「……いやまさかこんな酷いとは思わなかったな……」
父さんが呆れながら肩をすくめた。
……用意された的に欠片も弾痕が無いのである。
「あ、あはは……何でだろうな」
「手足と銃の相性が悪いんだろうなー……どれどれ」
父さんが俺の手から銃を抜き取り、一回転させながら……。
銃声が一発鳴ったと思った瞬間、的に六発の弾痕が出来た。
「は………………えっ?!?!」
六発?!
銃声一回しか鳴らなかったぞ!?
「腕は鈍ってねぇな」
「え?な、アレ、ナニコレ!?」
「何、ちょっとした宴会芸だ。ジョージも出来るぜ」
「はぁ……?」
聴けばただの早撃ちらしい。
いやんなアホな。
「義手と射撃技術が合わねぇんだろうな……あと、正規軍で射撃の訓練サボってたな」
「あー……」
「不慣れなのにかまけて……そうだな、その撃ち方だとショットガンくらいしか使ってなかったろ」
「……仰る通りで」
すげぇ、秒で看破された。
「ま、その辺は俺が鍛えてやるよ。ハルカさんの体術の手解き貰ってるなら身体は動く筈だ」
「………………」
「ん?どうした?」
俺が黙っていると、父さんが不思議がって銃をしまいこちらを見た。
「え、あ……いや……その」
答えるのは気恥ずかしくなって中々口が動かない。
「どうしたどうしたパトリック。言ってみろよ」
俺とは違う生身の手。
けれど、鍛え上げ訓練を欠かさなかった硬い手が俺の頭を乱暴に撫でた。
俺はそれにされるがままにぽつりとこぼした。
「父親って、こんな人なんだなって……」
「……ぷっ、ははは!!」
父さんが盛大に吹き出した。
「な、何だよ!」
恥ずかしくなって手を払い除けた。
……義手で鉄製なのでちょっと痛かったのか手を擦りながら父さんは離れた。
「父親みたい、か。そう思ってくれるなら嬉しいよ。俺とは血は繋がってないが……俺はお前の父親だからな」
「あ……」
「ま、困ったら存分に甘えろ。家族ってのはそう言うもんだからな」
「……はい」
「もちろん、ハルカさんにも、リズィにもな。皆お前の家族だ」
「……ああ」
……でも、俺は思ってしまった。
リリス、マイク、アリサ。
皆も、ここに居られたら良かったのに。
何で、俺だけこんなに……こんなに満たされてしまったんだ。
リリスだって、何か誤解があったんだ。
また、リリスに会って……父さんと母さんを紹介したい。
アイツだって……家族になれるはずだ。
「よしパトリック。取り敢えず今日は用意した弾全部撃つぞ」
「……わかっ……ちょっと、どんだけ用意してんだよ!?」
「いやー……ジョージが小さい頃を思い出しちゃってな。つい」
「ついって……これ日が暮れるぞ……」
その日は夕方まで派手に撃ちまくったのだった。