不良少女   作:鞠猫

9 / 9
9

未來side

 

 

「げぇっボッロ…」

 

「高尾うるさいぞ」

 

バスを降り、泊まる宿を見て呟いた高尾に大坪が注意する

けど確かにこれはない

 

「聞いてねぇぞこんなにボロいなんて…帰る」

 

「帰んな!!バカ!!」

 

踵を返した私の腕を掴む宮地

そのまま引きずられるように中へ入った

 

 

 

「おい荷物こっちー!」

 

「へーい」

 

後ろを歩く高尾達に木村が声をかけた

やる気のない返事のあとに緑間の大声が聞こえた

 

「なにやってんだアイツ等…おい見てこいマネージャー」

 

「誰がマネージャーだ。ぶっ殺すぞ」

 

「んだと!もがっ「頼む月島」

 

青筋を浮かべた宮地を木村が抑え大坪が言ってきたので仕方なく来た道を帰る

そして洗面所に溜まる奴らに近づく

 

「遅えよ、何して……」

 

目の前にいる女の子

包丁片手に返り血を浴びている

 

「何、誰やったの」

 

「やってな「未來先輩!!真ちゃん、真ちゃんがぁ!!」

 

「高尾ふざけるな!!」

 

「何!緑間がやられた!?なんてことだ!」

 

「先輩も乗るのではないのだよ!!」

 

高尾の茶番に乗ると緑間に全力でツッコまれた

まぁそれよりも…

抱きついてる高尾にヘッドロックをかける

 

「おいコラ。てめぇらが来ねぇせいで迎えに来させられてんだよ…メイクする時間無くなんだが…どうしてくれんだ、あ゙ぁ゙?」

 

「せんぱっギブ、ギブっす!!」

 

腕を叩く高尾に腕を外して2人を睨みつける

 

「で?」

 

「「…ハーゲン○ッツ奢ります」」

 

小さくなる2人に鼻を鳴らし立ち尽くしている3人に向き直る

 

「悪いな、コイツ等回収してくわ」

 

「えっと…あなたは?」

 

女の子が恐る恐るといった感じで見上げてきた

後ろの男子2人も視線がこっちに向いている

 

「3年生の先輩で月島未來先輩!合宿中に飯作るのに来てもらってるんです!!マネージャーやってくれればいいのに…」

 

「黙れ高尾」

 

「すんません!!んでこっちが誠凛の監督さんと1年レギュラーっす!」

 

「相田リコです」

 

「黒子テツヤです」

 

「火神大我っす」

 

誠凛?聞いたことあるな…

誠凛、誠凛……あぁ

 

「最後のシュートが決まってりゃ勝ってたところか」

 

「ぎゃん!!先輩ってば心折れるぅ!!」

 

「先輩…」

 

 

 

あれから部屋に行き、メイクをバッチリしまだ朝ご飯の時間だが夕飯のメニューを考えに(昼はおにぎりだ)中谷先生に預かった食材の袋を腕にかけ広間に行く

 

「おっと」

 

「すいません…あれ、月島さん、ですよね」

 

「あぁ…黒子、だよな?フラフラだぞ。大丈夫か?」

 

「はい…」

 

何故かフラフラの黒子を支えると中から声がかかった

 

「黒子、吐いたらもう一杯追加な」

 

「は?」

 

黒子の肩を支えながら中へ入れば沢山の目が集まり眉間に皺がよった

皆、箸を持つ手がぷるぷる震えている

皆を代表してか面白い口の男が立ち上がった

 

「く、黒子…」

 

「はい?」

 

「なんでお前は美女ばっかり連れてくるんだよ!!」

 

「え…すいません?」

 

「分からないのに謝るなよチクショー!!!お姉さんメアド交換しましょう!!」

 

詰め寄ってくる男

え、てかなんかひょろくね?誠凛

こんなところに負けたのアイツ等…

 

「うざ。私より低い男子とか興味ねぇし、つか会ってすぐそれとか信じらんない。刺すぞテメェ」

 

「この人めちゃ辛辣!!」

 

大袈裟にショックを受ける男を無視する

皆が集まるところに行けば朝会った2人と目があった

 

「えっと…火神?」

 

「うす」

 

「リスみてぇだな、お前」

 

可愛いと言いながらその頭を撫でると顔を真っ赤にして振り払った

 

「よし、俺も火神みたいに食って美人さんに頭撫でて貰う!」

 

「こりねぇなコガ」

 

「そう言う日向もめっちゃかき込んでんじゃん!」

 

何故かいきなり口にかき込む誠凛の男達

それを冷めた目で見やると、隣から黒いオーラが漂ってきた

 

「今日は練習倍いっとく?」

 

相田の言葉に男達は静止した

 

「あ、月島さん!」

 

「ん?」

 

「ちょっと監督さんの所に案内して欲しいんですけど」

 

「あー、これ冷蔵庫に積めて飯炊くから、ちょっと待ってもらっていいか?」

 

「はい!」

 

 

 

相田と体育館までの道を歩いているとふと聞かれた

 

「月島さん身長高いですね、スタイルもいいし」

 

「春に175㎝だったな」

 

「すごっ。それにモデルの黄瀬君に凄く似てますよね…親戚か何かですか?」

 

「いや、知らね。つか雑誌とか見ねーし、その黄瀬君とやらをあんま見たことがない」

 

学校でも何人にも言われたことだ

そんなに似てるのか…

 

「月島さん…実は姉弟だったりして」

 

「2つ下に弟がいるらしいが、産まれた頃の写真しか見たこと無いし…そうだったりしてな」

 

「え!?」

 

部屋にある写真を思い返しながらそう返すと相田は驚いたように私を見上げた

 

「ま、もしそうだとしても、向こうは姉がいるとも知らんさ」

 

 

体育館につきすぐそこにいた部員を呼びつけ中谷先生を呼ぶように言うと中から高尾の声が聞こえた

 

「未來先輩!!マネージャーやりに来てくれたんすか!?」

 

「待ってたぞ雑用!」

 

「誰が雑用なんかするか!!忙しいんだよ!刺すぞ高尾、宮地」

 

「巻き込まれた!!」

 

「今のとこ飯作るしか仕事ねぇだろ!轢くぞテメェ!」

 

「1軍何人いると思ってんだ!撲殺すんぞ!」

 

「高尾、宮地。外周行ってこい。それから月島。喧嘩した罰として食事は夕飯から誠凛の分も作りなさい」

 

「「「!?」」」

 

何か逆らえないオーラを背負った中谷先生に3人揃って頷いた

 

 

体育館から調理場に戻れば丁度ご飯が炊けていた

蓋を空ければ湯気が溢れて私を襲った

炊き上がったご飯を口に入れればいい感じの固さ

取りあえず塩を準備しなきゃ

少し入っただけでも体育館の中は暑い

あの中練習をしたら出て行く塩分の量はハンパないだろう

 

試しに1つ握り口に入れる

 

 

「…塩と砂糖間違えたわ」

 

一口しか食べてないそれを捨てるのは勿体無い…が食べたくはない

…よし、ロシアンにしよう

あわよくば宮地に当たれと思いながら大量のおにぎりを作った

 

 

「……作りすぎた、か?」

 

数分後、おにぎりが大量に入ったトレーが5段

流石に1人じゃ持てないので…

 

 

「あ、中谷先生。おにぎり作ったんですが量が多くて1人じゃ…はい、お願いします」

 

1軍を数人出してくれるようだ

携帯をしまい取りあえず中谷先生の分を取り分け、全部にラップをかけて1軍到着を待った

 

 

 

勢いよく体育館の扉を開ければ中で休憩中だったであろう全員の視線が集まった

 

「野郎共飯だぞ」

 

後ろから1軍5人が順番に持ってきたトレーを置くのを見、手に持っていた中谷先生の分を手渡す

 

「私の分まですまないね」

 

「いえ」

 

振り返ると皆、ギラギラとした目つきで並ぶおにぎりを眺めていた

 

「すっげー量…」

 

「こっちから梅、昆布、鮭、おかか、ただの塩。ウェットティッシュはここだ。どうぞ召し上がれ」

 

その台詞と同時に皆トレーに群がった

 

「うお!うめぇ!!」

 

そういえば一つ言い忘れたことがあると思い出した

 

「そういえば一つだけ…」

 

「うぇ、あっま!!」

 

「砂糖たっぷり入れたおにぎりあっから…って、すげぇな宮地。あの中から一番最初に当てるなんてな。運が良いのか悪いのか」

 

宮地は口に入れたおにぎりを水で流し込んでいる

舌に味が残ってるのか舌を出し涙目で睨んでくる

 

「うぇ…テメェも食えよ!!」

 

「それ一口食ったよ」

 

「は?」

 

「つまり…食べかけ?」

 

高尾の言葉に頷いた

すると高尾は口を両手でおさえた

 

「み、宮地さん、また…ぶふぁ!!」

 

「また?」

 

「なんでもねぇ!!高尾!これ食え!そんで表でろ!!」

 

「ちょ!宮地さん!?首締まって、んぐ!?」

 

「??」

 

首を傾げ宮地に砂糖むすびを口に入れられ引きずられて行く高尾を見ながら塩むすびを口にした


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。