悲鳴は嫌いだ。
聞いてしまえばいてもたっても居られなくなる。
助けに行かなくちゃいけないと、思ってしまうから。
「はっ……はっ……た、たすけ、いや……!」
「頑張って下さい!まだ、まだ助かります!この森を抜ければS-13エリアです……!!」
そんな声が聞こえる。
声の主と俺達まで少し距離が離れている。
「パトリック·エールシュタイアー!私達の任務は物資の奪還です!ここで目立つ行動は慎みなさい!」
「アレはお前らの仲間じゃないのか!?」
「撒き餌の可能性が十二分にあるのが何故わからないのですか!
その言い方に、無性に腹がたった。
元々、俺は人形の部隊に組み込まれていた人間だ。
アイツらと肩並べて戦って、一緒に笑ったり泣いたりした。
俺にとって人形は戦友だ。
決して、
「G36」
「……何でしょう」
「金輪際、俺の前で人形を消耗品なんて言うんじゃねぇ。首を跳ね飛ばすぞ」
「は……?」
訝しむG36を尻目に俺は駆け出した。
「G36c!お前らはお前らだけで行ってろ!俺は救援に向かう!」
「リックさん!?」
「見捨てるなんて、俺には出来ねぇ!!」
「パトリック·エールシュタイアー!!………………理解不能です」
――――――――――――――
ここから逃げ出そう、そう思ったのはつい最近だ。
基地が鉄血の襲撃に遭い、私は破壊された。
バックアップから復帰してすぐ目に入ったのが……。
「む、バックアップか……こんな所に隠していたとはな」
仲間の残骸を捨てていたアルケミストだった。
それからの日々、私はひたすら実験と称し心身共に追い詰められた。
……今着いている脚だって、本当は私の脚じゃない。
アイツに破壊された、仲間の脚。
いっそ破壊してくれたら楽なのに、アレはそうせず私を殺さないよう最新の注意を払いながら拷問していた。
先に、メンタルの方が壊れてしまう……。
そう思っていた矢先の出来事だった。
「貴女は、この基地の生き残りですね!?逃げますよ!!」
黒髪の小柄な戦術人形が、私の目の前に現れた。
それから何とか基地から脱出し……今、隣の地区の基地へ救援を求めて走っていたのだが……。
「どうしたどうしたァ!ネズミ共!!もっと走らねぇと真っ二つだぞ!!」
鉄血のハイエンド、エクスキューショナーとハンターが、追手として来ていた。
「っ!危ない!!」
黒髪の人形が私を倒し、その前に立ちはだかり、
「喰らえッ!!」
「……桜逆像!!」
花びらが散るようなエネルギーの奔流。
私達を、シールドが包み込んだ。
「うおっ……しゃらくせぇ!!」
フォースフィールドと呼ばれるシールドを張ることの出来る人形の事は知っていた。
しかし、このシールドはそうでも無いのか……エクスキューショナーの一太刀ごとに亀裂が生まれていた。
「どうしたどうしたァ!壊れちまうぞ!」
「ぐ、うぅ……っ!すみません、スコーチさん……!!」
「くたばれ!ガラクタ共!」
無惨にも、シールドは砕け散った。
エクスキューショナーの剣が、黒髪の人形に……。
「やめ、てっ……!!」
私は叫ぶ事しかできない。
私を助けてくれてこの子を、誰か、助けて……………!!
その時、バイクの排気音の様な轟音が鳴り響いた。
「新手か……!?」
「うおおおおりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
轟音を放つ剣を振り被り、紅蓮の炎を撒き散らしながら……青年が、飛び込んできた。
一撃が、エクスキューショナーをふっ飛ばす。
黒髪の人形が、その場にへたり込んだ。
私は、その子を庇うように抱き締めて……赤髪の青年に言葉を投げた。
「だ、誰っ……!?」
「……助けに来た!」
青年は剣を構え直して、エクスキューショナーを見据えた。
「俺が、テメェの相手だ」
名前は出してませんがこの二人が誰かは……わかる、よ、ね?
わかりにくければ修正します。
次回、激突、剣と剣。