夜中。
目を開けても閉じても暗い。
身体を動かそうにも手足が付いてないので動けない。
「………………」
懐かしい夢を見た。
まだ3人で笑い合ってた頃。
俺がまだ正規軍に居た時の事。
「アン、か」
AN-94の愛称。
あんまり呼ばなかったなぁそれ。
何か気に入ってなさそうだったし。
そう言えばいつの間にか俺もリックって呼ばれてたな。
悪い気はしない。
……あいつはどうだったんだろうか。
「こんばんは……あれ、起きられていましたか」
そっとドアが開けられた。
廊下の照明も落ちていてよく見えないが……このシルエットはおそらく、
「ステアか」
「少し元気そうですね」
「昔から、頑丈なのが取り柄だったからな」
「そうですか」
水差しを持ってきてくれたようだ。
……手が無いから飲めないんだけど。
そう言えば喉がカラカラだ。
「ステア、手をくれ」
「わたくしが飲ませて差し上げても良いのですよ?」
「……ちょっと夜風に当たりたいから足もくれ」
「もう、パトリックさんはまだ熱下がってないんですよ?」
「……わかるのかよ」
こいつの目、サーマルスコープでも載せてるのかよ。
「見えますからね」
「ほんとに積んでるのかよ」
「……はい、どうぞ」
思いのほかあっさり渡してくれた。
「……さんきゅ」
「……え?」
「……えってなんだえって」
「いえ……お礼を言われるとは思っていなくて」
「お前の中で俺はどう思われてるかよくわかったわ」
自業自得?
うるせえ。
接続され、疑似痛覚に痛みが走る。
もう慣れたので顔を顰めるだけで済む。
「……痛かったですか?」
「気にしなくていい。いつもの事だ」
「人間の体ですのに、私たちと同じように手足を外したりして……」
「……俺の大事な手足だ」
物心ついた頃からこの手足だった。
今更手足について何の感慨もわかない。
「ところで……」
手足が戻り、とりあえず水を飲む。
「アンってどなたですか?」
「ぶっ」
思わず吹き出す。
こいついつから聞いてたんだよ。
「げほ、げxほっ!!ど、同僚だ……ただの」
「ただの?」
「……ああ、ただの同僚だ」
……本当に?
AN-94は俺にとってただの同僚だったのか?
「もしかして、初恋の相手って……ッ!?」
ステアが息を呑む。
……無意識に、睨んでいたのかもしれない。
「……すみません」
「……散歩してくる」
居た堪れなくなって外に出ようとする。
「あ、あ、パトリックさん!」
「なんだよ」
引き止めないで欲しかった……。
「その……何か着た方が」
「え……あ」
よく見ると俺パンツ以外何も身に着けていなかった。
「あー……うん。そうする」
締まらねぇ……。