水没から始まる前線生活   作:塊ロック

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夜、部屋に居るよう厳命された。
怖いんだけど……。


第70話『晩酌』

 

水槽に糸で吊るしたスルメを入れる。

ぎぃぎぃと殻が鳴る音がする。

 

「おうザリ次郎元気か」

 

現実逃避気味にザリ次郎と戯れていた。

言ってることは恐らく一ミリも理解してないだろうけど。

 

……コン、コンコンとノックが3回。

背筋が凍る。

なんとか声を振り絞る。

 

「……ど、どうぞ」

「失礼します。こんばんは、りっくん」

「ぶはっ……!?」

 

おま、お前っ。

その恰好で来たのよか……!?

 

「どうしたの?」

「な、ななな、なんだその恰好……」

「寝間着」

「嘘つけ常日頃からそんなんで寝たら風邪ひくわ!!」

 

詳細は割愛するがリリスが着ているのは……所謂ベビードールとか言うやつだ。

露出がすさまじく……待って待て。

ショーツ見えてるし……。

ちなみに黒……いやいやいや考えるな。

 

「そう?いつもこれだけど」

「嘘だろ……てかここまでよくそれで来たな!?」

「別に男の人このエリアに近づかないし」

 

……俺の部屋は、実は人形の宿舎の一角にある。

なんでかって?

部屋が無かったんだ。

この前なんてネゲヴが俺の部屋でベッドに寝転んで漫画読んでた。

 

「はい」

「はいって……ん?ワイン?なんで」

 

リリスが持っていたのは名前のラベルが読めない瓶。

でもコルクで栓がしてあるならきっとワインだろう(ド偏見)

 

「お前、酒嫌いだろ……」

「……いいの」

「いいんかい」

「だってここ最近ずっとスコーチさんと一緒だったんだもん!ずるい!」

「え、えぇ……」

「何よ!スコーチさんのお酒は飲めて私のは飲めないって言うの!?」

 

え、ちょっと待って。

なんで俺怒られてるの。

 

「分かった。分かったから。飲む。お前と」

「そうこなくっちゃ」

 

そういうともうにっこにこに笑って俺にグラスを押し付けてくる。

……顔は別に赤くない。

え、素面なのこれ。

 

「乾杯」

「乾杯……」

 

グラスを合わせて、口元に持っていく。

……独特な匂いで、ちょっと躊躇う。

ちらりとリリスを見たら、まだ笑顔だった。

 

「ふぅ……お酒なんて下種野郎共が乱痴気起こす為に使ってるドラッグだと思ってたけど、やっぱり好きな人と飲むと違うね」

 

マジでこいつ過去に何があった。

意を決して俺も飲む。

……苦い。

 

やっぱりアルコールは慣れない。

 

「美味しくない?」

「……正直言うと」

「そう。りっくんは昔から嘘つけないもんね」

「………………」

 

気恥ずかしくなって顔をそむける。

そうやって、分かってる、みたいな風に話されるのは苦手だ。

 

「だからかな。男の人は嫌いだけど、りっくんは別」

「……関係ないね」

「ううん。そんなことない」

「そうかよ……ッ!?」

 

一瞬意識が落ちそうになった。

 

「……うんうん。りっくんはお酒弱いもんね」

「リリス、まさか、うっ」

 

立ち上がろうとして、ふらふらする。

うまく立てない。

 

「大丈夫だよ、何も怖いことしないから」

 

リリスがにじり寄ってくる。

何か知らんがやばい。

ギリギリ踏みとどまっている脳が警鐘を鈍く鳴らす。

 

俺の頬にリリスが手を伸ばそうとして、

 

「え」

 

そのまま滑って転んだ。

 

「お、おい!リリス!?」

 

義足の膝に顔をぶつけてないか確認する。

……俺の腹を枕にして、寝ている。

 

「は?」

 

俺の意識はそこで途切れた。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

翌日。

なかなか起きてこなかった俺たちを探しにジェリコが部屋に来たところ、爆睡する俺たちを発見。

 

たたき起こされて説教を食らったが俺とリリスが仲良く風邪ひいてダウンするのだった。

 

ちなみに間違いは一切無かった。

俺たち二人ともアルコールの耐性が皆無だった事が発覚したのである。

 

「ぶぇいっくしょい!!」

「もう、パトリックさんは馬鹿なんですから……」

 

シュタイアーが俺の額に濡れタオル置きながら苦笑するのだった。

……ちょっと待て、看病の仕方が古典的過ぎないか。

 

あと、リリスはDSRとFAL達によってベッドに縛り付けられている。

 

因果応報……いや、自業自得なのだろうか。

 

「はい、ちゃんと寝てくださいね」

「あーい……」

 

頭いてー……当分酒は懲り懲りだ……。

 

 

 




このSSは青少年の何かに考慮しているので卑猥は一切ありません。
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