「……どうしてここまで射撃の精度がお粗末なんです、貴方は」
射撃訓練場。
様々な人形達がここで各々の調整をする……らしい。
その一角で、俺はジェリコに射撃の訓練をさせられていた。
「俺だってわかんねぇよ。俺の腕が銃を使うのに向いていないってだけた」
「ふむ……なるほど?頑強さと馬力をこの見た目に収めるために全て詰め込み……他は全て犠牲にしているのね」
「戦闘も、一応日常も使えてるし。それで良いと思ってる」
「参ったわ……」
「あれ、ジェリコにリックじゃん。はろはろ〜」
ジェリコが仏頂面で考え込んでしまったあと、射撃訓練場へうさ耳女……Five-seveNがやってきた。
どうにも俺はこいつが苦手である……距離の詰め方が良くわからない。
「Five-seveN……」
「どうしたの?ジェリコ」
「パトリックの射撃をみていました」
……実は、この二人Five-seveNの方が先にこの基地に配属されている。
そして、Five-seveNの方が実力が抜きん出ている。
その為、ジェリコはFive-seveNにあまり強く言えない……まぁ本人は性格以外尊敬してるフシもあるけど。
「ふーん、リック。撃ってみてよ」
「えぇ」
「いーじゃんいじゃん。減るもんじゃないのよ?」
「……」
渋々とパニッシャーを構える。
最近知ったのだが、AK-12にパニッシャーと言われて渡されたこの銃は本当はFive-seveNという名前らしい。
何となくこいつの前で使うの嫌なんだよな……。
トリガーを引く。
乾いた音が数発。
マズルフラッシュと共に吐き出された弾丸は……的の両サイドの砂山を少し吹き飛ばしただけだった。
「なるほどね……ねぇ、リック」
「あ?……ちょっ、なんだよ!」
「騒がないの。……はい、これで撃ってみて」
Five-seveNが俺の腕やら手に取り後ろから密着してくる。
背中にめっちゃ柔らかい物が押し当てられて気が気じゃない。
言われた通りにトリガーを引く。
……弾丸は、急所じゃないにしろ、的に命中した。
「え……」「なっ……」
俺とジェリコが驚く。
Five-seveNが俺から離れる。
「やっぱりね。リックは反動を腕で押さえ込み過ぎなのよ。パワーがあるから変なふうに飛んじゃうのね」
「流石……Five-seveNですね」
「ふふっ、褒められちゃった。でも、その銃もアタシみたいなものなのよリック」
Five-seveNが、俺のパニッシャーを指さして笑う。
「出来たら、大事に使ってあげてね?」
「……判ってる。武器は命を預ける相手なんだ……雑には扱わない」
「ふふっ、よろしい♪じゃあリック、今週末暇?」
「えっ、何だよ急に」
Five-seveNが腕を組んでくる。
俺は抜け出し……あっ、また腕で組んできた。
「リック、初任給でしょ?あの殺風景な部屋に色々置こうよ。服とかも選んであげる」
「え、何でお前と」
「当たるようにしてあげたのよ?お礼とかなーい?」
「お前勝手にやったろ」
「えー?アタシの胸、楽しんでたでしょ?」
「ばっ……!!た、たたたた楽しんでねーし!!」
「へー?ふーん?そういう事言っちゃうんだ?」
Five-seveNが目を細める。
口の端に小さく舌がチロリと覗く。
「……もっとサービスが欲しいって事なのかな」
「なっ、なんでそうなる!?」
Five-seveNが段々詰め寄ってくるので後退る。
……すぐ壁際に追い詰められた。
「どうする?」
「どうって……?!!?!」
Five-seveNの手が俺の腹を沿って胸まで撫でてくる。
くすぐったい。
「アタシね、指揮官の為に命張ってアルケミストと殴り合ってる姿見て……あなたの事気に入っちゃった」
「えっ、えぇ……!?」
「ねっ……リックさえ良けれぶぁっ!?!?」
Five-seveNの頭にジェリコの杖が落ちた。
痛そう。
「いったっ!!何すんのジェリコ!!」
「Five-seveN。ここは公共の場所ですよ。淫行は謹んでください」
「違うわよ!コミュニケーションよ!!」
「昼間からどうかと思います」
「関係ないわ!」
「貴方もですパトリック。男ならしっかり断りなさい」
「とばっちりだ!」
結局俺とFive-seveNが正座させられてジェリコにしこたま説教されるのだった。
Five-seveNとジェリコと言う謎の組み合わせ。
今後もちょくちょく人形達を増やすかも。