未來side
「月島は1人部屋ね」
「じゃなかったら行かないっす」
バスケ部がストレッチを開始し始め、中谷先生に合宿の事を聞いた
合宿は1軍分の3食を作ることをメインに出来ればマネ業もやってほしいとのこと
…実に面倒くさい
お風呂は露天もあるらしくテンション上がった
「あとはそのプリントに書いてある。食事時意外はまぁ何してても構わない」
出来れば体育館にと付け足す中谷先生に重いため息をつく
「わかりました。マネ業もちょっとやりますよ」
「すまないね」
ちょっとを強調して言ったがあまり気にはされず、何故か柔軟で悲鳴をあげる高尾の声をBGMにプリントの束をめくる
宮地さん!それ人間的に無理っぎゃー!や無理無理無理っ~~!!声にならないくらい痛いらしい、というよりやりすぎだろ宮地
それはさておき、マネなんかやったことねぇし、何すんのかわかんね………プリントにマネの仕事まで書いてやがる
「この練習量じゃご飯3杯くらいがノルマか」
「食事に関しては月島に任せる。栄養が偏らなければ良いさ」
「…了解」
え、これ相当早起きしなきゃやばい感じじゃね?つまり、すっぴんさらす感じ?
夜は一番遅く入って部屋に籠もって…やば睡眠時間が…
「…1日目は仕込みとかでマネ業出来ないんで」
「構わんよ。他に何か質問はあるかな」
「ないっす」
話はこれで終わりと立ち上がると背骨がポキポキなった
後数週間だしメニューとか考えとかなきゃ面倒だな
合宿よろしくお願いしますと言って体育館から去ろうとして、肝心なことを聞いてないと思い振り返る
「あ、食材はどうなってます?」
「前日に言ってくれれば私が用意する。お米はあるし、野菜は木村の家から少し安くして頂くことになっているから心配はない」
「わお、宮地の武器が盛り沢山」
「おーだから背後には気をつけろよ未來」
「わかった、宮地だけ飯抜きな」
突っかかってきた宮地、脇で床にぶっ倒れてる高尾を気にしながら真顔でそう返すと棒読みだか謝られた
ザマァ見ろ、お前等の胃袋は私が握ってんだよ
宮地side
あの後、高尾が無理に未來を引き止め結局部活が終わるまで残っている未來は一目で分かるほど少し不機嫌だ
ため息をつきボールを取り出すと高尾が寄ってきた
「宮地さーん」
「んだよ高尾」
「今日は居残り無しって監督が言ってましたよ!」
「マジか」
「マジっす」
なんてこった
仕方ないからボールを片付けようとすると高尾はニヤニヤしながら俺の周りをチョロチョロする
「高尾うぜぇ、お前緑間はどうした」
「宮地さん酷いっすよ!別にいっつも一緒にいる訳じゃねぇっすよ緑間とは!宮地さんってば何言ってんすか!あいつ今日は居残りできねーからストバス行くらしいっす!」
「うぜぇ轢く!」
「そのスコアボードで!?持ち運び楽チンお手軽武器っすね!」
「よし轢く」
俺がそう決意しスコアボードをもつ手に力を込めると未來が高尾の名を呼んだ
「早くしろ腹減った」
「は?何、お前等どっか行くの?」
「高尾の奢りで飯」
サラッと答える未來に若干イラッとしながらふーんと鼻を鳴らす
「なら俺にも奢れ高尾」
「何故に!?」
「普段の迷惑料に決まってんだろ」
「ちょ辛辣!!」
高尾がゲラゲラと笑いながら安くお願いしますと言ったのでさっさと片付ける
大坪や木村も誘ったが2人は断り途中まで一緒に帰った
そして3人で入ったのは学生に優しいファミレス
高尾が何にしよっかなーとメニューを開くと未來は席を立った
「宮地、いつもの頼んどいて」
「はいよ」
未來の姿が見えなくなると高尾はメニューを立てて体を乗り出してきた
「先輩達って良く来るんすか?」
「まぁよくテスト勉強とかしに来るな」
そう答えながら、呼び出しベルを鳴らすと高尾が焦る
「ちょ!まだ決めてないっす!」
「わりぃな、俺らはいつもこんな感じだから、早く決めろよー」
結局俺が頼んでる間に決めたらしくギリギリで頼み、ドリンクバーに直行し未來と一緒に戻ってきた
軽く部活や合宿の話をしたり、ミックスジュースを作ったりしながら食事を終え、帰ろうとすると高尾はトイレへと席を外した
「ほら」
「あ?」
「払っといて、後輩に奢らせるほど腐ってねぇから」
そう言って紅茶に口をつけながら伝票とお金を出してくる未來に伝票だけを受け取り荷物を持って立ち上がる
「悪いが、俺も後輩や女に奢らせるほど腐ってないんでね」
「は、あ?いや自分の分くらい」
「うるせぇ!女は大人しく奢られてろ!…高尾来たら来いよ」
そう言って席を離れた俺は未來がどんな顔をしていたかなんて知らない
高尾side
トイレから戻ると席には未來先輩しかおらず宮地さんは荷物ごといなかった
「あれ、宮地さんは?」
「会計」
「えぇ!?ちょ、俺の奢りって言ってたのに!!」
未來先輩は頬杖をつき俺から顔を逸らし紅茶を口にする
俺は席に座り残りのジュースを流し込む
「ぷはっまじ宮地さんイケメン!男前すぎるんですけど!奢れって言ってたのに!自分が奢っちゃうとか!」
「本当にな」
「へ?」
思わぬ返答に動きが静止するも未來先輩の顔をそっとのぞき込むと見んなとメニューで顔面を叩かれ、前が見えない
チラッと見えた未來先輩はちょっと赤くなってて
「え、もしかして未來先輩…」
「黙れ殺すぞ」
「ガチトーン!!」
サッと背もたれに寄りかかり距離を取れば未來先輩は額に手を当てため息をついた
「私こんなんだからさ、よく喧嘩ふっかけられるし、恨みも買ってるから…友達とか作らねーで、こうゆうのも避けてたんだけど…」
「ど?」
「私にこうゆう楽しみ教えたくれたのアイツでさ…アイツの近くにいるのが楽しくて、さ…いつの間にか」
「好きだった?」
「っ!!」
効果音が付きそうなくらい顔を赤くさせた未來先輩は両手で顔を隠し顔を背けた
そこにはいつもの迫力は無く、1人の恋する乙女で
俺は未來先輩の手を取り目をまっすぐに見た
「未來先輩!!俺、未來先輩の事お姉ちゃんって感じですげー好きだし、宮地さんも好きだし、2人には幸せになって貰いたいんでめっちゃ応援します!!」
「高尾…」
「だから何かあったら相談して下さいね!!」
きょとんとしていた未來先輩は綺麗に微笑んだ
「ありがとう高尾。じゃあ行くか、宮地がキレる」
「うわっそれはいやっす!」
未來先輩と急いで店を出ると思った通り機嫌の悪い宮地さんと未來先輩がいつものように口喧嘩を始める
いつもと違うのはそこに俺が間に入る事
「ほーら!こんなとこで喧嘩しないで帰りましょうよ!」
「「おい!」」
本当にそっくりな2人だな
間に入り、2人の腕を組み歩き出すと未來先輩はフッと笑い、宮地さんもなんなんだよと文句を言いながらも腕を振り解こうとはしなかった
未來side
2人は私をバス停まで送り、バスが来るまで一緒に待っていてくれた
「じゃあまた明日な」
「おー」
「未來先輩気をつけて下さいね!お疲れさまです!」
高尾は最後まで元気だな
ドアがしまり窓から2人に軽く手を振るとバスが発進し席につく
バスの中は私以外誰もおらずちょっと不気味だった
最寄りの駅で降り、家まで歩いていると誰かにつけられているのを感じた
めんどくさいと思っていると公園を通り過ぎようとした時に声をかけられた
「おーい!!月島ちゃーん!!」
「…誰かと思えば、負け犬じゃん」
名前は…忘れたがいつも突っかかってくる頭の弱い女
挑発すればすぐに頭に血が上る
「っテメェいつまでも調子乗ってんじゃねぇ!!おい!!」
「!!」
公園ないには仲間らしき人がわらわらと出てきた…男も混じってんじゃんか
それに小さく笑いアイツを見た
「団体なら勝てるって?」
「ふん!!やっちゃいな!」
そんな掛け声と共に一斉にかかってくる
すべてかわして公園を出る…思ったより人数が多すぎる!
後ろから追いかけて来る奴らを撒こうとフェンスを勢いで乗り越えると反対側にも奴らが現れ足を止めた
「はぁ、はぁ、追いつめたぞ月島!!」
「体力ねぇなお前」
殴りかかってきた男の拳を避けると勢いを殺せずフェンスに激突し気を失った
アイツ等との約束が脳裏を過ぎったけど、これじゃ無理だ…幻滅されるかもな…
「逃げんのはもうやめる。全員、ぶっ潰してやるから来いよ」
「いって」
あれから数時間後
駆けつけた警察から逃げ切り、風呂に入っていた
戦った中に男が数人いたせいでいつもより傷を作った
つか男が顔殴んなよ
押さえつけられたり、やばそうになったりもしたが蹴り上げることで回避
でもアイツ等の触った感触が残ってて気持ち悪い
「あ~、明日うるせぇんだろうなアイツ等……あ、高尾、緑間もか」
毎回喧嘩するたび保護者かと突っ込みたいくらい心配して来た3人を思い出す
1人は喧嘩腰だが…
そして私を姉のようだと言った高尾と何気に母親属性の緑間もそこに加わるんだと思うと気が重くなった
゙喧嘩をしない゙
3年になり上級生から絡まれなくなった時に3人と約束したこと
「わりぃ破っちまった」
湯船に沈み、目から流れた物は無かったことにした