水没から始まる前線生活   作:塊ロック

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ベネリちゃん真顔でなんてこと言うの。


第38話『お世話対決』

「……えっ?」

「……はっ!?い、いえ!?何でもないです!!」

 

M1014……言いにくいしベネリで良いか。

ベネリが我に返って物凄い手をブンブンふる。

班長が何となく面白そうな顔をしている。

 

「銃の感覚を引き継いだか……?」

「あん?なんだそれ」

「隣の基地のKar98kモデルで確認できた現象だよ。人形が所謂銃の記憶を引き継ぐって」

 

とすると、このベネリは俺が使ってた事を覚えているのか。

 

「どう、何でしょうか……よく分かりませんが……あなたの事を、懐かしく感じます」

「そう、か……」

 

間違いなく彼女の持つ銃は、俺が長年使っていたライオットガンだ。

手放す時に何も思わなかった、と言えば嘘になる。

 

しかし、扱い辛いとも感じていたため少し微妙な気分だ。

 

「パトリックさん、失礼ですが……その、腕は」

「ん?ああ、これ?義手なんだけど壊れちまってさ」

「そんな……人形でも片腕は大変なんですよ?」

「普通ならな。もう慣れたよ、片腕くらい。じゃ、おっさん頼んだ」

「おう」

 

そう言って整備班を後にして。

 

「ちょっ、ちょっと!まだ話は終わってませんよ!?」

 

ベネリも追いかけてきた。

 

「なんだよ」

「なんだよじゃありません!手が必要じゃないんですか!?」

「別に……」

「えぇ……」

 

困惑された。

まぁ初対面にはそう思われるわな。

 

「パトリックさん!!」

「……うへぇ」

 

名前を呼ばれたのでそちらを見る。

……息を切らせて手を振って走ってくる人形。

 

まぁステアだろう。

 

「おかえりなさい!お怪我は……えっ、腕どうされたのですか!?」

「あーまぁ、壊れた」

「そんな……でも、大丈夫です!私がまたお世話します!」

「世話って……片腕無いだけだぞ?」

「それでも、です!何故ならわたくしが貴方の世話を任されたのですから!」

 

ふんす、と胸を張って答える。

頑として譲らないから正直疲れる……。

 

「聞き捨てなりませんね」

 

ベネリが、そんな事を呟いて俺の前に出た。

 

「……貴方は?」

「初めまして。私はM1014……彼の銃だったライオットガンです」

「えっ……」

 

ステアが驚いて俺の方を見た。

まぁ、驚くよな。

 

「彼の事は私がよく知っています。私に、お任せを」

「いいえ?新人さんにはここで学んでいただく事もまだまだ多いはずです。ですからそういった事はわたくしにお任せを」

 

……何だろうか。

二人共笑ってるのに何だか胃がキリキリするのは何故。

 

俺は、そっとその場から逃げ出した。

 

「「パトリックさん!?どっちか選んで……居ない!?」」

 

なんか背後から叫び声が聞こえたけど気にしない。

 

 




お世話係争奪戦(白目

次回、パトリックIOPへ行く。
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