それと週間ランキングにも乗ってたってよ。
お祝いに毎話感想かいて♡
感想であったようにハンター試験の試験官を(どうにか)やってもらいます。
「えー俺が試験官?人選ミスでは?」
『
「そー言われてもなぁ。まあ今の仕事を抜け出すこと自体は問題ないんだが……えー試験官?誰かを試す経験なんて全然ねえぞ俺は」
『勿論試験内容は相談に乗りますよ。基本的にハンターとしての資質を問う試験なのが前提ですが』
「資質と言われても。他人にハンターの資質を問えるほど俺ハンターやってるか?」
『貴方も十分ハンターとしての資質はあると会長はお考えです。勿論私もそう思ってます』
「うぬ、マーさんにそこまで言われると照れるぜ。ふーむ……分かった、受けるよ試験官」
『本当ですか!?ありがとうございます!』
「おー。ところで他の試験官は誰が居るんだ?確か試験って四次くらいまでなかったか?」
『基本的に受験生の数によって増減するのですが……現在グリードさん含めて3人ですね。美食ハンターのメンチさん。賞金首ハンターのトガリさん。そしてグリードさんですね』
「ほーん、聞いた事ねえわ。美食ハンターとグルメハンターで被ってない?大丈夫?」
『やってる事は全く違うので大丈夫です。それになるべくテスト内容が被らないように調節はしますから……』
「……まあ、ソッチがそれでいいってんなら俺が何か言う必要もねえな。人手不足は何処の世界でも大変だねぇ」
『いやぁ、今回はちょっと偶々と言うか……それで、全員の顔合わせついでに全体の流れの調整をしたいのですが、いつなら時間取れそうですか?』
「んー、緊急で呼ばれない限りいつでもええよ」
『分かりました。ではまた後日連絡入れますのでよろしくお願いします』
「あいー、ご苦労さんー」
プツッ
「っつー訳でゴトーさんや。来年の初めくらいから長期で仕事休む事になった」
「ああ?まあ事前に献立とレシピ作っておけば全然問題はねえが……どれくらいの期間休むんだ?」
「まだ分からん。一応俺が受けた時は一月程度かかったからそれくらいだろう」
「一月ねぇ……分かった、それくらいなら大丈夫だろう。一応細かい予定が分かり次第また連絡しろ」
「おうよー」
はあいジョージィ!!俺はしがない雇われハンター(プロ)だ。そして来年の頭くらいからしがない試験官になるハンター(プロ)だ。
ぶっちゃけ試験とか何すればいいんだ?俺が試験受けた時既に『念』を使えるようになっていたから全然記憶にねえ。記憶に残らない程度には苦戦しなかったが……なんか山を走り回ったりかくれんぼしたり色々したような……?まあいいか、困ったらマーさん頼ろう。
「それでゴトーさんや。俺にどういったご用件で?」
「ついさっきゾルディック家に乗り込んできた賞金首ハンター共だがな、実力自体は大したことなかったが面倒な『念獣』を置いていかれた。無駄に犠牲が出る前に解除を頼む」
「俺は除念師じゃねえぞ……」
「イルミ様から聞いたが相手の『念能力』を食えるんだってな?なら変わらねえだろ」
「いやまあそうなんだが……はぁ、よし。ならゴトーも食え。それなら受けてやる」
「ああ!?何で俺を巻き込むんだ!?」
「いや、実力者の『念』は美味いんだが弱い奴の『念』はちょっとなぁ……安っぽい菓子みたいな味するから嫌いなんだよ」
「好き嫌いすんなグルメハンター」
「グルメだから好き嫌いするんやで?」
念獣はクソ不味かったから何とかして美味しくした。
「『クソ念獣のコーヒーミックスジュース』をどうぞ」
「……ああ、まあ……コーヒーとしては悪くはねえけどよ……」
「苦味と酸味を処理するのが難しかったお……」
「いやその前に見た目をもっとどうにかしろよ」
美味しく……まあ及第点だな!
* * * * *
マーさんから連絡が来て一週間、打ち合わせの為に呼ばれた場所であるハンター協会本部の小会議室に入る。
するとそこには上半身裸に毛皮コートを着た変態男と下着姿に烏避けの網着てるような変態女が居た。
俺は一旦部屋の外に出て部屋のプレートを確認する。うん、小会議室1だ。マーさんが言ってた集合場所も小会議室1だ。部屋の中を見る。変態男と変態女、そしてよく見たらマーさんもいる。
「……」
「……」
「こんにちはグリードさん。では今季ハンター試験の打ち合わせを始めましょうか」
俺は黙って扉を閉めた。
帰ろう。なんかちょっと眠いし怠いし腹減ったし今日は万全じゃない。ゆっくり休んで明日から頑張るんだ
「ちょっと何処行くんですか!!?」
バンッとマーさんが扉を開けて俺に呼びかける。
「勘弁してくれ。俺をあの変態達と一緒にする気か」
「恰好はともかく性格は貴方も十分変態ですから大丈夫ですよ!」
「すげえ事言うぜマーさんなにいきなり罵倒してる訳?」
「ちょっと!話進まないじゃない早くしてくれる!?」
「オレ達だって暇じゃねえんだ」
仕方がないので会議室の中に入る。本当に仕方ないが。
「なんでお前等そんな……なんだ、そんな害獣避けみたいな服装してんの?」
「が、害獣避け!?ファッションよ文句あるの!?」
「胸まるだし腹まるだしのファッションって何だよここは海じゃねえぞ」
「はぁ!?何処見てんのよ変態!」
「すげえ今の一瞬で矛盾を感じる」
「……あの、打ち合わせ始めていいですか?」
「いいよ」
そんなこんなで自己紹介から始める事に。
「俺はトガリ、賞金首ハンターだ。エモノは曲刀を使ってる」
「アタシはメンチ、美食ハンターよ!」
「俺はグリード、グルメハンター(プロ)だ。よろしくね」
「……グリード……グルメハンター?アンタまさか……
「いぐざくとりー」
「何っ!?シングルだと!!?」
「ちょっと!?なんでこんなふざけた奴がハンター試験の試験官に選ばれるのよ!!?」
すげえ言われ方、俺もそう思ったけどさぁ。
「こんな……こんなプロ失格の奴が試験官!?笑わせないで!」
「
「自分のハンター証も守れないで
今日のメシ何にしようかなぁ。うーん、カレー……ステーキ……カツ丼……。
「大体こんなちゃらんぽらんな奴がどうやって試験するってんのよ!」
「確かに見た目は
「マーさんさっきから俺になんの恨みがあるん?」
あれか?このまえ会長の暇つぶしに付き合わなかったから恨まれてるんか?
「……とにかく!彼は試験官として十分にハンターの資質を備えてます!」
「オイ、アンタ『プロ失格』って何したんだ?」
「
「ハァ!?」
うるせえ、いーだろ別に使わないんだから。
「とにかくアタシはこんなのと一緒に試験とか嫌よ!」
「ですが彼以外には……」
「だからアレとは……」
喧々諤々。
「帰っていいか?」
「顔合わせはともかく打ち合わせはまだ始まってすらいねえよ」
「とはいえちょっと腹減ったなぁ」
御茶請けの煎餅をガリガリと齧る。うん……微妙。
すると、何処からかグゥ……と腹の音が。
「……」
「……」
「……」
発生源に目を向けると何とも言えない顔をしている女が。
「あー、はいはいなるほどね。要するにあれだ、お前腹が減って気が立ってた訳だなさては」
「はあ!?減ってないし!今のアタシじゃないし!」
「分かった分かった。まあここに折角美食ハンターとグルメハンターが揃い踏みしてるんだ。ここは一つ飯にしようぜ、うんうん」
「何分かった気になってんの!?違うから!!」
「じゃあこうしよう。俺とお前で料理勝負と行こう。俺が勝ったら俺が試験官する事に文句を言わない。お前が勝ったら俺は試験官を降りる。これでいいだろ?」
「ちょ、グリードさん!勝手にそんな事決めないでください!万が一グリードさんが負けたらどうするつもりですか!?」
「そん時はそん時だ。おーし協会の厨房借りに行くぞー」
「ちょっと!何勝手に話進めてんのよ!」
「あ~?なんだオメー料理勝負で負けるのが怖いのか?美食ハンターの名が聞いてあきれるぜ」
「は”あ”あ”?
「いや、美食ハンターならアレより美味いモン作ってくれないと困るんだが……」
「あの、打ち合わせ……はぁ、もういいデス……」
「まあ折角だし美味いメシ食ってから改めて打ち合わせしようぜ」
「うう、一番酷い見た目のトガリさんが一番マトモだとは……」
「おい」
◇
「……うん、まあ……なんだ。一つ言わせてもらうとアレだ。多くね?」
ハンター協会本部のA厨房。厨房とは言うが、実際はキッチンとダイニングルームが合体したような部屋だ。狭くはないが、決して広くもないそこに今、男女合わせて7人押し掛けている。
「ほっほ、美味いメシを期待しとるよ」
一人はハンター協会の会長。暇なんかお前。
「毒料理には期待してるわよ」
一人はハンター協会『十二支ん』の巳。一応知り合い。
「……」
一人は……誰だ?顔に仮面を付けた変人。
それとマーさん、
「なんで増えてるんだぁ?」
「知らないわよ。何でもいいわ、アンタが恥かく所を見る人が増えるだけなんだから」
「げ、厨房内に食材全然ねえじゃん。んだよメンドクセー」
「会話をしなさいよ!!」
グゥグゥと腹の音が聞こえてきたので早い所料理勝負と行こうかね。
「だから鳴ってないし!!」
「じゃあ食材は自前で用意する事。調味料とかその辺は厨房に有ったからそれは自由。審査員は、あー……そこの会長筆頭にマーさん、トガリ、仮面の人、ゲル姉さんの5人。多数決でどっちが美味い料理を作れたか決めよう。制限時間は面倒だから特になしで。作る料理に制限もなし。ルールはこんなモンでいいか?」
「上等よ!アンタをギャフンと言わせてやるわ!」
そう言ってメンチは携帯を取り出し、何処かに電話をかける。
「ブハラ!協会本部のA厨房に食材ありったけを持ってきなさい!今すぐ!!」
ピッ、と電話をすぐ切る。
「フン、五分後には私が探した美食食材が届くわ!美味しさのあまり七転八倒しても知らないわよ?」
「……え、五分も掛かるん?待ってられねえわ先調理開始するぞ?」
「……は?」
「ゲル姉さん2番と3番の毒1:1で調合して俺にくだせぇな」
「良いわよ」
厨房にあった大きな寸胴鍋に水道の水を入れ、強化系『発』で爆発的に水を増やし操作系『発』で水分子を高速で震わせ、瞬時に沸騰させる。中にウドンを入れて茹で始める。
もう一つ寸胴鍋を用意し、『ポケット』から取り出した牛脂と牛肉を叩き込む。牛脂を重点的に加熱して溶かしてから牛肉を加熱する。色が変わってきたところで『ポケット』から人参や玉ねぎ、キノコを取り出し寸胴鍋に直接入れる。野菜に含まれる水分を強化系『発』で適量に増やし沸騰させる。ジャガイモを取り出し、煮崩れしないように瞬間冷凍して鍋に入れる。加熱を弱め、クツクツと弱沸騰した所にゲル姉さんが調合した毒を投入。瞬時に毒色が鍋に広がる。すかさず粉末状に加工したジャガイモをぶち込み、深いコクを出す特製調味料をまぶす。
蓋を閉め、操作系『発』を使ってゆっくり、具が崩れないように混ぜながら具材に火を通す。ここまで2分弱。
「な、な、な……早過ぎる……!と言うか『念』の使い方がおかしいでしょ……」
「どうした美食ハンター。お前さんはいつ調理を始めるんだ?腹ペコの客はこっちの事情なんて待っちゃくれねえぞ?」
「っ~~~!!!」
ウドンの様子を確認、良い感じに茹でられてるな。寸胴鍋に追加で水を投入。厨房に置いてあった塩を適量振り、更に沸騰させる。
もう一つの寸胴鍋の蓋を開け、具材が良い感じに煮えている事を確認。俺特製カレースパイスをドボッと入れ、隠し味に市販のコーヒー豆、香草各種を刻み入れ、生クリーム、ククルーマウンテンで採取し加工した溶岩石を入れ再度蓋をする。溶岩石を重点的に加熱し、再度じっくり操作系『発』で混ぜ続ける。
厨房に有ったボウルを使い、『ポケット』に入っていたジャガイモを適度に潰す。同時に豚肉と牛肉も取り出し合い挽き肉に加工、潰したジャガイモに混ぜて、塩、砂糖、胡椒、ダイアモンドを砂状になるまで挽潰し混合した『特製味塩』を適量振りかける。丸めて固めて形を整え、小麦粉、溶き卵、パン粉を付けて、出来たコロッケのタネを瞬間冷凍。凍らせることで揚げる際に爆発しにくくなるから、これ豆な?
中華鍋を取り出し、中に市販のサラダ油、ごま油、バター、鉱油、暴食バクテリアを混ぜ合わせた『特製混合油』を適量入れて約170℃に熱する。
熱した油に冷凍したコロッケのタネを投入し、パチパチと音を立てて揚げる。
香ばしい油の匂いと香り立つカレーの匂いに、この場に居る俺含めた全員が腹を鳴らす。コレ絶対美味いヤツや。
と、匂いに釣られたのかA厨房の扉を開けて巨漢が入ってくる。
「メンチ~、食材取ってきたよって、うわぁ凄いおいしそうな匂い!!」
「ブハラおっそい!!」
「無茶言うなよ~。これでも最高速だぜ?」
そうしてブハラと呼ばれた巨漢は背中から見たことの無い食材を下ろす。
「クモワシの卵、キビス米、ガルトマト、兎牛乳、コガネ鳥、大鬼オニオン。最高級品をそろえてきたぜ?」
「ナイスよブハラ!だけど次からはもっと早く準備しなさい!」
「だからこれでも最高速で準備したってば!」
玉ねぎを引っ掴み瞬時にみじん切りにして、鶏肉は一口大にカットしていくメンチ。ブハラと呼ばれた巨漢は米の下ごしらえをしている。
まあまあ手早く準備できてるんじゃね?用意した具材から見て、まず間違いなく『オムライス』を作るつもりなんだろう。二つの寸胴鍋の様子を見て、もうちょっと時間がかかる事を確認。折角だし手伝ってやるか。
「ブハラさんとやら、手ェ貸すぜ」
「えっ?ありがとう」
「……ハァ!?」
メンチと同じ美食ハンターなのか、米の研ぎ方が非常に丁寧で上手い。そこに俺が口出す必要は無さそうだ。研いだ米を水に浸している。ふっくらとした米を炊き上げるには浸水は欠かせない……が、普通にやったら時間が非常に掛かる。
俺は自分の常備調理器具から一本のニードルを取り出し、浸水中の米一粒一粒を突く。突いた勢いで米が水の中で跳ね上がり、浮いた米を更に突く。20秒程で全ての米を突き終え、浸水終了。
このニードルで米を突く事によって、米の芯までしっかり水を通し美味しく炊き上げる事が出来る。
圧力鍋に水を適量入れ、瞬時に沸騰させる。そして先ほどの突いた米を全て入れ、蓋をして加圧する。これで後3分後には米が炊ける。
「すげぇ~」
「だしょ~?
「いやいやいやいや、おかしいおかしい!何よ今の技術!?気持ち悪!!?」
「ほっほっほ、流石料理にかけてはワシ以上の異常者よ」
「パリストンの代わりに十二支んに入ればいいのに」
「それはそれで気苦労が絶えないので勘弁してください……」
「……」
「ひょっとして懸賞金ハンターの俺より強いんじゃねえかアイツ……」
ギャラリーがうるせえ。
……と、そんなこんなでウドンも良い感じに茹でられている。沸騰してる寸胴鍋の水分子を停止させ、一気に熱を奪う。茹でたウドンは一度冷水で締めると歯ごたえが出て良い食感になるらしい。ウドンを一度ザルにあげて寸胴鍋の水を一度捨てる。再度水を入れて増やして沸騰させる。今度はウドンを温める程度に湯に潜らせ、あげて水を切った後丼に盛る。
溶岩岩が溶け、完成したカレーを丼に入ったウドンの上にかけ、揚がったコロッケを乗せ、最後に特製解毒ソースをコロッケとカレーにかけて料理完成!
「俺謹製の『活火山鉱毒カレーうどん』だ!解毒ソースは好みで追加しな!軽く混ぜて召し上がれ!」
会長、マーさん、ゲル姉さん、トガリ、仮面の人に提供する。そしてついでに物欲しそうに見ていた巨漢のブハラにも渡す。
毒が入っている事を知っていても、香りの暴力に耐えられず箸を使ってウドンを食い始める一同。
「ふ、ふおおおおおおおお!!!みなぎるエナジィィィィィ!!!!」
「熱く、辛く、でも食べるのを止められない!」
「サクサクのコロッケがまたいい味だすわね。辛さで焼けた舌に仄かな甘さが感じられてニクいじゃない」
「美味くて、堪んねえ食いごたえじゃねえか!オレぁ初めてだぜこんな食い物!!」
「……身体を蝕む猛毒の甘美な味わいがカレーの灼熱の辛さを抑え、それでいてコク深さを演出している。かといって甘いだけじゃない、辛さを際立たせる解毒ソースは強烈なスパイス。コロッケの甘さは解毒ソースの刺激も引き立たせている。この丼に乗る全てが、究極の美味に至る為のパズルのピースとして複雑に絡み合い、そして高め合っていく」
「うん、こんな美味い物を食ったのは初めてだぜ」
うんうん、やっぱこれだよこれ。賛美の声を聞いてこそ俺のプライドは満たされる。瞬時に完食していくのを後目にカレーうどんを啜りながらそう考えた。
「だぁぁもぉぉ!舐めんじゃないわよ!私の美食ハンターとしての集大成!『メンチのスペシャルオムライス』!!食べて七転八倒しなさい!!」
バァ~ンと出てきたのはオムライスという名の黄金色に輝く何かだった。え、何アレ……美味そう。
香りのインパクトは圧倒的に俺の勝ちではあるが、見た目のインパクトはメンチの勝ちだ。美味そう。
料理とは、如何に五感を刺激するかが『美味さ』の決め手になる。見た目、香り、音、食感、そして味。全てを突き詰めなければ真の『グルメ』ではないのだ。成程、そういう意味ではメンチは俺の敵足りえる存在なんだろう。星も持っていない癖に中々やるじゃないか。
そうしてメンチはオムライスを俺以外の全員に提供した後、俺に突き出す。
「真の美食。食ってみなさい!」
「面白い。死ぬほど美味いグルメの極致。食ってみろ!」
俺はカレーうどんをメンチに渡し、黄金色に輝くオムライスを受け取った。
俺とメンチは、互いの作った傑作を同時に口に入れた。
「んっ!?」
「うっ!?」
「おほおおおおおお!!!弾けるパトスゥゥゥゥゥゥ!!!」
「食べる手が止められないっ!旨味の暴力!」
「口に広がる濃厚な卵の旨味、そして後から強烈なトマトの酸味が効いたパンチが非常に良いバランスね」
「オムライスなんてシャレたメシかと思ったが、この
「……クモワシの卵、キビス米、ガルトマト、兎牛乳、コガネ鳥、大鬼オニオン。どれもそれ単体で強烈な味わいの強い、言うなれば個性の強い食材。なのにそれ全てを纏め上げ、逸品に仕上げる技術は正に職人技。さっきのカレーが味の即死コンボなら、このオムライスは味の一撃必殺」
「強烈な個性を一口に纏める立役者はキビス米だね~。最高~」
俺とは違い、『最高の素材を最上に仕立て上げる』料理は見事の一言に尽きる。世界中を飛び回り、未知の美味、珍味を求めて危険を冒しているだけはある。俺の目にはメンチは立派な『料理ジャンキー』に映った。
だが、なんだろう。何か……このオムライスには何かが足りない気がする。そう、まるでほとんど完成したパズルの、たった一ピースが無い状態の様な足りなさだ。
メンチも俺のカレーうどんを食って同じように思ったのだろうか、何かを探るような表情で俺を見る。
瞬間、俺とメンチは同時に動き出す。メンチはクモワシの卵を沸騰した鍋に入れて火を止め、茹で始める。俺は中華鍋に溶岩石を乗せ、高温で溶かしながら市販のドミグラスソースに粉末ダイア、ルビーのスライス、玉ねぎを適当にカットして入れ、中華鍋に『周』をして超高温に加熱する。ドロッとした所で『周』をしたザルとボウルにあけ、溶け残った余計な物を漉し取る。とろ火で火にかけながら味を馴染ませ、暴食バクテリアを適量入れる。
味が馴染んだ頃合いにメンチは鍋の中にある卵を取り出し、冷水で冷やす。
メンチはクモワシ温泉卵を、俺は今作った特製鉱石ハヤシソースを、それぞれの料理にかける。で、一口。
美味い。
欠けたパズルの一ピースがぴったりと嵌まったかのようだ。まさに天上の美味。俺の記憶の中で最も美味い物が更新された瞬間だった。
あっと言う間に残りの全てを食いきった。ふぅ、と一息つけば、視線の先には同じようにカレーうどんを食いきったメンチがいた。
気が付けばお互い握手を交わしていた。
「悪かったな。美食ハンター舐めてたわ」
「こっちこそごめんなさい。貴方は素晴らしいグルメハンターよ」
互いにニヤリニコリと笑う。
「だが勝負は俺の勝ちだな」
「はあ?何言ってんのよアタシの料理の方が美味しかったでしょう?」
「マジで言ってんの?俺のカレーうどんの方が美味かっただろ?」
「貴方舌がおかしいんじゃない?」
「お前は頭がおかしいんじゃね?」
ニヤリニコリとしたまま握手する手に力を籠める。ビキッ、ビキッ、と血管が浮き出る音が聞こえる。
遂に互いのオーラが溢れ出る。オーラを舐めた感じ放出系っぽい。
「どうやら毒で頭がおかしくなったらしいな。俺の料理を食っておいてそんな事ほざけるとは」
「そう言うアンタは食えない物食べすぎて舌が狂ってるようね。アタシの料理を食べておいてそんな事言えるなんて」
ギチッ!ギチッ!と握手している部分から聞こえる。既に互いの手は『凝』で強化されていて、完全に掌をブッ壊さんと本気で握りあっている。
「いやいや、立派なもんだったよお前の作った料理は。俺の弟子にしても良いかなと思うくらいには」
「あらお生憎ね。アンタの料理も大したもんだと思うけど、アタシの方が良い料理作れるのにアンタを師匠と仰ぐ訳には行かないわ」
『凝』は『硬』になり、互いの手からギィィィィィィィッ!と甲高く耳障りな音が鳴り響いている。
「グヌヌ」
「ウググ」
「……あの二人は何をしてるんですかね」
「ほっほっほ、若いってのは良いのー」
「結局俺等はただ昼飯食いに来ただけじゃねえか」
「審査は何処に行ったのかしらね」
「……」
「メンチに友達が出来た様でなによりかな~」
結局俺はハンター試験の試験官をする事になった。
「あ、今日の飲食代3千万ゼニーな!」
「お金取るんですか!?」
「当たり前だろうが!タダで
「おっと、ワシパリストンに呼ばれとるんじゃった」
「パリストンに請求すればいいんだなジジイ」
「よさんか!?」
「あ、ゲル姉さんは毒代でチャラで良いっすよ」
「あらありがとう」
「懸賞金ハンターなら金持ってるよな?」
「わ、わりいな俺いま手持ちが……」
「そうか。ところでトガリ、俺の二つ名って知ってるか?」
「し、知らねえ……」
「『
「払う!払うから包丁下ろせ!!」
「さて、仮面のお前は……」
「……即金」
「良し良し。ブハラ君は」
「はいよ~。それよりグリードさん、アンタの料理はいつもなら何処で食えるんだ?」
「スマンな、今の俺は店を持ってねえからよ。まあ食いたくなったら俺のホームコードに連絡いれな。気が向いたら作りに行ってやる」
「わぁお、いいの?ありがとう」
「さぁて、メンチ。テメエにも3千万払って貰うところだが……さっきのオムライスはまあまあいい線いってたからな、3百万ゼニーに負けてやるよ」
「それでもまあまあ法外な値段じゃない!」
「ああ~?
「ぐっギギ……!その言葉、後悔しないでよね!!!!」
高笑いと怨嗟の声が響いた1997年1月のハンター協会だった。
と言う訳で着々と原作に近づいてきましたなぁ!
Q.メンチ一ツ星じゃなかった?
A.この時期ではまだ取得してません。
Q.トガリって誰よ?
A.無限四刀流の人。
と言う事は……あっ(察し