基地に帰還して……待っていたのはビンタだった。
「………………」
残当だ、と言った風な表情をする戦闘部隊の面々を尻目に……意外と威力のあった一撃を大人しく受ける。
正直、撃たれた脇腹より痛かった。
「命令違反に、武力介入。今回の一件は重いですよ」
「……承知の上だ」
「一応、弁解を聞きます」
「……放って置けなかった」
「そうですか。……皆、ごめんなさい。DSRも……少し、席を外して」
全員、その一言で執務室から出て行った。
この部屋には、俺とリリスだけが残された。
「……馬鹿」
ぽつり、とリリスが漏らす。
「本ッ当に、馬鹿!死んじゃうかと思ったのに!!どうしてあんな事するの!?マイク君もアリサちゃんも死んじゃったんだよ!?これ以上私に、家族を喪わせないでッ……!!!」
もう一度、ガチビンタ。
今度は、とても痛かった。
「……じっとしてられなかった」
「知ってる……マイク君も同じ事言ってた」
「ごめん」
「許さない」
「……そうか」
自分の事を心配してくれる人が居る。
それが分かってしまったから、自分の行いを悔いる。
「……りっ君がした事は、軍人としては褒められないよ。でも……人として、その正義感は大切にして欲しいと思ってる」
リリスが、俺を抱きしめる。
「やめてくれ……正義感なんて、無い」
ただの衝動。
そこに正義なんてないし……何より。
そして……あの時、鉄血のアルケミストとやり合った時の事を思い出す。
あの高揚……化け物を狩るだけでは満たされなかった、あの気持ち。
もう一度、味わいたかった。
「ううん。多くの人の命を、結果的にとは言え救ってるの……それは、誇っても良いわ」
「けど」
「りっ君」
そっと、両頬をリリスが包み込む。
彼女はふっと笑った。
「いいんだよ」
「……くそっ、調子狂うな」
「ふふっ、それじゃあ謹慎一週間ね」
「エッ」
「当たり前でしょ?ルール破ったんだから」
「そうだけど……」
「あ、当然武装解除だからね。義肢は没収」
「は?!嘘だろ!?」
身動き出来ずに一週間とか何考えてる?!
「大丈夫よ……その間のお世話は、私がしてあげるから」
「そ、そういう問題じゃ……せめて義肢は許してくれ……」
「だーめ」
「お、横暴だ!」
「私がこの基地の最高責任者よ!」
「勘弁してくれ!!」
結局、この遣り取りはジェリコが騒いでるのにブチ切れて俺達を正座させて説教を始めるまで続くのだった。
「聞いているのですかパトリック!」
「……あー、その、何だ……心配かけて、すまん」
「なっ……誰も心配なんて……わ、分かればよろしいのです」
「……りっ君、こういう子好きなの?」
「ばっ、ちげーし!?誰がこんな説教魔人なんて!」
「パトリック!聞き捨てなりませんね!」
「ゲッ!何でだよ!!」
ライオットガンをリリスに預けたのだった。
はて、どうなる事やら……。
……ところでさ、そろそろ正座戻していい?ダメ?そんなぁ。