おっすオラグリード!飛行船から降りて気がついたらもう50時間位経っててワァ↑クワクすっぞ!(試験官のクセに遅刻するクズ)
とりあえず無事『クリムゾンフォレスト』を突破出来た奴は合計11人。よくもまあコンパスも無しに正確な方角が分かるなぁ。
ちなみに、この辺りには無人島が幾つか有り、ビトイ山山頂から正確に南東にある島はここだけ。それ以外の島には予め協会事務員が待機していて、今頃偽の三次試験を行っている最中だろう。当然偽の試験だから、その試験に参加した時点で不合格。御愁傷様。
「さて、漸く三次試験を始められるな」
「ちょっと。堂々と遅刻しておいてよくもまあ何事もなく始められるわね」
「受験番号246番、それ以上無駄なおしゃべりをすると失格させるぞ」
「器が小さいっ!?」
「さて三次試験の内容だが、これまた至って単純。『この島の内で1週間生き残る事。』この島の海岸を境界線として、島から約500メートル以上離れたら失格とする。その場合協会事務員が失格者を捕獲し、失格者用の船に乗せられるから覚悟しろ」
「おい、冗談じゃねえぞ!こんな……こんな木一本生えてねえ火山島で1週間だぁ!?」
「水の確保すらままならねえぞ!」
「そんな事出来るわけねえだろうが!」
飲まず食わずで1ヶ月位は余裕だろJK……と思ったが、そんな事出来るのは念能力者+スラム街出身位なモンか。俺は出来るが、何でも食えるのに態々何も食わないなんてする意味無いしな。
まあ、一般人ならそんな文句が出るのは予想済み。どうすればいいか、なんて悩む必要はない。
「俺もお前ら受験者と同じ条件だとしたら?」
「あぁ?」
「三次試験の間、俺はお前らと共にこの島の内側に居る。もし俺が死んだり、失格条件を満たしたらその時点で生存者は合格にしてやるよ。俺自身はお前ら受験者に攻撃はしない。ただし俺に襲撃仕掛けた場合はその限りじゃねえ。襲撃者に対して容赦はしない」
「んなモンテメェが水や食料を隠し持ってたり、この島のどこかに隠していたら不公平だろうが!」
「ああ、不公平だな。それがどうした?」
「はあ!?」
「ハンターやってりゃ不公平や不平等なんて当たり前。それで?『ふざけんな!』って不満撒き散らしてなんの意味がある?喚けば財宝が手に入るのか?賞金首が捕まえられるのか?馬鹿馬鹿しい。不平不満全て飲み込んで、不条理を踏み越えるのが『プロハンター』ってもんだ。嫌ならやめて来年頑張れば?嫌な事から逃げて、運良く試験合格出来るまで粘ればいいだろ。ここで試されるのは『自分の限界に挑む勇気』。追い詰められ、追い詰められ追い詰められ、限界の更に先へ
「い、イかれてやがる……!」
「お前は、お前らはどんなハンターになりたい?まあどんなハンターになるとしても、息を潜めて獲物を待つ時ってのは訪れる。利用出来るものは全て利用して『
三次試験、スタート。
* * * * *
アマダレ地方ボルケ火山島グマ砂浜、気温44℃。辺りは島の中心部から絶えず流れ出てくる溶岩流と海水がぶつかり合って発生する大量の蒸気に包まれ、非常にジメジメとしている。そこに立っているだけで体力を奪われ、ボトボトと滝のように汗が流れる。しかし常に濃密な湿気に囲まれ、汗の本来の機能を果たす事は不可能だ。
そんな砂浜に座り込んで何かを作る男が一人、受験番号451番。彼は所謂『サバイバルのプロ』と呼ばれている、とある国の芸能人だ。
「(サバイバルの基本は飲料水の確保!水もマトモに飲めないで一週間生き残ることなんて人間には不可能だ!ましてやこんな酷暑地帯、汗も止めどなく流れ落ちる!水!水水水!クソッ!何が『初のプロハンター芸能人』だ!死んだら元も子もねえだろうが!蒸留部分はそこの海水汲むだけ、水蒸気は勝手に集まる、あとは凝結した水を溜めておく部分を作るだけだ!)」
もうもうと立ち上る蒸気の中、彼は飲料水を集め続ける。自分の
場所変わってボルケ火山島北海200メートル。海に潜って魚を探しているのは小柄の男。受験番号29番。
「(くそっ……魚どころか生物の気配すらない。鳥も近寄らねえし、火山島だから動物なんて居る筈もねえ。食うもん無しにどうやって生き残れってんだよ!)」
彼は腕のいい狩人だった。山に上れば鳥やクマを猟銃一丁で狩り、海に潜れば魚やサメを銛一本で狩る万能の狩人だった。だがそんな彼でも、そもそも獲物となる動物がいなければ狩りが成功するはずもない。
「(なにか……なにか居る筈だ!じゃなきゃ試験官だって生き残れはしないだろうが!)」
水温40℃以上はある海水の中、必死に獲物を探す。だが、この辺りに生息している生物は居ない以上、いくら探しても見つかりはしなかった。
そして更に場所は変わり、ボルケ火山島中心。そこからは絶えずサラサラとした溶岩が湧き立ち、常に気を張っていないと湧き出る溶岩に落ちかねない危険地帯だ。
そんな場所に複数人の男女が居た。その内の一人は、こんな場所を試験会場に決めた馬鹿野郎ことご存知グリード=ダイモーンだ。
「こんな動物どころか植物も存在しない島でどうやって生き残るのか、そんな疑問がお前らの頭にあるだろう。しかし答えは単純だ。『食える物食ってれば生き残れる』」
「その『食える物』ってのがこの島に存在してないでしょって言ってるのよ!」
「有るさ、いくらでもな。例えばそうだな……ここから見える浜辺にはわずかにだが苔が生えている。そこにあるだけでも人一人だけなら1週間はなんとか生き残れるだろう」
「苔……だと!?苔を食えってのか!?」
「苔以外にも、必要に応じて砂も食えるな。場所によるが、砂は生物の死骸が石状に固まり、粉々に砕かれたものが混じってることがある。肉や軟骨位ならいつも食うだろ?それらと一緒だ。味は保障しないけど。塩分補給には浜辺の砂は良いな。まだある。今ここに立っている人間。まともな下処理が出来なければ味は酷いモンだがな。栄養分も優れてるとは言えない。だが、食えないなんて事はない。1週間程度生き延びるなら栄養バランスなんて気にする意味は薄いな」
「待ってくれ。私は『ハンター』になりたいのであって『人殺し』に成り下がりたくはない」
「ついでに言うが、『狂人』にも成りたくはねえなぁ」
「『ハンター』になるなら、遅かれ早かれ『狂人』になるよ。まあ、言いたい事は理解できる。人肉なんて好き好んで食うモンじゃない、不味いし。それに試験官が積極的に受験者を狩ると協会からどやされちまう。さて、そんな所でお前らには3つの選択肢がある。1つ、体力のある内に海に出て失格する。2つ、自力でこの島の中で食える物を探して生き延びる。3つ、この危険地帯に留まる俺と同じ物を食って生き延びる。さあ、選べ」
グリードのその言葉に、一瞬悩む受験者達。しかし、出した答えは皆同じだった。
「面白い。誰も海に行くどころか、危険地帯のここに留まるってか?まあ良い、危険な目にあっても助けはしないぞ」
にやり、と笑うグリード。
長く喋って喉が渇いたな……とおもむろに地面から拳大の溶岩石(熱い)を拾い、ぐっと力を入れて石を
それを見た受験者は颯爽と海に泳ぎに行った。
短め。