水没から始まる前線生活   作:塊ロック

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廃墟での戦闘。
敵は一個中隊。

対するこちらはハンドガン、パニッシャーのみの武装。

目標は遅滞。
大丈夫だ、やれる。



第21話『丸腰で始まる前線戦闘』

単騎でE.L.I.Dの大群と殺り合うなんて、割としょっちゅうやっていた。

 

と言っても装備が十全だったから出来ていたのだから。

 

「よっ……」

 

廃墟群に到着、少し義足の出力を下げて冷やす。

こまめにやっておかないといざって時にオーバーヒートして、はい終わり。

 

今回は……あの時のラッキーは無い。

 

覚悟は完了。

戦う気概は充分。

 

義手のパワーなら人形の頭かち割るくらい出来る。

 

……そっと身を乗り出して辺りを警戒。

 

 

……居た。

 

目の前に居たのは、ナイフを下げている人形、ブルート。

ジェリコに教わった知識を総動員する。

 

確かヤツは装甲を抜く事に長け、急所を的確に狙うが……本体が脆い。

 

決めた。

まずはアイツから()()()()()

 

こちらの姿を極力晒さず、かつ迅速に敵を処理する。

姿は晒さないが、ある程度の存在感を出し敵の進軍を遅らせなくてはならない。

 

さぁ、プレデター戦と行こうじゃないか。

 

 

素早く、ブルートの集団の背後に着く。

……ブルート部隊の後方には幸い部隊が居ない。

 

数は5。

集団が孤立する瞬間を狙う。

 

……相手も移動するので、こちらも絶えずポイントを変える。

 

物陰から様子を伺い……今ッ!!

 

「シッ……!!」

 

最後尾のブルートの背後から首を掴んで物陰に連れ込む。

抵抗される前に手早く首を折った。

 

「まず1つ」

 

ナイフを抜き取る。

残り4体が動揺した様に辺りを警戒し始める。

 

……1体が、耳に手を当てようとする。

 

ソイツの額に、ナイフを投擲した。

 

「「「!!!」」」

 

 

通信阻止、そして残り3体。

最も近い位置にいたブルートに飛び込み、押し倒してそのまま顔にナイフを突き刺す。

 

背後に迫る刃。

それに対して背面蹴りを繰り出す。

 

ブルートの腹に突き刺さる。

 

迫ってきたもう一体にナイフを投擲。

流石に払って落とした。

 

が、その一瞬で充分。

 

突き出した脚を地面に付け、踏み切る。

 

目の前に迫るブルートへ飛ぶ。

 

渾身の右ストレートが、顔面のバイザーを突き破りそのまま頭を潰す。

 

……背後に転がったブルートが離脱しようとした所の後頭部に、足元のコンクリート片を投げ付ける。

 

クリーンヒットしうつ伏せで倒れた。

……近寄って、そのまま頭部を踏み潰した。

 

「ハァッ……ハァッ……クリア……り、離脱……」

 

ナイフをちょろまかしてまた隠れる。

残骸は隠さない。

存在感を残すために放置する。

 

こうして警戒して進軍が遅れるなら御の字……なのだが。

 

(げっ、後ろの部隊ガードじゃねーか)

 

大きな盾と銃剣付きハンドガンで武装した人形群。

こいつらが居るってことは後方にはマシンガンかライフル部隊が控えている。

 

(きっついなー、もう……)

 

そう言えば昼飯がまだだった……腹が減る。

 

(……帰ったら肉だ肉)

 

合成品とは言えやはり肉を食べたい。

 

さて、思考を切り替えろ。

何とかしてガードを抑えて……いや、抑えなくても良いか?

足が遅いから後方が奇襲された際に戻るのが遅れる可能性がある。

 

少し後方を見に……。

 

ガシャン。

 

「あん……?ゲッ」

 

背後から音がする。

振り返ると……四角形に四本足と言うギャグみたいなシルエットの兵器が……ずらり。

 

全員俺に背負った機銃を向けている。

 

「なんで隊列崩して此処に―――――!?!!」

 

機銃が掃射された。

 

 




ダイナゲートって実際にあんなのの大群居たらモノスゴイ怖いですよね。

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