不良少女   作:鞠猫

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未來side

 

「未來せんぱーい!!」

 

朝の登校、ヘッドホンをしてるにも関わらず聞こえた声にヘッドホンを外し、後ろを振り返り…再び歩き出し校門を通る

 

「ちょちょちょ!!無視しないで下さいよー」

 

隣に並んだチャリに乗る高尾

そこまではいい

 

「(何でリアカーを引いてんの)」

 

取りあえず後ろは無視しヘッドホンを首にかける

 

「はよ」

 

「おはよーございます!後ろ乗ります?」

 

「のらねーよ」

 

「ですよねー。あ!ちょっと待ってて下さい!」

 

昨日の事が嘘のように明るい高尾に内心安心した

駐輪場にあれを置き、後ろに乗っていた緑間?と一緒に戻ってきた

 

「未來先輩!はい!カーディガンありがとうございます!」

 

「あ?早かったな…で、お前が」

 

「…緑間真太郎です」

 

「緑間ね、月島未來。よろしく」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

なんだこいつ、話続かねぇ。つかデケェよ、バスケ部みんなデケェ、首いてぇ…というか

 

「なにそれ」

 

私の視線の先は緑間の手に持つもの

 

「何って、今日のおは朝のラッキーアイテム、サボテンなのだよ」

 

はい?ラッキーアイテム?サボテン?いやそれよりも

 

「な、なのだよって…」

 

「真ちゃんの口癖なのだよ」

 

「真似をするな高尾!」

 

宮地達から聞いてはいたが実際に会ってみると思っていたよりもいい奴かもしれないと思い口が弧を描いた

 

「ふっ、じゃあな高尾、緑間」

 

「あ、はーい!また!!」

 

「ふん」

 

ずれてもいない眼鏡を直した緑間

いい奴だと思うが…なんだか付き合いづらそうだ

 

 

 

昼休み

屋上で弁当を食おうとすると座る前に皆が手を合わせ頭を下げた

 

「「「頼む!!」」」

 

「なにが」

 

いきなりのことになんかイライラし始め眉間にしわが寄るのが自分でも分かった

 

「あー、その…夏!」

 

「が?」

 

「合宿あんだけど」

 

「で?」

 

「手伝ってくんね?」

 

「はぁ?」

 

詳しく聞けば、今まで2年間はマネージャーいたらしいが、今は卒業して自分達でマネージャーもやっているそうだ

そら大変だな

うむ、めんどくさそうだ、断ろう

フェンスに寄りかかり、そう思うと同時に屋上の扉が開き緑間をつれた高尾が現れた

 

「あ!いた!未來先輩!」

 

「高尾、って!あぶねぇ!」

 

緑間の手を離し勢い良く走り込んできた高尾はそのまま抱きついてきた

すぐさま引き離すと両手を掴まれた

 

「未來先輩!夏!合宿来てくれるって本当っすか!?」

 

おい誰だ勝手に決めた奴

高尾の後ろを睨みつけるように見ると視線を逸らす大坪

 

「テメェか大坪ぉ!!」

 

「悪い…」

 

「謝ってすむならサツはいらねぇんだよ、この隠れ乙女」

 

「おと!?」

 

「編み物が得意とか女子か!!その図体で!」

 

シュンとなる大坪、もっと言ってやろうと思ったが袖をツンと引っ張られることで中断

後ろを振り返るとまっすぐ目を見る高尾

 

「来て、くれないんすか」

 

「…」

 

「俺、未來先輩来るって聞いて超嬉しかったんすけど…無理ならしょうがないですよね」

 

シュンとなる高尾、大坪と違いなんかすげー可愛い

思わずその頭を撫でた私は悪くない

 

「いや、無理じゃねーけど、やったことねーし」

 

「マネ業はいいよ、自炊だから料理頼みてぇの」

 

宮地にも言われ、助けを求めるため緑間を見ると視線を反らされた

木村とはそうそう視線が合わない

 

「……はぁ、分かったよ」

 

「マジっすか!!やりぃ!」

 

「流石高尾。いい演技だ」

 

高尾とハイタッチをする宮地

宮地と視線が合うと鼻で笑われた

 

「宮地テメェ、はめやがったな!!」

 

「あははー見事にはまったな未來!!」

 

「ぶっ殺す」

 

喧嘩をする体制に入ると後ろで高尾が爆笑し始める

 

「夫婦漫才は後にして下さい。昼休み終わりますよ」

 

「「誰が夫婦だ!緑間!轢くぞ!!」」

 

後ろで高尾が笑い死んでるのを感じ、こんな日常も悪くないかなって思うなんて、私も随分変わったな

 

その後、宮地におかずを取られ言い争いが始まった

 

 

高尾side

 

「高尾、お前は月島先輩の事が好きなのか?」

 

「へ?」

 

昼休みが終わり、教室に戻る途中唐突にそう言われ思わず静止した

 

「えっと…月島先輩って未來先輩、だよな?」

 

「他に誰がいる」

 

緑間の言葉にうーんと唸りながら考える

未來先輩は前に助けてくれた先輩で俺の恩人

初めて見たときはすげー綺麗ですげー優しくてすげー怖くて

だからといって緑間の言うような恋愛感情という物はない

強いていうなら……

 

「姉さん…とか?」

 

「は?」

 

真ちゃんの間抜けな顔に思わず吹き出すと殴られ、理由を催促された

 

「いやね?俺、別に未來先輩好きだけど恋愛感情と違って別にあーなりたいこーなりたいとかねーし?ただ構ってもらいたいーっていうかなんつーか」

 

「それで姉か」

 

「そう!なんかこう…オーラとか雰囲気つーの?それがそんな感じ?言動は怖いけどな」

 

「俺にはそう感じないのだよ」

 

「俺にはそう感じるのだよ」

 

真似をするなと怒る緑間を笑いながら足を動かす

うん、なんかスッキリ

今までそんなこと考えたこと無かったし、改めて考えると…うん、やっぱりそんな感じ

 

「それよか宮地さんだろ!」

 

「?」

 

「絶対未來先輩に好意持ってるぜ!」

 

「何故そう思う」

 

「だってさー!俺が未來先輩と話してたりー、特にじゃれてたりするとさ殺気立った視線が突き刺さるんだもん!」

 

周りには聞こえない程度の声量で緑間に言うと目を見開いて驚いていた

あれは多分木村さんや鈍い大坪さんでも気づいてる、3年も一緒にいるしな

 

「今度見とけって!つかいつか俺轢かれそう!」

 

ゲラゲラと笑っていると午後の授業の予鈴が鳴り、席へと急いだ

 

 

そして放課後

体育館へ向かう途中先輩達の背中を見つけ緑間を置いて駆け出した

 

「未來先輩!!」

 

「お前は何時でも元気だな」

 

宮地さんと口喧嘩をしていた未來先輩はそう言って隣にならんだ俺の頭を撫でた

 

「へへっ、未來先輩!今日部活見に来てくれるんすか!?」

 

「あー、中谷先生と合宿の話をしに行くだけだ」

 

「えー!!見てって下さいよー!俺今日は頑張っちゃいますんで!」

 

「高尾はいつも頑張ってんだろ?アイツ等から聞いてる」

 

「へ?」

 

未來先輩が指差すのは後ろを歩く大坪さん、木村さん、宮地さん

先輩達に褒められるのは悪い気はしないがなにより照れくさかった

しかしそれも束の間、また痛いほど殺気の籠もった視線が背中に突き刺さり思わず肩が震えた

 

「高尾?」

 

そんな俺に気付いたらしい未來先輩は俺の顔をのぞき込んできた

 

「なーんでもないっす!」

 

「っちょ!」

 

未來先輩の手を掴んで体育館へ走り出すと後ろから宮地さんの罵声が飛び振り返った

 

「へへーん!未來先輩は俺が貰った!」

 

なんつって!と続くはずだった言葉は全力で走り出すことで口からは出て来なかった

だってよ阿修羅とか般若みたいな顔した宮地さんが追っかけてくるんだぜ?

逃げるだろ!!普通に!!

 

「ちょ、高尾、早っ」

 

「待てこら高尾!テメェ殺す!」

 

「すんません!未來先輩!!つか殺すって言われて待つ奴いますか!?」

 

結局体育館前で投げられたパイナップル…じゃなくて開けてないペットボトルが頭に直撃して思わず頭を抱えてしゃがみこむ

キ、キャップは反則っしょ…!

 

「ほらよ」

 

「あ、サン、キュ、宮地」

 

そのペットボトルは膝に手をついて息を整える未來先輩に渡し宮地さんはバッと背を向けた

その顔はちょっと赤くなってて気になってチラリと後ろを見ると全力疾走のせいでうっすらと涙を浮かべ赤く上気した顔を傾げて宮地さんを見上げる未來先輩

つまり…

 

「ぶふぁっ!宮地さんってば!」

 

「う、うるせぇ!高尾シバく!」

 

ニヤニヤしていた俺は全力で宮地さんにシバかれた

 

 

 

緑間side

 

 

月島先輩を連れて行った高尾を追いかけて行く宮地さんに唖然としていると大坪さんと木村さんが苦笑していた

 

「アイツも本当素直じゃねぇな」

 

「見ていてもどかしいな」

 

2人の口振りから高尾の言っていたことは本当なのだろう

それよりも…

 

「いつからあんな感じなんですか?」

 

見ていてムカつきますとペットボトルを投げた宮地さんを見ながら言うと木村さんに笑われた

 

「宮地に言ったらキレられるぞ!そうだな…月島と俺らが会ったのは1年の夏前くらいだな」

 

「あぁ、最初は気にかけるくらいだったが、間違いなく2年の夏までには変わってただろう、月島は…どうだろうな」

 

…いつもの厳しい大坪さんと違いなんだか父親のような優しい目線でペットボトルを月島先輩に渡す宮地さんを見る大坪さん

 

「見ている感じでは気づいてる様子は無いのだよ」

 

「しょっちゅう喧嘩してるからな」

 

「…言おうとは思わないんですかね」

 

「あ~それな……」

 

高尾をシメる宮地さんを見、木村さんは苦笑しながら語ってくれた

なんでも去年の夏に月島先輩に告白をした男が宮地さんをどう思っているのかを聞いたそうだ

まぁ黙っていれば黄瀬似の美人だしそういうのがいるのも理解できるのだよ

まぁそれが偶々体育館裏で木村さん達3人は丁度休憩に入り会話が聞こえたそうだ

で、その時の言葉が「は?なんで宮地?別にどうもしねぇよ。口わりぃし、短気だし、デケェし、俺様だし、ムカつくし、………でもまぁ、あっちがどうかは知らねぇが気は合う方だとは思ってるし…まぁ親友とか?あと大坪と木村もな」だそうだ

 

「それで、今の関係が崩れんのが怖くなって今に至るって感じだな」

 

「正直、俺らもそう思われてんのは嬉しかったが」

 

「あん時の宮地は荒れたな」

 

「木村は当たられてたもんな」

 

「まぁおかげで宮地の気持ち知ったよ」

 

「宮地の気持ち?」

 

「「「……」」」

 

いつの間にか近くに来ていた月島先輩に3人して肩を揺らした

 

「図体でけぇ男がそろいもそろってビビんなよ、うっぜ」

 

そう言ってペットボトルに口を付けるあたり自分の話だとは理解していないようでほっと内心息を吐く

 

「つか早くしてくんね?帰れねぇ」

 

体育館を指差して大坪さんを睨みつける

大坪さんは悪いなと笑い、月島先輩の頭を撫で体育館を開けに行く

月島先輩は撫でられた頭に手を置き、眉間にしわを寄せて木村さんを見た

 

「…木村、あいつ何?親父みたいでキモいんだけど」

 

「それ絶対大坪に言うなよ、あいつ意外と繊細なんだぞ」

 

そこへ宮地さんが月島先輩の悪口を言ったのが聞こえ、月島先輩の額に青筋が浮かび顔に影がかかる

 

「緑間ァ、その金槌貸せ」

 

「あえて聞きますが、何に使うのだよ」

 

「宮地の頭かち割るに決まってんだろ」

 

「貸せませんよ」

 

「落ち着け月島!」

 

自然と月島先輩から離れると間に木村さんが間に入り落ち着かせる

月島先輩は宮地さんを振り返りペットボトルを投げた

 

「飲みかけじゃねーかよ!」

 

「もういらねーから返したんだろうが…んでキレんだよ」

 

「は!?」

 

「宮地さんってば未來先輩と間接tうぎゃ!」

 

「テメーは黙ってろ高尾!!」

 

とりあえず、高尾は宮地さんをからかうという遊びを手に入れたのだよ

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