本格的に風邪をこじらしたのでしばらくベッド生活である。
「何もしてないとは言え間抜けね〜リック」
「ごほっ……うるせ。帰れ」
「はいはい。大人しくしてたら可愛いと思ったのに」
「おはようございます、兄さん。ちゃんと寝てますか?」
「……お前が来るまでは」
「……パトリックさー……ん……ふぅ、ちゃんと寝てますね」
「………………(ドアが開く音で起きた」
「こんにちはリック!貴方のsaiga-12よ!」
「帰れ」
「パトリック、教材は置いておきますね。……顔色は悪くありませんね。このまま寝ていればすぐに良くなります」
(近い近い近い近い!!!)
――――――――――
「こんばんはパトリックさん」
「寝かせろ!!!」
キレた。
いやほんと何人来るんだよ。
「わ……げ、元気じゃないですか」
「……げほっ、すまん……寝かせて、ほんと」
結局、数十分毎に別の人形が部屋にやって来るから休めたもんじゃない。
ドアの前で目を白黒させて驚くステア。
ていうかこいつもよくこの部屋に来るなしかし。
「2、3時間おきに誰か来たら寝れるもんでもねぇよ」
「だって仕方ないじゃないですか……パトリックさん、今手足無いですし」
……そう。
今俺に義肢が付いてないのである。
ちょっと気分が良くなったら素振りしようとして止められた為である。
スパス、サイガ、ベネリの3人がかりは流石に勝てなかった。
そして手足没収。
解せぬ。
「どうして俺から自由を奪うんだ」
「治らないからです!もう……ご飯あげませんよ」
「それは困る……でもあんま食欲無くて……」
「え……そんな、パトリックさん!?大丈夫ですか!?私が付いてますよ!!」
「うるせぇ!あと風邪だって言ってげほごほっ、ん、ぐ、うぇっお、う」
「あーあーもう騒ぐから……お水です」
「解せねぇ……」
のどが痛い。
「パトリックさん自身はそう感じて居ませんけど、たぶん体の方は空腹だと思います。苦しいですけど詰め込んじゃってください」
ステアがお粥を俺に差し出した。
温かそうに湯気が揺れる。
「はい、あーん」
「やめろ」
「あーん」
「やめて」
「あーん」
「ちょ、やめ」
「あーん」
「頼むからそれだけはやめてくれ」
「(ゾクゾクッ)……どうしましょうか。やっぱり手足無いのは不便ですよ」
「手を返してくれればいいから!お願い!」
「だーめ、ですよ」
「ひぇ……」
もうだめだ。
おしまいだ……。
俺は屈するしかないのか……。
「そんな大げさな……女の子にこうされて嬉しくないんですか?」
「そういうわけじゃ」
「もしかして、前に誰かに?」
「……うーん、孤児院のばぁさんに……」
『パトリック』
『もう、自己管理がなってない』
『あんまり心配掛けさせないで』
「あ……」
「?パトリックさん?」
「いや……何でも、無い」
……正規軍に居る時、確か1度だけ……手足もなく風邪で寝込んでいた時があった。
あの時、俺を診ていてくれた奴。
「……ごめん、ステア。もらえるか」
「え、あ、はい」
……あいつ、今頃どうしてるんだろうな。
そろそろコラボ回が入るかもしれません。