目が醒めたら、冷たい地面の上に転がっていた。
比喩では無く、マジで。
手足もなく、一切動けない。
そして、極めつけは首輪をさせられ鎖で繋がれている。
(俺、死んだかな……)
もう助からない気がしてくる。
リリスの逆鱗に触れた。
ここまでどっち着かずな態度を取り続けたツケなのかもしれない。
(手足もないし武器もない。完全にお手上げだ……上げる手もないけど)
あれからどのくらい時間が経ったか。
腹の好き具合から考えてまだ一日も経過していない気もする。
雨は未だ強く降っている。
(どうしたもんかな……)
暗い独房の中、床に転がされている身で何が出来るか。
何も出来ない。
現実は非情だった。
「………………床、つめてー」
どうする事もできないと言うのは、本当にやるせなかった。
――――――――――
独房の前に誰かが来た。
ゆっくり、視線を上げた。
そこに居たのは、シュタイアーとベネリだった。
「……お久しぶりですね、パトリックさん」
「そうだっけか」
「ええ、そうですね。168時間ぶりです」
「………………」
反応に困ることを言われる。
「本当に、私達を裏切ったんですか」
暗い表情をしていた二人が口を開く。
「……それは」
「良いんです。元々押し付けがましい事をしていたのは承知の上だったので」
「私は、信じられません……兄さん、本当は何か事情があったんじゃないですか……?」
ベネリがもう人前でもそう呼んできた事に少し苦笑を漏らす。
「わかんねぇや」
「「……?」」
「何が正しくて何が間違ってたのか。俺にゃもうわかんねぇや……」
もう、分からない。
こんだけ痛い目に遭ってきて失った物が多すぎる気がした。
「一つ、お聞きしたいのですが」
シュタイアーが口を開く。
「パトリックさんは、何がしたかったんですか?」
「俺は………………八つ当たりしたかったのかも知れない」
痛めつけられて期待されて義務感で戦って。
知らず知らずの内に憂さ晴らしを求めていたのかも。
ようやくなんの気兼ねもなくブン殴れる相手が出来て、そこに飛びついてしまった。
「パトリックさん……」
「言いたいこと言えてちょっと気が晴れたわ。まぁこの状況どうしようもないんだけど」
「ごめんなさい、流石に拘束を解く事は出来ません」
「分かってるよ……で、何しに来たんだよ」
「パトリックさんを、指揮官の下に運びます」
……いよいよ、って所か。
絶対ろくな目に遭わないけど、何もする事が出来ない。
と言うか下手したら殺された方がマシかも知れない。
(流石に死にたくはないけど)
ダルマ状態で転がされる哀れな男。
なんか四肢が無いのがデフォになりつつある。