トリガーを引く。
散弾が発射され、反動が来る。
2射目を撃とうとして……。
「コッキングしなさい、パトリック」
「……おっと」
くるっ、とピースキーパーを一回転。
かちっ、と音がする。
……杖で後頭部をドつかれた。
「いってっ!!」
「スピンコックはするなと言ったはずです!」
「楽なんだよ!こっちのが片手空くから」
俺の横に立っていたジェリコがため息を吐く。
「……確かに、貴方は技工剣を使いますし片手が空く方が良いかもしれません」
「だろ?」
「で、す、が!基本を押さえなくては応用はできません。あと弾は12発あります。打ち切る前に基本姿勢を覚えなさい!」
「わーったよ……ったく」
しぶしぶとピースキーパーを両手で構える。
もう一度、的を狙う。
教えられた通り、息を吐いて、トリガーを引く。
星型の弾痕が、建てられた的に刻まれた。
―――――――――――――
「ハァイ、リック。精が出るわね」
射撃場から出てすぐ。
57にタオルを投げられた。
……思っていたより緊張していたらしい。
額から汗が流れていた。
「……さんきゅ、57」
「57も訓練ですか?」
「違うわ、ジェリコ。様子を見に来ただけよ」
ばちっ、とウィンクされた。
「ま、元気みたいね」
「それなりに……部屋から出る時に監視されるのは正直うんざりだけど」
「貴方の責任なんですから。甘んじて受け止めなさい」
「へいへい……気がちっとも休まらねぇぜ……」
「あはは……じゃあ差し入れあげる」
57がポケットから縦長の箱を取り出した。
「ん?ああ、懐かしいポッ〇ーか」
「伏せるなら言わなくていいのに」
「なんか、言っとかないといけない気がして」
棒状のクッキーにチョコレートがコーティングしてある菓子。
見るのは孤児院に居た頃以来だ。
……正規軍の時にそう言えばマイクとアリサが食ってたな。
「……リック?どうしたの?」
「いや、大丈夫だ……」
「なら、良いけど」
「まぁ、ちょっと昔をな……悪いけど、一人にさせてくれ」
――――――――――自室。
結局、一人になれるって言ったらここに居るしかいない。
自室のベッドに腰かけて、菓子の封を開いた。
一本引き抜く。
「……甘ぇ」
ジャンクな感じがする。
……部屋のドアに、控えめにノックがされた。
「……ん?」
『パトリックさん、今……大丈夫でしょうか』
「ステアか……今は、やめてくれ」
『……何かあったんですか?』
「何でもない……!」
「嘘ですよ」
「勝手に入ってくんなよ!」
普通にドア開けて入ってきやがった。
まぁ鍵かけてなかったからな。
ステアが俺に詰め寄ってくる。
「パトリックさん、思い詰めてるなら……話してください」
「思い詰めてるって言うか……まぁ、これだよ」
「……お菓子、ですか」
「ああ……ちょっと、昔思い出して……って、何でお前にそんな事話してるんだろ。食うか?」
「え、あー……それじゃあ、頂きます」
……ステアが来てくれて、良かったのかもしれない。
少しだけ、気が晴れたのかも。
何だかんだ、人形達に絆されている。