水没から始まる前線生活   作:塊ロック

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第96話「届かない」

 

「うごぁっ……!!」

 

腹に掌が打ち込まれ、蹲る。

 

「ゲホッ、ゴホッ!あ"ぁ"ー…クソ!もう一本お願いします!!」

「ええ、喜んで」

「いざ……ごはぁっ!?」

 

二人の元に預けられてから、早1ヶ月。

来る日も来る日も鬼の様に強い二人に絞られる毎日だ。

 

でも、未だに俺の手は一度たりとも母さんに届かない。

 

「うっぇ……」

 

少し吐き気がした。

頭も揺らしまくったし腹に良いもの貰ったからちょっと拙いかも。

 

「今日はここまでにしましょう」

「押忍……ありがとうございました」

 

まだやれる、とごねた所で一発で気絶させられるので諦めた。

母さんがそう判断したのなら止めるべきだ。

 

「兄さん、大丈夫ですか……?」

 

ベネリが水とタオルを持って駆け寄ってきた。

 

「サンキュ……あれ、お前店番は?」

「サイガさんと代わりました」

「ああ……居ないと思ったら」

 

最近、二人は店の手伝いを始めた。

最近と言うかスプリングフィールドって人形からそもそも手ほどきを受けていたらしい。

その話をしたらすぐに歓迎された。

 

……そのスプリングフィールドって人形、どうもまた兄貴……オッサンの誓約人形らしくてまた知らない姉が現れた。

 

俺の姉何人居るんだよ……。

 

「どうしました?」

「いや……俺の家族を名乗る奴等が短期間に大量発生してるなって……」

「……?はぁ……??」

 

……ふと、

本当になんとなく……マイクとアリサの事が脳裏を過ぎった。

 

あの二人も……父さんと母さんは受け入れてくれるのだろうか。

それに……リリスも。

 

「パトリック」

「ん……え、ああ……親父……」

 

いつの間にか、父さんが俺のすぐ側に立っていた。

 

「すっかり俺の事を父と呼んでくれるようになったな」

「……からかいに来ただけかよ」

「すまんすまん拗ねるな。ちょっと付き合えよ」

「……?はあ。でも今泥だらけなんですけど俺」

「気にすんな。どうせ汗かく」

「???」

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

連れられて来た場所は、郊外の森の中だった。

 

「ここは?」

「んー?プライベートな訓練場かな。ほら」

 

投げ渡された物を慌てて受け取る。

拳銃……?

いや、軍の備品で見た事がある。

 

「B3ウィングマン?なんでこんな古い銃を」

「古い銃、か。俺が現役の時はハモンド2000が現役だったんだぜ?」

「今は2020だぞ」

「えっ……嘘だろもうそんな型番進んだのかよ……」

「序に言うと歩兵の主力はR301カービンだ」

「R301カービン?R101じゃなくてか……かーっ!歳とったなぁ俺も……たはは……」

 

何だかちょっと落ち込んでしまった様子。

 

「で、これで何を?」

 

話題を変えたほうが良いかなと思い、手元の拳銃を見せる。

 

「そろそろ、お前も撃ち方忘れてる頃だろ」

「まぁ……そりゃ」

「ジョージの銃の腕前は俺仕込みだ。興味ないか」

「俺は……銃より剣のほうが」

「まぁまぁ。たまにゃ俺にも構ってくれよ」

「……分かったよ」

「おし!じゃあやるぜ?」

 

銃の腕前、か……ジェリコも呆れるくらいの実力だけど、上がるんかね俺……。

 

 

 

 

 

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