二人はどう?」

 

[大丈夫です。しかし白薔薇姫は少し変です]

 

「変ってどういうこと」

 

[それはあとで話します。それより二人の搬送を]

 

確かにその通りだ。今は二人の手当てが先決みたい。

 

≪はやてちゃん、フェイトちゃん、聞こえる?≫

 

≪聞こえてるで、なのはちゃん≫ 

 

≪こっちも聞こえてるよ、なのは≫

 

≪はやてちゃんは、シャマル先生に連絡お願い、フェイトちゃんは運搬を手伝ってほしいの≫

 

≪了解や、任せとき!!≫

 

≪今、ちょうど向かってるから、待ってて!!≫

 

 

 

 

すぐにフェイトちゃんがやってきて二人を医務室まで運んだ。訓練やってたおかげかな。なんなく運べちゃった。

 

シャマル先生はすぐに治療を行った。二人とも消耗が激しかったみたい。二人は、治療用のポッドの中。ふと、レイジングハートの言葉を思い出し、聞いてみることにした。

 

「ねぇ、レイジングハート。さっき言ってたことなんだけど。変って何が変なの?」

 

[そのことなんですが、三人がこちらに来られた時の身体データがあるのですが]

 

そういってレイジングハートはデータを展開する。

 

「なのは、やっぱりこのデータ凄いよ。アセルスは魔力量は少ないけど、二人はかなりの量を持ってるよ」

 

フェイトちゃんが感想を述べているなかレイジングハートは続ける。

 

[では、先ほどスキャンしたデータをご覧ください」

 

そうして、先ほどのデータを重ねて表示した。示されるデータに私達は驚きを隠せなかった。

 

「これって…どうなってるの…」

 

 

「それは、私と彼が説明するします」

 

振り返ると、そこにはイルドゥンと、シャーリーが居た。

 

「レイジングハート、データそのままにしといてね」

 

[了解しました]

 

大きめに展開されたデータの前に彼女は立った。

 

「このデータのことなんだけど…あまり知られたくはなかったの。あまりいいものではないから…」

 

シャーリーの顔が暗い。まるで後悔しているかのような。そんな感じがする。

 

「そんなに気にすることなのか?私が代わりの説明しよう。君達にある魔力の元、つまりリンカーコアと呼ばれるものか?あれをデバイスに移植しただけだ」

 

全くついていけない…どういうこと…私とフェイトちゃんは、ポカーンとしている。さらに説明は続く。

 

「検査の結果、我ら妖魔はリンカーコアがなくても生きていけることが分かった。まぁ貴様らには無理らしいがな。アセルスは半妖ゆえに、魔力が少ない。だから、妖魔たる我らのリンカーコアをアセルスが持つデバイス「リーサルドラグーン」へと移植したのだ」

 

なんとか情報を整理できた。つまり、レイジングハートが出していたデータで、イルドゥンと白薔薇姫の魔力値がほとんどなかったのは、そのためである。

 

でも、どうやってそんなことを…。その答えもすぐに解決した。

 

「この移植の提案を受けた時、もちろん断ったは。できるはずないし、なにより死んでしまうかもしれなかった。でもこの二人の知識に、蒐集にシャマル先生の能力があればそれは可能だったの」

 

「それに、二人のどうしてもっていう意志に負けたの」

 

振り返るとデバイス調整槽にリーサルドラグーンが浮かんでいる。

 

「だからこの子たちに託したのよ、二人の魔力を」

 

しかし、シャーリーの顔はまだ暗い。

 

「シャーリー、まだ何かあるんだよね、多分…リスクを背負ってるんでしょ?」

 

どこか隠すことを止めたようにシャーリーは答える。

 

「流石です、なのはさん。実は、デバイスに負荷がかかると、お二人に反映してしまうんです」

 

「だから、こんなデータが出るわけやな」

 

いつのまにか、はやてちゃんが居た。…いつの間にいたんだろ?

 

「さっきの戦闘のデータが回収できたんや。ついでに解析してみたんやけど見てみい、この映像」

 

そういって先ほど行われていた戦闘の映像が映し出される。

 

「このシーンよく見てや、アセルスのデバイスから、薬莢が5発分排出されとる。つまりカートリッジシステムを扱ったことない素人がいきなりもこんな量のカートリッジ使こうたら、どないなことになる?」

 

「慣れないうちにこんなにカートリッジを使うなんて…暴発しちゃうよ…」

 

「でも、アセルスは魔力量も少ないのに、暴発させんかった。センスはただもんやない。けどセンスでは片付かへん。多分、デバイスに相当な負担がかかってる。さらに暴発させんために、デバイスの…二人の移植した魔力を使って制御したわけや」

 

「そのとおりです、はやて部隊長。アセルスさんはセーフティーを解除。それに、カートリッジ5発使用。その膨大な魔力のコントーロールと負荷を、白薔薇姫が受けてしまったわけです」

 

私は、黙って聞いていた。フェイトちゃんも何も言えなかった。

 

「今回は、白薔薇姫様のコアを移植したドラグーンⅠをメインに使ったから、白薔薇姫様に反映されているが、Ⅱならば、私もしかりだ」

 

「そこまでして、彼女のために尽くす必要があるんですか!?」

 

フェイトちゃん…

 

彼女は沈黙を破り言葉を発した。自分の身を犠牲にする理由が分からなかった。

 

「我らは、アセルスを守り、鍛える必要がある。それだけだ」

 

「そんなの理由じゃありません!!」

 

イルドゥンは何も答えず、ただ頬笑み…長い沈黙を経て答えた。

 

「アセルスは、我らの世界を変革する可能性のある唯一の存在。それだけだ。だから、アセルスを鍛えるのだ」

 

そうして彼は部屋から出た。

 

「納得はまだできないけど、どうやら、みんなアセルスを鍛えるために頑張らないといけないみたいだね」

 

フェイトちゃんの声にみんなが頷く。今度隊長達で話しなくちゃ。

 

そんななか、こっそり部屋から抜けようとするはやてがいた。

 

「どうやら、はやてちゃんは、このこと知ってたみたいだね。」

 

私は逃げないようにくぎを刺す。

 

「あっ…ばれてた?」

 

「そうじゃないと、全ポジションできるように鍛えるなんて言わないでしょ?」

 

「あ、あははは…」

 

なんとか笑ってごまかすはやてだが、なのは、フェイトの顔は怖かった…

 

「はやてちゃん…隠しごとはいけないよ…」

 

「そうだよ、はやて…」

 

「か、堪忍や…二人とも…なっ?」

 

「駄目だよ」

 

「駄目」

 

いややーーーーーーー!!!!

 

二人に、はやては連れて行かれたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

シャーリーから暗さはまだ取れてはいない。語られたことはすべてではないことを知る者は少ない。まだ、語るべきでない事実を残して。皆、解散した。

 

 

 

 

 

医務室。そこには医療ポッドに浮かぶ、二人の姿が残されているだけだった。

 

 

 

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