おっす。俺はしがないグルメハンター(プロ)。日々旨いものを求めて研究の日々さ。
ハンター足るもの何かを狩れ、とは言うけども俺自身何かを狩りに行くほど行動的でもなければ、実力も持っている訳ではない。故に俺は何処にでもある普通の食材を、如何に極上に仕上げるかにこだわりにこだわったグルメハンター(プロ)なのだ。
自己紹介はこの辺にしておこう。基本的なグルメハンターってのは、旨い食材を求めて世界中あちこちを飛び回り、フリーランスに稼いで美食を狩る訳だが、俺は世界中を飛び回るほど行動的でもなければ、危険地帯に踏み入れて無事で帰ってくるほど強い訳じゃない。まあ一般人に毛が生えた程度だ。そんな俺はフリーランスではなく雇われとして日銭を稼ぎ、俺の美食を求めて料理を研究しているのだ。
そんな俺は今、山ひとつが敷地という大豪邸の料理長(プロ)として働いている。
本来美食ハンター(プロ)を雇うには莫大な給金、数多もの希少食材を入手出来るコネ、この二つが揃って、漸く一週間程度雇う事が出来るものだ。何故なら彼らは大抵の場合、自力で希少食材を調達出来る。美食を求めるのに、一ヶ所にとどまり続けるなんて愚かだからだ。故に金持ちの美食家は美食ハンター(プロ)を雇うのではなく美食ハンター(アマ)を雇うか、美食ハンター(プロ)が発見した超希少食材を大枚叩いて買うか食べに行くかのどれかになる。
ただ俺は違う。俺の求めるグルメとは特別な食材は使わない、何処にでもある食材、調味料を使い旨い料理を作る。だからこそ適度な給金と料理研究の為の休日さえ確保できればどこでも良かった。まあ何の因果か、大豪邸の料理長なんて職に就いてるが。
さて、何処にでもあるような食材を使って極上の料理に仕上げる事を目標に掲げてる俺だが、実は既に俺の求める美食はほぼ完成している。グルメ研究の道に終わりは無いが、俺が求めた『死ぬほど美味いメシ』のレシピは既に書き上がっているのだ。その功績が認められ、俺の実力こそ低いが
協会からは『早く弟子取れ』とせっつかれてるが、俺みたいなロクデナシが弟子を取った所で意味がないと思う。
まあそれはともかく。
今日は長期休暇が取れたので故郷に戻る事にした。久々の故郷の地はまるで姿形が変わっているが、その本質は一切変わっていないようで安心した。
鼻歌混じりに実家に帰ると、思ってもみなかった旧友が出迎えてくれた。
「久しぶりだな、グリード」
「おぉ、クロロ!相変わらずイケメンだな!」
奴の名前はクロロ=ルシルフル。悪名高き幻影旅団の団長であり、嘗てのお隣さんだ。そして俺の料理人としての初の客である。
そう、ここは流星街。あらゆる物が廃棄され、あらゆる物が集う街。俺の
改めて自己紹介をしようか。
俺の名前はグリード=ダイモーン。流星街一の食餌屋『デビルキッチン』の元店長にしてゾルディック家の現総料理長。
得意料理は『死ぬほど美味い猛毒キノコソテー』。気になるなら食いに来な。美味すぎて昇天するぜ?
* * * * *
久々に実家に帰ってきたら、家に顔見知りが居た件。
「お前が此処に帰ってくるみたいだからな。久々にお前の作る料理が食べたくなった」
「ひゅー!そんなにも求められちゃ料理人冥利に尽きるってもんよ!よし、じゃあ早速腕を振るってやりますかね!勿論金は取るが」
基本的に俺は自分が美味いメシを食えればそれで良いのだが、偶には誰かに料理の腕を振るいたくもなる。そう言う訳だからプロハンターになっても雇われの料理人として活動したりするし、今もこうして知人に個人的に料理を振る舞ったりする。
さて、そうは言っても流石に実家に置いてある調理道具だけじゃあ物足りない。ってなわけで俺達は古巣であるデビルキッチンに行くことにした。
「ところでなんで俺が帰ってくるって分かったんだ?勘か?」
「……ああ」
「そうか!お前の勘はとんでもないなぁ!」
クロロは大抵いつも本を読んでいる、好きなのだろう。俺の読みでは本を食っているに違いない。
「グリード、お前そういえばハンター
「売った!」
「……そうか」
一ツ星のライセンスがあんな値段で売れるとは思わなかったぜ!一生遊ぶどころか三生豪遊できる金が手に入ったけどな!使いきれねえわ!まあ売った所為かハンター仲間からプロ失格と陰口叩かれてるけどね(泣)
ってな感じで働く必要も無いが、それでも根っからの料理人。時々誰かに料理を振るいたくなるから今の仕事は続ける事にしている。職場の人達も中々付き合いやすいしね!
「(
「そういうお前は……あー……背ぇ伸びた?」
「……変わってないようだな」
無表情だがものっそい呆れられてる感。ムカツクが俺の料理を食って破顔するまでの辛抱だ。
そんなこんなでデビルキッチンに到着。店に入ると見知った顔ぶれが。
「お、ようやく来やがったか!」
「待てたね」
「遅かったね団長、グリード。まあグリードがのんびりと来た所為なんだろうけど」
幻影旅団のムサい奴等が3人。ゴリラとオチビと爽やか君。横のクロロも合わせてタイプの違うイケメンが5人揃った事になる。
「……5人?」
「そこで疑問を挟むんじゃないよ」
「あたかも自分がイケメンだと思てるね」
「おい泣くぞほら泣くぞ」
「いいからさっさと美味いメシ作れよ!こちとら腹空かして待ってんだよ!」
「うるせえソコの沢庵(の様なナニカ)でも齧ってろゴリラ!」
まあそこまで期待してもらって悪い気はしないけどね!
「「(チョロイ)ね)」」
厨房に入りデカい鍋を引っ張り出す。厨房の奥に現デビルキッチンの店主が居たが叩き出す。創業者舐めんなパンチ。今日は旅団一行貸し切りだボケ、今決めた。
厨房の冷蔵庫に入ってる食材……は、なんか微妙なモノしか入ってなかったので俺の『ポケット』の食材を使う事にした。
クロロが俺の能力を物欲しそうに見るがこれはやらん。
俺の能力の一つ『
この能力で、調理器具さえあればそれこそいつでも、どこでも料理を作ることが出来る。
とりあえず何の変哲もない鶏のモモ肉とキノコ、葉物野菜を幾つか引っ張り出し、調味料をその場でブレンド。鍋に火を入れ、そこに食材をぶち込む。ジュワアア!と音をたて食材共が焼ける香ばしく食欲をそそる匂いが立ち込める。
その匂いと見た目から
鶏モモの色が変わってきた所でキッチンの冷蔵庫に入っていた謎酒を投入、フランベって奴だな。派手に火が上がり香り高く焼ける。
食材に香りが付いたところで今作った特製ソースを大量に投入。焼き料理かと思ったか?残念!鍋料理だっ!
グツグツと煮え滾る鍋にそっと蓋をし、次の料理に取り掛かる。と言ってもすぐに出来るモノだが。
「ほい、味が染み込むまでの待ち時間に食ってな」
肉厚のキノコを薄くスライスし、特性のドレッシングをかけて出す。
俺特製『毒キノコの刺身』。
「シレッと食べたら死ぬ様な毒キノコ出さないでくれない?」
シャルナークの言う通りこの毒キノコ、名前を『ムシコロリタケ』と言い、食べたら虫どころか象もコロリと死ぬキノコである。だが味は絶品であり、この流星街の外れの方に群生しているが毎年の様にこのキノコを食って死ぬ人が出るくらいに人気である。
勿論悪食家とはいえ死んだら元も子もない。まあ多少の毒なら問題ないんですがね!ともかく毒キノコをそのまま食えば流石に天下の幻影旅団とはいえ死ぬのでそこは一工夫。かけてあるドレッシングが毒をある程度中和してくれるので一般人でもお腹を下す程度で済む。
「いや、なんで完全に無毒化しないんだよ!」
「その毒がキノコの旨味そのものだからに決まってるだろうが」
完全に毒を中和しちゃったらただの肉厚ジューシーなキノコ(無味)である。まあ死ななきゃ安いと思って食え。
「お!滅茶苦茶うめえじゃねえか!」
「だっしょー!?話分かるゴリラだなおめー。生で食うのも美味いが、軽く炙ると食感も変わって酒のツマミにぴったりだぜ?」
「何!?ならそれくれ!あと酒も!」
「オーケー!炙った奴にはダシ醤油をかけると相性抜群よぉ!」
そう言ってササッと薄切りにしたキノコを火に潜らせ、醤油をかけて香ばしくする。何も言わないクロロも欲しがってそうなのでもう一セット。酒は厨房の冷蔵庫に入っていたビール缶を出す。
「クーッ!滅茶苦茶効く!おかわりだ!」
「はいよぉ!」
食べっぷりからおかわりが必要だと察せたのですぐに追加を出す。横に視線をずらせばモニュモニュと生キノコを齧るフェイタン。生の食感が気に入ったようだ。
苦笑いするシャルナーク、良いから食え。っと、そんなこんなで鍋が煮えた。蓋を開けると葉野菜の良い香りと香ばしさがふわりと広がる。ドロっとした鍋の汁に生卵を人数分割り落とす。火を弱めて各々によそう。
ゴリラとオチビはがっつく様に、クロロはゆっくりと食べ始めるが、爽やか君は食べない。おい。
「……これも毒が入ってるってオチじゃないよな?」
「入ってたら問題あるのか?」
「あるに決まってるだろう!?」
どうもシャルナークは毒が入ってるのが気になるらしい。宗教上の理由かな?
「普通毒入りの食事なんて食べたくないだろ!?」
「生きるために食う。そこに毒がどうとかは関係ないだろ?」
俺の言葉に感動して何も言わなくなるシャルナーク。
「呆れて物も言えないとはこの事だよ!」
「シャル、黙って食うね」
「これもまたうめえな!シャル!お前も食えよ!」
「オレか!?オレが悪いのか!?」
さっきから食わずに騒いでばかり。もしかしたらシャルナークは胃腸が弱いのかもしれない。
「悪かったな、俺の察しが悪くて。今大根おろし入れてやるから」
「なんでそうなるんだよ!?大根おろしは貰うけど!」
大根おろしを入れると少し味が落ちるが、ほぼ無毒化するから一般大衆向けのレシピには卵の代わりにおろしを入れている。
「美味しい……けど納得いかない……!」
シャルナークもモリモリ食べるようになって良かった、良かった。
そうして何度も鍋の中身をよそい分けると当然具は無くなる。ので具がほぼ無くなった鍋の中に自作のカレースパイスをドボッと投入し、火力を強める。ぷつぷつと沸騰し始めたくらいに極太の麺を入れる、シメのカレー鍋焼きうどんだ。
「お?なんだこの太い麺は?」
「ウドンっつってジャポン発祥の麺だ。シンプルな味わいだがこうして色々と変化球の味付けと合わせて飽きない美味さだぞ~?」
「へぇ、中々いい香りね」
「さあ俺特製のカレーうどんだ!舌が焼ける旨さを堪能あれ!」
四人に同じようによそい分ける。今度は全員一気にズルズルッと口に入れる。初めて食べるにしては中々堂に入った食べ方だなお前等!
「っぐがァ!?舌が痛ぇ!!だがうめえ!!!」
とウボォーギン。
「ッッッ!!!」
無言で悶絶しながら食べ進めるフェイタン。
「ふっ……!!ぐっ……!!」
啜る事を諦め、ちょっとずつ食べるシャルナーク。
「……」
黙々と、だが額に汗を浮かべながら食べるクロロ。
ズルズルと、或いはモクモクと四人は食べ進め、そうして鍋は完全に空っぽになった。
「っぶはー!滅茶苦茶美味かったぜ!」
「良かたね」
「毒が気になるけど……まあ、美味しかったよ」
「美味かったぞ」
「おう!お粗末様!」
普段無表情のクロロも僅かだが笑顔で感想を言い、やはり誰かに食べさせるのは止められねえなと思った今日この頃だった。
「じゃあ一人当たり二千万ジェニーな!」
「メシ代にしては馬鹿高いな!?」
「技術料だ馬鹿。さあ払え!」
「じゃあシャルメシ代頼んだ!」ガタッ
「頼んだね」ガタッ
「じゃあな」ガタッ
「は!?ちょ、ウボォー!?フェイタン!?団長!!?ちょっと!??」
「よしシャルナーク。八千万ジェニー出しな?」
「酷くない!?くっ、なら俺も逃げ」ガタッ
スパッ
「ふむ、蜘蛛料理は初めてだが何事も経験かな」
「分かった!払う!払うからその包丁降ろして!!」
『
「クッソ!これで強さは一般人に毛が生えた程度とか何の冗談だ!」
「……いや、強くはないだろ。俺よりウボォーギンやノブナガ、クロロの方が強いし、今働いてる職場の雇い主なんかまじで敵う気がしないし」
「比較対象おかしいだろうが!?」
俺の周りの人物と言えばまずゾルディック家の執事やゾルディック一家、それとあとは幻影旅団の各々にあとプロハンター達……うん。
「やっぱ俺って一般人に毛が生えた程度の強さしかないな?」
「お前の言う一般人って誰だよ!!?」
シャルナーク?
「オレ一般人扱いなの!?」
「まあ旅団の中じゃ扱い悪いわな!」
「ちくしょううるせー!」
何処にでもある(言葉通り)食材(???)。
某TS転生虫娘小説と某暗殺者プロハンター小説と某極振りフリーダム爆破小説に触発された。俺は悪くない。
つ づ く !!!