DSR-50に工廠へと案内している最中。
……一体のドローンとぶつかった。
「あら」
「イテッ」
「あっ、ご、ごめん!大丈夫!?」
その後ろから誰かが走ってきた。
淡いグリーンの髪の人形。
片目が前髪で隠れていたが……一瞬だけ、漆黒の瞳が……。
(いや、目が黒いのか)
生体パーツではなく義眼の類か。
「もう!楓月ってば……直してもらったのにどうして変な事するの……」
その人形がドローンに対して怒っている。
……なるほど?このドローンとリンクされてるのか、コイツ。
「TAC-50、まだ調子が悪いのかしら」
「あー、DSR-50さん……そうみたいですね。君もごめんね?怪我してない?」
「え?ああ、別に」
ヤケに気遣ってくるな。
片腕が無いのを見られたから?
いや、この性格上恐らくなにか一言あるだろうが……。
「楓月、駄目でしょう、腕の無い人にぶつかっちゃ……」
「アンタ、そのドローンと視界共有してるのか?」
「え、あ、はい。私はこの子とリンクされてるんです」
やっぱりそうか。
AK-12がしょっちゅうやってて感覚麻痺してたけど、民生ではまだ途上技術なんだ、これは。
「それで私の片目は義眼何ですよ」
前髪をかきあげて、目を晒す。
本来白目のある場所は黒く、オレンジ色の瞳が異彩を放つ。
「へぇ……」
「それで、何でDSR-50さんが?連れ込むんですか?」
「……TAC-50。私が好きでこんなメンタルモデルをしてる訳じゃないって説明しなかったかしら」
「冗談ですって」
気を悪くしたのか、DSR-50が俺の腕を引く。
「お、おい」
「行きましょう。失礼しちゃうわもう」
「……何だ、苦労してるんだな」
その一言に、彼女は答えなかった。
ーーーー工廠。
この基地で数少ない男性職員の居るスペースだ。
DSR-50と別れて、中に入った。
「お、来たな」
主任っぽい老齢の男性がこっちに手招きをする。
「整備終わってんぞ。序にあの変な剣もな」
「急に無理言って申し訳ない……ありがとう」
「気にするこたぁねぇよボウズ。こっちも正規軍サマの義肢技術盗めるんだ。こっちが金払いたいレベルさ」
「なら、次もタダで整備して貰おうかな」
「ハハッ、任せな」
右腕を接続する。
神経通すときって結構痛いんだよな。
「ぐぎっ……ふぅ」
軽く動かす。
問題なく動作する。
「いい仕事してる。ウチの整備員ともタメ張れるな」
「正規軍サマに言われるとは光栄だね」
「その正規軍サマってのは気に入らねぇな。俺にはパトリックって名前があんだよ」
「悪いなボウズ」
からかってるなこのオッサン。
……その時、警報が鳴り始めた。
「あん?」
「……鉄血か!野郎共!ボサっとすんな!!」
……鉄血?
そんな訳でどこでもSECOM事TAC-50登場。
鉄血とやらの襲撃が来たらしい。