………………。
「……!!……!!」
誰かが叫んでいる。
何事かと視線を向ける。
「やっと気が付いた……」
鮮やかな金の髪を一房に束ね、馬の尾の様に垂らす少女が目の前に立っていた。
「……アリサ?」
「もう、リックってばずっと呼んでるのに」
「それ程不味いのか?その飯」
「お前のカレーと交換してやらうか?」
「勘弁してくれ相棒。レートが釣り合わない」
その少女の隣に、青の髪の男が座る。
ここは、
「なんて言うか、人形部隊も大概ね」
「人間が居るのがおかしいんだっての」
正規軍の、食堂か。
「で?リック。何でそんな死んだ魚の目みたいな顔して飯食ってるんだよ」
「……別に。いつもと変わんねぇよ」
この男の名はマイク。
アリサと同様……俺の幼馴染で、同じ孤児院で育った家族だ。
「あ、分かった。アンを苛めて隊長に怒られたんだ」
「ちげーよ」
「パトリックお前……またか」
「ちげーっての!何で俺が毎回AK-12に怒られる前提なんだよ」
「だって、リックってばいっつも義手のコントロール奪われて遊ばれてるじゃん」
「文字通り遊ばれてんだよ……」
騒がしい食事になってしまったが、俺はこれはこれで気分が安らいでいる。
「まぁ良い、ちょっと耳貸せよ相棒」
「俺の耳は生身だから外れねーよ」
「違うって。情報だ」
「何もこんなとこで野郎の内緒話かよ」
「良いからいいから」
言われた通りにマイクに耳を貸す。
「……近々、お前のとこに新しい人形が来るらしいぜ」
「ンなこと珍しくもないだろ。人形部隊の損耗率、お前も知ってるだろうが」
「違うって」
マイクが大仰に肩をすくめる。
内緒話はここまでらしい。
ここからは聞かれても問題無い様だ。
「パトリック、鉄血工廠って知ってるか」
「なんだそれ」
「民間の兵器開発会社よ」
「あー……でもあそこ、生産した人形みんな暴走して潰れたんじゃなかったか?」
何か事件があって外は大事になってるとか。
今は正規軍の契約した民間軍事会社が駆除に当たってるらしい。
「そこの残党が生き残りを賭けて新作を出したって話」
「……信頼できんの?それ」
「その為のテストが行われるってよ」
なるほど。
そのテストをウチの人形部隊にやらせる訳か。
使い捨てらしいやり方だ。
「流石偵察部隊。情報が早いな」
「今のご時世、情報握ってないと死ぬからな。お前も気を付けろよ」
「優秀なスカウトが居るから困ってない」
「お前、俺らが居なくなったらどうするつもりだよ」
笑いながら肩を叩きあう。
「いって!お前馬力違うんだから加減しろ!」
「ハハハ!悪い」
「ったく」
「でも良かったわ、リック。元気にしてるね」
「アリサ、お前それ先週も言ってたぞ」
「仕方ないじゃない。一週間会ってなかったら生存が疑わしくなっちゃうもの」
それもそうか。
人形部隊の損耗率はかなり高い。
一週間顔合わせてなかったら疑われもする。
「俺はそう簡単に死なねーよ」
「ま、そうだろうな」
「おう。お前らこそ気を付けろよ」
これは、いつの記憶だったか。
しばらく回想です。