「兄さん!いつまで寝てるんですか!?朝ですよ!!」
カーテンが開かれ、すっかり高くなった日の光が俺の顔に当てられる。
「ん……あぁ?誰だ……良いだろ、休みなんだから……」
「休みだからといって普段の生活からリズムを崩すと、体に、良く、ありませんよ……!!!!」
「ちょ、分かった!分かったから布団引っ張るな……!!」
誰だか知らんが朝から(現在時AM1000)余計なお世話だ……。
頭を振ってやってきた人形に目線で抗議を送る。
当然の様に無視された。
カーテンを開け布団を剥ぎ取った犯人は……長い髪を惜しげも無く振りまく人形、ベネリだった。
結局、俺の事を兄と呼ぶ事に落ち着いたらしく……周りに誰も居なければそう呼んでくる。
孤児院の時も結構多く下の子の面倒を見たりしてたので、今更妹が増えても気にしないで可愛がっている。
「おはよう、ベネリ……」
「おはようございます。食堂はとっくに閉じてますよ。はいどうぞ」
ベネリから差し出されたバスケット。
中にはサンドイッチが詰められていた。
「ああ、その、なんだ……わざわざ」
「どうせ寝過ごして食べて無いのは分かってます。ホントはちゃんと起きて行ってほしかったんですけど」
「……そう、か?」
……こいつの性格からして朝起こしに来る気がしてたんだが。
何かあったのだろうか……おや?
部屋のドアが開いている。
誰かが中を覗いて………………………ひえっ。
「「………………………………」」
ステアと88式が感情の無い瞳でずっとこちらを見ている。
えっ、何これは何事。
「わたくしが……起こしに行きたかったのに……!」
「パトリックさんのお世話は……私が……ブツブツ」
俺は何も聞かなかった。
ああ聞いてないとも。
「それで、兄さん。今日の予定は?」
「今日?うーん、素振りとか訓練適当にやって昼から街に出ようかなって」
前にスパスから聞いたファストフード店が気になっていた。
「分かりました。私も同行します」
「何でさ!」
「兄さんは絶対外食をファストフードで済ませる気でしょう!」
何故バレたし。
「お待ちなさいベネリさん!?そこまでは許してなくってよ!!」
「パトリック、さん、わ、わた、私も行きます……!!」
半開きのドアが勢い良く開いて二人が流れ込んできた。
壊すなよ?頼むから。
「なっ!?二人共居たんですか!?にいさ……パトリックさんのお世話は!今日は私が勝ったので!」
なんか勝負してたの!?
「今日一日ではありません!」
「言っていませんでしたよ!?」
「言ってませんので!!」
「ひどい!横暴です!」
「わたくしが先輩です!」
ひどいやり取りを見た。
その横を通り抜けて、おずおずと88式がやってきた。
「おはようございます、パトリックさん……本当は起こしに行きたかったんですけど」
「ああ、いや。来なくて良かったのに」
「そうしたら、ステアさんとベネリさんと鉢合わせして……じゃんけんに」
「そっかー、そのまま帰ってくれたら良かったのに」
「そうしたら4時間も掛かってしまって」
「人の部屋の前で何してんの!?」
「でも大丈夫です!次からはもっと早く来ますので!」
「来るなよ!!」
駄目だこれ。
結局昼近くまで部屋で騒いでたらしい。
その前に抜け出して裏で素振りしてたけど。