白髪の人形に手当てしてもらったため、血はとにかく止められた。
「リック!」
「パトリック!」
「ん……?」
声がしたので首だけそっちに向ける。
FALと57がこちらに向かって走って来ている。
……俺のライオットガンとトムボーイを担いで。
これで、戦える。
「おお、俺の武kグヴァッ!?!!?」
ぶん投げられて二人から殴られた。
何故。
「何しやがる!!」
「「うっさい馬鹿!!」」
二人してハモる。
うるさい。
「喧しいわ!」
「何よ!カッコつけて怪我してるじゃない!」
「ホントセンス無いわね!!」
「何だと……!」
「ヘイ、お嬢さん達!ちょっと良いかな」
ジョージと名乗ったおっさんがこっちに戻ってくる。
「君達がリリス指揮官の言ってた増援か?」
「……そうよ」
「なるほど、それは心強い」
おっさんがFALの手を取ろうとして横から来たWA2000にはたかれた。
「ははは、冗談だ……さて、状況を整理しようその為に後退だ」
―――――――
少しして、リリスの寄越した部隊と合流した。
「パトリックさん!?怪我を……」
「大丈夫だ、すぐ止まる」
「でも……」
「良いって、触るなステア」
やってきた部隊……案の定ステアが居た。
彼女に見られたらそりゃまあうるさい。
「感情に突き動かされて独断専行、挙げ句に負傷とは兵士失格ですね、パトリック」
「……」
「何とか言ったらどうです」
「うるせぇよ説教魔」
「パトリック!!」
「まぁまぁ、落ち着け」
キレるジェリコ。
それをおっさんが仲裁してくるのが余計に腹が立つ。
「リリス指揮官、聞こえてるな?」
『……はい』
戦術データリンクにより、俺にもアイツの声は聞こえる。
「戦力の集結が完了した。これから残存部隊の撃滅を行う」
『了解しました。こちらからも随時指示を行います。パトリック、貴方はジョージ指揮官の指揮下へ』
「……イエスマム」
「よろしく頼むぜ坊主。リリス指揮官からは聞いてる」
「そうかい……」
何を聞いてるのか知らないが、アホな事はしないだろう。
何だかんだやる事はやってそうな奴だし。
「それじゃあ聞いてくれ。数度の遭遇戦で奴らの残存数は頭とその周辺の量産型のみ」
周辺の量産型の防御が厚く、通常の打撃では打ち破るのは難しい。
リリスからそんな補足が飛んできた。
「そのとおり、
「……策があるんですね?」
ジェリコから期待の籠もった目線が飛ぶ。
おっさんは自信満々に頷いて、続けた。
「俺と坊主が敵中枢の頭上から急襲、撹乱し人形部隊が漸減。そのスキに頭を叩く」
……嘘だろオイ。
人間二人で敵中枢に急襲って頭おかしいんじゃねーのこいつ。