あれから数日後。
義肢の調整も済ませて、S-12のスコーチへ報告した。
部屋の整理をしていた時、ふと……ボロボロのポーチが出てきた。
本当に小さな小物しか入らない代物だが……俺はここに薬品を良く入れていた。
何度もこの小物入れに入っていた傷薬やアドレナリン注射に助けられてきた。
「……AN-94」
このポーチをくれた人形の名前をつぶやく。
何だかんだ、あれから帰る為の努力をしていない。
帰る気が無いと言うのは嘘になる。
ただ、
(……負けっぱなしが、性に合わない)
俺と戦ったハイエンドモデルとは、ほとんどが引き分け……もしくは、事実上の敗北を喫している。
このままでは終われない。
「……あいつ、元気にしてるかな」
「あいつって誰よ」
「正規軍の同じチームのヤツ。メンタル弱いのか知らないけどいっつも落ち込んでてさ」
「へー。女の子?」
「女?うーん、人形だけど女」
「へぇ。好きなの?」
「んなワケ………………………あぁん!?」
気が付くと隣にFive-seveNが立っていた。
「えっ、なっ、おま、なんで勝手に!」
「だって、リック呼んでも出てこないじゃない」
そう呟くと、俺から離れて部屋の中を見て回っている。
「武器庫じゃなくて部屋に自分の武器置いておくの、ちょっと物騒じゃない?」
「一応俺ここの所属って訳でもないし……それに、剣なんか持ってったってどうすんだよ」
「違いないわ」
唐突にFive-seveNが机の引き出しを開ける。
勿論空っぽだ。
「何してんだ」
「見られて困る物無いかなって」
「見られて困るなら見られる場所には置かねーよ」
「それもそうね」
よいしょ、とFive-seveNがベッドに歩き寄り屈んでベッド下を覗く。
衣類の入っているボックスくらいしか置かれていない。
「いや、何しに来……」
……Five-seveNの形の良い臀部が、目の前で揺れている。
思わず言葉を失う。
いやいやいやいや待て、落ち着け。
そんなん気にしてどうする。
別に、もう少しでスカートの中が見えそうだとか、そう言うのじゃない。
「……無いわね。あら、どうしたの?」
なんて悶々と考え込んでいたらFive-seveNがもう立ち上がっていた。
「いや、何でも」
「ふーん……何、もしかしてアタシと一緒だと緊張するとか?」
「ばっ、そんなワケねぇだろ」
やめろ、ニヤニヤして寄ってくるんじゃない。
慌てて部屋から出ようとする。
ドアに触れようとした瞬間……。
「Five-seveN、誘うならさっさとしなさい。いつまで掛かってるのよ」
……ドアが開き、伸ばした手はそのまま空を切り。
「……え?」
とてつもなく柔らかい物を手に収めた。
「……あ……」
感触、そして視覚。
恐る恐る顔を上げる。
体勢がちょっと崩れた為に真正面は胸しか見えない。
……FALが、顔を真っ赤にして震えていた。
「えっ、あの、ちょっ、えっと、これは」
慌てて下がる。
……FALの手が上がった。
「この……変態ッ!!」
渾身のストレートが俺の顔に突き刺さった。
こいつら……何しに来たんだ……。
たまにはなんの進展もなくいちゃいちゃしてるだけでも良いじゃない。
今後どう進めるかちょっと思案中。
次回の更新は遅くなるかもしれません。