時間が経つのは早い……。
日課の素振りも板についてきた。
毎朝木刀を振る生活も、何だかんだ自分の一部になってきている。
「よう、元気か」
「……あ?おっさ……兄貴」
転がり込んでから2ヶ月ほど。
父さん母さんに鍛えられながら平穏な日々を過ごしていた。
そこへ……ジョージがやってきた。
「そろそろか?」
「状況が変わった」
「……どう言うことだ?」
……表情が暗い。
事態が急変したのか……明らかに良くない事が起こっている。
「お前には悪いが、すぐ戻ってもらうことになる。俺は母さん達に挨拶してくるからその間に荷物をまとめておいてくれ」
「あ、ああ……」
……猛烈に嫌な予感がする。
だけど、この日が来ると何処かで覚悟していたのも事実。
取り敢えず部屋に戻って荷物をまとめよう。
スーツケースに着替え入れるくらいだが。
自室に戻ると、何故かグリズリーが居た。
「えっ」
「はいパトリック」
「……えっ?」
グリズリーは笑顔でスーツケースを手渡してきた。
なんで?
「ジョージから連絡があったから。準備はしておいたわ」
「えぇ……」
自分の物を用意されるのもなんかむず痒いんだけど……。
すると、グリズリーは真面目な顔になる。
「……何があるか分からないけど、私に出来るのはこれくらい。人形だけど……一応私も貴方の母親のつもり」
「………………」
「何があっても、貴方が正しいと思ったことをしなさい」
「……ありがとう」
「うん、行ってらっしゃい」
――――――――――
「来たか」
外に出ると、ジョージが既に車に乗っていた。
ドライバーは……Kar98だっけ、が務めていた。
「荷物はそっち。お前は後ろな」
「分かった」
「それと」
ジョージが後ろを指差す。
振り向くと、三人が見送る形で立っていた。
「あー……すまん、ちょっと時間もらう」
「いいぞ。ちゃんと挨拶してこい」
さて、
「パトリックさん」
何を言おうかと考える前に、母さんが口を開いた。
「は、はい」
「貴方はこれから、残酷な選択を迫られるかもしれません」
「………………」
「でも、貴方なら乗り越えられると信じています」
「俺とハルカさんが鍛えたからな。大抵のやつには負けね―よ」
「……そうだな。絶対、負けないから」
「邪魔する奴は全部ぶっ飛ばしちまえ」
「……ああ。行ってきます」
「また、帰って来いよ。ここはお前の家だ」
「行ってらっしゃい、パトリックさん。今度はリリスちゃんも連れてきてね」
背を押されて、俺は進む。
行こう……この先、何があっても俺は止まらない。
だって、最強で最高の家族が俺を支えてくれたから。
「やってやるさ」
俺にできる事を全力で。
更新サボって期間が長すぎたのでそろそろ終わらせに入ります。
……終われるかな……終われるといいな……。