……あれから、どの位の時間が経ったのか。
俺は、ずっと部屋に閉じ込められていた。
手足も無く、首に鎖を繋がれたまま、床に転がされている。
何も出来ない。
何もすることができない。
手詰まりだ。
「………………」
頭だけは動くから、ずっと悲観的な考えが脳を支配している。
もう死ぬまでこのままなのか。
俺はもう日の目を見る事は無いのか。
(なんて、な……これが終わりなんかな)
後悔はない……なんて死んでも切れない死に切れない。
ようやく、ようやく二人が死んだ原因が分かったと言うのに。
「終わりたく、ねぇ……」
だが、リリスを裏切りたくはない。
あいつはただ一人残った孤児院の家族なんだ。
だけど……。
「どうすりゃ良い……」
通信機も装備も没収されている今、何も出来る事なんてない。
……すると。
電子ロックが開く音がした。
「………………?」
部屋のドアが開く。
入ってきたのは……ベネリと、サイガ。
「またリリスの尋問か」
「……兄さん、何も言わずに言う事を聞いてください」
「あ……?い、ぎっ……!?」
ベネリとサイガが有無を言わせず俺の両腕を接続した。
いきなりだったので痛みで呻いてしまった。
そのまま足も接続される。
「がっ……はぁ、はぁ……いきなり、どうした」
実はAK-12にハックされた際の痛覚倍増が抜けていなかったので凄まじい痛みに襲われた。
「……私たちは、兄さんが裏切ったとは思っていません」
「……それで?」
「リック、アンタにはここから脱出してもらってS-12に合流してほしいの。既にコンタクトは取ったわ」
「おい、おい……それ、大丈夫なのかよ」
「……バレたら、アタシ達初期化じゃ済まないかもね」
サイガは笑った。
とても、寂しそうな笑顔で。
「馬鹿野郎、お前……」
「惚れた男をこのまま黙って飼い殺しされるの見てろって言うの!?」
「………………」
「それに、アタシも、この子も、今の指揮官を信用してない。アンタには悪いけどね」
「はい。絶対おかしいです」
「それは……」
「パトリック。お願い、生きてよ」
サイガに襟首を掴まれて、引き寄せられる。
「んっ!?」
唇に触れる感触。
「……アンタに助けてもらった事、絶対忘れたくない。またいつか、会いましょう……その時までに、答えを頂戴」
「サイ、ガ……」
「私もです、兄さん。貴方の銃として共に戦った日々は、私の宝物です」
二人から俺の武器を手渡された。
「……なぁ、お前らも一緒に、」
「駄目です。私たちじゃ兄さんの足に追いつけない」
「………………」
俺は、奥歯が砕けるほど食いしばって、
「……分かった」
苦々しく、答えたのだった。
パトリック、脱出。
二人は無事にいられるのでしょうか。