水没から始まる前線生活   作:塊ロック

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104話

臨時指揮官室を出た時の俺は、相当ひどい顔をしていたらしい。

 

部屋の前で待っていたトカレフがぎょっとして俺を見たからだ。

 

「パトリックさん……?!大丈夫ですか……?」

「……全然」

「じっとしてて下さいね……!今休憩室に運び……重っ……!」

 

トカレフがパトリックを持ち上げようとして、尻もちをついた。

 

「……すまん。俺の重量は結構あってな。自分で行くよ」

「サイガさんを呼びましょうか?」

「大丈夫……一人で行ける」

「……パトリックさん。一人でどうにも出来ないと思うなら……話して下さいね。私……貴方のお姉ちゃんなので」

「……兄貴の嫁さんだもんな……それもそうか……」

 

俺の兄貴嫁さん多過ぎやしないか?

 

「兄さん!」

「お……?ああ、ベネリか……」

「どうしたんですか……?お顔がとんでもなく青いですよ」

「いや……ちょっとな……」

「休憩室へ行きましょう!あ!トカレフさん!報告は後程!」

「はーい、ごゆっくりー♪」

「ちょっと、ベネリ、やめ、離せ!」

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「……なぁ、ジョージ」

「あん?」

 

パトリックが部屋を出た後、入れ替わるようにローニンが入って来た。

 

「言わなくて良かったのかよ」

「……良いわけ無いだろ」

「……まあ、お前はそう思うだろうよ」

 

バン!と机を手のひらで叩いた。

自分でも相当応えていたらしい。

 

「言えるか……『S-13所属人形は全滅、バックアップは取られておらず修復が完了した個体は全て初期化されてる』、なんてよ……」

 

そう、修理に送った人形は全て初期化されて帰ってきた。

ペルシカに文句を言ったが、そもそもバックアップが取られていなかったと言う。

 

「基地に備え付けのバックアップは当然破壊されてたんだろ?」

「いや、残ってた」

「は?じゃあ何故」

「最初からバックアップされていなかったか……消されたか」

「……消された?その根拠は」

「アームストロングの傘下の人形部隊に、電子戦に強い個体が居る」

「人形部隊……まさか」

「十中八九、私でしょうね」

 

第三者の声。

だが、このタイミングで現れるやつはだいたいコイツだ。

 

「よう、AK-12」

「ハァイ、ジョージィ?久し振りね」

 

銀の長い髪に、閉じられた瞳の人形。

長い事親父と共に何処かに行っていたが……今回の要請で来てくれた心強い味方だ。

 

「で?AK-12が言う『私』って?」

「ええ、ローニン。考えてもみて。私みたいな優秀な人形、軍が痛手を被らないと思う?」

「……なるほど、二代目って事か」

「貴方の弟の装備の中身も私が弄りやすい様にしてあった。呼んだ理由……これでしょ?」

「ああ、話が早くて助かる」

 

今回の作戦の要は……パトリックなのだから。

 

「アイツへのハッキングをお前が防いでくれ」

 

 

 

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