義手義足全部外されて風呂に入れられかけたが全力で辞退した。
来ていたコンバットシャツもズボンもそう言えば修繕される予定なので換えの衣服が無い……と思っていた。
……籠の中に、男物の衣服がしっかり入れられていた。
「……サイズピッタリだ。整備班の誰かのだろうか」
深く、考えない事にした。
風呂から出て、片腕だけ無い状態で何か出来るかと言われると……まぁ、無い。
自然と基地内を歩き回る事になる。
……何というか、やはり、女性職員、戦術人形ばかりだった。
何人もの視線が俺と、隻腕に注がれる。
好意的、同情的問わずに。
(……早く出て行きたいもんだ)
腕が直るまでの我慢だ……。
考え事をしながら歩いていたら、一人の女性とぶつかりそうになった。
「あ……悪い」
「あら、ふふ。気にしてないわ」
女性はふわりと笑う。
長い髪をアップでまとめた、何となく上品な感じの女性だった。
……胸部が布をはちきれんばかりに押し上げているのをあまり見ないように意識するのが大変だ。
「貴方ね、第一部隊の『拾いもの』は」
「人形に物扱いされるのも落ちるとこまで落ちた感じがするな……」
「そうかしら?それとも……そう言うのをお望みかしら?」
彼女の右手がそっと俺の頬に添えられる。
何となく嫌な予感がして後ずさる。
「初めまして、ライフルDSR-50よ」
「……どうも」
「あら、名乗ったのだからそちらも名乗るのが筋ではなくて?」
「……パトリック。パトリック・エールシュタイアー。よろしくしなくていい」
「よろしくどうぞ♪久しぶりに人間の男の子を見たから……ちょっと嬉しいわ」
一歩、また一歩と遠慮なく近付いてくる。
俺は一歩ニ歩と後ずさる。
「可愛いわね貴方……」
「グリフィンの人形は、無礼なのがウリなのか?」
「え……あ、あら?私ったらまた……」
急に顔を真赤にして両頬を抑え始めた。
「ご、ごめんなさいね。私のタイプは、その男性に対して……『煽る』様な設計をされてて……」
「あー……」
こいつ、無意識に迫ってたってことか。
これはちょっと注意しないといけないかもしれない。
「そんなつもりはなかったの。ごめんなさい」
「そ、そこまで謝らなくても……」
見ていてこっちが申し訳なくなるくらい謝られた。
まぁ、俺としては割と経験に無かった事だったので驚きこそすれど不快は無い。
「まぁ、何だ……短い付き合いになるだろうけど」
よろしく、と言外に聞こえたか知らないけど、DSR-50の表情が明るくなった。
……あまりに綺麗すぎてくらっとする。
だから人形って苦手なんだ。
「……所で、工廠ってどこ?」
「案内するわね。着いてきて」
歩く18禁、DSR-50。
本人はお淑やかに過ごしたいと思いつつもメンタルモデルに刻まれた『DSR-50』としての誘うような言動に悩まされている。
なお、指揮官にアプローチをかけているとか何とか。