悪食グルメハンター   作:輝く羊モドキ

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アンケートご協力ありがとうございました。
なんか人気だったG・I編と、その後に暗黒大陸RTAやります。


ちなみに
・キルア坊っちゃんと原作沿い
 次のハンター試験にも試験官として参加したグリードは4次試験でゴン一行と出会う。その後なんやかんやありイルミとキルアと共に一度ククルーマウンテンに戻るが、追いかけてきたゴン一行となんやかんやで同行することにした。(鋼裡ちゃんout)
 天空闘技場で一悶着あり、その後のヨークシン編で蜘蛛と再会。蜘蛛側について色々あってクラピー殺害。G・I編すっ飛ばして蟻編最終でゴンとキルア二人と決闘することになる。そしてピトーはかわいい。
 いわゆる主人公ラスボスルート。

・イルミ坊っちゃんと世界食べ歩き。
 イルミの仕事に付いていき(強制)世界中のあちこちで料理を作り、食べ回る。オリキャラオリ展開バッチコーイ!原作なにそれおいしいの?えっ、ヒロイン?イルミ坊っちゃんに決まってんだろ!
 超まったり(よく人が死ぬ)ルート。

・いや、俺は家から出ねえからな?
 ゾルディック家に籠りアルカちゃんカルトちゃんをよしよしする。ランダムエンカのナニカには……気をつけようね!
 困ったときは「アイ」で解決ギャグルート。

という5分で考えたあらすじ。失踪する前にオマケとして投稿しますね。(投稿するとは言ってない)


時には遠くへ行きたい事もある、たとえば地図に乗らない島とか。

 まっすぐ自分の言葉は曲げねえ。それが俺の料理道だ!(嘘)

 ハローやーやー皆の衆。グリードだよ。

 ゾルディック家に戻って約一週間。その間執事コック達の腕前を再確認したり、執事コック達を()()()したり、『クリムゾンフォレスト』で採集した木の活用法を研究したりとそこそこに忙しい日々を送っていた。

 

 そしてふ、と気がつく。新しく作った能力の詳細をよく知らないと。

 『悪魔の料理長』に限らず、特質系の念能力は気がついたときには完成していることが多い。経験上な。

 ゆえに能力者本人が能力の詳細を知らない……なんてザラである。クロロみたいに自身の能力を()()()()()特質系が珍しいんだ。

 

 そしてここからが重要……能力者本人が自身の能力を知らなくても、『多分こうだろう』というインスピレーションは大抵正解である。

 無論、何の根拠もなく『これは出来る』ということにはならない。インスピレーションとは自身の経験と知識から成る。子供がヒーローを夢想するのとはワケが違うのだ。自身を知り、自身の限界を知る者にインスピレーションは湧く。

 だからこそ俺は頭に降りてきたインスピレーションにのっとり、行動を起こした。

 

「俺の顕在オーラ全てを対価に現れろ」

 

 『悪魔の先兵(デビルオーダー:コマンドポーン)』発動。言葉通り、俺の顕在オーラ全てを持っていき能力は発動した。

 能力の行程は2つ。俺のオーラを僅かに使って()を具現化、何処かから現れた不明のオーラが()に入り込む。そうして能力は起動完了。

 ()が人間のような姿形を作り、俺に対して頭を垂れる。

 

『オ呼ビデスカ主人(マイマスター)

 

 この念能力を作ったあの時は対価を決めていなかった。だから俺の()()に対して勝手に対価を決められた。では逆に対価を決めていれば、俺の()()は対価内で収まる程度に叶えられるのだろう。

 

「お前が知っている情報を寄越せ」

 

『知識ノ伝授デスネ、カシコマリマシタ』

 

 そうして俺の目の前にいる存在は、自身を悪魔と名乗った。

 

『御存知ノトオリコノ身ハ主人ガ具現化シタ(ソトガワ)ニ我等悪魔ガ憑依スル事ニヨッテ主人ノ念能力(チカラ)ヲ扱ウコトガデキマス。()()()()ハ比例シマス。ソシテ憑依シタ悪魔ニヨッテ出来ル事ハ変ワリマス。主人ノ能力ヲ超エル()()モ可能デスガ()()ハ跳ネ上ガリマス』

 

 簡単に自身の能力について説明した悪魔は唐突に喋らなくなった。

 

「どうした、情報はそれで終わりか?」

 

『主人ノ捧ゲタ()()デハココマデデス。『能力ノ全テ』ヲ知リタケレバソウデスネ……主人ノ右腕、或イハ同価ノ寿命及ビ生命力ヲ捧ゲテ頂ケレバ』

 

「じゃあ結構」

 

『ヒ?』

 

 そう、思えば俺の()()は『悪魔の料理長(デビルオーダー)の発動』のみだった。『情報』は二の次、()()だけで余った対価分が先程までの饒舌な悪魔の言葉だったのだろう。

 と、いうか……だ。そもそもこういった事は俺の性格に合わなかったんだ。ならばそう……初めからこうしとけばよかったんだ。

 

 スパッ

 

 と鋼裡が仕立てた新しい包丁で悪魔の首と胴体を分ける。

 

『ヒ?ヒ?何故?主人ノオーラハ発セラレテイナカッタ筈……?』

 

「『食材』を切り分けるのに一々オーラなんて使うかよ」

 

 時々勘違いされるがオーラを使うのは『食材』を調理するために使う。切ったりすりおろしたりといった加工は自前の手の速さだ。硬い食材を切るのに『周』を使ったりもするがその程度だ。

 そして俺の()()は『奪掠』。契約、取引、対価、馬鹿々々しい。そこにあるなら奪ってしまった方が良い……なんて、やっぱ俺は強欲(グリード)の業から逃れられない。

 

 ボトリと悪魔の首が落ち、身体は黒い靄となって空気中に散って行く。

 悪魔の首を掴み、俺の目線と合わせる。

 

『何故?何故?ドウシテコンナコトニ?』

 

「……思えば、こうして悪魔と会話するのは二回目か。一回目は煮え湯を飲まされたが、まあ忘れてやろう。そう、気になっていたんだよな」

 

『アア、主人……ヤメテ……』

 

「悪魔ってどんな味がするんだろうな?」

 

『ヤメテ……イヤダ……セッカク受肉シタノニ……コンナ終ワリナンテ……』

 

 

 

 

「『悪魔の料理番(デビルオーダー:グルメスクアッド)』発動。愚者の屍を食らい出てこい」

 

『お呼びでしょうか主人(マイマスター)

 

 人の姿をした悪魔を筆頭に、獣の姿や不定形と様々な悪魔が計10体程召喚された。やはりただ()()だけなら激しいオーラ消費にはならない。さっきの悪魔の知識通りだ。

 そして同じく知識通りなら、ただ()()()現れた悪魔共は総じて階級が低い。これでは大した事も出来ないだろう。

 ある意味期待通りで、期待外れな結果に消沈しつつ現れた悪魔共の首を斬り落とし、残さず捌いて喰らい尽くした。

 

「悪魔にもピンキリ、最初に呼んだ『料理長(グルメシェフ)』はかなり階級の高いヤツだったんだなぁ」

 

 多くの悪魔共の犠牲によって、俺の求める理想の一つ(グルメ)を叶えるためにはかなりの代償が必要だと分かった。それと悪魔の味もピンキリある事も分かった。

 しかしまさかここに来て俺のほぼ無意味だった念能力(死にスキル)が役に立つとはな。

 

対価要らず(グリードハンド)

 人間以外から様々な物を奪うことが出来る。悪魔(グリード=ダイモーン)の力の原点。

 

 こんな能力なんて獣や魔獣から容量(メモリ)を奪うくらいにしか使ってなかったが、この歳になって使い道が広がるなんてな。

 

「な、これは一体何事ですか!!?」

 

「んぁ?」

 

 少しばかし放心していたようだ。汎個性執事が近づいてくるまで気が付かなかった。

 

「ぐ、グリードさん、これは一体どういう事ですか!」

 

 俺に詰め寄ってくる女執事。名前は……なんだったか忘れたが、一応俺の部下に当たる料理番の一人だ。そこそこ物覚えも良く、部下の執事の中では一番調理速度が速いヤツだ。名前は忘れたが。

 そして辺りを見回せば、バラバラに解体された悪魔の残骸が。あー……成程、これはあれだ、やっちゃったんだぜ★

 

「これは……魔獣!?ゾルディック家の敷地内に……まさか、グリードさんが手引きを」

 

「おっと面倒くさい事になる」

 

 調理用の目打ちを名を忘れた女執事の首に叩くように当てる。それだけで膝から崩れる様に地面に倒れる。

 

「あぐっ……な、なに……を……」

 

「やー、なんか説明面倒だし、説明するとなると俺の念能力についても説明しないといけないし、まあぶっちゃけゾルディック家の誰かにも知られると更に面倒だから口封じをね?」

 

「私を……殺すのですか……」

 

「いやいやまさか、君ら執事達の一部に死んだら発動する念能力を持ってる奴等が居るって知ってるし。それに勝手に執事を処理したら何言われるか分かんないからね」

 

「なら……」

 

「それに『悪魔は人間に成りたがる』ってのが本当か確認したいし」

 

「……ぇ」

 

「『悪魔の知識欲(デビルオーダー:ライブラリアン)』出てこい都合の良い悪魔」

 

『呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!我が主(マイロード)の呼びかけに華麗に参上!ご命令は?(オーダー?)

 

 元気よく飛び出てきたのは黒い靄を纏ったままふわふわと浮かぶ闇色の球体だった。

 

「そこの女執事に成り代われ」

 

『ええ!?良いの!?良いの!?それがご命令?(オーダー?)肉体はそのまま貰っちゃっていいの!?』

 

「好きにしろ」

 

「ぁ……ま……いゃ……」

 

『やったー!!ニセモノじゃない本物の肉体(からだ)!』

 

「ぁ……ぁっ……ぁぁぁ……」

 

 闇色の球体は黒い靄を女執事に纏わりつかせると、口腔を抉じ開けた。

 女執事はこれから何をされるのかを悟ってか嫌々と必死で動かない身体で抵抗を示すが、そんな事などお構いなしと闇色の球体は抉じ開けた口腔内に入り込む。その身の色を闇色からあらゆる絵の具をぐちゃぐちゃに混ぜたかのような虹の黒色に変えて、ゴキ、メキ、と顎の関節を破壊しながら口腔から更に奥へと侵入していく。

 

「ご、ぉ”……げぇう”ぇ……」

 

『暴れないでねー!すぐにでも()にしてあげるからねー!』

 

 女執事は『練』で激しく暴れようとするが、黒い靄が全身を締め上げ、更に『練』で発せられたオーラを食っていく。

 辺りに異臭が立ち込める。女執事が失禁した臭いと人が死ぬ寸前に放つ匂いが混ざり眉を顰めるほどの悪臭が漂ってきた。

 バジュリ、と水風船が爆発したかのような音がしたと同時に女執事の身体が大きく跳ねた。そして紐で首を吊ったかのようにぶらりと宙に持ちあげられる。女執事の目から光は失われていた。

 すると、黒い靄が今度は女執事の皮膚から吸収されるように消えていき、全ての靄が無くなったと同時に女執事の目に光が戻った。

 

「あははははは!!!やったー!!肉体!本物の身体だー!!」

 

 キャアキャアと飛び跳ねながら全身で喜びを表現する女執事……否、悪魔。

 飛び跳ねた際にバラバラになった悪魔の残骸を踏みつぶしてもお構いなし。むしろ積極的に踏みつぶしているかのように飛び跳ねていた。

 

「おい、少なくとも俺の記憶じゃソイツはそんな激しく飛び回ったりはしねえぞ」

 

「あはっ!いけないいけない、我が主の願いを忘れる所でしたよ!ところで我が主!()に名を頂けませんか!?」

 

「いいよ」

 

「もちろんタダとはいいま……て良いんですか!!?軽いっ!軽いです我が主!!」

 

 軽いと言われても。悪魔に名を付ける事がどういう事かは既に奪った知識で得ている。少なくとも一生付き纏われるくらいは覚悟するべきだろう。

 だが、俺には関係ないね。必要なものは奪い、与える。

 

「お前の名は……『カルマ』にしよう。俺に従うには良い名前だろう?」

 

 悪魔……いや、カルマはえへ、えへ、と笑いながら静かに泣き出し、俺に跪く。

 

「我が主。この『カルマ』、たとえこの身が朽ちても永遠貴方様に仕えることを誓います」

 

「善きに計らえ」

 

 悪魔にとって受肉とはこの物質世界に顕現する手段であり、望みである。そして名付けとは顕現した姿を世界に定着させる楔であり、願いである。だが名付けは誰にでも出来る事じゃない。ただの人間が悪魔に名前を付けると、その代償に自身の名を失う。名を失うということは誰にも覚えられなくなり、自身もまた誰を覚えることが出来なくなる。そうして存在が希薄になっていく。

 まあ、(超強い悪魔)にはほぼ関係ないんだけど。

 

 さて、便利な手下が増えた所で……っと、そろそろ夕飯の時間か。

 

「カルマ、とっとと女執事の代わり役をやって(成り代わって)くれ」

 

「はい我が主!」

 

 ん”っ、とカルマが咳払いをすると、雰囲気までしっかりと成り代わった。

 

「グリードさん、もう夕食の時間ですので急ぎましょう」

 

「おう」

 

 そうして厨房に向かい、ゾルディック家の夕食を作った。

 そして、深夜。俺が自室のベッドで寝転がっていると影から音も無くカルマが現れる。

 

「我が主。今お時間宜しいですか?」

 

「……なんだ」

 

 いやほんとになんだよ、俺は眠いんだ。

 

「ふふふ、実は面白い物を見つけてしまいましてね。我が主はこの人間界で『ガス生命体アイ』と呼ばれる存在を御存知ですか?」

 

「あー……名前だけなら」

 

「『ガス生命体アイ』対価を払えばそれこそあらゆる願いを叶えることが出来る人類が暗黒大陸から持ってきてしまった最悪(リスク)。まるで悪魔(我々)のようで、根本から違う生き物」

 

「……で、それがどうした」

 

「ふふふ、ふふふふふ……実はですね、ソイツ、このゾルディック家に居るみたいなんですよォ」

 

「へー」

 

「反応が軽い!流石我が主!」

 

「おい、本性漏れ出てきてるぞ」

 

「おっと失礼。まあ、何が言いたいかといいますとぉ……我が主、それ(ガス生命体アイ)が自由に扱えたら面白そうじゃないですか?」

 

「別に」

 

 そんな事より今は睡眠をだな……

 

「えー、反応薄すぎてつまんないです我が主。折角ここに良い感じに調教済みのガス生命体アイの入れ物(アルカ坊っちゃん)を用意しましたのに」

 

「ぁ……イ……?」

 

「いやお前なにしてんのマジで」

 

 なんか色々突っ込み所さんが多いんですけど、誰よその目がイっちゃってる女の子。アルカ坊っちゃんって言った?え?どっから持って来た。ってか調教済みって言った?やばない?

 

「いやあ私知識欲を司ってますし?ちょっとどうなるか見たいなあと」

 

「知識欲というか好奇心だよねそれ」

 

「キ……ルアー……?」

 

 キ、ルア……まさかキルア坊っちゃんの事か?え?やばない????

 

「お前マジでコイツどこから連れてきた」

 

「ゾルディック家が厳重に封印していた扉の奥からですが?」

 

「やーぱなーい」

 

 うける、ちょーやばいんですけどー。

 

「良いですかガス生命体アイの入れ物(アルカ坊っちゃん)。今日から貴方のご主人様はこの方、グリード様ですよー」

 

「ぁ……ぐりー……ど……?」

 

「刷り込みさすな」

 

 よだれを垂らしながらビクンビクン震える様は犯罪的だと思いました(まる)

 

「カルマ、いいから元の場所に帰してきなさい」

 

「えー。ですが我が主、折角ガス生命体アイの入れ物(アルカ坊っちゃん)の心にスキマが開いているのですから、今の内に蹂躙してねぶり尽くしちゃいましょうよー」

 

「心にスキマってお前何した」

 

()()何も。いやー不思議ですねー、まるで何年も愛しの人に会えない小娘(処女)の様に心は愛と不安、記憶と不信感(過去の想い出)に囚われていましたから。そこにちょぉぉっとした未知の快楽(肉欲)を刺激しただけですよぉ?」

 

「マジで何してんのこんな見た目幼女に」

 

 流石悪魔、倫理観とかそんなモン知ったこっちゃねえと言わんばかりに暴走してやがる。

 

「貴方が言いますか我が主」

 

 それな。

 

「とりあえずカルマ、さっさとソイツを元の場所に戻してきなさい」

 

「よろしいのですか?今戻しちゃうときっと猿のように快楽を探索するブタの如きメスにしかならないですけど」

 

「……そいつを元に戻してから元の場所に戻してきなさい」

 

「あ、いっその事この小娘(処女)本物の快楽を教えて(我が主の肉欲をぶつけて)みませんか?」

 

「さも名案を思い付いたかのように振る舞うの止めな」

 

 俺はロリコンでは無い(無言の腹パン)

 腹部がミンチになったカルマはそのまま床に這いつくばった。

 

「お”お”お”……これが……痛みですか……成程……」

 

「また一つ賢くなったなカルマ。今度は手脚を踏みつぶされる痛みを知るか?」

 

「お許しください我が主!ただ私は貴方様のお役にたとうと思っただけで御座います!」

 

「それがなんでこんな」

 

 俺とカルマの会話は、慌てたように部屋に飛びこんできたイルミ坊っちゃんによって中断された。

 

「グリード!部屋から子供が一人消えたんだけど何か……」

 

 イルミ坊っちゃんの目が俺から横のカルマに動き、更に隣に居たアルカ坊っちゃんとやらに移る。

 そしてアルカ坊っちゃんの姿を認めた瞬間、イルミ坊っちゃんの感情が全て抜け落ちた。

 

「グリード、ソイツは何で此処に居る?」

 

「わお超ヤバス。カルマ」

 

「御意」

 

 俺がカルマに声をかけたその瞬間にイルミ坊っちゃんから無数の針が弾丸の速度で飛んでくる。

 その全てを枕で受け止めつつ、次の瞬間閃光が部屋を埋め尽くした。

 

 バリィン!と窓ガラスをブチ破って逃走。俺に追随するようにカルマが来て、数瞬遅れてイルミ坊っちゃんが飛び出してくる。

 

「グリード、グリード。グリード!グリぃィド!!」

 

「うっそだろイルミ坊っちゃんがあそこまで感情むき出しなる普通!?」

 

「いやぁ我が主、まさかガス生命体アイの入れ物(アルカ坊っちゃん)がゾルディック家の逆鱗だとは、このカルマの目をもってしても見抜けませんでした!」

 

「馬鹿じゃねえのお前!」

 

 カルマの方をふと見ると、面白い玩具を後生大事に抱える子供のようにアルカ坊っちゃんを抱え、顔はニヤニヤと厭らしく歪んでいる。

 

「楽しいですねえ我が主!!」

 

「ほんとお前馬鹿じゃねえの!!?早くそいつをポイしてきなさい!」

 

「例え我が主のご命令だとしても聞けませんねぇ!!はあぁぁあぁあぁ!これが本物の快楽!快感!悦楽!!人間を掻きまわすのは愉しいですねぇえええ!!!」

 

「あーもー滅茶苦茶だよこいつ!」

 

 殺気全開のイルミ坊っちゃんを振り切る為に空を跳ぶ。オーラを噴出した勢いそのまま、ククル―マウンテンの空を征く。

 俺の僅か後ろには当然の如く空を飛ぶカルマ、そしてカルマが抱える小娘アルカ坊っちゃん。そしていつの間にかついてきてた鋼裡。

 

「いやお前本当にいつの間についてきてんの!?」

 

「貴方様がゾルディック家(ここ)を出るのなら妻としてついていくのは当然です。妻として、妻として!」

 

「こいつもこいつで馬鹿じゃねえの!?」

 

「なんですかこの降って湧いた様な脳内ピンク女」

 

「お前も大概やぞカルマァ!」

 

「それより貴方様、現在ゾルディック家全てで貴方様を捕獲するように命令が下っています」

 

「捕獲命令ィ!?殺害じゃなくてか!?」

 

「はい、殺害では無く捕獲です。ただ手脚の一本二本は落として来いとも」

 

「ざけんなオラァ!料理人の手を落とそうたぁブッ殺されてぇみてえだな!」

 

 ふ、と嗅ぎなれないオーラの香りがし、チラとそちらを向けば東洋龍(ドラゴン)が俺に向かって直進してくる。

 こっこれはじいちゃんのドラゴンダイブ!?(震え声)

 

「グリード!ちぃとオイタが過ぎんかのう?」

 

「悪い事は言わん。アルカ(ナニカ)を置いていけ」

 

「ゾル家ツートップ!確実に殺しに来てるでしょコレェ!あー困ります!困りますこれぁ!!?」

 

 オーラを更に放出するも、速さなら向こうの方が速かった。空では分が悪いので方向転換、急降下。地面に足を付けた瞬間、足裏のオーラを『回』し、高速で山を下りる。

 

「ほ、やはりアヤツ器用じゃのう」

 

「全く、依頼でも無いのにアイツを仕留めるのは本当に割りに合わない」

 

「仕方ないのう……イルミ」

 

『ああ、執事共総動員だ』

 

 

 

「だああもおおおカルマテメエ覚えてろよゴラァ!!」

 

「あっはっはー!!我が主ごめんねえええ!!」

 

「しかしどうしますか貴方様。ゾルディック家が追いかけてくるのも間違いなくその娘が原因だと思いますが」

 

「そう思うよな普通!だからカルマお前それポイしてきなさい!」

 

「嫌でーす!!せっかく手に入れた玩具(厄災)を手離すなんて勿体ない!」

 

「聞けよ悪魔なら指示をよぉ!!」

 

「悪魔ですから!!」

 

「どうしますか貴方様、斬りますか?」

 

「斬るのは止めてください奥方様!」

 

「あらぁうふふ奥方なんてそんな本当の事をうふふ」

 

「懐柔されんの早過ぎだわ!」

 

 ギュンッ!

 ほんの数瞬前に足があった所を一枚のコインが通り過ぎていく。

 

「グリード、テメェ……何したが知らねえが五体満足で敷地から出られると思うなよ?」

 

「やべえ独身男だ!囲め!」

 

「誰が独身男だァ!?」

 

「事実じゃーん。って、ゴトーさんが出てくるって事はまさか……」

 

 僅かに脚を止めた、その瞬間に辺りをゾル家の執事共に囲まれた。

 

「はぁぁぁーコレだから執事共は!意味分かんねえ念能力ばっか覚えやがってからに」

 

「お前に言われたかねえわ」

 

 無駄に数が多い執事共の中に、複数の人数を短距離瞬間移動させる能力者が居た事は覚えてる。なんに使うんそんな能力、って思ってたらコレだよ。

 囲んで棒で叩く。人類が生み出した最高の戦術である。

 

「ありゃまぁ、完全に囲まれましたねぇ……どうします我が主?」

 

「……チッ、はぁ……あ~……もうめんどくせえなあ本当に。『お前がどうにかしろ』」

 

ご命令(オーダー)お受けいたしましたぁ!」

 

 次の瞬間、月明かりに照らされたカルマの影が蠢き、四方八方に伸びた。

 

「は!?何だこりゃぁ!!?」

 

「うわっ!?」

 

「きゃっ!!?」

 

 伸びた影と自身の影が結ばれた執事達が真っ黒に変わる。

 

「『幻想鏡面666変化(シャドウイリュージョン)』」

 

 変化が終わったのか、影から放出された執事達は俺達に姿を変えていた。

 

「な、姿を変える念能力!?」

 

「残念♪ただ姿を変えたワケじゃぁないのですわぁ。彼等はデコイ。我が主達を認識できなくなる為の身代わりですわぁ。さあ我が主、逃げるなら今です!」

 

 とりあえずカルマのケツを蹴り飛ばす。

 蹴られた勢いで抱えていた小娘(アルカ坊っちゃん)を投げ飛ばすも、鋼裡が回収。

 

「はぁ、貴方様との子供が出来たらこんな感じなのでしょうか」

 

 なんか気持ち悪い事言っている女を無視して逃走を再開。

 

「な、待て!」

 

 ゴトーが手に持ったコインを撃ち出すが、コインは俺では無く俺の姿をした執事の足を撃ち抜いた。

 

「あ”あ”あ”ッッ!!な、何故ッ……!!?」

 

「馬鹿なっ、オレは確かに本物のグリードを狙ったはず……ッ!」

 

 なんかよく分かんなけど俺を狙った攻撃は全て俺の姿をした執事(デコイ)に当たるようだ(超速理解)

 現場の混乱に乗じて姿を隠しつつ下山を続ける。

 道中デカい犬が複数襲ってきたが、俺と鋼裡によって瞬時に解体されていった。

 

「我が主、私が知ってる人間ってあんな動き出来ないと思うんですが」

 

「じゃあ新しい事が知れて良かったな」

 

「……はい!(理解を諦めた顔)」

 

「グリードー。小指頂戴?」

 

「え、何コイツ急に」

 

 今まで目がイってたアルカ坊っちゃんの目が正常に戻ったかと思えば急に指を欲しがるとか意味分からなさ過ぎて草。

 

「我が主!これアレです!アイの『願いの対価』です!」

 

「このタイミングで!?」

 

 逃走の最中じゃん。馬鹿なの?死ぬの?

 

「じゃあ中指頂戴?」

 

「我が主!対価を払わないと死にますよ!?」

 

「俺何も願ってないんですがァ!?」

 

「『アイ』はそういう生き物です!」

 

「意味不明すぎて草ァ!そんなに欲しいならくれてやるよォ!!」

 

 中指を親指でグッと抑え、アルカ坊っちゃん(アイ)の眉間に解放する。所謂デコピンを食らわせる。

 

「痛いっ!」

 

 めっちゃ涙目で睨んでくるが今は逃走が最優先である。デコピンで満足しろこの野郎。

 

「むぅ……じゃあ人差し指頂戴?」

 

「じゃあってなんだしゃぶってなオラァ!」

 

 アルカ坊っちゃん(アイ)の口の中に指を突っ込む。むぐむぐと唸っていたが、やがて黙ってペロペロ指を舐め始めた。なんなんマジでコイツ。

 

「……それOKな判定なんですねぇ」

 

「なんか言ったかカルマ!」

 

「いえ、それよりもそろそろ門ですよ我が主!」

 

 カルマの言う通り、ゾルディック家の敷地と外を区切る門と壁が見えてきた。平時なら押せば開くが、果たして。

 

「うーん……ダメですね貴方様。ロックが掛かっていて幾ら力を込めてもびくともしません」

 

「そらそうだわな。誰だってそうする、俺だってそうする。……よし鋼裡、()()開け」

 

「はい、かしこまりました」

 

 鋼裡は懐から、明らかに自分の身の丈以上の巨大な抜き身の刀を取り出し、そのまま袈裟懸けに振り下ろす。そして返す刀で逆袈裟に振り下ろした。

 俺の指をしゃぶり続けているアルカ坊っちゃん(アイ)を肩に担いで、斬られた門を足で蹴り飛ばす。

 深夜にド派手な音を鳴り響かせ、『試しの門』が内側から破壊される。

 

「……あの、我が主(マイロード)。門の横にある小さな扉を抉じ開けるのでは駄目だったのですか?」

 

「ああ、駄目だった」

 

 だって見えて無かったんだもーん。

 

「我が主、それでこれから何処に向かうのですか?」

 

「当てもなくずっと逃げ続けるのは難しいと思いますが……」

 

「安心しろ、当てはある。まあ、ちょっと遠いけどな」

 

 目指すは流星街、の俺の家。そこまで行けば間違いなくゾルディック家は手出し出来なくなる……はず。

 

「流星街」

 

「ああ、目指すは流星街だ」

 

「……遠すぎではないでしょうか」

 

「だからちょっと遠いって言ってるだろうが」

 

 まあ、全力で走って一週間で着ければいいかな?

 

「あの我が主、人間ってそんな走って大陸間移動ができる物なのですか?」

 

「鍛えれば出来る」

 

「貴方様、多分ですけどゾルディック家が追いつく方が速いかと……」

 

「我が主、あの、近場でもっと開けた平地は無いですかね。そこまで行けたら私が何とかできますので……」

 

「なら最初っからお前が何とかしろよ」

 

 カルマの尻を蹴り飛ばす。

 そして後方から凄いオーラの奔流を感じた。OH……これはあれですね、あのー……なんか乗り者に変身するおばあちゃんですね。

 

「\やべえ/」

 

「ちょ、そこの悪魔!この状況を何とかしなさい!」

 

「はぁ!?我が主以外の命令なんて聞かないんだが!?」

 

「グリードー、親指頂戴?」

 

「しゃぶってろおら」

 

「はっ、そうだ我が主!アイの能力を使えばきっと逃走する事が出来ます!」

 

「ホンマかぁ?」

 

「なんでそこ疑問に思うんですか!いいから早くアイのオネダリをこなしてください!」

 

「お前が指図するんじゃないよ」

 

 カルマの尻を追い蹴りする。そもそもお前がコレを連れてこなければこんな事にならなかったのでは?

 と、もたもたしていたらゾルディック家からバイク?に乗った男女が現れる。

 

「やれやれ、アルカ坊ちゃまをクシナが連れていったと聞いたけど……アンタは誰だい?」

 

「クシナ?」

 

「我が主、私の身体の元の持ち主です」

 

「ああ……なんかそんな名前だったような……」

 

 バイクが喋ったと思ったら、次の瞬間には体格の良い老女に姿を変えていた。

 

「……暗くて見間違いかと思ったが、グリードテメェ子供にナニさせてやがる……!」

 

「変態ですね、見損ないました」

 

 バイクに乗っていた男女はゴトーと……誰だっけ、アマ、アマ……まあいいや。その二人が戦闘態勢をとる。

 

「これが最後通告だグリード、アルカ様を解放しておとなしく投降しろ。そうすれば無駄に怪我しなくて済む」

 

「馬鹿言うんじゃねーや独身男!ガス生命体アイの入れ物(アルカ坊っちゃん)はもう俺の物だ○ァック!って我が主が言ってます!」

 

「カルマお前いい加減にせーよ?」

 

「そうか、残念だ」

 

 ゴトーがコインを撃ち出す。鋼裡が撃ち出されたコインを掴み、小さなナイフに作りかえる。

 

「危ないですね。私の夫になにをするんですか」

 

「チッ、本当に鬱陶しい」

 

 そう言ってゴトーはコインを連射した。その全てのコインを掴み、加工し、作り替えていく鋼裡。

 

「無駄ですよ。私とあなたではレベル(狂気度)が違いますので」

 

「クソが、弾速も回転力もお構いなしかよ……!」

 

「カルマ、『時間を稼げ』」

 

仰せの通りに(イエスマイロード)!!」

 

 カルマが月に向かって手を翳すと、辺りが暗くなってゆく。あっという間に新月の夜の如く闇が辺りを覆うと、この場に居る全員の足が地面に縫い付けられたかのように動けなくなった。

 

「『星明かりの魔術(イービルマジックナンバー9)』我が主今です!アイの力を使ってください!」

 

「おい、本当にこれ大丈夫なんだろうな?」

 

「大丈夫です!私の知識によればアイの願望実現能力に際限はありません!」

 

「ホンマかぁ?」

 

 しゃぶりつくされた親指を引き抜きつつそう答える。うわぁ、指がべとべとやん……。

 

「グリードー、舌頂戴?」

 

「料理人の舌なんだと思ってやがるテメェ」

 

 バチィンと眉間にデコピンを入れる。結構本気目に。

 おぉぉぉぉ……と額を抑えて蹲るアルカ坊っちゃん(アイ)

 

「こらアンタ!子供相手に暴力振るうなんて情けない!」

 

「うるせえぞ婆さん。子供だからこそ躾はきちんとしなけりゃならねえ。そして人は痛みを伴ってしか学ぶことは出来ねえんだよ」

 

「それは違います貴方様。痛みを伴って学ぶこともありましょう、ですが学ぶ方法はそれ以外にもあるはずです」

 

「痛みが人を強くする。痛みを知らない子供は碌な大人にならねえよ」

 

「あーもー滅茶苦茶ですよ!我が主時間が無いんですからさっさとしてください!指がOKだったんですから舌をぶちゅっと捻じ込んでくださいよぶちゅぅっと!」

 

「なんでガキ相手に舌捻じ込まなきゃならんのだ気持ち悪い」

 

「き、気持ち悪……」ガーン

 

「おいいい!厄災の癖に落ち込んでんじゃねえですよ!さっさと次のオネダリしやがれってんだこのすっとこドッコイ!」

 

「ぐ、グリード……胃、頂戴……?」

 

「厄災の癖になんかすっごい遠慮がちにオネダリしてる!?何なんですかコレ!」

 

「カルマお前が何なんだよさっきから。胃……ねぇ」

 

 『ポケット』から牛のモツ、ギアラを取り出し渡す。めっちゃ嫌そうな顔してる。

 

「コレ、違う」

 

「胃だよ胃。牛の第四胃」

 

 なんか生だと嫌そうなので調理してやる。

 鋼裡が前に作った熱包丁(ねつぼうちょう)でギアラを焼きながら一口大に切り、醤油・砂糖・にんにく・生姜・貝柱の粉末・その他諸々の香辛料を混ぜたタレを、縫い針の様に穴の開いたニードルに浸け、焼いているギアラを突く、突く、突く。高速で突くことでギアラの身を解しつつ味をしみ込ませる。

 しうしうとギアラが焼け、仄かに香ばしい匂いが立ち込める。すんすんと匂いを嗅ぐアルカ坊っちゃん(アイ)

 焼き上がる直前、ギアラに『周』をして強化しつつ熱包丁(ねつぼうちょう)の火力を最大限に上げる。轟ッと炎を上げてギアラを焼くが、『周』で強化されたギアラは燃えカスにならずに表面だけをパリッと焼き、中身をジューシーに仕上げた。

 そんなこんなであっという間に出来上がった『突けダレギアラ焼き』をアルカ坊っちゃん(アイ)の口に放り込む。

 

「あっ!あちゅ!あつ!あふっ!」

 

「しっかり噛みしめろよ」

 

 パリッと焼き上がったギアラを噛めばカリッとした歯ごたえの中にじゅわっと広がる肉本来の甘味、更に噛むとじわじわと口内に広がるタレの深い味わいと旨味、肉の焼けた香ばしい匂いと香辛料の爽やかさが肉の臭みを至上に仕上げる。

 肉は美味いなあ!

 

「いやお前が食うのかよ!!」

 

「うるせえぞゴトーさん。どう見てもアルカ坊っちゃん(アイ)一人で食いきれる量じゃねえだろ」

 

 先程はギアラ一つ丸々渡した訳だが、ギアラの重さは大体2~3キログラム。そんなモン焼いた所で子供一人で食いきれる訳無いじゃんじゃーん。

 そんな訳で肉は熱々のまま食べるのが一番なのでムシャリムシャリと食べ進める。俺とアルカと鋼裡で。

 

「ああ、とても美味ですねぇ貴方様」

 

「あふっ、あふっ」

 

「やっぱモツ美味いわー」

 

「ちょ、我が主!?私の分は!?」

 

「ねえよ」

 

「というかそんなのんびりしてていいのかい?すぐに増援が来るよ」

 

「美味美味、まあ大丈夫だろ。なあカルマ」

 

「お肉欲しい……はっ、ええ勿論です我が主。『星明かりの魔術(イービルマジックナンバー9)』の効果範囲はこの山一帯ですから!」

 

「効果範囲が山一帯だと……!?」

 

 バクバクとあっという間にギアラ一つ食いきった。

 

「さて、望み通り(ギアラ)を渡したわけだが……まだオネダリとやらを聞かなきゃならねえのか?」

 

「いえ、知識通りなら願い一つに対し、三つオネダリするようです。目が真っ黒になったら願いをかなえられるようです」

 

「ほう」

 

 どれどれ、とアルカの頬を両手で支え顔を覗き込む。足がまだ動かないから一々こうしないと顔がみれん。

 

「………………」

 

「…………変わってないが」

 

「嘘っ!?指、指、胃でオネダリ3つクリアしてる筈!?やっぱり牛の胃じゃなくて我が主の胃じゃないと駄目だったのでは!?」

 

「いや()()胃って指定してなかっただrrrrろ!?(巻き舌)それに最後の方は自分からギアラ食ってただろお前!」

 

「………………………アイ」

 

「あ、変わった」

 

「え、ええ~……ま、まあ変わったのなら。さあ我が主!今こそ願い事を!」

 

「よし、じゃあ俺を流星街の家「貴方様!!私を置いていくつもりですか!!」……じゃあ俺と鋼裡を流星街の「我が主!私はぁぁぁぁ!!??」うるせえ!!『俺等を流星街に移動させろ』!!」

 

「アイ」

 

 次の瞬間、身体が浮いた感覚がしたと思ったら流星街にある俺の家の中に移動していた。わお超便利。

 

「おお……ここが貴方様のご実家ですか。なんというかこれは……整理し甲斐がありますね」

 

「きったねえ部屋ですねー「おっと足が滑った」ギャアア!!我が主!!もう私の尻のライフポイントはゼロで御座います!!!」

 

「そりゃあ大変だ。どれ見てやろう尻をだせい」

 

「その木製バットは何処からお出しになられたのでぇ!?」

 

「なんかコイツがくれたわ」

 

「アイ」

 

「わっほー流石我が主!もう厄災と仲良くなってらぁ」

 

 

 

 

「え、なんでガス生命体アイの入れ物(アルカ坊っちゃん)がついてきてるので?」

 

「それな」

 

 おかしい、何故ゾルディック家から追いかけられる原因までついてきてしまったのか。根本的な解決にならねーじゃん。

 

「と言う訳でなんでお前までついて来てんだよ。俺はお前(とカルマ)のせいでゾル家から逃げてきたワケなんだが?」

 

 アルカの頬を引き延ばしながら問い詰める。

 

「ア、アイ……」

 

「成程、閉じ込められたままでいるより、この機会に外に出たくなった……と」

 

「アイ!」

 

「そのおかげで俺は暗殺一家から命を狙われ続ける事になってるんですがァどうしてくれるんですかねェ!!?」

 

「いひゃい!いひゃい!!」

 

 ググググ……と頬を伸ばせるだけ伸ばす。はははこやつめははは(怒)

 

「……あの、貴方様。『ア』と『イ』だけで意思疎通できるのですか?」

 

「なんか理解できた」

 

「ええ……」

 

 お前それでええんか……という表情で見てくる鋼裡。しかたねえだろなんか理解できたんだから。

 

「そ、それより我が主!一体どうやってゾルディック家から隠れ続けるので?流星街とはいえ暗殺一家から隠れるには心元無い場所だと思うのですが!」

 

「おっとそうだったそうだった。ちょっと待て、…………何処やったかな、…………お、あったあった」

 

「これは……ゲーム機ですか?」

 

「おう、ジョイステーションな。コイツが俺の逃走経路だ」

 

「……貴方様、ゲームに現実逃避は……その」

 

「現実逃避じゃねえよ!コイツの中身は『グリードアイランド』!聞いた事くらいあるだろ?」

 

「グリードアイランド!ハンター専用ハンティングゲームで世界に100本しか存在しないと言われているあの!?」

 

「おや、貴女悪魔の癖にそんな事よく知ってますね」

 

「はっはっはぁ!伊達に知識欲を司ってないのよアタクシ!電脳ネットワークやハンターサイトに潜り込むなんてお手のものよ!」

 

「おいコイツハッカーハンター敵に回しまくってるぞ」

 

「処します?いずれ足を引っ張るタイプですよ?」

 

「待ってゴメンナサイ!違うんです!」

 

「アイ?」

 

「捻り潰していいぞ」

 

「捻り潰さないでください!(ガチ懇願)」

 

 話が進まない。

 

「とにかく、この『グリードアイランド』はこの世界のどっかにある島を舞台に遊ぶゲームだ。コイツを起動して『練』をすることで舞台の島に瞬間移動する事が出来る。世界に100本しかない上にゲームの舞台っつーことで隠れ潜むにはうってつけ。その上システム的に逃げ回るのも楽々ちんちんな訳よ」

 

「なるほど……世の中には面白い物が溢れてますね」

 

「(特に面白い人生送ってきた貴女が言いますかね)」

 

「何か言いましたか悪魔さん?」

 

「いえ何も」

 

「ま、このジョイステに入ってるソフトは正確に言えば『グリードアイランド』のベータ版だ。色々とシステムが違うみたいだが、まあ普通に遊ぶ分には大丈夫だろ」

 

「我が主、違う()()()とは?」

 

「テストプレイはしたが正式版は諸事情でやった事無いんでな。(そういや製作者から出禁食らってたな……まあへーきへーき)」

 

 そんなこんなでジョイステの配線諸々を接続し、ゲームを起動する。セーブデータはジョイステに刺さったままだった。

 さて、『指輪』は何処にやったかな……と探してると、俺の服を引っ張る存在が。

 

「どうした?」

 

「アイ……」

 

「何?『練』が出来ない?知るか」

 

「アイ!」

 

「あーわかったわかった……めんどくせー、おいカルマ。『アルカに念を教えろ』」

 

承りまし(イエスオーダー)……ってえええ!?そんな無茶振りを!」

 

「念を教えるまでお前ここで待機な」

 

「アイ!」

 

「そんなぁ!?」

 

「じゃあ先行ってるから。ゾルディック家が来るまでに教えられなかったらもう知らん」

 

「アイ!?」

 

「ひぃ、殺生な!!」

 

 指輪を見つけ装着。とりあえず先にグリードアイランドに向かう事にした。

 びーびー騒ぐ奴等を他所に、起動しているジョイステに『練』をした。

 

 

 そして次の瞬間、俺は何処かに飛んで行く感覚を味わった。

 

 





颯爽とグリードアイランドに飛んで行ったグリード(ややこしいな)
 現行版とベータ版は若干システムが違うので色々とややこしい事になります。カード管理とかめんどくさいんだもーん!!
 具体的にはフリーポケット無制限、入手したカードのカード化限度枚数の除外。一部NPCイベントの設定変更、一部スペルカードの無効化等。
 ベータ版の設定がそのまま引き継がれている感じです。俺ルールとか言うな。

 ベータ版とは色々変わっている事に驚きつつ、なんだかんだで楽しくグリードアイランドを楽しむグリード組、其処に忍び寄るプレイヤーキラーの魔の手が!
 グリード組は真っ当にゲームを楽しむのか、それともプレイヤーキラーと化すのか、それともゲームをぶち壊すバグと化すのか!こうご期待!


 なんでグリードがそんなモン(G・Iβ版)持ってんのかって?G・Iテストプレイのお礼で貰ったんちゃうんか?(適当)


「ワタシの能力が知りたい?知りたい??どぉしよっかなぁ???おしえよっかなあああ????」
「いい加減にしないと殺すよって顔」
「ごめんなしゃい!?私は主に姿を変えるような能力と魔術に長けておりますです!」

幻想鏡面666変化(シャドウイリュージョン)
 自身の影を操り、影に触れた者をデコイに変える能力。顔が判別不能になるまで効果が残る。

星明かりの魔術(イービルマジックナンバー9)
 星が見える夜にのみ発動可能。月明かりを隠した影に居る者を地面に縫い止める。

「他にもいろいろな事が出来ますよ!」
「シャドウイリュージョン強いな。対象が死んでも顔が判別つくなら効果ありって事か」
「本体一人を対象にした念能力や追跡等は全てデコイが引き受けます!超強い!」
「イービルマジックナンバー9……少なくともこんなのがあと8個あるのか?」
「その通りでございます!どれもこれも発動には様々な条件がありますが効果は便利でございます!」
「ほーん。で、全部使う日は来るのかね」
「来ないでしょうね!」

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