水没から始まる前線生活   作:塊ロック

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パトリックの戦う理由。


第20話『戦う理由』

目的の花屋で白の百合とカーネーションを購入した。

やっぱりと言うか、良い値段するなぁ。

 

花束に包んでもらい、帰路につく。

 

……と、したところで一番会いたくない奴等に出会ってしまった。

 

「あら、リック」

「こんな所で何してるのかしら、パトリック」

「ゲッ」

 

ウサギ女(Five-seveN)と、ノーセンス女(FAL)……!!

なんでこんな所に……!

 

 

「それ、ユリとカーネーションかしら。似合わないわね」

「ほっとけ」

「しかも白。赤とかにしないの?」

「うわ、出たわね100年前のセンス」

「あら、言うわね」

「悔しくて何も言えないのかしら?」

「言ったところで無意味だから言わないだけよ」

「へぇ……?」

 

なんか口論始めたぞ……逃げるか。

 

「「待ちなさい」」

 

ノールックで二人から同時に襟首掴まれた。

あんだけ口論してた癖に何でそんな息合ってるんだ。

さてはお前らデキてるな?

 

「は、離せ!」

「逃さないわよー。その花、誰に渡すつもり?」

「誰だって良いだろ!?お前にゃ関係ねーよ!」

「ふふっ、慌てちゃって可愛い……気になるのよ」

「そこまでよFive-seveN。白のユリとカーネーションは……献花よ」

 

FALがそう口にした。

意外だった……こいつに、そういう事言う気概というか、ともかくそんな気を使うような喋り方。

 

「あ……リック、その……ごめん」

「良い。気にしてない」

「……あの丘の上に建てた十字架でしょ」

「……ああ」

「大事な人だったのね」

「ああ……」

 

FALとFive-seveNが黙った。

俺もそれに甘んじて押し黙る。

 

……往来のど真ん中で立ち止まって黙ってるもんだからまぁそりゃ目立つわな。

 

「……パトリック、移動しましょう」

「……」

 

俺は、二人の後を無言で着いていった。

 

 

 

 

 

―――――喫茶店。

 

角のボックスシートが丁度空いていたので、そこに二人の対面に座った。

 

「……リック、そういう事なら……アタシの誘い乗ってくれても良かったんじゃない?」

「別に……一人で良い」

「貴女の誘い方が拙かったんじゃない?」

「何ですって?」

「大方、相手の出方を見ないでひっついて誘ったんでしょう」

 

ビンゴである。

 

「んなぁ……!」

「はぁ……そこいらの男なら引っ掛かるでしょうけど、彼みたいなボウヤには逆効果よ」

「おうコラ誰がボウヤだ」

 

ちょっと腹が立ったので言い返し……。

……FALの携帯が鳴る。

 

「はい、もしもし……指揮官?どうし……なんですって」

 

FALの顔色が変わる。

 

「分かったわ、すぐ戻る」

「……どうした?」

「Five-seveN、パトリック……出撃よ。近辺に鉄血のはぐれ部隊……規模は中隊規模……ちょっと大きいわね。撤退中なのかしら。ここからちょっと近いから急いで戻るわよ」

 

付近……確か、貰った地図を端末から呼び出し確認する。

ここから少し先にある廃墟地帯。

そこを通過するらしい。

 

生活圏に近いとは言えろくな装備も無しに瓦礫の山を探索するにはリスクが高いため、未だに警戒網が敷けないでいる、とジェリコから聞いていた。

 

監視の目を潜り抜けるには最適な地帯と言う訳だ。

 

戻っている時間は……ぎりぎりかもしれない。

 

「………………」

 

今日、歩いた街並みを思い出す。

リリスが守ってきた人々。

 

俺は……。

 

端末からリリス直通の回線を開く。

……ワンコールで出た。

早いよ。

 

だが、それが今は助かる。

 

「……仕事の話だ」

『りっ……()()()()()()()()()()()()

 

リリスが切替えてくれる。

 

「緊急に付き報酬は歩合、そちらが決めてくれ。内容は敵勢力進行の遅滞、及び漸減」

『……認可できません』

 

躊躇い。

まぁそうだろうな。

死にに行くようなもんだ。

 

「聞いてくれ、リリス。今日……お前が守ってきた街、見てきたよ」

『………………』

「正直、位置が位置だ……出撃が間に合わないかもしれない。俺にも守らせてくれ」

『……既にS-12からも出ていると通達が来ています。貴方が出る必要はありません』

「リリス」

『……それでも、五分。護身火器しか持たない貴方を派遣させられません』

「……頼む」

『……馬鹿っ!!死んだら一生恨むんだから!!交戦を許可します!!絶対無茶しないで!!』

 

回線を一方的に切られた。

まぁ仕方ないわな。

 

立ちあがり、花束をFALに渡した。

 

「……何のつもり?」

「お前なら信用できる。戻るなら持って行ってくれ」

「私、運び屋じゃないのだけれど」

「時間を稼ぐ。こっち来る時に俺の装備も頼むわ」

「パトリック」

「信じてるぞ」

「ちょっと、リック!」

「Five-seveNも!頼んだぞ!!」

「……殺し文句、ね。死ぬんじゃないわよ」

 

俺は喫茶店を飛び出し、義足のリミッターを解除した。

……普段は出力を抑えて、日常生活に支障をきたさない程度の力に調整している。

 

最初は普通に物ぶっ壊してたけどな。

 

全速力で、俺は現場に駆け出した。

 

 




中隊規模の取り零し部隊。
最前線の基地が取り逃した部隊がS-13に迫っています。

主力部隊の到着まで遅滞戦闘に徹してください。


……S-12指揮官へ。
S-13地区内でのタイタンフォールを認可します。
現地戦闘員の事を、よろしくお願いします。

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