2月の、某日。
今日も、俺はスコーチと共に修行に明け暮れていた。
「甘いぞ!」
「げ、ヘァッ⁉」
顎に木刀を貰う。
思いっきり打たれて一瞬意識が飛ぶ。
「ここまで。一旦休憩だ」
「お、オス……」
地面に転がって、暫く空を見上げる。
今日は、よく晴れている。
額から流れる汗が止まらない。
冬の冷たい風が心地良い。
「……何してるの?パトリック」
「んぁ……?…………白」
「ふん」
「ぐえっ」
俺を見下ろしていた褐色の人形。
スカートの下が見えたから思わず呟いたら顔を踏まれた。
「何しやがる」
「デリカシー無さすぎよ」
「そんな丈の短いスカート履いてるからだろ」
「言い掛かりにも程があるわよ。まぁ、下着じゃないんだけどね」
「えっ」
そこまで言ってから、サイガがいたずらっぽく笑う。
「気になる?」
「勿論……」
「へぇ?ワタシのこと、そんな興味なさそうだったくせに」
「お、お前こそ野郎に興味無いんじゃないのかよ」
S-13に来てからと言うもの、サイガはずっと人形やら指揮官やらに迫りまくっている。
……DSRを除いて。
一回近付いたらリアルで襲われ掛かったらしく部屋まで逃げてきた。
なお、その後俺ごとやられそうになり緊急脱出したが。
「貴方は別よ」
「そうかよ」
「パトリック」
「あ?」
「あげる」
サイガから渡された物。
男性に贈るには、些かファンシーな包装に包まれた小箱。
「これは?」
「今日はなん日でしょう」
「……2月、14日」
「正解」
「はぁー……なるほど」
「あれ、嬉しくない?」
「そうでもない。けど………………誕生日なんだよね、今日」
「へぇ、タンジョウビ。誕生日?………………誕生日!?貴方物心ついた頃から孤児でしょ!?」
「うるせぇよ。声でけーっての」
頬をかく。
なんて説明すればいいのか。
「俺が、この名前……『パトリック』になった日なんだ」
「……それが、誕生日?」
「そう。爺さんとシスター達がくれた物」
立ち上がって、箱を開けた。
甘い匂い。
中身は、チョコレート。
「ちょうど腹減ってたんだ。頂く」
「どうぞ。ちょっと不格好だけど」
「食えば関係ねーよこんなの。……え?手作り?」
マジで?
「あら。ワタシ、それなりに好意は示してたつもりだけど?」
「え………………まぁ、何で、って言うのも……野暮か」
「そこは察せるんだ」
「でも、駄目だ」
「……理由、聞いても?」
「俺は」
幸せの絶頂にあった二人を見殺しにして。
二人の幸せを奪って生き延びた俺が。
幸せになるなんて、あってはならない。
だから、
「……女は、嫌いだ」
こう、言うしかない。
今更バレンタイン。
モチベーションが消えつつあるので許して欲しい。