水没から始まる前線生活   作:塊ロック

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半年が経過してしまった。
現状に何ら改善は無く、止まった日々を過ごしてしまっている。


第43話『弱点特効Five-seveN』

「リック」

 

そろそろ、あの水没から半年が経過した。

S-14に動きもなく、正規軍とも合流せず、なぁなぁでここS-13へ居付いてしまった。

 

カタナの素振りを止める。

こいつを振り回してから一ヶ月。

そろそろ真っ直ぐ振れるようになってきた。

 

「57、どした?」

「今日、先月保護したMGの子が来るのよ。貴方も出迎えに行ったら?」

 

確か、88式と名乗ってたっけ。

57から視線を外して、ジェットストリームを握り直した。

 

「別に良い。俺は一応部外者だし」

「そんな事言って……知ってるわよ?あの子のおっぱいガン見したの」

「し、してねーし!!」

「わかり易いわねホント」

「あぁ!?大体な、俺は女なんか嫌いなんだよ。一々構ってられるか」

 

上段に持ち上げ、振り下ろす。

義手にも慣れ、手に馴染むようになってきた。

 

「何よそれ。いくらなんでも酷いわ」

「だったら何だって言うんだ」

「来なさいよ!」

「わっ!?馬鹿、今こっち来るな!触んなって!あぶない!!」

 

ジェットストリームを構えた時に57が近寄ってくるもんだから集中力が維持できない。

いやだってこいついい匂いするもん……。

 

「「あっ」」

 

ジェットストリームの切っ先が、57の胸元の前を掠った。

 

「ひっ……」

「わー!!だから言ったのに!!俺だってまだこいつ使いこなしてないんだぞ!?大丈夫か!?怪我は!?痛いとことか無いか!?」

 

慌てて57の体を触って異常を確かめる。

彼女は顔真っ赤にして固まっている。

 

「おい!?どうした!?まさか怪我したとか!?」

「さっ」

「ん?」

「触んなっ!!」

 

思いっきり頬にビンタを貰った。

痛い。

 

「あ、貴方ね!女の子に剣を向けて!しかも無遠慮に触るなんて最低!」

「え?あ、ええ?ごめん……」

 

これ俺が悪いの?

 

「全く……」

「悪かったって……」

「じゃあ、今度こそ買い物付き合ってもらうからね。前は一人で行っちゃってさ」

「う……わ、分かったよ」

 

今回は、我慢だ……機嫌が治るなら万歳……。

 

と、そこで……はらり、と。

 

「え”っ」

「?」

 

57は気が付いていない。

……彼女のワイシャツが胸元一閃、切れている事に。

しかもその下のブラまで切れていて瑞々しい肌が露出している。

 

シンプルだが、黒のブラ。

グリフィンの支給品なのか、派手な装飾は無い。

 

俺がガン見しているのを訝しみ、57が視線を下げた。

 

……彼女の顔が真っ赤になる。

 

「なっ、なな、なぁっ……!」

 

あ、やば……鼻が。

顔が熱い。

これは、拙いぞ。

 

「リック!貴方ね……え?」

 

意識が遠のく。

……我ながら情けない。

 

「え、ちょっと、リック!?大丈夫!?どうして……えっ、鼻血?えぇ……?」

 

やめて見ないで……鼻血大量に吹き出して倒れたなんて死にたくなる……。

 

 

本日の出迎えは二人してキャンセルになった。

 

 

なんだこれ。

 

 




ムッツリ純情サイボーグ坊やパトリック。
スケベな癖に実際目にするとぶっ倒れるくらい初心。

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