ホント申し訳ありません。
「パトリック、起きてる?」
声を掛けられて目が覚める。
……ザリ次郎が水槽をひっかく音が聞こえない。
「……パトリック?」
俺の顔を覗き込むブロンド髪の美女。
こいつは……。
「AN-94……ごほっ、勝手に入るなって、言った、げほっ……」
俺の口が勝手にしゃべった。
「じっとしてて……もう。少し頑丈だけど、貴方は人間なんだから……無茶しないの」
「うるせぇ」
悪態を吐かれながらも、AN-94は甲斐甲斐しく世話を焼いてくれている。
……ドアがノックされた。
「邪魔するぜー。よう相棒生きてるか?」
「おはようリック。ってもう夕方か」
馴れ馴れしい青い髪の青年と、金髪の活発そうな女性。
息が詰まる。
胸が痛い。
思い出したくない。
「あーあー、喋るなってリック。全く、馬鹿は風邪ひかないとは思ってたんだがな」
「うわ、凄い熱……大丈夫?」
ひんやりとした手が額にあてられる。
「勝手、に」
「口は、元気だな……」
青髪の男が苦笑する。
「ありがとアン。見てくれてたんでしょ」
「……別に」
金髪の女性に声を掛けられたAN-94は、ぶっきらぼうにそっぽを向いた。
そして、いま俺が寝ている場所が……いつもの自室でないことを思い出した。
これは……夢だ。
この二人が生きているという事は。
夢、なんだ。
だって、二人とも、もう死んでいるから。
「相棒、あんま無茶すんなよ。お前の葬儀なんてやりたくないぞ」
「うっせ……」
「マイク、そういわないの。リック達が頑張ってくれてるから、私達の被害は少ないのよ」
「分かってる、アリサ。でもそれとこれは別だろ?」
「そうだけど、さ。リック!早く元気になりなよ!また今度皆でパーッとやりましょ。アンもどう?」
「私は、良い」
「そっか、残念。またね」
嵐のように二人は去った。
AN-94と俺だけが、部屋に残された。
「………………」
「………………」
静寂。
お互い、あまり口数は多くない。
「AK-12に、暫く安静にさせるって、言ってくる」
「おう…」
「……無理、しないで」
「無理じゃねぇ。俺に出来る事だ」
「それでも、私は……」
「っるせーぞ……」
こうしてみると、AN-94は俺の事を本当に心配してくれていた。
こんなやつに、俺はずっと悪態ついてたんだ……。
「………………」
謝りたい。
素直に、そう思ってしまった。
帰るべきだろうか……正規軍に。
半年以上もMIAだったのに。
せめて、連絡が取れればいいんだが……。
リリスに頼んで、通信設備でも借りられないだろうか……。
このSSのメインヒロインは誰だろうか。