水没から始まる前線生活   作:塊ロック

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100式に、定期的にお墓に訪れておくといいよって言われた。

……死んだ奴は戻ってこないのに、何でそんな事をするんだろうな。


第46話『お墓参り』

雲ひとつ無い快晴だ。

 

「よう、相棒。良い天気だな」

 

俺は空を見上げながら呟いた。

 

「俺、さ……今グリフィンに居るんだわ。しかも、そこの指揮官がリリスだったんだ……覚えてるか?よくお菓子焼いてくれたちっこい人。年上だったんだな」

 

リリスが用意してくれた、シンプルだけどそこそこ質のいい墓標。

二人の名前が掘られている。

 

「E.L.I.Dじゃなくて、暴走した鉄血の人形達と戦っててさ。最近思うんだ……戦ってるのが、楽しいって」

 

どうしようもない高揚感。

最近、戦闘中……特に、ハイエンドモデルとの戦闘時に顕著になる。

 

「何でだろうな……俺さ、リリスの為に戦わなきゃって思ってるのに……戦ってる事自体が楽しくてさ……ちょっと、怖いんだ。正規軍に戻るまで面倒見てくれてるリリスの為に、恩返ししねーといけねーのに」

 

今まで、E.L.I.D狩ってる時には感じなかった。

今まで生きてきた中で、一番楽しかった。

 

「何でこんなこと言ってんだろうな……」

「……それが、今まで抱えてた事なんだ」

「リリス……」

 

背後から声が掛けられた。

他の誰でもない。

リリス·エールシュタイアーだ。

 

「久しぶり……二人共。私の事覚えてるかな」

 

リリスが二人の墓標に花を供える。

 

「りっくん」

「ん?」

「お仕事」

「……内容は?」

「近郊のはぐれ鉄血量産型の排除。S-12のスコーチさんから」

「スコーチから……?」

「うん。装備はジェットストリームだけって」

「………うせやろ?」

 

あのおっさん俺に何させたいんだっての。

 

「りっくんはさ、戦うこと……楽しい?」

 

言葉に詰まった。

 

「どうして、って顔してる。判るよ?りっくんのことなら何でも」

 

俺とリリスは並んでずっと墓石の方を向いている。

だからリリスがどんな顔をしているか分からない。

 

確認する勇気がない。

 

「俺は、」

「強く、なりたいんでしょう?良いよ……私が、君を強くしてあげる。強くするためにどんな敵とも戦わせてあげる」

「………………」

「でも1つだけ約束して」

 

俺の手が握られる。

俺の手は鋼鉄製だ……そんなに強く握ったら、お前の手が壊れちまう。

 

「絶対、絶対に……私に、帰ってきて」

「……わかったよ。這ってでも帰る」

 

手の感触が、少し優しくなる。

 

「ありがとう、りっくん。なら、安心かな……お仕事、どうする?」

「もちろん、受ける」

 

ジェットストリームの試し斬りにはちょうどいい。

 

「じゃあ、そう返事しておくね。帰ろう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………俺は、ずっと濁った瞳でアリサの墓標を睨み続けるリリスに、気付いていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回、ジェットストリーム縛りの難易度ジェットストリームモード。

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