「……えっ?」
「……はっ!?い、いえ!?何でもないです!!」
M1014……言いにくいしベネリで良いか。
ベネリが我に返って物凄い手をブンブンふる。
班長が何となく面白そうな顔をしている。
「銃の感覚を引き継いだか……?」
「あん?なんだそれ」
「隣の基地のKar98kモデルで確認できた現象だよ。人形が所謂銃の記憶を引き継ぐって」
とすると、このベネリは俺が使ってた事を覚えているのか。
「どう、何でしょうか……よく分かりませんが……あなたの事を、懐かしく感じます」
「そう、か……」
間違いなく彼女の持つ銃は、俺が長年使っていたライオットガンだ。
手放す時に何も思わなかった、と言えば嘘になる。
しかし、扱い辛いとも感じていたため少し微妙な気分だ。
「パトリックさん、失礼ですが……その、腕は」
「ん?ああ、これ?義手なんだけど壊れちまってさ」
「そんな……人形でも片腕は大変なんですよ?」
「普通ならな。もう慣れたよ、片腕くらい。じゃ、おっさん頼んだ」
「おう」
そう言って整備班を後にして。
「ちょっ、ちょっと!まだ話は終わってませんよ!?」
ベネリも追いかけてきた。
「なんだよ」
「なんだよじゃありません!手が必要じゃないんですか!?」
「別に……」
「えぇ……」
困惑された。
まぁ初対面にはそう思われるわな。
「パトリックさん!!」
「……うへぇ」
名前を呼ばれたのでそちらを見る。
……息を切らせて手を振って走ってくる人形。
まぁステアだろう。
「おかえりなさい!お怪我は……えっ、腕どうされたのですか!?」
「あーまぁ、壊れた」
「そんな……でも、大丈夫です!私がまたお世話します!」
「世話って……片腕無いだけだぞ?」
「それでも、です!何故ならわたくしが貴方の世話を任されたのですから!」
ふんす、と胸を張って答える。
頑として譲らないから正直疲れる……。
「聞き捨てなりませんね」
ベネリが、そんな事を呟いて俺の前に出た。
「……貴方は?」
「初めまして。私はM1014……彼の銃だったライオットガンです」
「えっ……」
ステアが驚いて俺の方を見た。
まぁ、驚くよな。
「彼の事は私がよく知っています。私に、お任せを」
「いいえ?新人さんにはここで学んでいただく事もまだまだ多いはずです。ですからそういった事はわたくしにお任せを」
……何だろうか。
二人共笑ってるのに何だか胃がキリキリするのは何故。
俺は、そっとその場から逃げ出した。
「「パトリックさん!?どっちか選んで……居ない!?」」
なんか背後から叫び声が聞こえたけど気にしない。
お世話係争奪戦(白目
次回、パトリックIOPへ行く。